なぜならば、近年、サラリーマンの副業やリタイア世代の余剰資金運用として「コインランドリー投資」が、高い利回り実績で大いに注目されているからです。

最近、皆さんがお住いの地域に複数のコインランドリー機を設置した大型(中型)コインランドリー所が新たに開店していませんか? それらのほとんどが「コインランドリー投資」です。今回はその投資の詳細については省略しますが、こうした投資ブームを背景に、現在の設置台数は20,000店舗を大きく上回っていると推測されます。

また、最近のコインランドリーは、複数枚の布団も洗濯できる大型機械や、除菌機能付き機械などが多く設置され、消費者のニーズに合致しているようです。こうしたコインランドリーの店舗数増加は、クリーニング店の減少の一因と言えましょう。しかし、利用者からすれば、コインランドリーの利用コストはお世辞にも経済的とは言えません。

26年間で70%減となった1世帯当たり使用クリーニング代

ここでもう一つ、違うデータを見てみます。それは、総務省家計調査にある1世帯当たりの年間クリーニング代です。ちなみに、この代金には通常のクリーニング代に加え、コインランドリー使用料金も含まれています。

結論としては、ピークだった1992年の19,243円から2018年は5,904円まで激減しており、26年間で70%減少はもう尋常ではない減少です。ということは、コインランドリーを除くクリーニング代は、さらに落ち込んでいると見ていいでしょう。

もちろん、こうした家計調査には実態を表さないという批判もありますが、それを勘案しても、クリーニングにお金をかけなくなったという傾向が見て取れます。

見逃せない洗濯機の技術革新、エコ機能の拡充で家で洗濯する人が増加?

こうした状況の背景にあるのは、あまり目立ちませんが、洗濯機の大幅な技術進歩でしょう。筆者が秋葉原で某家電量販店のメーカー担当者に聞いたところでは、家庭用洗濯機の平均寿命は約7年(注:使用状況で異なる)ということです。

この7年をベースにすると、クリーニング店の店舗数が減り始めて以降、最大で3世代の“技術革新”が行われたことになります。確かに、平成初期の頃の洗濯機と現在の洗濯機では、その性能は比較できないほど進化しています。

特に、最近はいわゆる“エコ洗濯機能”として、電気代・水道代・洗剤代などを抑制した新型洗濯機が大人気です。こうした洗濯機の普及が、どうしても割高となるクリーニング店の利用を減らしていても不思議ではありません。

それでもクリーニング店は必要

一方で、最初に記したように、洗濯機の技術進歩があっても、どうしてもクリーニング店に頼まざるを得ない品があることも確かです。やはりクリーニング店は必要なものです。生き残りを目指したクリーニング業界の取り組みにも注目したいと思います。

葛西 裕一