2019年2月4日に行われた、ヤフー株式会社2019年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:ヤフー株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者 CEO 川邊健太郎 氏
ヤフー株式会社 最高財務責任者 CFO 坂上亮介 氏

2019年3月期第3四半期決算説明会

坂上亮介氏:ヤフーの坂上でございます。本日はよろしくお願いいたします。当初、第3四半期は電話会議形式でご説明(しよう)と思っていましたけれども、「PayPay」を昨年(2018年)キャンペーンさせていただき、先ほど第2弾のキャンペーンをリリースさせていただきました。

もう1点、投資家のみなさんから「ヤフーの今後の成長について、もっと説明してほしい」という声を昨年いただきましたので、急遽ですけれども、今回は電話形式ではなく、実開催として(ご説明させていただき)後半で川邊から、そのあたりについてご説明をさせていただければと思います。まず私からは、連結業績についてご説明いたします。

2018年度 第3四半期決算説明会 トピックス

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主なトピックスが2つございます。

1点目は、検索連動型広告が3四半期連続で2桁の成長となりました。2点目が、「PayPay」の累計の登録者数がサービス開始4ヶ月で400万人を突破しました。こちらは、ヤフー史上最速でございます。他のアプリと比べても一番速い、400万人の突破となりました。

2018年度 第3四半期 業績サマリー -累計-

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続きましてP/Lで、業績についてのご説明になります。今回から、累計でのご説明をこの後に続けさせてもらえばと思います。お手元のP/Lの推移表等に四半期の数値は載っていますので、四半期はそちらをご覧ください。

まず、売上収益でございます。こちらは7,075億円、前年同期比でプラス7.4パーセントとなっています。今年度から会計方針を一部変更していまして、この影響を除いた場合がプラス9.7パーセントとなっています。

2つ目が、営業利益です。こちらは1,196億円、前年同期比マイナス19パーセントとなっています。こちらは、「今年度は投資を強化させていただく」と申し上げていましたとおりで、会社としては想定内の減益となっています。

3つ目が、四半期利益。こちらが700億円、前年同期比でマイナス33.7パーセントとなっています。こちらは主にPayPay……持分法適用会社でございますけれども、(こちらの)赤字部分で約50パーセントを取り込んだ影響によるものでございます。

広告関連売上収益 推移 -3Q累計-

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続いて、売上収益の主な3つのKPIについてご説明申し上げます。

1点目が、広告関連売上収益でございます。こちらは先ほどから申し上げているとおり、検索連動型広告が第3四半期累計でも12パーセントの成長となりました。結果、広告関連売上の累計といたしまして、7パーセントの増加となっています。

スマートフォン動画広告売上収益 -3Q累計-

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続きまして、とくに今期は広告の動画化を進めてまいりました。スマートフォンの動画広告の売上収益は、前年同期比の2.5倍の34億円となっています。

eコマース取扱高(物販)推移 -3Q累計-

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もう1つの事業であります、eコマースの取扱高・物販の推移でございます。ショッピングが第3四半期累計で、前年同期比でプラス23パーセント。「ヤフオク!」等と累計いたしますと、前年同期比で9パーセントの増加となっています。

2018年度 通期営業利益ガイダンス

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もう9ヶ月間の決算が締まっていますので、通期の営業利益ガイダンスを修正させていただきます。変更後は、1,400億円から1,430億円とさせていただければと思います。

主な理由が3つございます。1点目が、新たな挑戦への費用。こちらは、期初に300億円と申し上げていたものが、180億円程度の消化となる見込みであること。

2点目が、こちらは子会社のジャパンネット銀行(の影響です)。銀行ですので、有価証券の運用等をしています。年末に保有している有価証券を時価評価した結果、評価損が発生しています。

3点目が、広告関連売上収益が第3四半期も引き続き、軽微でございますけれども、上振れています。

これら3つの要因を加味した結果、変更後のガイダンスとしては、1,400億円から1,430億円とさせていただければと思います。

セグメント別売上収益 推移 -3Q累計-

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続きまして、セグメント別の業績でございます。こちらが、売上収益を過去からの推移でグラフ化したものでございます。

売上収益の増減要因 -3Q累計-

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前年との比較について、次のページでご説明いたします。

売上収益が、前年は6,587億円でございました。そこから広告・コマースのそれぞれで増収をした結果、前年同期比11パーセント(増)の7,324億円までになりました。そこから、一時的な要素であります会計基準の変更および、去年IDCフロンティアが子会社として売上を計上していた部分が(株式売却により)なくなった影響を加味しますと、7,075億円という着地になっています。

セグメント別営業利益 推移 -3Q累計-

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同様に、こちらはセグメント別の営業利益の推移でございます。こちらも、前年との比較をご説明いたします。

前年は1,478億円でした。ここからアスクルが(企業結合したことによる)前年の一時的な利益がございましたので、その影響。および、IDCフロンティアも売却益等の(影響で)、逆にIDCフロンティアの利益がなくなった部分等を加味した結果が1,434億円となっています。

こちらを起点に、メディア・コマースのそれぞれの粗利が伸びたことで、粗利ベースではございますけれども、プラス6パーセントの1,562億円となっています。

営業利益の増減要因 -3Q累計-

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ここで、2点ほど補足させていただきます。

メディアのところが、売上のわりに原価の伸びが大きいように見えるかもしれませんが、こちらは検索原価の契約が去年から変更になっているということで、こういった見え方になっています。

2点目が、コマースのところ。原価には、ポイントや販売促進費といったものも含まれた数字でございます。とくにコマースの場合、ポイント等は収益との連動性が高いということで、「粗利」と言いながらも、そこの部分を含んだ数字となっています。

その1,562億円からその他費用の275億円、新たな挑戦への費用の92億円を引いた結果、第3四半期累計の営業利益の着地は1,196億円でございます。

その他費用の内訳としては、データドリブン化に伴う減価償却費の増加ならびに、サービスの開発力を強化していますので、人件費・業務委託費が増加した影響でございます。

以上、第3四半期の業績について、私からご説明しました。この後は、川邊から説明させていただきます。

川邊健太郎氏:こんにちは、CEOの川邊でございます。日頃IR活動を通じて、投資家のみなさんと対話させていただいている中で、「『PayPay』、どうなっているの?」という話と、「PayPay」も含む未来のビジネスや売上増策。あるいは、「利益、どういうふうに推移していくの?」という質問を、多数いただいているものですから。

今日は、本来は電話会議でのご説明の予定だったんですけれども、急遽予定を変更して、みなさまにご足労いただきました。ありがとうございます。したがいまして、その2つ。私から説明をさせていただきます。

「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施

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まず、モバイルペイメントについてです。

我々のモバイルペイメントは、「PayPay」というサービスです。昨年(2018年)の10月にサービスインさせていただきまして、本格的には、実質においては12月4日からの「100億円あげちゃうキャンペーン」が、実際のお披露目だったかなと考えています。

行ったキャンペーンの内容は、こちらの左側にございますとおりです。結果、大変話題を呼びました。年末にかけて多くのお店で行列が生まれ、「PayPay」を使うという事態が生じました。

結果、この100億円の「PayPayボーナス」付与金額は、当初は(2019年)3月31日までをキャンペーン期間(として)用意していたんですけれども、10日弱の12月13日で終了をいたしました。

結果として、付与いたしました「PayPayボーナス」ですけれども、現時点(2019年1月31日)で完了している金額は115億円です。「100億円あげちゃうキャンペーン」という名前だったんですけれども、若干は15億円ほど付与が多いです。

これは最終日に、ソーシャルメディア上で「どうも、今日で『PayPay』がおしまいらしい」という話で、取り扱いが1日でものすごく伸びてしまいまして、若干超えてしまったということでございます。

一方で、ボーナスの付与の保留を一部させていただいています。これは大きく言いますと、2つです。1つが不正利用。もう1つが、規約の理解不足に伴う利用による保留です。

今これらについて、「不正利用」に関しましては、当然ながら保留から取り消しとなりますけれども。「理解不足」のところにおいてはユーザーと対話をしながら、ユーザーさんにおいて問題のないものに関しては、保留から付与に変えるということをやっています。

結果的に、1月31日時点で2億円の保留をしているという状況で、ここから増えることはないです。減ることはありますけれども、増えることはないということでございます。

キャンペーンの効果 -認知度の向上-

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それではこの(「100億円あげちゃう」)キャンペーンでどういう効果があったのかを、2枚(のスライド)にわたって説明をいたします。

正直に申し上げまして、「PayPay」は、モバイルペイメントの世界では後発組でございました。(サービスインが)去年(2018年)の10月ということで最後発だったわけですけれども、このキャンペーンを通じて、まず「PayPay」という名前は、他のモバイルペイメントよりも認知度が上回り、1位となりました。

そして、「『PayPay』とは、モバイルペイメントのことだよね」「QRで、リアル社会で使える決済だよね」という(サービスの)内容理解も、このキャンペーンを通じて1位になることができた。当社調べではございますけれども(そう)考えています。

キャンペーンの効果 -登録者数の急増-

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続きまして、具体的なユーザー数です。こちらに関しましては、ダウンロード数ではなく登録者数ですので、より実態の利用ユーザー数に近い数字でございますけれども。

我々もスマホシフト以降、スマートフォンのプラットホームの上で、さまざまなアプリやサービスの利用促進をやってまいりましたけれども、今までやった中で最も速く、わずか4ヶ月間で400万利用登録者となりました。

すでに非常に多くの方に「PayPay」を使っていただいていますし、これからも、もっともっと多くの方に使っていただきたいなと考えています。

キャンペーンの反省 -セキュリティ対策-

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そして、その成長があまりにも速いために、一部セキュリティ上の問題をご指摘いただいています。こちらに関しましては、我々の開発不足のことに関しては、真摯に反省をいたしまして、さまざまなセキュリティの強化を矢継ぎ早に行っています。

代表的な例が、クレジットカードの不正な利用。あるいは、不正が起き得る構造になっていたものを埋めるような開発ですとか、あるいは利用の上限金額のコントロール。これらは、すでに対応済みです。

第2弾キャンペーンを発表

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結果、これらのセキュリティの対応等も行いまして、次のキャンペーンができる準備が整ったという判断をいたしまして、本日(2019年2月4日)13時に、「100億円キャンペーン」の第2弾を発表させていただきました。

第2弾キャンペーン概要

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内容に関しましては、ここにございますとおりです。

前回は、もうとにかくたくさんの方……「どういう利用意図であれ、多くの方に最初の1回の決済を、ぜひモバイルペイメントの『PayPay』でやっていただきたい」というコンセプトのもと、少額の決済であれ多額の決済であれ、すべてに関してお得(な点)を付与させていただきました。

今回は、モバイルペイメントの最もオーソドックスな利用形態である、少額決済・多回数決済の利用者を増やしたいということで、少額決済・日用利用される方に最もお得になるような、「PayPayボーナス」付与の条件(としています)。

あるいは「何回かに1回、100パーセントの『PayPayボーナス』付与」が、前回のキャンペーンでは大変受けたんですけれども。これらを日用利用の方に、ぜひ提供したいなと考えています。

一方で、セキュリティ上のさまざまな問題が生じたのは、1回当たりの使用金額における付与の上限の多さにあったと分析をしています。こちらに関しては下にございますとおり、相当抑えた金額にさせていただき、不正利用を防止し、かつ日用利用を増やしていくという意図で、今回、第2弾の「100億円キャンペーン」をやらせていただきたいなと考えています。

第2弾キャンペーン実施にあたりセキュリティに関する注意喚起を再徹底

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そのセキュリティの対策ですけれども、当然我々はPayPay社のみならず、ヤフーグループのエンジニア力を使って、起こる事態に関しては矢継ぎ早に対応を行ってまいります。

一方で、これはユーザーの協力、あるいはユーザーの認識の向上なくしては防げない側面が多くございますので、今回の第2弾のキャンペーンに当たって、我々でさまざまな啓発を行ってきたいと考えています。

まず、セキュリティという観点では、やはり銀行接続が今のところ、最もセキュリティ度が高いと思っていますので。その利用促進を、最も「PayPayボーナス」付与の高い20パーセントにいたしました。結果、これで逆に、銀行の情報をフィッシングするようなサイトも出てきますので、それらが生じないような啓発を行っていきたいと考えています。

また、クレジットカード登録に関しましては、ユーザーの「PayPay」のみならず、日用でのカード利用の際の、基本的なリテラシーの向上みたいなものにも注意喚起をしていきたいなと(考えています)。

過去5年間の振り返りと今後

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(今後の成長に向けて)まず最初は、この図を用いて説明をさせてください。

ネット産業あるいはインターネットの技術を用いた全産業が……もはやそうなりつつありますけれども、まだまだインターネット産業は伸びていきます。伸びていく中でたくさんのチャンスや、あるいはチャンスを逃すことによる危機の訪れみたいなものが、いまだに多々あります。

ヤフー株式会社はそれぞれの局面で、そういった市場の変化をチャンスとして捉え、ときには危機として捉えながら、サービスと事業の拡大を行ってまいったつもりです。

これは宮坂体制以降の6年間で、我々が新たな世界を切り開くために行った、主な投資とその成果でございます。まず一番左端には、そもそもスマホシフトがあると思っていただければと思います。全般的に、まずスマホシフトを行いました。パソコンのヤフーから、スマートフォンのヤフーに生まれ変わるという新たな挑戦、あるいは危機の回避を行ってまいりました。

その中で日本の市場は今後、高齢化社会等を見ていっても、どう考えてもeコマースはもっともっと伸びるだろうということで、途中でeコマース革命を行って、eコマースの事業の強化を行ってまいりました。

このeコマースは、ロイヤリティを0パーセントにしたことによって取扱高は増えましたけれども、一方でビジネスモデルとしては、それ以外のいろいろな収益源も増やしながら、利益化していこうという計画の中で、ワイジェイカードのようなクレジットカード事業にも参入を行いました。

ワイジェイカードに関しましては、先ほどCFOの坂上からも報告させていただいたとおり、すでに所定の会員数を獲得して黒字化させ、この四半期からもう収益貢献をし始めています。

つまり我々は経営上、この市場環境の変化を捉えながら、成すべきことを組織的に成していった結果、非常に投資は難しいものですけれども、売上をきちんと成長させていく。そして、現時点でデータドリブンカンパニーになるための、もっとも重要なKPIとして考えていますログインユーザーID数も増やしていくことに、現時点で成功していると考えています。成すべきことを組織的に粛々と成していくのが、ヤフー株式会社のやり方ではないかと思っています。

今後は、後にも触れますけれども、我々はよりリアルの世界にも進出して、新たなチャンスを捉えていきたいと思っています。その中においては、オンラインで有力なプラットフォームである「Yahoo!」と、オフラインにおいて有力なプラットフォーム……オフラインにおいて、もう1つ「Yahoo!」を作る覚悟でやっている「PayPay」。この2つを大いに活用して、ますますサービスの充実と、結果としての事業の拡大を、これからも行っていきたいという計画でございます。

ヤフーが目指すこと

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サービスがあって、事業の成長があると思っています。そのサービスの方向性に関しまして、このスライドであらためて説明をいたします。

この正月に、私は全社員向けの朝礼で、「もう一度ヤフーのサービスを、『ユーザーの生活をびっくりさせるほど便利』というものにフォーカスしてやっていこう」という決意表明をいたしました。

これは、今までも「『Yahoo!JAPAN』のサービスは、便利なものだった」という認識を社員もみなさんも持たれているので、何ということはないと思われるかもしれないですけれども、あらためて「便利」というところにフォーカスし直すのは、私自身は大変重要な方向性の提示だと考えています。そしてこの20数年間、オンライン上でのユーザーの生活を便利にしてまいりました。しかし、これはもっと便利にしていくことができるのではないかと考えています。

そして、もう1つの重要なフロンティアが、オフラインへの進出。オフライン上のユーザーの生活は、当然オンライン上のユーザーの生活よりも何倍も大きいわけです。

これらが今は断絶していたわけですけれども、いわゆる「ソサエティ5.0」というかスマート社会の到来が現実的に見えている中で、「インターネットの技術を使って、オフライン上のユーザーの生活をびっくりするほど便利にする機会」が、技術の進歩とともにできるようになってきているということで。

こここそ、我々がやるべき今後の1丁目1番地なのではないかと考えて、全社員に「『オンラインの便利』もますます便利にしていきながら、しかし『オフライン上の便利』にもどんどん進出していこう」という決意を、新たにさせていただいた次第です。

したがいまして、ヤフーのサービスは今後、この両軸で進化をしていくことになりますので、ぜひみなさんにもご理解をいただければと思います。

マネタイズポイントの創出

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そして、「新たな便利」をユーザーに提供することによって、最終的な収益化・マネタイズポイントも増えていくと私は考えています。しかも「Yahoo!Japan」の特徴を最大限利用したマネタイズポイントの創出が、我々が経営として成すべきことなのではないかと思っています。

ヤフーの特徴を活かした成長のさせ方は、こちらに図解しているとおりです。「Yahoo!Japan」のサービスとしての最大の特徴は、メディアのサービスとeコマースのサービス、あるいは今後はFintechのサービス。これらを含めた主要な人の生活上のサービスを、大変大きな規模ですでにもっているということです。

なので、メディアとコマースの特徴を活かしたサービスをより便利に作っていき、最終的な収益化・マネタイズのポイントはオンライン・オフラインの両方でやっていく。それを掛け合わせると、ユーザーに大きな利便性を提供し、かつ事業もこれから……「何倍も」と言うと、また何かいろんなことにつながってしまいますけれども、どんどん大きくしていけるのではないかと思っていますし。

そのときの収益の内容も、まさにオンラインとオフラインが混ざったかたちで、我々らしい収益の上げ方。おそらく、新しいネット産業の会社の、こういう新しいマネタイズポイント(となるもの)を、我々は今後作っていきたいと考えています。

今の既存のビジネス、広告、あるいはeコマースにおける「ヤフオク!」等のロイヤリティ、そしてプレミアム会員に加えて、今後おそらくオンラインとオフラインのインターネットサービス提供者となることによって、この4つの新たなマネタイズポイントが生じると思っています。

後で詳しく説明する統合マーケティングソリューション、そしてeコマース、Fintech、BtoBのデータソリューション。これが、新たな4つのマネタイズポイントでございます。

投資家のみなさんからは「屋台骨である、広告事業はどうなっていくのよ」、そして「それがどう進化していくのよ」というご質問が一番多いので、今日はこの中で一番上にある「統合マーケティングソリューション」にフォーカスして、説明をさせていただきます。

統合マーケティングソリューションとは

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「統合マーケティングソリューションとは何ぞや」ということでございますけれども、1枚で簡単に図示してございます。

消費行動の入口から出口まで……「認知」から「購入・再購入」まで、あるいはオンライン・オフラインを問わず、これをすべてつなげることによって効果を可視化し、かつ広告主・クライアントにとって一番重要である「購入」とか「再購入」に対して効果が最大化するマーケティングソリューションを、我々は既存の広告事業から進化させることによって、提供していきたいと考えています。

今我々が提供している広告事業・マーケティングソリューションは、このおおむね左側です。「認知」をさせるブランドパネル、あるいは「検索」したときに上に(出てきて)認知を促進させる検索連動広告みたいなことを、主にやっています。一部で、例えば「Yahoo!トラベル」みたいな「来店」を促すサービスも行っています。

今後は、オフラインにおいては「PayPay」、あるいはオンラインにおいてはますます大きくなるeコマースや、さらにクライアントさまが一番気にする「購入」あるいは「再購入」に強いマーケティング上のソリューションを、我々は提供していきたいと考えています。まず初手としては、ここの効果を一気通貫で可視化することによって、クライアントにとっての予算の最適化や最大化に対して貢献をしていきたいと考えています。

ビジネス効果を生み出す新たなプロダクトを開発中

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やや概念的な話ですので、具体的な商品に落として説明をさせていただきます。

今までのオンライン上の認知系のマーケティングソリューションから、オンライン・オフラインも含めた統合的なマーケティングソリューションに進化するために、これから我々は主に2種類の新しい商品を提供して、ソリューションを提供してまいります。

まず、オンラインの購入に関しましては「Yahoo!ショッピング」等、ヤフーのeコマースのサービスで、どんどん取扱高が大きくなっています。大きくなってくるということは、たくさんの購入をする人が来ているということですから、そこの場においてプロダクト・商品を提供しているメーカーのみなさん、あるいはサービスを提供しているサービス事業者のみなさんが直接クライアントになるかたちでの、検索連動型広告ですとかヘッダー掲出広告商品などを提供していきたいと考えています。

今までは「Yahoo!ショッピング」のマーチャントさんにだけ提供していた広告の機会を、メーカーさんにもオンライン上で広く提供し、「購入」という部分に関して成果を見えやすくしていきたいと考えています。

そしてもう1つ重要なのが、オフライン購買です。こちらは今までネット業界、あるいは少なくとも「Yahoo!JAPAN」は、ミッシングリンクがございました。それは、「最終的に認知したものが、本当にオフライン上で使われているの?」「買われているの?」「購入されているの?」と、「この認知がこっちの購入に効いているの?」ということが証明できなかったわけです。

これが今、4ヶ月で400万ユーザーを超えた「PayPay」がより多くのユーザーに使われることによって、「『Yahoo!』のブランドパネルで見た」、あるいは「『Yahoo!』の検索連動広告で見た」。そこで「PayPay」のクーポンをゲットして、実際に来店して買ってくださった。その買ってくださった方が、その後もう一度CRMしなおしたら、また買ってくださった。

こういったものがすべて可視化され、我々は予算からの逆算で、「これぐらい予算があれば、これぐらいの最終的な来店まで促すことができます」という提案をすることができるようになってまいります。これは、ソリューションという観点でも非常に大きな進化ですし、収益源という観点でも大きな構造の変化につながると、我々は考えています。

広告市場に加えて新たに販促市場も開拓

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それが、この図でございますけれども。

今までは、日本だと広告市場が約6兆円あると言われていますけれども。我々は、主にここに基盤を作って売上を増加させていきました。ここはここで当然大事な分野ですので、手当てしてやってまいりますけれども。

より大きな市場として、最後に……お客さまの購買のすぐ横にいる、購買するその刹那に生まれるお金として、メーカーさんや店舗さんが販促金を持っていらっしゃるわけです。これが広告市場の倍以上大きくて、15兆円あると(いうことです)。ここの金額は先ほど申し上げたような、我々自身で言うミッシングリンクがあったために効果を可視化できず、あまりそこの予算が回ってこなかったわけですけれども。

今後はその効果を示し、逆算で獲得したいお客さまの数や量を提示することによって、ここの販促予算がどんどん入ってくるような進化を、我々の事業が必ず成していくのではないかなと考えています。

これらを含めて、今までのマーケティングソリューションから、「統合マーケティングソリューション」という言い方をしています。広告予算と販促予算の両方を、ソリューションの具体的な収益源にすることができるということでございます。

売上収益見通し

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その結果、マーケティングソリューション事業の売上収益がどれくらいになっていくのかということでございますけれども、2023年度に5,000億円を目指したいなと思っています。

この5,000億円の内訳ですけれども、今はだいたい6兆円の広告市場のみで、3,000億円くらいの売上がございます。当然これはこれでがんばって、ますますの売上増加になっていくようにしていきたいですけれども。

飛躍的な事業上の成長を遂げるには、今申し上げたような統合マーケティングソリューションに舵を切り、そちらにリソースを割くことによって、まず2023年までに2,000億円くらいは、売上収益を高めていきたいなと考えています。

今日、「Yahoo!」が「オンラインでもますます便利に、オフラインにも進出」とサービスが進化していくところで、「新たなマネタイズポイントが4つ生まれる」という話を差し上げていますけれども。その4つのうちの1つの統合マーケティングソリューションに関しては、こういう可能性があると説明させていただきました。

他の3つも含め、それでは今後、どういうふうに収益と利益が成長していくのかという見通しを、最後に説明させていただきます。

長期的な売上収益構成のイメージ

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まず、私の話の「PayPay」以降の冒頭でご説明したとおり、何かの市場環境の変化を捉えて、それを「チャンス」として捉えたり、あるいは「危機」として捉えて、何かの投資をするということをしょっちゅう行います。その投資をした結果がきちんと成果として現れることは、やっている経験上からしても、非常に難しいことだと思っています。

その中で、まず売上収益を上げることも難しいことではあるのですけれども。やはり、あまりにやたらと鉄砲を撃って、「失敗も多かったけれども1個だけ成功して、それで全部を挽回した」みたいな話ではなくて、さっきの4つの分野を、成すべきことを粛々と組織力を上げて成すことによって、きちんとそれぞれの分野で売上を作って、今の事業規模の上に乗っけていきたいと考えています。

まもなく、ヤフーの売上収益は1兆円になろうとしています。もちろん既存事業もがんばって増収させていきますけれども、新たな4つのマネタイズポイントを育てることによって、1兆円をはるかに超え(させて)、きちんと将来に向けて、まず売上収益はずっと重なっていくようにしていきたいと思っています。これ自体が非常に難しいチャレンジではありますけれども、我々は組織力を効かせて、必ずやっていきたいと思います。

その中で利益を上げるのは、より難しいことではあるのですけれども。これも投資をして売上を上げるからには、最終的には、利益できちんと株主のみなさまに還元するのが、まっとうな経営であるわけですから。これもきちんと、我々としてはやっていきたいなと考えています。

長期的な営業利益見通し

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今日ご説明しているような、ヤフーのサービスの方向性。オンラインとオフライン上で、ユーザーの生活をますます便利にすることによって、結果として訪れる、新たな4つのマネタイズポイントの出現。これらをやることに関して、あらためて幹部のメンバーで、「どうやって、どれくらいの期間でやろうか?」という話を、昨年末に行いました。

結論として、ある程度の事業規模にするには、5年くらいのお時間をいただきたいなという感覚をもっています。すでに新体制になって、1年が経過しようとしています。したがいまして、今話している構想は、あと4年でぜひ完成させていきたいと考えています。

この4年の間は、いろんなことがあると思います。いろんなことはあると思いますけれども、今年度はいったん1,300億円まで利益を減らして、モバイルペイメントと動画を中心に事業を育てていくことを宣言させていただいて、やらせていただいた結果、いろいろな感触を得ていますので。今後の4年間は、だいたい利益の水準を1,400億円以上にもっていきつつ、しかし強い投資をしていくという基調で、ぜひやらせていただきたいなと考えています。

1,400億円(の利益)を出すこと自体も当然難しいわけですけれども、今年やった経験の中でいろんなことがわかってまいりましたので、1,400億円をなんとか出しながら、しかし競合にも負けないような強い投資を行って、未来を作っていきたいと考えています。ぜひ、そのお時間をいただければと思います。

結果として、「いつ増益していくのか」が大変重要な問題でございますけれども、「事業を作るのに、だいたい5年かかるよね」ということで言いますと、(すでに)1年が経過してあと4年ですと、2023年度に過去最高益にチャレンジしたいと思います。

「過去最高益」とは(どれぐらいかと言うと)、2015年に2,249億円でやっています。ただこのときは、まず1つは、アスクルの連結化に伴う一時益がかなり多かったことと、既存事業である広告の売上収益が、構成としてはかなり多数であったということですから。

2023年に過去最高益の2,250億円をやり(たいと申し上げる中で)、一番重要なのは、その中身が(何かということです)。これは今のだいたいのイメージですけれども、既存事業は既存事業できちんとシェアを維持して育てながら、しかし一方で、本日ご説明しているような新たな4つのマネタイズポイントを育てて、(2015年の売上収益の構成)と同じじゃないですけれども、かなりそれに乗っかるかたちで増益をして、2023年に過去最高益を目指したいと考えています。

「このことについて、今日(のご説明で)ご理解はいただけたでしょうか」ということを、後でみなさんとの対話も含めて(あらためて)理解をしていただければなと考えています。

いずれにいたしましても、1年前に新体制になって、「未来を作りたい」「過去ばかり振り返る会社ではなくて、未来を作る会社になりたい」、そしてその「未来」とは、「ヤフーだから作れる、オリジナリティあふれる『未来』を作りたい」という宣言をさせていただきました。この1年、いろんな取り組みをさせていただいている中で、今日お示ししたような具体的なイメージをもつに至っています。

さらには、「PayPay」の400万ユーザー数みたいな、具体的な成果も生まれつつあります。なので、さまざまな市場の変化を「危機」としてではなく、「チャンス」として捉えて、我々としては新たな未来を作っていきたいと考えています。

こういったチャンスをものにできないと、ネット業界は恐ろしいもので、あっという間にその事業あるいはサービスが駄目になってしまうという危機感も同時にもちながら、私は他の幹部とともに進めていきたいなと考えています。

2023年に、2,250億円で過去最高益を目指す。その中で事業の構成を変えていくということを、今日みなさんにお時間を頂戴して、あらためて説明をさせていただきました。この後の質問・対話の時間も含めて、ご理解いただければなと考えていますので、私からの説明はいったん以上とさせていただきます。

最後にお知らせなんですけれども、先ほど申し上げた、新たに生まれる4つのマネタイズポイントの1つである、BtoB向けのデータソリューション事業。こちらに関しては、昨年のちょうど今ごろに「データフォレスト構想」ということで、最初に構想を発表させていただいています。

1年間でいろんな実証実験を行いまして、だいたいその結果と、「こういうビジネスをやり得るのではないか」という方向感の提示を、2月13日にまた記者会見で行いたいと考えていますので。これはメディア向けではございますけれども、見ることもできると思いますので、ぜひ投資家のみなさんやアナリストのみなさんにもご覧いただければなと思います。

長くなりましたが、私からの説明は以上となります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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