帝国データバンクが2023年4月時点の人手不足の動向について調査を行ったところ、正社員の人手不足企業の割合は51.4%となりました。
「旅館・ホテル」が75.5%で最も高く、「情報サービス」74.2%、「メンテナンス・警備・検査」(67.6%)、「建設」(65.3%)と続きます。
4月としては過去最高を記録したものの、業種により様子が異なるという実態がわかります。
また、男性と女性においてもキャリアや年収に違いがあるとされています。
国税庁の資料によると、女性はどの年代においても平均年収が400万円に到達しないという現状があり、働く女性の中にはキャリアで悩む方も多いでしょう。
独身や共働きの女性も増えて、生涯働く女性は増えています。
今回は女性で年収600万円を達成する割合や、目指しやすい業種について紹介します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
女性で年収600万円はわずか2.8%
厚生労働省による令和4年賃金構造基本統計調査では、男女別の年収の分布図が公開されています。
同調査によると女性で年収600万円以上の目安となる”月収50万円”を超えている人の割合はわずか2.8%となっています。
大企業に絞ると4.7%が年収600万円に達しており、やはり大企業のほうが収入は多いことがわかります。
年収600万円を目指すには、大企業で長く勤めることが近道になりそうです。
特にライフプランの一つに出産を考えている方は、産休・育休でキャリアが停滞しない職場選びが大切になります。
大企業の方が人数も多く融通が利きやすいため、働きやすいことが多いでしょう。
男性の年収600万円以上の割合は全体の12.6%で、女性よりも高い割合で年収600万円を達成しています。
男性の大企業に絞ると、20.5%が年収600万円を達成しています。
女性は年齢による賃金の伸びが小さい
賃金構造基本統計調査では、男女別の年齢階級別の賃金も公開されています。
【性、年齢別の賃金】
男性のピークが41万6500円、女性のピークが28万円で、女性は男性よりも年齢による賃金の伸びが小さいことがわかります。
女性も昔に比べると働きやすくなっていますが、結婚や出産を機に仕事を抑えたり、退職したりする人も多いため、男性ほど賃金が伸びていないのが現状です。
今の若い世代の女性は出産後も仕事を継続する方が多く、女性の活躍の場も増えていますので、今後は女性の収入は男性に近づくことが予想されます。
年収アップを目指すためには、結婚や出産を機にキャリアを長期間中断せずに継続して仕事を続けることが求められます。
年収600万円を目指せる仕事は?
女性が年収600万円を目指すことは簡単なことではありませんが、年収600万円を達成している方は実際にいます。
年収600万円を目指すにはどのような仕事があるのでしょうか。
dodaが公表する「 業種別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版)」から、具体的な職種を見ていきましょう。
1. 医師
医師は高い年収で知られています。
医師であれば年収600万円を大きく上回る年収を目指すことも可能です。
ただし周知のとおり医師を目指すことは簡単ではなく、それまでの過程でも教育費がかかります。
異業種からの転職で目指すことも難しいでしょう。
2. コンサルタント
コンサルタントは、企業が抱える問題解決を目指すために、経営状況の分析や解決策を検討する職種です。
高いスキルと知識が必要な職種ですが、高収入を目指すことが可能です。
3. 大手金融機関
大手金融機関は男女ともに収入が高く、年収600万円以上を目指すことも可能です。
最近は産休後も復帰して管理職になる人も増えており、高収入を目指すことができるでしょう。
4. MR
MRは、製薬メーカーの営業担当として病院に行き、医師に医薬品の効果や副作用について説明する仕事です。
女性も多く活躍しており、高度な知識が求められますが高収入を目指すことができる職業の一つです。
高年収=スキルを身に着けることが重要
現状、女性で年収600万円を超えている人は少なく、簡単なことではありません。
出産などでキャリアが中断することも多いですが、近年は出産を経ても活躍する女性を企業側も支援していますので、年収600万円を達成する人が増えていくでしょう。
ただし、ワークライフバランスについて検討することも重要です。
高収入を目指すことができる仕事は求められるスキルも高く、楽な仕事ではありません。
育児をしながら仕事を続けることは、周囲のサポートを受けていても大変です。
女性だけが「出産育児と仕事を両立してこそ高収入」と求められるのは、時代錯誤ともいえます。
収入を増やすことだけを重視するのではなく、ワークライフバランスを考慮して、家庭内での役割分担や仕事選びをすることが重要になるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「年賃金構造基本統計調査」
- 厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」
- パーソルキャリア株式会社「doda(デューダ)「 業種別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版)」」
- 帝国データバンク「正社員の人手不足は51.4%、高止まり続く 「旅館・ホテル」は8割に迫る高水準 非正社員では「飲食店」が85.2%、コロナ前の水準に」
太田 彩子