日銀の金融政策決定会合を受けて株式市場は動揺

2023年7月28日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比131円93銭安の3万2759円23銭となりました。日銀が同日まで開いていた金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の運用の柔軟化を決めました。発表を受けて外国為替市場は1分間に3円近くも乱高下しました。円高局面では株式市場も売りが広がりました。下げ幅は一時850円を超えましたが、引けにかけては下げ渋りました。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。日銀は金利操作を修正し、0.5%の長期金利の上限のめどは残したまま、一定程度超えることを容認すると発表しました。ただし、新たに1%を事実上の上限とするとしています。同日の金融政策決定会合でYCCの修正案が議論されることは事前に伝わっていました。実際に発表されると国内外の市場は大きく揺さぶられました。

といっても、米国のように利上げが続くような展開にはならないでしょう。長期的にはもちろん、金利上昇は経済にとってマイナスとなります。しかし、日米金利差をもとに進展していた過度な円安への流れを防ぐ効果もあります。直近では「YCCショック」の影響は小さく、日本株も再び底堅い展開になるのではないかと考えられます。

28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比176ドル57セント高の3万5459ドル29セントで終えています。27日までは13連騰でした。週間では3週連続の上昇です。日本株も週初から買われる展開になることが期待されます。

8月3日には米アマゾン・ドット・コム、米アップルの決算が発表されます。4日には米雇用統計が発表されます。指標の内容によっては利上げ継続懸念が和らぎ、株式相場には追い風になります。これらの結果を見極めたいという投資家も多く、様子見傾向になるかもしれません。

欧州連合(EU)は3日から、福島県産の水産物など日本産食品に課している輸入規制を完全に撤廃すると発表しました。関連企業にとっては業績に貢献します。

25日線移動平均線付近でもみ合う

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は25日移動平均線付近で上値を抑えられており、これを回復でききるかどうかがポイントでした。週初は、ローソク足の実体が短く動意に乏しい動きでした。25日線に近づいても超えられません。
しかし、週末にかけて大きな陽線となって25日線を超えると、ローソク足の実体が25日線を維持して終えました。

今後の展開はどうなるでしょうか。現状は、中期的には上昇トレンドですが、上昇一服といったところ。短期的には下降トレンドになっています。ここから短期的にも上昇トレンドに転じるためには、6月19日の高値(3万3772円)を超えられるかどうかがポイントになります。ここを超えると、短期的な下降トレンドが終了し、再度、中期的な上昇トレンドが形成されます。

逆に、このあたりまで達することができず、さらに、直近の押し安値である7月12日の安値(3万1791円)を割り込むと、6月19日の高値を始点とする下降トレンドが強く意識されるようになります。

「買っている人が多いのか」「売っている人が多いのか」を判断するためには、移動平均線が目安になります。まずは25日線を維持できるかどうかに注目したいところです。

参考資料

下原 一晃