モラハラを受けていても、すぐに「モラハラをされている」と自覚できないケースは珍しくありません。なぜなら、相手から毎日のように辛い言葉をいわれ続けていると、「夫の言うとおりだ」「仕事で疲れているんだ」と片付けてしまいやすくなるのです。
もし自分が納得していたとしても、モラハラをしてもいいというわけではありません。そこで今回は、モラハラの基準や事例をチェックしていきましょう。
これってモラハラ?
相手の人格や能力、容姿について否定した言葉を投げかけること。これはモラハラに当てはまります。たとえ本人が「相手の言うとおりだ」と受け止めていたとしても、心に傷を負っている時点で問題となるのです。
厄介なことに、モラハラは「人の思考と言動を抑制する」という特徴があります。自分を否定され続けると、「私はダメな人間だ」と自己嫌悪に陥ったり、自信を失ったり、精神的なダメージを受けることも。相手の言葉ひとつで、長い時間に渡ってダメージを受けてしまうのです。
したがって、「相手が疲れているから」「本当のことだから」という場合でもモラハラはモラハラ。どんな背景があったとしても、心への暴力には変わりないのです。
具体的な例を紹介
では、モラハラにはどのようなパターンがあるのでしょうか。実際にパワハラを受けた経験がある女性から、当時の様子をうかがいました。
・「子どもが2人いて働く時間が確保できず、パートでの収入は少ししかありません。その状況に不満を感じている夫から、何度も『お前の稼ぎはいくらなんだよ』とため息交じりで言われます。ちょっとでも家事に文句があると、『俺ほど稼いでないくせに手抜きかよ』『お前は俺より下だ』と罵ってくることもありますよ」
・「息子と出かけるだけなのに、毎回夫の許可を得なければなりません。出発前に『今からいってきます』と伝え、帰宅後は『無事に帰ったよ』と報告。たまたま連絡を忘れたときなんて、大騒動になりました。男友達から連絡がきただけで携帯番号を変更させられたり、帰宅時間が遅れると何度も着信がきたり…。行動が制限すぎていて辛いです」
言葉による暴力だけでなく、相手の自由を奪うパターンもあるようです。たとえ「お前が心配だから」というような理由を並べていたとしても、相手を精神的に追いやるほどの行動は問題視するべきでしょう。