2018年11月1日に行われた、双日株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:双日株式会社 代表取締役社長 藤本昌義 氏
2019年3月期 第2四半期決算サマリー
藤本昌義氏:当社の2019年3月期第2四半期の決算について、説明させていただきます。
決算のポイントは、次の2点となります。まず1つ目は、当期純利益が順調に進捗。上期での石炭等の資源価格の上昇と取扱数量の増加を反映し、通期純利益見通しを630億円から700億円へ上方修正しました。
上期が好調であった背景として、外的要因・内的要因がそれぞれありますが、外部環境においては、底堅い消費を背景に、先進国・新興国ともに世界経済は堅調、緩やかな成長が持続しています。商品市況については、石炭をはじめとした資源価格の高止まりが、当社収益を押し上げる結果となりました。
一方で、米中の通商問題や為替、商品市況の新興国経済に与える影響等、継続して注視が必要な状況でございます。
2点目は、同時に当社がこれまで取り組んできた、非資源を中心に前中計で実行した新規投融資の収益化が進んできたことがあります。
2019年3月期 第2四半期決算(当期純利益)
上方修正したことに伴い、一部のセグメントにおいて、通期見通しの見直しを行いました。
金属・資源セグメントについては、上期での市況実績を反映し、上方修正を行いました。食料・アグリビジネスセグメントについては、海外肥料事業の上期販売低迷を織り込み、下方修正をしています。
他のセグメントについては、下期に収益が偏る機械・医療インフラセグメント、産業基盤・都市開発セグメントを含め、おおむね堅調に推移しており、期初の見通しを変更していません。
実行済み投融資からの収益貢献
中計2017および今期の実行済みの投融資からの収益貢献について、上期での進捗を説明いたします。
中計2017で実行済みの投融資からの収益貢献については、計画どおりに進捗しています。スライドでは、上期に収益貢献した主な事業を示しており、収益寄与としては30億円程度となりました。
中計2020で、上期に実行済みの新規投融資は480億円と、3ヶ年累計での投融資見込みに対しても計画どおりに進捗しています。収益貢献についても、今期見通しの20億円程度は、下期にかけて本格化する見込みでございます。
引き続き、実行済みの案件の収益化を加速・拡大するとともに、着実なさらなる成長に向けた投資を継続してまいります。
中期経営計画2020 初年度における取り組み(その1)
期初に申し上げたセグメント別の取り組み方針とその実績例について、いくつかご説明申し上げます。
自動車本部では、昨年度買収した米国部品検査事業会社が今期より収益化し、また、ディーラー事業の横展開により、安定収益基盤を拡大させました。さらに、IoT技術を活用した次世代への取り組みの1つとして、今期、コネクテッドカー関連事業への取り組みを開始しました。新規領域も対象とした機能の獲得、活用による収益化強化を目指していきます。
航空産業・交通プロジェクト本部では、パーツアウト事業だけでなく、ビジネスジェット事業の立ち上げ、空港運営事業への参入等、航空機ビジネスの拡充による新たな収益基盤の構築が着実に進んでいるほか、2013年より手がけているインド貨物鉄道敷設案件においても、2021年の完工に向け進行しています。
機械・医療インフラ本部は、昨年度に投融資実行したトルコ病院PPP案件の建設が、2020年の開院に向け遅滞なく進行しています。また、プラント分野では、タイのエンジニアリング大手のTTCL社への出資を実行。同社の機能を最大に活用し、アジア地域における新たな案件機会の拡大と受注確度の向上を図ってまいります。
中期経営計画2020 初年度における取り組み(その2)
エネルギー・社会インフラ本部は、米国2件目となるガス火力発電事業に参入。本案件はすでに運転を開始しており、また、米国1件目の案件も来年度に運転を開始します。来年度から、収益に貢献する見込みでございます。
再生可能エネルギー事業では、上期にアイルランド陸上風力案件と国内太陽光の新規案件2件、下期にはチリ・メキシコでの太陽光発電事業の運転開始を予定。発電事業は、低炭素社会の実現を意識した取り組みを継続してまいります。
金属・資源本部では、新たな社会ニーズへの対応として、当社が手がけている鉄鋼副原料であるニオブの新用途として、次世代EV電池材料の開発へ参画しました。ニオブの安定供給を通じ、事業基盤を支えるとともに、環境負荷低減にも貢献する持続的な成長を目指していきます。
石炭では、高品位原料炭であるGregory Crinum炭鉱の獲得を実現しました。現在、炭鉱は休止中ですが、早ければ来年(2019年)半ばから生産を再開いたします。また、同炭鉱の付帯設備を活用した周辺炭鉱の開発だけでなく、当社が持つ炭鉱運営機能を活かし、今後重要となってくる炭鉱終掘後のリハビリ請負事業等、社会ニーズに対応、かつ市況に左右されない事業への展開も目指していきます。
中期経営計画2020 初年度における取り組み(その3)
食料・アグリビジネス本部は、肥料事業以外の収益の柱を作るために、ベトナムの食料・アグリビジネス大手PAN社に出資し、同社との戦略的業務提携のもと、同国内や海外での事業拡大の加速を図ります。引き続き、東南アジア域内の旺盛な需要だけでなく、先進国からのニーズも捉え、消費者のよりよい生活の実現に貢献したいと考えています。
リテール・生活産業本部は、ベトナムの大手製紙会社、サイゴンペーパーへの出資を実行いたしました。成長著しいベトナムにおいて、段ボール用紙など産業紙や家庭紙のニーズの高まりがあり、今後も安定的な需要拡大が見込まれます。すでに社長以下6名の人員を派遣し、経営の執行を行っていますが、2019年度からの本格的な収益貢献を期待しています。
2019年3月期第2四半期実績 フリー・キャッシュ・フロー
キャッシュフロー・マネージメントについては、この第2四半期では、新規投融資および回収を計画どおり実行し、基礎的キャッシュフロー・フリーキャッシュフローともに黒字でマネージしています。期末に向けても、キャッシュフローのコントロールは変わらずに行ってまいります。
ESG評価
非財務の取り組みについては、統合報告書や当社Webサイトなどでご紹介させていただいていますが、2018年度においては、世界的なESG指標であるFTSE・DJSIの対象銘柄への新規組み入れが決まりました。
また、G20・金融安定理事会のもとに発足したタスクフォースであるTCFDの最終提言に対しても、(2018年)8月に賛同表明を行っています。引き続き、非財務情報の発信にも力を入れてまいります。
配当政策
最後に、当社の配当についてご説明いたします。
配当方針は記載のとおりで、現中計期間においては、配当性向を30パーセント程度としています。2018年9月期決算では、中間配当額を7.5円、当期の1株当たり配当額を15円と、期初の見通しを変更していません。
年間配当額については、今後の資源価格および経営環境が業績に与える影響を考慮し、期初予想を変更していませんが、連結配当性向30パーセントという配当方針はまったく変えておらず、また、資源価格の上昇による増益分は、配当原資から除外するという考えはございません。
以上で、私からの説明を終わります。