2023年4月13日に連合が「2023 春季生活闘争」の回答集計を発表しました。

平均賃金方式で回答を引き出した3066組合の「定昇相当込み賃上げ計」は、加重平均で1万1022円となり、2022年同時期と比べて4765円増えています。

賃上げの流れが浸透している中で、年収が高い職業が気になる人もいるでしょう。

本記事では、年収600万円を超えている人の割合と、賃金が高い業種について解説します。

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年収600万円超えは5人に1人

国税庁は、2022年9月に発表した「2021年分 民間給与実態統計調査」で、年収階級別に給与所得者を調査しています。

その結果、給与所得者5270万人に対して、年収600万円を超えた人は1106万4000人でした。

出所:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」を元に筆者作成

階級別で最も給与所得者が多いゾーンは「300万円超~400万円以下」で、914万5000人です。

年収600万円以上の給与所得者を割合で見ると、全体の21.0%となりました。

出所:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」を元に筆者作成

つまり、5人に1人の給与所得者は年収600万円を超えているといえます。

では、年収600万円以上の給与をもらいやすい業種があるのか見ていきましょう。

年収600万円を目指せる業種は?

年収600万円以上を目指しやすい業種について、同じく国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」から確認していきましょう。

業種別に見ると、年間の給与が最も高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」で766万円でした。

出所:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」

次いで「金融業・保険業」「情報通信業」と続きます。

以上から、年収600万円を狙いやすい業種としては、年間の給与が600万円を超えている次の3つといえるでしょう。

  • 電気・ガス・熱供給・水道業:766万円
  • 金融業・保険業:677万円
  • 情報通信業:624万円

とはいえ、上記の業種でも年収が600万円の水準に到達するには、それなりに時間やスキルが必要です。

厚生労働省が2023年3月17日に発表した「2022年 賃金構造基本統計調査の概況」では、50歳代にならないと、毎月の賃金水準が年収600万円に到達しない結果となりました。

出所:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」を元に筆者作成

「金融業・保険業」や「情報通信業」では、賃金が50万円を超えるタイミングが一度もありません。

あくまでも月の賃金のベースでの試算となりますが、年収600万円に達するには、勤続年数と年齢を経ていないと昇給しないといえるでしょう。

また、60歳以降の賃金では「教育、学習支援業」が最も高くなりました。

出所:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

次いで「学術研究、専門・技術サービス業」が続きます。

単に年収を600万円以上稼ぎたいだけでなく、60歳代以降も安定的に収入を得たいなら、選択肢が変わるかもしれません。

業種だけでは年収を判断できない点もある

年収600万円以上を得られる業種について紹介しましたが、当然ですが業種だけでは判断できません。

年収600万円の賃金水準を得るには、学歴も関係しています。

学歴別の賃金推移を見ると「大学院」では、40歳から44歳までの賃金が49万7500円と、年収600万円の水準に迫っています。

出所:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

「大学」は、50歳から54歳で47万4900円と、時間はかかりますが年収600万円の水準に達しました。

一方で「高専・短大」「専門学校」「高校」は、賃金ベースでみると年収600万円に迫るタイミングがありません。

以上から、学歴の部分も収入を決める要素に関係しているといえるでしょう。

業種だけでなく学歴でも賃金に差がある状況

年収600万円を超える給与所得者は、全体の20.1%でおよそ5人に1人の割合です。

とはいえ、業種や学歴別で見ると、限られた人しか達成していないともいえるでしょう。

仕事で得られる給与が低くても、ダブルワークや副業、資産運用など収入や資産の増やし方は多岐にわたります。

今すぐ収入を増やしたいのか、将来的な資産を増やしたいのか、年収600万円以上を得る目的を明確にして、どのような対策をするべきか検討しましょう。

参考資料

川辺 拓也