何度同じ説明をしても、「この大口顧客と知り合いだ」「オレにもこのくらいの金がある」「おたくで取引してほしくないということか」などと声を荒げます。

「この知人にも言って、すぐにおたくとの取引をやめさせる」「お前のせいで上客を逃したな」などと繰り返し、女性オペレーターを脅すようなことも言ったそう。最終的には女性オペレーターの上席に対応を交替し、その顧客はその上席の声を聞いた途端に電話を切ったとのことでした。

セクハラ発言で案内の邪魔をするクレーマー

どこの業界も困っていることだと思いますが、セクハラ発言をする顧客の対応には金融機関も苦戦しているようです。セクハラ発言ばかりであれば、「他のお客様がお待ちですので、ご用件がなければ…」と遮ることもできますが、セクハラするクレーマーもそのことを理解しているのか、途中で操作方法やパスワードの変更方法などの案内を求めてくることもあるのだとか。

ある顧客は途中までは普通の態度でした。自分の取引履歴の見方がわからないとか、ネットの取引画面にログインができないなどの一般的な問い合わせで、サポートセンターに連絡があったのだと言います。女性オペレーターが対応していると、急に「お姉さんはどこにいるの?」「下の名前は?」「何歳?」などと話し始め、オペレーターが「そういったご質問にはお答えいたしかねます」と答えると、「僕の全部がそっちから見えるの?」などと話を続けたのだそう。

その発言の真意は読めませんが、他の顧客にもたびたび「(操作方法がよくわからないから、オペレーターのほうで顧客の画面を)遠隔操作はできないのか」「パソコンを通して顧客の画面を見ながら説明してほしい」などと言われることがあるため、その意図かと考え、「こちらからお客様のパソコンの画面が見えるということではない」と答えました。

すると「オレのことは見えるのか」「いま全裸でパソコンに向かっている」「オレの局部を見るか」などとセクハラ発言を連発し、その後もオペレーターの制止を聞かずにエスカレートしてしまったため、やむなく男性管理職と対応を代わったと言います。

こうした顧客への対応はやはり男性社員に代わるのが一番なようで、交代した男性社員が「本当にこのお客さんがセクハラ発言したのか?」と驚くほど態度を変える顧客もいるようです。どこの業界でもセクハラにどう立ち向かうかというのは課題になってしまうようですね。

まとめ

いかがでしたか。サービス業がクレーマーに対して取れる対応は限られています。こちらから電話を切ってはいけないとか、顧客に失礼になるようなことは言えないと、耐えている人も多いようです。こういった事例を見て、わが身を振り返りたいものですね。

大塚 ちえ