日経平均は5日続伸し、1カ月ぶりの高値圏へ

2023年9月1日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比91円28銭高の3万2710円62銭となりました。5日続伸です。終値が3万2700円台に乗ったのは8月2日以来で、約1カ月ぶりの高値圏となっています。

前日の米株式市場でダウ工業株30種平均が下落したことから、朝方は下げる場面があったものの、米長期金利の下落傾向が続いていることなどもあって売り一巡後は底堅い展開となりました。1日には8月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されましたが、好不況の境目となる50を上回ったことから中国への景気回復への期待感が高まり、鉄鋼、商社など関連銘柄が買われました。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。1日の米株式市場でダウ平均は反発し、前日比115ドル80セント高の3万4837ドル71セントで終えています。同日に発表された8月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比18万7000人増え、市場予想(17万人増)を上回りました。一方で、失業率も3.8%と市場予想(3.5%)を上回っています。

これらをどう判断するか難しいところですが、市場は雇用市場の過熱感が和らいだとの見方が広がりました。それにより、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め長期化への過度な警戒が後退すると考えた投資家からの幅広い買いが入りました。日本株も週初から底堅い展開になることが期待されます。ただし、4日は米株式市場が休場なので、海外勢の動向には注意が必要です。

9月19~20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。これまで何度も利上げ打ち止めが示唆されてきましたが、今回はいよいよ利上げが終結となるのではないかと期待されています。ただし、再度利上げ継続となると失望売りになることも考えられます。その点では、FOMCまでは様子見傾向になるかもしれません。

国内では、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に伴う中国の動向が懸念されるところですが、不買運動などは足元では落ち着きを見せており、影響は限定的と考えていいでしょう。百貨店、ホテル、航空・鉄道など訪日外国人(インバウンド)関連銘柄の業績にも注目したいところです。

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75日線、25日線をともに回復

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。この1カ月ほど、25日線に上値を抑えられるような動きが続いていましたが、直近では75日移動平均線も割り込んでいました。先週はこれを回復できるかどうかがポイントでした。実際には、前週末に窓をあけて下落したものの、週初28日(月)にはその窓をしっかりと埋める動きとなり、75日線に迫ります。その後も連騰となり、75日線を回復すると週末には25日線も奪回。ローソク足の実体が25日線を完全に上抜けました。

今後の展開はどうなるでしょうか。75日線、25日線をともに回復できたのは頼もしいところです。心理的な節目である3万2000円も超えました。ただ、まだ6月19日の高値(3万3772円)を始点とする下降トレンドのチャネルの中にあります。チャネルを突破するには8月1日の高値(3万3488円)を超える必要があります。今週は、このあたりがポイントになります。

心理的節目である3万3000円もあり、抜けるのには若干のパワーがかかるかもしれませんが、その分、抜けてしまえば上昇余地が大きく広がり、3万5000円台も視野に入ってきます。特に、6月19日の高値(3万3772円)を超えれば、中期的にも3月下旬からの上昇トレンドラインが再度形成されることになり、目線を上に持つことができます。

参考資料

下原 一晃