平成29年12月に厚生労働省が公開した「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の月あたり平均受給額は男性が166,863円、女性が102,708円でした。そのため、現状では夫婦2人が企業で共働きを続けて老後を迎えるのであれば、合わせて平均269,571円を受給できることになります。

一方で、自営業で国民年金のみの加入ならばもっと少なくなりますし、妻が途中で専業主婦になり夫の扶養に入る場合は加入年数により受給額は変わります。

また、現状でも受給年齢が上がっていますし、今後はさらに少子高齢化の影響で今の金額水準を保てるとは限りません。退職金に期待していても、移り変わりが激しくどの業界も安泰とは言い難いので、きちんと支払ってもらえるかは分かりませんよね。

このような理由から、自分や家族のことを守るために老後資金は若いうちから意識的にコツコツ貯めた方が良いと言えるでしょう。では、一体どれくらい貯める必要があるのでしょうか。

一般的には3000万円の準備が必要と言われているが

2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳でした。60歳を定年とすると、男性はその後に約21年、女性は約27年間生きることになります。この間の老後資金は一般的には老後資金は3000万円必要と言われることが多いです。

ただし、退職金が2000万円もらえる保証があるのなら1000万円だけ用意すればいいですし、老後はできるだけ年金の範囲内で質素に暮らすので3000万円も必要ないという人もいるでしょう。人それぞれ必要な額は異なるので、受給見込みの年金額と退職金から、たとえば30年間で必要になるであろう生活費を差し引いて、足りない分を試算してみましょう。

年金受給の見込み額は日本年金機構の「ねんきん定期便」に記載されているほか、インターネットでも年金シミュレーションができるサイトがあります。また、将来の生活費がよくわからないという場合は、現状の生活費の月額で計算してみてもいいでしょう。さらに、退職金が見込み通り入らない場合も想定して試算してみることも必要です。

どうやって貯めていけばいい?

老後資金用の貯蓄口座を作る

退職金などを考慮せず、30歳から老後資金の準備を始める場合、仮に30年間で3000万円とすると、10年間で1000万円、1年で100万円、1か月で8.4万円となります。こう考えると、月額としては結構負担になりますよね。

それだけではなく、子供の教育費や住宅・マイカーの購入に充てる費用などライフイベントにより都度出費があるので、計画的に増やす準備をしなくてはいけません。そのためにも、他の使い道とは分けて、老後資金用の貯蓄口座を作成しましょう。月にいくら貯めるか、ボーナス時はいくら貯めるかをあらかじめ決めて、給料日やボーナス日に直ぐに移すようにします。

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