投資信託はプロに資金運用を任せるタイプの金融商品です。投資のプロであるファンドマネージャーが分散投資を実行し、その利益を分配金や収益として受け取ることができます。

出所:MeChoice編集部作成
投資信託に興味を持っているという投資初心者の方も多いでしょう。
しかし、一方で以下のような疑問からハードルの高さを感じている方も多いかもしれません。
そこで今回は投資信託の手数料について徹底解説していきます。ぜひ参考にしてください。

- 1.
- 投資信託にはどんな種類の手数料がかかる?
- 1-1.
- 購入時手数料(販売手数料)
- 1-2.
- 信託報酬(運用管理費用)
- 1-3.
- 信託財産留保額
- 1-4.
- 監査報酬
- 1-5.
- 売買委託手数料
- 2.
- 【コラム】投資信託で最も注目すべき手数料は信託報酬
- 3.
- 投資信託にかかる手数料シミュレーション
- 4.
- 投資信託の手数料を抑える方法
- 4-1.
- ①ノーロードの商品を選ぶ
- 4-2.
- ②信託報酬の低い商品を選ぶ
- 4-3.
- ③信託財産留保額がない商品を選ぶ
- 5.
- 店舗型証券とネット証券はどちらの手数料がお得?
- 6.
- 【コラム】投資初心者はつみたてNISAの対象商品がおすすめ!
- 7.
- 投資信託の手数料はどうやって確認すればいい?
- 8.
- 【まとめ】投資信託は信託報酬の安い銘柄を選びましょう
- 9.
- 参考資料
1投資信託にはどんな種類の手数料がかかる?
投資信託に係る主な手数料は次の5つです。
それぞれの手数料についてわかりやすく説明します。
購入時手数料(販売手数料)
購入時手数料とは、その名の通り、投資信託を購入する際にかかる手数料です。
購入時手数料は販売会社によって異なることを知っておきましょう。
一般的な傾向として、対面型の金融機関*1については、購入時手数料が高めです。
中には申込価額の3.5%から4% (税抜き)もの購入時手数料がかかる投資信託があるので注意しましょう。
一方、ネット証券では、対面型で販売されている投資信託と全く同じ投資信託でも、手数料が無料の場合もあります。
*1…店舗型とも言われるタイプ。営業店舗を有し、対人販売やアドバイスを受けられることが特長となっている
*2…店舗を持たないタイプ。取引などはオンラインで行う。手数料が安いことを特長とする。
信託報酬(運用管理費用)
信託報酬とは、投資信託を保有している間にかかるランニングコストで、毎日信託財産(投資信託の保有額)から差し引かれる手数料です。
購入時手数料と違い、まったく同じ投資信託であれば、どこの金融機関で購入しても同じ費用がかかります。
投資信託は運用手法によってインデックス型とアクティブ型の2種類に分類できますが、一般的にインデックス型の投資信託の信託報酬は低く、アクティブ型の投資信託の信託報酬は高い傾向にあります。
<運用手法別の投資信託費用の傾向>
概要 | 信託報酬 | |
---|---|---|
インデックス型 | 日経平均株価などの指数に値動きが連動することを目指す運用スタイル | 低い |
アクティブ型 | 日経平均株価などの指数を上回る値動きを目指す運用スタイル | 高い |
投資信託の中には、信託報酬が2%を超える商品もあるので注意が必要です。投資初心者であれば、信託報酬が0.2%以下の投資信託から検討してみましょう。
信託報酬の安い投資信託を探すならつみたてNISAがおすすめ
つみたてNISAは毎年最大40万円分の投資から得られる利益が最大20年間非課税となる制度です。
対象となる投資信託は金融庁の厳格な基準を満たしたものであり、信託報酬にも以下のような基準が設定されています。
- インデックスファンド…0.5%以下(国内資産を対象とするもの)
- アクティブファンド……1%以下(国内資産を対象とするもの)
投資初心者の方であれば、まずはつみたてNISAから投資信託運用を始めてみると良いでしょう。
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際にかかる手数料です。
信託財産留保額については、ファンドによってかかるものとかからないものがあります。
信託財産留保額の目安は、基準価額(投資信託の値段)に対して0.3%程度です。
監査報酬
投資信託は決算ごとに監査法人から監査を受ける必要があります。その費用が監査報酬です。こちらも信託報酬のように毎日差し引かれるものになります。
売買委託手数料
売買委託手数料とは、投資信託が投資する株式などを売買する際にかかる手数料です。
運用の結果、発生する手数料になりますので、その他の手数料と違って、事前にいくらかかるのかを示せる手数料ではありません。
ただし、一般的にはそんなに高い手数料はかかりませんので、安心してください。
2【コラム】投資信託で最も注目すべき手数料は信託報酬
投資信託で最も注目すべき手数料は、ズバリ信託報酬です。
購入時手数料や信託財産留保額がかからない投資信託はネット証券を中心にたくさんありますが、信託報酬がかからない投資信託はありません。
また商品によって信託報酬は大きく違いますのでしっかり確認するようにしましょう。
長期投資を行えば行うほど、信託報酬の違いによって運用成績に差が出ます。投資信託の手数料の中でも信託報酬については特に注意してください。
3投資信託にかかる手数料シミュレーション
こちらの章では、投資信託にかかる手数料についてシミュレーションしてみました。
信託報酬の違いによってどれぐらい手元に残るお金が変わってくるのか見てみましょう。
今回は300万円を年利5%で運用したケースを想定し、信託報酬率1%、0.5%、0.2%ごとの費用を計算します。
300万円を年利5%で運用した場合の運用実績は以下の通りです。
- 1年間にかかる信託報酬…3万3000円
- 1日あたりの信託報酬額…約90円
- 1年間にかかる信託報酬…1万6500円
- 1日あたりの信託報酬額…約45円
- 1年間にかかる信託報酬…6600円
- 1日あたりの信託報酬額…約18円
このように信託報酬の違いによって手残りの金額は大きく変わるので注意しましょう。
4投資信託の手数料を抑える方法
こちらの章では、投資信託の手数料を抑える方法を3つ紹介します。
それぞれの方法についてわかりやすく紹介しますので、参考にしてください。
①ノーロードの商品を選ぶ
購入時手数料は注目するようにしましょう。
同じ投資信託でも、購入時手数料がかからないノーロードの投資信託がネット証券などで販売されている可能性があります。
基本的には対面型の金融機関の場合、購入時手数料は高く、ネット証券にはノーロードの商品が多いのでしっかり確認するようにしましょう。
②信託報酬の低い商品を選ぶ
信託報酬は、投資信託の手数料の中で最も重要です。
長期間運用すればするほど信託報酬の差によって運用成績は大きく変わるからです。
また、全く同じ日経平均株価やNYダウなどの株価指数で運用されている投資信託でも、信託報酬は商品によって大きく異なります。
信託報酬は0.2%以下を目安に選ぶと良いでしょう。
③信託財産留保額がない商品を選ぶ
投資信託を選ぶ際は、極力、信託財産留保額のない商品を選ぶようにしましょう。
信託財産留保額はかかっても0.3%程度ですが、それでもないに越したことはありません。
ただし、内容が明らかに自分好みの投資信託であれば、信託財産留保額よりも優先して選んでも良いでしょう。
5店舗型証券とネット証券はどちらの手数料がお得?
店舗型の証券会社とネット証券を比較し、手数料がよりお得なのはどちらなのかを調べてみました。
多くの証券会社や銀行、ネット証券に取り扱いがあった人気のフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドを例にして紹介します。
購入時手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 | |
---|---|---|---|
三菱UFJ信託銀行 | 2.75%(1000万円未満) | 1.738% | なし |
SMBC日興証券 | 無料 | 1.738% | なし |
大和証券 | 3.30%(1000万円未満) | 1.738% | なし |
みずほ銀行 | 1.65% | 1.738% | なし |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 2.75%(3000万円未満) | 1.738% | なし |
購入時手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 | |
---|---|---|---|
SBI証券 | なし | 1.738% | なし |
楽天証券 | なし | 1.738% | なし |
松井証券 | なし | 1.738% | なし |
マネックス証券 | なし | 1.738% | なし |
auカブコム証券 | なし | 1.738% | なし |
※データは3月時点のもの
いかがでしょうか?やはりネット証券の手数料の低さが際立つ結果となりました。
気になるファンドがあったら、まずはネット証券の商品ラインナップから調べてみると良いでしょう。
6【コラム】投資初心者はつみたてNISAの対象商品がおすすめ!
投資初心者の方はつみたてNISA の対象商品から始めると良いでしょう。
つみたてNISAの商品ラインナップは、以下のような金融庁の厳しい基準をクリアした投資信託によって構成されているためです。
・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
また、つみたてNISAは毎年40万円の投資から得られる利益が20年間非課税となる点も魅力的です(通常は20.315%の税金がかかります)。
7投資信託の手数料はどうやって確認すればいい?
投資信託の手数料は、目論見書や運用レポートなどから確認しましょう。
最近は簡単にインターネットで確認できますので、面倒がらず、ぜひ比較してみてください。
インターネットの中にはランキング形式でまとまっているサイトもありますが、正確でない可能性もありますので、必ず公式ページから確認するようにしましょう。
8【まとめ】投資信託は信託報酬の安い銘柄を選びましょう
今回は、投資信託の手数料を中心に解説しました。
投資信託の手数料にはたくさんの種類がありますが、最も重要なのは信託報酬です。
保有期間中にかかる信託報酬の差によって運用成績は大きく変わります。
ぜひ今回の記事を参考にしていただき、投資信託を選ぶ際は、信託報酬の安い銘柄に着目してみてください。
9参考資料

「投資信託の手数料のしくみは?」
「投資信託の手数料は何種類あるの?」