2018年11月20日に開催された、綜研化学株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:綜研化学株式会社 代表取締役社長 逢坂紀行 氏
綜研化学株式会社 執行役員 経営管理部長 滝澤清隆 氏
2019年3月期 第2四半期業績総括
逢坂紀行氏:代表取締役社長の逢坂でございます。本日はお忙しい中、当社の2019年3月期第2四半期決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。日頃よりみなさまには大変お世話になり、重ねて御礼申し上げます。それでは早速ですが説明に入らせていただきます。
はじめに、全体総括といたしまして、2019年3月期上期の実績及び通期の業績見通しの概要について、ご説明いたします。まず2019年3月期上期の業績につきましては、中国市場における大型テレビ用途をはじめとする液晶ディスプレイ関連分野での粘着剤の販売が伸びたことに加えて、堅調な国内設備投資を背景に、装置システムの受注が好調に推移したことなどから、売上高は計画を上回りました。
しかしながら、利益面では、計画の想定内ではありましたが、前期下期からの原油価格の高騰に伴う原料価格の上昇が大幅な減益要因となり、販売価格への転嫁を進めてきたものの、営業利益は計画の水準に留まり、前期に対しては残念ながら増収減益の結果となりました。
2019年3月期 通期業績見通し総括
2019年3月期通期の業績見通しについてです。液晶ディスプレイ関連分野での粘着剤の需要は、引き続き堅調に推移するものと見ておりますが、中国市場での特殊機能材や、加工製品の販売における価格競争の激化、新規案件の立ち上げの遅れなどから、下期に期待したほどの伸びが見込めず、加えて為替の影響もあり、ケミカルズの売上高は計画を下回る見通しです。
一方、装置システムは上期までの受注状況から計画を上回る見通しであり、全体としては計画通りの売上高を見込んでおります。また利益につきましては、原油価格や為替相場の変動による業績への影響が読み難い状況にはありますが、上期までの状況を踏まえますと、概ね計画の利益水準を確保できると見ております。
2019年3月期 下期取り組み
今後の主な取り組みについてです。中期経営計画「New Value 2019」で掲げた数値目標達成に向けて、液晶パネル工場の建設・稼働が急ピッチで進む中国での粘着剤製品の需要を確実に取り込み、シェアの拡大を図るために、中国・南京工場の安定した生産・供給・品質管理体制の確立を急ぐとともに、生産能力増強への投資を進め、競合他社に対する競争優位性をより強固なものとしてまいります。
加えて、今後採用が見込まれる新規案件に対応するため、フル稼働が続く国内生産設備の増強も進めてまいります。
また、加工製品事業で注力している中国自動車関連分野での環境配慮型製品による用途・顧客開拓など、シェアが低く、今後の成長が見込まれる分野での販売・開発体制を強化し、新規案件の獲得、早期立ち上げに向けた取り組みをより一層強化してまいります。
既存事業の規模拡大に向けた取り組みは、着実に成果を上げている一方で、当社グループが将来にわたり成長、発展し続けるためには、原油や為替など外部環境の変化に強い収益構造への変革を進める必要があり、グループ全体の生産性を高めることはもちろん、付加価値の高い新たな製品やサービス創出に向けた取り組みを加速してまいります。
まだ詳細を申し上げる段階にはございませんが、今後の成長が期待できる自動車・ヘルスケア・電子材料分野などをターゲットとする成長戦略を具体化するために、分野ごとのプロジェクトを立ち上げて、検討を進めております。
当社は2018年9月2日に創立70周年を迎えました。「小なりとも最優の会社となって社会に貢献しよう」という創業の精神を基に、独自の技術を追求し、市場や顧客ニーズに応じた価値を提供することで、成長を遂げてまいりました。
今後につきましても、技術・製品開発に磨きをかけ、事業領域の拡大に積極的に挑戦していきたいと考えております。
続きまして、2019年3月期の上期連結決算及び通期業績見通しの詳細につきまして、滝澤からご説明いたします。
2019年3月期 上期業績
滝澤清隆氏:経営管理部長の滝澤でございます。本日は決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。それではまず、2019年3月期上期の連結決算についてご説明いたします。
2019年3月期上期の業績につきましては、売上高はケミカルズ・装置システムともに販売が伸び、前年同期に比べ20億円増の156億500万円となりました。利益面では、原料価格の上昇による減益影響を大きく受けて、営業利益が1億800万円減の11億1,100万円。経常利益は為替差損7,800万を計上したことなどから、1億5,000万円減の10億6,700万円。当期純利益は1億2,400万円減の8億1,100万円となりました。
2019年3月期 上期セグメント別売上高
セグメント別の売上高につきましては、ケミカルズは液晶ディスプレイ関連分野での粘着剤、微粉体の販売数量が伸び、前年同期比15億8,500万円増の137億1,000万円となり、装置システムにつきましては、堅調な国内設備投資を背景に、設備関連の工事完成高が増加し、4億1,400万円増の18億9,400万円となりました。
2019年3月期 上期営業利益分析
次に、営業利益の前年同期に対する増減要因についてご説明いたします。粘着剤関連製品の販売数量が大きく伸びたことなどによる増益7億8,000万円がございましたが、原料価格の上昇による減益影響が8億3,000万円でした。
そして、販売数量の増加に伴う物流費用などで6,000万円増加したことなどにより、営業利益は1億1,000万円減少いたしました。
計画に対しましては、原料価格の上昇に応じた価格転嫁の遅れによる影響などがありましたが、経費抑制などのコスト削減に努めたこと等により、概ね計画どおりとなっております。
貸借対照表の状況
続いて、貸借対照表について、前期末と比較してご説明いたします。まず資産につきましては、売上高の増加に伴い、受取手形・売掛金が増加いたしましたが、現預金が減少したことや、設備投資が減価償却費を下回ったこと等により、前期末から10億100万円減少し、359億9,400万円となっております。
負債につきましては、支払手形・買掛金、未払税金などが減少したことや、長期借入金の返済などにより、9億800万円減少して、136億9,300万円となりました。純資産は、利益剰余金が増加したものの、人民元安の影響を受けて為替調整勘定が減少したことにより、9,200万円減の223億100万円となっております。
キャッシュ・フローの状況
次はキャッシュ・フローの状況でございます。営業キャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益と減価償却費により、17億2,000万円増加しましたが、運転資金の増加等により、4億3,000万円のプラスでした。投資キャッシュ・フローは、設備投資などにより3億4,000万円のマイナス。財務キャッシュ・フローは、配当金の支払いや長期借入金の返済などにより、6億5,000万円のマイナスとなりました。
現預金等の第2四半期末の残高につきましては、前期末に比べて6億2,700万円減少し、59億6,600万円となりました。以上が、2019年3月期上期の連結決算の概要でございます。
2019年3月期 通期業績見通し
続きまして、2019年3月期通期の業績見通しについてご説明いたします。2019年3月期通期の業績見通しにつきましては、米中貿易摩擦の影響や、原油価格・為替相場の動向など先行きが読みづらい状況にはございますが、現時点では下期におきましても、液晶ディスプレイ関連分野の需要が堅調に推移するものと見ており、売上高は前期比19億5,000万円増の320億円を見込んでおります。
一方、利益面につきましては、前期下期からの原料価格の上昇による減益影響が大きく、営業利益は前期比5,100万円減の26億円、経常利益は1億円減の25億円、当期純利益は6,400万円減の19億円を見込んでおります。製品構成の違いなどもございますが、売上・利益とも概ね計画どおりとなる見通しでございます。
なお、海外子会社を連結する際の為替換算影響として、前期に対しましては、売上高で約6億円、営業利益で5,000万円のマイナス(を見込んでおります)。計画に対しましては、売上高で約7億円、営業利益で6,000万円のマイナス影響を見込んでおります。
売上高・営業利益の推移
このグラフは、売上高と営業利益の推移を参考までにお示ししております。さらなる事業規模の拡大と収益性の向上に取り組み、中期経営計画で掲げた2020年3月期の数値目標の達成を目指してまいります。
2019年3月期 通期セグメント別売上高
セグメント別の売上高についてです。ケミカルズは、特殊機能材・加工製品において、中国市場での価格競争の激化などによる減収を見込んでおりますが、粘着剤が上期と同水準の販売が期待できることなどから、前期比14億5,400万円増の281億円(を見込んでおります)。
装置システムにつきましては、上期までの受注状況を踏まえて、4億9,600万円増の39億円を見込んでおります。
商品ユニット別売上高推移
このグラフは、商品ユニット別の売上高の推移をお示ししております。
粘着剤
続きまして、商品ユニット別の2019年3月期上期の概況と、下期の取り組みについてご説明いたします。粘着剤につきましては、中国市場での大型テレビ用途を中心に、液晶ディスプレイ関連分野での販売が、想定以上に伸びております。
今後につきましても、中国での大型パネル工場の建設・稼動状況や顧客の動きなどからさらなる需要の伸びが期待できる状況にありますので、中国・南京工場の生産能力の増強投資を急ぎ、シェアの拡大を図ってまいります。
また国内におきましても、電子材料や建材・自動車分野での需要が堅調に推移しており、加えて環境配慮型製品での新規案件の立ち上げが見込まれることや、新たな用途での製品開発テーマなども見えつつありますので、今後に備えてフル稼働が続く国内・山岡工場の生産能力の向上・合理化を進めてまいります。
微粉体
微粉体につきましては、中国光拡散フィルム用途でのシェアを伸ばし、販売数量が増加する一方、値下げ要請が強まっておりますので、グループ全体の生産供給体制の最適化、コストダウン等による生産性・収益性の向上に取り組んでまいります。
また、上期に電子部品関連用途での在庫調整の影響がございましたが、下期以降、需要の回復が見込まれますので、顧客対応に注力するとともに、既存製品で採用が見込まれる新規案件の立ち上げや、将来の有望分野での新製品開発・展開にも注力してまいります。
特殊機能材
特殊機能材につきましては、中国・電子回路材料用途でのコスト要求が厳しく、下期の需要の伸びも期待しにくい状況にあることから、通期の売上高は、前期を下回る見通しです。
今後につきましては、中国市場での既存製品による新たな用途・顧客開拓に注力するとともに、環境配慮型製品による建材分野などでの新規案件の早期立ち上げや、樹脂改質剤・添加剤としての新たな用途開拓に向けた分析・評価技術の充実などに取り組んでまいります。
加工製品
加工製品につきましては、スマートフォンや家電分野での価格競争が厳しさを増していることや、梱包資材・電子機器用途等での新規案件の立ち上げが遅れていることなどから、通期の売上高は前期計画を大きく下回る見通しです。
今後、中期経営計画で掲げた販売目標の達成に向けて、遅れている梱包資材用途などでの新規案件の早期立ち上げに注力するとともに、最注力分野である中国自動車市場への本格参入を果たすために、採用実績を上げつつある環境配慮型製品の開発・販売体制を強化し、製品ラインナップの充実、新たな販売網の構築に注力してまいります。
また、本年度より事業統合したナノインプリント事業につきましては、中国市場での販売網の強みを活かした事業展開を進めてまいります。
装置システム
装置システムにつきましては、前期に続き設備関連の受注が好調に推移しており、通期の売上高は前期を上回る見通しです。受注工事の進捗管理・展開管理を徹底し、利益確保・収益性の向上に努めてまいります。
今後につきましては、環境変化に強い安定的な収益基盤を構築するために、独自技術を用いた設備診断サービスの拡充、顧客情報管理の徹底により、メンテナンス・熱媒体油など、継続的な収益を見込める事業分野での取り組みを強化してまいります。
海外売上高比率推移
海外売上高比率でございます。今期は国内・海外ともに売上が伸びる見通しであり、概ね前期並みの52.3パーセントになる見通しです。
設備投資・減価償却費
最後に、設備投資・減価償却費についてご説明いたします。今期の設備投資は国内での工場合理化、老朽化設備の更新などで約35億円を計画しておりましたが、エンジニアリング会社などの選定が難しい状況を踏まえて、投資内容・スケジュール等を見直した結果、計画に対して14億円減の約21億円になる見通しです。これにより、減価償却費は16億4,000万円の計画に対して、1億9,000万円減の14億5,000万円を見込んでおります。
なお、今後の大型設備投資として、国内・浜岡工場の生産能力の増強・合理化や、中国・南京工場の生産能力の増強、倉庫などの物流関連設備の増設等を予定しており、合わせて約40億円程度になる見通しです。
以上をもちまして、2009年3月期上期の連結決算、通期の業績見通しの説明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。