2018年11月20日に行われた、ユニチカ株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:ユニチカ株式会社 代表取締役社長執行役員 注連浩行 氏

業績の概要

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注連浩行氏:私から、お手元の資料に沿いまして、2019年3月期の中間決算について説明させていただきます。3ページをご覧ください。業績の概要についてご説明いたします。

まず売上高は、主力であるフィルム事業を中心とした高分子事業の販売が好調に推移し、前年同期比3億円増収の634億円となりました。一方で、営業利益は原燃料価格高騰などの影響を受け、14億円減益の44億円となりました。

営業外損益は、外貨建て資産の期末の為替評価が増加したことや、有利子負債の削減による支払利息の減少などがプラス要因となりました。特別損益は横ばいです。税金費用は減少しましたが、経常利益段階での減益を受けて、四半期純利益においても、9億円減益の39億円となりました。

減価償却費・設備投資は記載のとおりですが、インドネシア子会社のエンブレムアジアにおけるナイロンフィルム新機台の投資もあり、設備投資額は前年同期比で11億円増加しました。

営業利益変動要因分析

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次に、営業利益の変動要因についてご説明いたします。4ページをご覧ください。営業利益は前年同期の58億円から、上期は44億円と、14億円の減益となりました。減益の主な要因は、原料価格高騰によるものであり、ナイロン・ポリエステル製品の主原料および製造にかかる原燃料の各コストが全般的に上昇し、マイナス13億円のインパクトとなりました。

これに対して価格改定を進めましたが、タイムラグ等もあり、十分にカバーしきれず、売値によるプラスは3億円に留まりました。また販売要因としては、高分子事業は全体的に好調で、高付加価値品の拡販も進みましたが、繊維事業を中心とした落ち込みなどにより、全体でマイナス1億円となりました。

さらに、物流費や研究開発費などによるコスト要因や、その他による影響がマイナス3億円となりました。これらにより、トータルで約14億円の減益となっています。

資産・負債・純資産

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次に、5ページをご覧ください。貸借対照表については記載のとおりとなります。前期末となる本年(2018年)3月末と9月末の増減比較となっております。

売上増に伴う棚卸資産の増加、設備投資の実行などにより、資産は12億円増加となりました。一方、有利子負債の削減を進めたことにより、負債は14億円減少しました。純資産は四半期純利益の計上等により26億円増加し、434億円となりました。

財務体質健全化に向けた推移

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次に、6ページをご覧ください。有利子負債は前期末比で約13億円減少の1,039億円となり、2019年度の中期経営計画目標である1,016億円に向け、着実に削減が進んでおります。また、現預金272億円を差し引いたネットの有利子負債は767億円となりました。

自己資本比率につきましては、C種種類株式の償還により、自己資本が減少した前期末より1.2ポイントアップの19.7パーセントとなりました。

セグメント別 業績の概要

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次に、各事業セグメントの状況について、ポイントをご説明いたします。8ページをご覧ください。スライドはセグメント別業績の一覧表となりますが、前年同期との比較を含め、記載のとおりです。

営業利益の変動要因の説明でも申し上げましたが、高分子事業を中心に、好調な販売を背景として増収となりましたが、原燃料価格高騰などの影響で、高分子、繊維の各事業でそれぞれ(前年同期比)7億円の減益となりました。

繊維事業につきましては、販売がやや低調であったことや、一部商材で在庫調整の要因もあり、今上期は2,000万円の営業損失となりました。

高分子事業の状況

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続いて、各セグメントの状況のポイントについてご説明いたします。9ページをご覧ください。まず、高分子事業のご説明をいたします。高分子では概ね販売は好調に推移しました。一方、いずれの事業におきましても、原燃料価格の高騰などの影響を受け、徹底したコストダウンや価格改定などの施策を講じましたが、各事業とも増収となったものの、減益となりました。

主力のフィルム事業は、包装分野で夏物商品、コンビニエンスストア向け商品が伸長し、好調な状況が続いております。また、高いガスバリア性を持つ「エンブレムHG」なども、国内外で順調に拡大しました。

一方、工業分野は電気・電子機器分野が堅調に推移し、離型ポリエステルフィルム「ユニピール」などの高付加価値品の販売が好調でした。

樹脂事業では、ナイロン樹脂において国内外の自動車用途が堅調に推移し、販売数量が増加。当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」が、情報端末機器用途や海外の自動車用途で引き続き販売が順調です。

不織布事業では、ポリエステルスパンボンドが生活資材用途を中心に堅調でした。なお、海外のタイ子会社のタスクは、新機台製品のスペックインが順次進んでいる状況ですが、フル販売に向けて、いましばらく時間を要するものと考えております。

またコットンスパンレースは、国内のスキンケア用品などの生活資材用途で引き続き好調に推移しました。

機能材事業の状況

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次に、機能材事業をご説明いたします。10ページをご覧ください。機能材事業は、ガラス繊維事業・活性炭繊維事業が堅調に推移したことなどにより、セグメント全体で増収、利益はほぼ横ばいとなりました。

とくにガラス繊維が、不燃シートなどの建築用途の販売が好調でした。また電子材料分野のICクロスが情報端末機器用途で堅調であり、超薄物タイプなどの高付加価値品の販売が伸長しました。

活性炭繊維は、主力の国内浄水器用途が堅調であり、また海外向けではVOC除去フィルター用途が伸長しました。

繊維事業の状況

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次に、繊維事業をご説明いたします。11ページをご覧ください。繊維事業は前年同期と比べて売上が減少し、営業利益も産業繊維を中心に、原燃料価格高騰などの影響を受け、前年同期比で減益となりました。

今上期は2,000万円の営業損失を計上いたしました。販売面では、各商材によるプラス・マイナスがあり、産業繊維では、短繊維は生活資材用途で低調でしたが、複合繊維などの高付加価値品や、ポリエステル高強力糸の土木建築用途などが堅調で、販売が増加しました。

また衣料繊維では、ユニフォーム分野のワーキング用途や、高機能原紙販売が好調を維持した一方で、スポーツ分野やレディス分野は、生地販売が低調に推移し、売上が減少。また、海外向けデニム生地の販売も、在庫調整の影響を受けて販売減となり、利益面でも苦戦しました。

第2四半期の業績結果は、以上のとおりであります。

2019年3月期通期業績予想

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次に、2019年3月期通期の業績予想についてご説明いたします。13ページをご覧ください。先ほどの第2四半期の業績結果を踏まえ、また今上期において、コストインパクトの大きかった原燃料価格高止まりの影響が今後も続くことを見込みまして、5月11日に公表いたしました通期の業績予想を一部修正しております。

具体的には、売上高は前回予想から変更はありませんが、営業利益以下につきまして、当初予想を修正し、営業利益と経常利益はいずれも前回予想から10億円引き下げ、それぞれ105億円、90億円として、当期純利益は前回予想から5億円引き下げ、65億円としております。

この下期もしばらくは厳しい状況が続くと想定しています。しかし、まずは各事業ともに価格改定をさらに推し進め、原料価格とのスプレッドの改善を図るとともに、引き続き徹底したコストダウンを進めるなど、足元のコスト増の影響をミニマイズできるように取り組んでまいります。

それらを着実に進め、当社グループは引き続き「“G”round 20 ~to The Next Stage」に掲げた目標の実現に向け、事業基盤を固め、成長に向けた施策を確実に実行してまいります。

セグメント別業績予想

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次に、事業セグメント別の業績予想についてご説明いたします。14ページをご覧ください。事業セグメント別の業績予想は記載のとおりとなります。今回は通期業績予想の修正に伴い、各事業セグメントの売上高・営業利益の予想につきましても一部修正しております。

売上高はトータルの予想を変更しておりませんが、前回予想に対し、高分子(事業)を引き上げる一方、繊維およびその他につきましては引き下げております。

営業利益につきましては、全体で10億円引き下げましたが、そのうち高分子でマイナス4億円、繊維でマイナス6億円の修正をしております。各事業における価格改定に加え、高分子(事業)におきましては、シェア優位事業での販売拡大、高付加価値品の拡販を進めるとともに、上期で営業損失を計上した繊維におきましては、販売・製品構成・コストなどのあらゆる面で徹底した改善策を講じることで収益改善を図り、全体として上期の減益幅であるマイナス14億円を少しでも取り戻せるよう、取り組んでまいります。

B種種類株式の一部取得、消却について

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次に、B種種類株式の一部取得および消却についてご説明いたします。15ページをご覧ください。

2014年7月に発行いたしました種類株式のうち、B種種類株式の一部を取得・消却することにいたしました。B種種類株式は総額57億5,900万円でありますが、そのうちの32億円相当分を2019年2月に取得し、同時に消却することといたします。

スライドの表のとおり、当初のC種種類株式は2017年6月に償還いたしましたが、今回の措置によりまして、さらにB種種類株式にかかる希薄化の可能性や配当負担が抑えられるなど、当社の財務課題の解消に向けて、さらに一歩進めていけるものと考えております。

今後の重点施策

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続きまして、今後の重点施策についてご説明申し上げます。16ページをご覧ください。スライドには、中期経営計画の3つの「G」のうち、成長戦略の推進に向けたGrowth、グローバル展開の強化に向けたGlobalに関する主な施策について、お示ししております。

それぞれ、計画に基づき推進を図っておりますが、主なものについて、主要施策のところでご説明を申し上げます。なお、これら「Growth」「Global」にかかる主要戦略として、昨年度以降、設備投資の意思決定を行ったものとしましては、まず「Uポリマー」の生産増強のための改造投資です。それから、ポリエステル高強力糸の設備増強です、

インドネシアのナイロンフィルム4号機の増設として3案件がありますが、それぞれ計画に沿って進捗しています。特に「Uポリマー」につきましては、2018年度内に収益貢献が見込めるとともに、ポリエステル高強力糸は2019年に、インドネシアのナイロンフィルムは2020年にそれぞれ稼働し、収益増に寄与するものと考えております。

主要施策の進捗①

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それでは最後に、中期経営計画に掲げました主要施策の進捗につきまして、要点のみご説明いたします。18ページをご覧ください。

まず、フィルム事業につきましてご説明いたします。インドネシア子会社のエンブレムアジアの設備増強の件は、先ほど申し上げましたが、足元は3号機のオーバーホールなどの影響で販売数量はやや減少しております。しかし、市場での需要は引き続き堅調な状況にあります。

バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」は、惣菜やレトルトコーン向けなどで、国内外で採用が大きく拡大し、売上高は前年同期比で2倍に拡大いたしました。また工業用ポリエステルフィルムは、シリコーンフリー離型ポリエステルフィルム「ユニピール」などの高付加価値品の拡販を進めており、売上高は前年同期比で1.2倍に拡大しました。

今後は、高層フィルムの分野におきましても、非食品用途への展開などを強化してまいります。

主要施策の進捗②

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次に、19ページをご覧ください。樹脂事業では、「アローベース」が接着剤としての密着性・耐水性・低環境負荷などに優れた機能を有し、太陽電池関連用途などに採用されておりますが、国内メーカー向けの太陽電池用途で需要が減少しつつあります。目下、新たなアイテムへの展開を進めております。

また、先ほど改造投資の話をしました当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」は、情報端末機器用途を引き続き好調に維持するとともに、海外向けの自動車部品用途の販売も増加し、前年に対して販売が大きく拡大している状況にあります。

主要施策の進捗③

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20ページをご覧ください。機能材セグメントにつきましては、活性炭繊維が中国を中心にVOC除去フィルターの販売で堅調に推移しており、中国だけでなく、欧米などへの拡販も進めております。また、ガラス繊維はとくに電子材料用途のICクロスにおいて、情報端末機器用途での需要が回復し、超薄物タイプなどの高付加価値品の販売が増加しています。

今上期は、海外向けの反射材料用途でやや伸び悩んだガラスビーズは、高精度ガラスビーズで自動車・電子部品・路面標示の各用途での展開を進め、さらなる高精度品の開発を進めるところであります。私からの説明は以上でございます。

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