恋愛は何も大人だけの専売特許ではありません。幼稚園や保育園の子どもたちも、その小さな胸をときめかせたり、叶わぬ恋に傷ついたりしているのです。そこで今回は、思わずほほ笑んでしまうような、キュートでピュアな小さな小さな恋の物語をご紹介します。

さぁ、思い出してみてください。あなたの初恋は何歳で、相手はどんな人でしたか?

とってもキュート! 子どもたちの「初めての恋」

まずは、ママたちに聞いた、「我が子の甘く切ない恋のエピソード」をいくつかご紹介しましょう。

「幼稚園の年中の息子は、担任の先生に夢中。毎日家で折り紙で手裏剣を折っては、園に持っていき、先生にプレゼントしています。『この手裏剣があれば、先生を守れるでしょ?』っていいながら。私にはプレゼントしてくれないのが寂しい…」

「小学1年生の娘が、せっせと何かを書いていたんです。何書いてるんだろう、ってのぞいてみたら『○○くん、だいすき。ころがしどっじがじょうずでかっこいいね。あしたいっしょにかえろうね』って、なんとクラスメイトにラブレター! でもその内容があまりに可愛くて、笑っちゃいけないけど笑っちゃいました」

「息子がクラスの特定の女の子をからかっているらしいんです。ポニーテールの髪を『ちょんまげ!』と言って前にたらしたり、ランドセルにぶら下げている体操着入れをパンチングボールに見立ててパンチしたり。担任の先生から電話があり、発覚。『ダメじゃない、そんなことしたら! 女の子に! その子、きっともう、あなたのこと顔も見たくないって思ってるよ』って言ったら、息子がなんと顔を真っ赤にしてぽろぽろ涙をこぼしたんです…。どうやら、好きの裏返しで意地悪していたみたい」

行き過ぎた意地悪はしてはいけませんが、どれも微笑ましいお話ばかりですね。

初恋の平均年齢って?

さて、初恋の平均年齢っていったいいくつくらいなのでしょうか? ライフネット生命保険株式会社が20~59歳の男女にアンケートを取ったところ(初恋に関する調査)、初恋を経験した年齢の平均は、10.4歳、という結果になりました。

そしてなんと、一番回答が多かった年齢が「小学校入学前(6歳以下)」で、全体の27.7%にものぼりました。みんな意外と幼稚園くらいで初恋を経験しているのです。

なんとなく、「幼稚園で初恋なんて、まだ早い!」「まだ、好きの意味もわかっていないのに、初恋なんてありえない」なんて考えてしまいがちですが、実際にはそんなことはないようです。ちなみに、筆者の娘の初恋も幼稚園の年中。同じクラスの男の子でした。そのとき、娘と「恋」について少し話し合ってみたのを覚えています。

「ねぇ、好き、っていったいどんなことだと思う?」と尋ねると、娘は首をかしげ、しばらく考えたのち、目を輝かせてこういいました。

「一緒に遊びたいな、って思うことなんじゃない? 私は、遊びたいお友だちがたくさんいるから、きっと『好き』がたくさんあるんだよね。それって、いいことだよね?」

まだ、恋の定義はわかっていないながらも、「誰かを好きになる」という感情はとても温かくて嬉しいものなのだ、ということは教えなくても理解していたようです。

年齢を重ねるにつれて、恋することは決して楽しく、嬉しいという感情だけではなく、ある種の痛みや苦しみ、そして悲しみが伴う、ということを実感します。できれば、いい恋を重ねて大人へと成長してほしい…というのが親心。

「恋なんてしたくない」「あの人のこと好きになるんじゃなかった」という気持ちとは無縁の、会えたら嬉しい、一緒に遊べたら嬉しいという、ただ楽しいばかりの小さな恋。きっと恋している本人がとても幸せそうだから、側にいる私たちもあたたかい気持ちになるのかもしれませんね。

「そんな年齢で、恋なんて」と目くじら立てず、バカにせず、その気持ちを尊重してあげたいものです。

初恋は成長の証

子どもの初恋だから、ってあながちバカにはできません。好きな子の影響で、苦手だったものが食べられるようになった、今まで興味を持っていなかった分野に興味を持ち始めた、詳しくなった、など嬉しい変化が見られる場合もあるのです。

何より、子どもが家族以外の人に好意を持ち、大切に思えるようになった…これは何よりの心の成長の証。初恋が素敵な思い出になるように、そっと側で見守ってあげましょう。

大中 千景