多くの人にとって20代とは親元から離れ、金銭的に自立した生活をスタートさせる年代でしょう。仕事を始めたばかりで金銭的な余裕は多くないにもかかわらず、娯楽や自分への投資など出費が増えやすいというのも20代の特徴ではないでしょうか。

参考までに、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)」によると20代の金融資産保有額の平均値、中央値はそれぞれ321万円、77万円となっています。一方で、金融資産を保有している世帯に限定すると、平均値、中央値はそれぞれ524万円、300万円となります。

20代の間にしっかりと貯蓄プランを立てて実行する習慣をつけることができれば、今後も支出をコントロールしながらコツコツ貯蓄していくことができるでしょう。逆に無計画な浪費癖がついてしまうと、将来お金が必要なときに不足するという状況が生まれてしまうかもしれません。どのような貯蓄プランを立てて実行するのが良いのか見ていきましょう。

本当に必要な支出は何かを考える

「本当に必要な支出」とは、自分の設計した将来を実現化させるための支出のことです。そのような支出のタイプとしては「スキルアップのための支出」と「ライフサイクルにおける支出」の2つに大きく分けられます。

スキルアップのための支出は、自分が職業人生の中でどのような人材になりたいかということに関連してきます。たとえば「英語を使う部署に異動したい」のであれば、英語力改善のための教材や通学にお金を使うことが該当します。「数年後に会計士にキャリアチェンジしたい」「海外の学校に留学したい」ということでしたら、ダブルスクールや留学費用にまとまった金額が必要なので長期的な視点で資金計画を立てる必要があるでしょう。

このように、将来自分がなりたい社会人像を描いて、そこに到達するためにどのようなスキルや資格が必要なのかを把握することで、それらを習得するための期間や金額が逆算できます。そして、その金額を充当するために、月々の給与からいくら確保すれば良いか分かるはずです。

20代であればキャリアアップのための支出に過度な節約はすべきでないかもしれません。なぜなら多くの人が今後数十年仕事を続けていくということを考えると、活動的で自由な時間も比較的多いであろう20代のうちに自己投資をしてスキルアップをすることが重要だからです。

2つ目のライフサイクルにおける支出は、人生の重要イベントに伴う大きな支出のことを指します。たとえば、結婚式、養育費、住宅の購入などが挙げられます。それぞれにいくらお金をかけるかは個人の価値観に依るところが大きいかもしれませんが、どの程度の金額が必要かはインターネットなどで事前に調べて把握しておいたほうが良いでしょう。

貯蓄に「複利の力」を利用する