2018年9月7日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より180円88銭安の22,307円06銭となりました。6日続落です。

トランプ氏の発言により、日本株が広く売られる

米紙が6日、トランプ米大統領が対日貿易赤字削減に強硬な姿勢を見せていると報じたことで、自動車株をはじめ輸出関連株に売りが広がりました。また、台風や北海道地震など自然災害が相次いだことから、この影響を見極めたいとして、買いが控えられたり、利益確定の売りが出たりしました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。依然として米国の通商政策の行方が懸念されます。5日にはカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐる協議を再開したものの、結論は出ず難航しています。中国に対しては、2000億ドル相当の第3弾対中制裁関税を9月中にも発動すると意欲を見せています。

さらにここにきて、日本にも貿易赤字削減をめぐり圧力をかけ始めました。日本からの輸入車に25%の追加関税を課すと明言するほか、農産物についても米国産牛肉の関税の引き下げなどを要求してくる可能性があります。

トランプ氏は11月の中間選挙までにさらに通商問題で強硬な施策を打ち出してくることも考えられます。現状は、トランプ氏の言動に世界の株式相場が振り回されているような状況です。柔軟に対応できるよう備えておきたいところです。

折しも、国内では20日に自民党総裁選の投開票が行われます。農産物の問題が争点になると、地方票にも影響が出そうです。いずれにしても、結果が判明するまでは、相場も様子見模様になるのではないでしょうか。

ちなみに、5日に発表された日経平均銘柄入れ替えでは、サイバーエージェントが採用され、古河機械金属が除外されることが発表されました。10月1日の算出から入れ替えられます。日本株はしばらく軟調な局面になるかもしれません。一方で割安感のある銘柄もあります。当面は業績好調な銘柄などを中心に個別物色を狙うのも一つの方法です。

主要な移動平均を再度割り込むが、下値はサポートされる

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前々週に、収束していた5日線、25日線、75日線、200日線のすべての移動平均線を上抜けたことから、明るい兆しも感じさせましたが、今週は再度、これらの移動平均線をすべて割り込んでしまいました。5月下旬以来、これまで何度も跳ね返されていた23,000円の壁を今回も越えることができませんでした。

ただし、ここから大きく下落していくことも考えづらいところです。というのも、中期的な動きを見ると、現在は3月26日の大底(20,347円)と、7月5日の二番底(21,462円)、8月13日の安値(21,851円)を結ぶトレンドラインで下値をサポートされた三角保ち合いの形になっています。先週の下落でも、このラインを割り込むことはなく、むしろ7日のローソク足は長い下ヒゲとなっており、反発を予感させます。

RSIなどのオシレーター系の指標は売られすぎを示していることから底打ちの期待もあります。今後の動きによっては押し目買いの好機とみていいでしょう。上値めどとしては、5日の終値までの窓を埋める22,580円あたりになるでしょう。

逆に下値めどとしては、前述した下値サポートラインとなる22,200円付近になるでしょう。特に、9月7日の安値(22,172円)を割り込むと、下値サポートラインが完全に崩れてしまうので注意が必要です。

いずれにしても、しばらくは方向感が出にくい展開になりそうです。積極的な出動は三角保ち合いを抜けてからでもいいでしょう。

下原 一晃