2018年11月8日に行われた、株式会社ツクイ2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社ツクイ 代表取締役社長 津久井宏 氏
2019年3月期第2四半期決算説明会
津久井宏氏:社長の津久井でございます。ただいまより、2019年3月期第2四半期決算についてご説明をさせていただきます。本日は、大変お忙しい中みなさま(にお越しいただき)ありがとうございます。
今回は豪雨の被害であるとか、台風の被害であるとか、こういったものがございました。また先日、北海道でも大きな地震がございました。そういった中で被災されたみなさま方に、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
北海道の案件につきましては、私どもの対応方法や具体的な内容についても、後ほどご説明したいと思っております。
第二次中期経営計画の位置付け
お手元の資料は、画面と同じものをご用意してございます。その資料に沿ってご説明させていただきます。まず画面にある内容でございますが、少し振り返りからスタートさせていただきます。
当社が今走っております、第二次中期経営計画の中の初年度(1年目)です。私どもの中計の括りは3年でございますので、その1年目に当たってございます。そもそも2025年に向けた長期ビジョンがございまして、そこに対して今期は第2フェーズに入って、この中計を発表させていただきました。
この第2フェーズの内容の中で、「ツクイの考える地域包括ケア」をブレイクダウンしていく考え方でございます。今回は、まず「地域戦略」が大きな基軸の1つになってございます。
今までやってきました事業部制みたいな考え方にも、一度ここで見直しをかけて、地域でどういったサービスが本当に求められていて、そこに当社として本当にサービス提供をしていける体制が整っているのかどうか。
私どもも神奈川が母体ですので、神奈川県(だけ)ができていても、それ以外の都市で何ができているのかについては、デイサービスを中心に出店してきた経過もございまして、まだまだ十分な内容になってございません。
なので、考え方としては、あらためて「80」というエリアをピックアップさせていただいて、実質にこの中期経営計画を走らせて、その中で地域戦略をあらためてスタートさせていただいてございます。
その1番目が、地域サービスづくり。(2番目が)こういった考え方や地域連携拠点づくり。また(3番目が)地域人財づくり。これは、マルチプレイヤーみたいな人財として、この地域で求められているサービスをきちんと提案できる人間を作っていかなければいけない。
こういったことをすることによって、地域を支える私たちのサービスラインナップが整ってくるだろう。それを会社としては、全体的に本社の機構全体も変えていかなければいけないという考え方がございまして、今はここも同時進行させていただいてございます。
この4つの施策をもちまして地域戦略を成功させるのが、始まった期の中間を迎えた状況になっています。
ハイライト
具体的に、業績概要についてご説明いたします。
まず、ハイライトのうち、出店の内容でございます。出店も、先ほどの地域基軸みたいなものを意識しつつ、フレームとしてはそういったものも考えつつ、始まってございます。
デイサービスからデイサービスの統合まで、こういったかたちで今期(は進んでおり)、そもそも予定していたものがすべて完了したという内容でございます。
デイサービスの移転については、5ヶ所ほどさせていただきました。その中で、デイサービスの定員がございます。この定員について5ヶ所の移転をしたんですけど、60名分の定員を大きく確保することができました。
これは移転してもう場所を変えているんですけれども、スケールも少しずつアップして、定員を獲得して少しでも大きな規模で経営することが、私たちはメリットだと思っていますので、そういったことも展開させていただきました。
2番目です。在宅介護事業は、デイサービス・訪問介護の集客が計画どおりに進まず、計画未達でございました。あとで細かくご説明させていただきます。
一方で、有料老人ホーム事業やサ高住事業……入居系のグループホームを含めて、入居率が順調に上昇してございます。こういった内容が確認できました。
連結業績(4月~9月 前期比)
では、前期比の数字で示したいと思います。6ページでございます。
まず売上高でございますが、6.6パーセント増の430億5,300万円。経常利益でございますが、7.8パーセント減の23億1,800万円。これは、前期と比べて少し利益が下がっています。計画は10ページでご説明いたしますが、基本的には、そういった計画の中で今回運営をしてきてございます。
その中で利益率を見ていただきますと、(前年2018年3月期第2四半期累計実績の営業利益率は)6.6パーセント。経常利益率は6.2パーセントから(2019年3月期は)5.4パーセント。これが着地です。内容として今回は何があったのか(と言うと)、4月からデイサービスの単価が下がってございます。
こういったものの影響額がどのくらいあったのかを(右側に)書いております。3億9,000万円。ですから、(売上高の)増減額の26億5,500万円に、この金額が足されたものが、本来の私どもの実力でした。ただ、今回は法改正がございます。単価が下げられてしまいましたので、これが実際問題では入ってございませんので、26億5,500万円という状況です。
あと、販管費です。先ほど来申しました地域戦略を遂行するうえで(必要な)全社基盤改革による販管費の増加。こういった費用を当初目論んで1年間(ごとに)やっていきますと、3ヶ年に渡って、私どもは収益力を上げていく計画をもってございます。
なので、投資すべきものは合っていて、それが実ってくるタイミングの、今は1年目の中間とご理解いただけるといいと思います。
連結業績(4月~9月 計画比)
次に7ページ、計画比でご説明いたします。
計画については、まず第1四半期と第2四半期を今回は分けて表示させていただきました。何が起こったのかを正直に申し上げます。(右側でおわかりのように)第1四半期は順調だったと書かれています。第2四半期で、少し計画未達の傾向が出てきています。合わせて見ると、結果オーライみたいな話になるんですけれども。
私どもからすると、第2四半期のこのトレンドを無視して運営を続けていく気はございません。きちんと理解したうえで、然るべく対処すべき施策をもって、きちんと改善していこうと考えています。
ただ、内容を少しずつ見ていただきますと、まず右上の第1四半期の売上高です。売上はプラス2,900万円。こういった感じで動いていました。これって、単純にこういった(在宅介護の)お仕事でございまして。トータルで2,900万円上がっているんですが、この内容はデイサービスで4,800万円上がっていると理解していただければと思います。
訪問介護は、逆に下がっています。合わせて2,900万円上がったという意味です。お客さまの数が足りない傾向が、中間までに現れてきております。それが(この決算の)内容となっている状況です。
ですから(次に)第2四半期を見ていただきますと、売上高はデイサービスでマイナス3億6,700万円でございます。訪問介護は同じトレンドになっておりまして、1億600万円。合わせて5億2,500万円(のマイナス)。
とは言いながら、下の原価の人件費を見ていただきますと、売上高に対して基本的に人件費もある一定のパーセンテージで(あり)、増減で言えば減少しています。なので、過去から当社が言われてきました「原価のコントロールができないんじゃないのか?」については、ある一定の対応策は取れてきていると、私たちは理解しています。これは本当にコントロールできないと、損益に与える影響が大きくなってまいります。まず、ここはきちんとできていることが確認できました。
じゃあ、何が起こったのか?
集客ができていないということですので、その理由を紐解きます。今回、地域戦略に大きく基軸を取った内容でございます。現場の方々は、まず自分が理解していないサービスに着手を始めました。それは、デイサービスをやってきた人からすると、居住系かもしれませんし訪問系かもしれません。今私たちは、それを3ヶ年のトータルでわかる人財を作っていこうとしており、そのマネージメントをみなさんにも要求しています。
なので、みなさんはある一定の自分たちの不得手なサービスに、真剣にそこに向かってしまった構図が考えられます。その結果、集客や営業について疎かになった傾向がございまして、実際はこういった第2四半期のトレンドが発生してしまったと理解しています。
お伝えしたかったことは、第1四半期と第2四半期で内容が違うことです。単価については確かに高いんですが、お客さまの数を合わせもって……もう第2四半期になってくるとお客さまも絶対数が少ないものですから、これだけの差が出てきたとご理解いただければと思います。
ただし、原価のコントロールはある一定の率でできていると、ご理解いただければありがたいです。
デイサービス(利用率)
では、ご心配をかけています稼働率(について)デイサービスで示しています。8ページです。
9月の決算のお話をしておりますので、本来であれば9月までの数字を出せばいいんですが、今回は10月まで出しました。
9月については、みなさんもご存じのように、先ほどの(ご説明にもあった)自然災害めいたものも少し影響があったかもしれません。ただ現状として、お客さまの獲得はできてなかった。これは事実でございます。
9月・10月を並べて書いてございますが、上の段(15~18年度開設除く)の9月の右の活字を読みます。58.7パーセント。これでいくとマイナス0.6ポイントなので、前年対比で負けているということです。でも10月を見ていただきますと、プラス1.1ポイント。
下の緑の数字が、全社でございます。なので、9月・10月について私たちの速報で見ていますが、現状として9月までの数字だけで示すと、すごくみなさんに不安を与える結果になってしまうだろうということで、今回は10月の数値も速報ベースとして上げさせていただいております。こういったトレンドが出てきています。
もちろん今まで、本来第2四半期はもう少しきちんと集客ができて、大きく利益が実るタイミングでありましたけど、今回は自然災害もありました。また、集客ができなかった事実もございまして、今回はこういった結果になってきてございます。
ただ、ある一定のレベルで安心していただきたいと思って、やはりこのような資料を付けさせていただいた状況でございます。
デイサービス(個別機能訓練加算)
ここから、デイサービスのいくつかの指標をご説明いたします。
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱ。まったく別の加算でございます。当社として今得意なのは、見ていただいてわかるように、高い数字を示しているⅡです。個別機能訓練のアプローチになります。Ⅰについては、全体的にアプローチをする。それぞれ、上がってきてございます。
デイサービス(中重度者ケア体制加算)
次は、中重度(者ケア体制加算)。
当社としては昔から、軽度から重度の方まで対応できるデイサービスを目論んで、考えて作ってきたハードでございますし、ソフトでもございます。
そういった内容の中で、中重度者ケア体制加算。こういった加算については、今回説明書きを入れてございます。「要介護3以上の顧客数が全体の30パーセント以上」等。
これをいただくための厳しい条件が付帯されているんです。そういったものをクリアして、当社としては加算を取るものですから、「この数字は100パーセント取れるんですか?」と(みなさまが)言うと「100パーセント、取れません」と説明しています。
すべてのデイサービスで(要介護度)3以上のお客さまがたくさんいることはあり得ませんので、基本的にはそういったイメージをもっていただければと思います。なので、この数値はある一定の横ばいで動いています。これでも順調な推移と理解をしていただければと思います。
今はこういった中重度、また機能訓練の加算を取れている会社と取れてない会社と、二極化しています。私たちは積極的に取りにいこうと、今も努力をしている会社でございます。
有料老人ホーム(入居率)
では、少しトーンを変えて有料老人ホームのお話をしたいと思います。
先ほど来、「有料老人ホームは順調に推移した」とお話しさせていただきました。これは売上高もそうでございましたし、実質利益に対する貢献もそうでございます。
基本的には何ができたから(かと言うと)入居が進んできて稼働が高くなってきたから、効率的な経営ができているという意味でございます。前年対比で4.5ポイント順調に上がっていきました。(入居率の)91.5パーセントについても、ここ最近の数値としては、非常に高いところを示してきている状況でございます。
サービス付き高齢者向け住宅(自社運営4ヵ所の入居率)
次に、サービス付き高齢者向け住宅です。
ここについては、まず自社運営4ヶ所の入居率を示しています。これは、ハードとして私どもが長期の契約をさせていただいているものと、逆に運営受託……他社さまのやっているサ高住に、介護ケアのノウハウとして入っているバリエーションがございます。それを運営受託と言っております。
ただ、この運営受託のバリエーションは、私たち今後も進めていくつもりでございます。今は、それが順調にきていると理解しています。この数値は、自社運営のものを示しています。トータルで見ても、今のところは同じような入居率をいただいています。
今後はこういった間口が増えてきますので、現状としては運営受託側についてのベッド数・居室数みたいな考え方を、徐々に整理していきたいと思っております。
北海道胆振東部地震の対応
北海道の胆振東部地震の対応についてご説明いたします。
みなさんの記憶にあるように(2018年)9月6日早朝に地震がございました。私どもも地震の発生で……このとき、当社の事業部責任者もたまたま北海道を巡回しておりまして、現地で被災をしてございます。
「大きな地震がきた」と。ただ、ご本人さんはそこにいましたので、さっそくその対応に入ってまいります。もちろん当社としては、本社に対策本部・現地対策本部が本部長でございますので、そういった担当者とともに連携を取りながら本対応を進めてきました。
まず、居住系です。入居系のグループホームなど、住まいのところは継続します。お客さまをお預かりになっています。なので、そこで生活されていますので、帰るところはもちろんございません。なので、私たちが責任をもって対応する内容になっています。
あと、お客さまと従業員の安否確認が始まりました。ライフラインの状況確認をしながら、支援物資の第1便が、この日にもう動いてございます。函館に向けて青森から入ったことと、翌日に新潟から小樽に向けて第2便が動いています。
第1便・第2便って(なにかと言うと)、結局こういったことがあったときに、私どもとしては「バックアップ体制」という発想をもっています。もちろん、地域のお店は30店を超えてございました。ただし実際問題、みなさんが被災していますので、(すべての)みなさんを応援できるわけじゃない。「じゃあ、周りの応援をするしかない」という意味合いを、当社としては過去から、そういった風土ももってございます。
この仕事もインフラと同じでございまして、介護は途中で投げ出すことができないんです。そういった事業だという理解ももっていますので、ここについてはバックアップをしていく考え方を主力でもっています。
一部、現地に向かって炊き出しをやったり、お風呂の開放をさせていただいたり、そのあと安否確認や行政へのご報告をさせていただいて、実質(9月)9日には全事業所で運営を再開させていただくことができました。
みなさんも「ブラックアウト」と言われて、真っ暗になってしまった。こんな中で、逆にライフラインの復旧を待ちつつバックアップしながら、私たちもお客さまに対してのサービスを、一日も早くできることを探し求めてやってきました。
今後の取り組み
今後の取り組みでございます。在宅介護事業・有料老人ホーム事業・サ高住事業の3本について書かせていただいてございます。
これは当社の十八番のメニューでございまして、先ほど来ご説明したように、営業の強化をきちんとしていきます。この強化ができないと、今回のようなかたちで、全体的に垂れてまいります。
みなさん方にもご不安をかけますし、実際問題はお客さまの集客が進まないと、今からさらに掛けたいコスト・事業展開・内容的なものも、すべて計画がズレてまいります。これをきちっと実らせていく考え方をもっています。
みなさんが多分ご心配なのは、逆に「ツクイのサービスに劣化が起こっていて、集客ができないんじゃないの?」という考え方があるかもしれません。今私たちも、いろいろと客観的なアンケートを各方面にとりました。
本当にうちのサービスが喜ばれていない、選ばれてないのかどうか。こういったところも今はアンケート等をしながら、客観的なご意見を確認しながら、当社としての改善につなげていこうと思っています。
まず、営業力が足りていないのはわかっている事実でございますので、きちっとテコ入れをしてまいります。また、その内容的なもの……お店についても多少バラツキがあると理解してございますので、品質についてバラツキがない対応は、きちんとしていこうと考えています。これができなければ、今後のツクイの話はなかなか難しいものですから、まずこれはきちんとやってのけます。
有料老人ホームのお話。有料老人ホームも、過去みなさんにいろいろご心配をかけたケースもございました。ただし、今稼働が上がってきた吉報と、逆に今期末には西馬込で新設がございます。
居室数なんですが、57室で中規模の有料老人ホームでございます。当社がやっている有料老人ホームはすべて特定施設でございますので、介護保険の指定ですべて動いてございます。
今は28ヶ所目の有料老人ホームが、ここで(2019年)3月に開設予定になってございます。こちらについては開設準備室を設けまして、過去から当社はデイサービスもずっとやってきました。
新しいお店を出す度に、スピードも落ちることがないようなかたちでノウハウを積み上げて、過去最高の速度で出店していきたい。今は居住系の小規模グループホームといったサービスも、新たに設備投資をさせていただいているんですけども、そこも今はすごい速度で走っています。
サ高住については、今回のツクイ・サンフォレスト札幌山鼻は、一部デイサービスやグループホームと既存の建物がございました。新設をする考え方をもってございます。
その上に一部サービス付き高齢者向け住宅があったものですから、追加して出していこうということで、新しい付加価値に挑戦していこう。既存の地域にあったサービスを、そこにまた複合的に組み合わせて、新しい価値を創造していく考え方をもって、新しいお店を出していきます。
先ほど言った運営受託についても、各方面で今はデベロッパーさんとのお話がだいぶ盛り上がってきております。「訪問介護サービスが崩れているんじゃないのか?」……そこに対して私どもの答えが、ここにあります。
訪問介護は、ちゃんとここで強化していきます。これは厚労省も認識しております。訪問介護は、どこの会社でも伸びてないんです。人の確保も難しいですし。本当にすばらしいいい仕事なんですが、難しいんです。
人の確保が難しいので、結局前に進まない。オペレーションに自信をもっている私どもでも、今は数字が横滑りで動いておりますので、ここをきちんと盛り上げていくには、違った環境を作っていく。これが、私どもの1つの答えなのかなと思っています。
そういったことを合わせながら、当社としてはデイサービスのみからも進化したいですし、実質、そこで地域包括ケアも見直していく考え方をもってございます。
以上で説明を終了させていただきます。ありがとうございました。