乾汽船、2Qは増収増益 外航海運事業は業務合理化等により赤字縮小に貢献

2018年11月21日に行われた、乾汽船株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:スピーカー:乾汽船株式会社 代表取締役社長 乾康之 氏

第2四半期連結売上高

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乾康之氏:それでは、私から説明をいたします。上段円グラフが第2四半期連結売上高、下段の棒グラフが連結営業利益でございます。第2四半期の売上高です。左から2016年度、2017年度、2018年度です。外航海運事業は前年に比し1.32倍、2016年度実績比では1.64倍の回復でございます。海運市況は緩やかな回復基調を維持しております。

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倉庫・運送事業は、増減要因はさまざまありますが、結果としては概ね横ばいでした。不動産事業は、安定稼働で好調を維持しており、大きな増減はございません。

下段の営業利益は、不動産収益が安定して牽引しております。外航海運事業は、2016年度比10億円、2017年度比3億円の赤字縮小となりました。市況の回復もございますが、減価償却費の減少、長期借船差損の縮小、効率配船を含む業務合理化の効果など、複合的な要因が赤字縮小に貢献しております。

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通期連結売上高

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こちらは通期の数値でございます。上段が通期連結売上高、下段が連結営業利益です。通期の売上高についてご説明します。左から2016年度実績、2017年度実績、2018年度は業績予想でございます。外航海運事業は、前年に比し1.18倍の見込みです。倉庫・運送事業は、第2四半期と同じく、小さな増減要因はさまざまあるものの、概ね横ばいでございます。不動産事業の安定稼働には、大きな変化を見込んでおりません。

下段の営業利益についてご説明いたします。不動産収益が修繕費増加による影響で微減しておりますが、安定して牽引しております。外航海運事業では、2016年度比プラス27億円、2017年度比プラス1億円と、赤字縮小が継続する見込みです。

外航海運事業①

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外航海運事業について説明いたします。当社船隊に準じた28型・38型・52型のスポット傭船の指標を、オレンジ色・赤色・紫色の折れ線で示しております。当社の船費であるOPEXを青い線、当社のチャーターベースを緑の線で表しております。

チャーターベースは、収入から運行費を引いた利益を稼働日数で割ったものです。スポット傭船料は、先に説明しましたオレンジ・赤・紫の折れ線とほぼ同じ目線の指標となります。緑の線から青い線を引いたものが、償却前の粗利を示します。

2017年度から、市況は堅調な荷動きを背景に、緩やかな回復基調を維持しております。OPEXは、バラスト水処理装置の設置にかかる修繕費の増加について、当初の見通しでは資産計上しておりましたが、会計の方針が定まったことにより、費用計上に変わったものです。このことにより、昨年度より高く推移しております。

外航海運事業②

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右側に2018年9月末時点の、当社の船隊構成がございます。カッコの中は、船主から借り受けている、他社保有の船の数が書いてございます。2016年3月末で12隻であった長期の借船は、2018年9月末時点で6隻まで減少しております。

左側円グラフは、主要輸送品目です。穀物、石炭、セメントが主体であることに変わりはございません。穀物は、アメリカ、カナダ、オーストラリアから日本、中国へと運ぶ航海が主体です。石炭は、インドネシア、ロシア、オーストラリアから日本へと運ぶ燃料炭です。一方、日本発はセメントとスラグで、主としてシンガポールへと運んでおります。

また、最近力を入れております木材輸送が増加しており、オーストラリア、ニュージーランドの木材を、主に中国へ運んでおります。

倉庫・運送事業

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グラフは、倉庫業における代表的な荷主の売上と利益率の月次推移です。2017年度平均をピンク、2018年度上期の平均をオレンジのひし形で示しております。売上高・利益率ともに昨年度より増加しており、全体最適化施策の効果が現れております。

不動産事業

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不動産は引き続き、総じて好調です。当社では前年度同様、主たる4物件のみならず、すべての施設賃貸条件について見直しを行っております。極端な値上げ、賃料改定を行えないことを前提としていますが、適正を欠くことがない賃料設定を行っており、安定した高稼働を実現しております。

連結貸借対照表

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最後にバランスシートです。カッコ内の比較数値は、2018年3月末の数値です。1隻の中古船舶および、文書保管倉庫用地の取得により、固定資産は約17億円の増加、現金および預金は約5億円の減少です。借入金は約15億円の増加です。純資産の減少並びに自己資本比率の低下は、赤字の影響となります。

トピックス

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トピックスです。最初にロジスティクス大賞2018の経営革新賞受賞、次に外航海運事業におけるSOx規制の対応、最後に中期経営計画の進捗です。

①ロジスティクス大賞2018 経営革新賞受賞

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公益社団法人、日本ロジスティクスシステム協会では、ロジスティクス推進に向けて優れた実績を挙げた企業を表彰する、ロジスティクス大賞を設けております。2018年度、当社はサプライチェーンで取り組む配送効率化「バラちらし」で、ロジスティクス大賞経営革新賞をいただきました。本ページ以下、その概要につきご案内いたします。

今回栄えある賞を受賞させていただいた試みは、物流クライシスが社会的な問題となっている昨今、配送のムラをバラして散らす「バラちらし」を、サプライチェーン全体で推進しようというものです。挑むべきは、配送のムラを均すことです。

現場からの気づき

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積み重ねてきた改善活動で鍛えた気づきを、納品先の現場で発揮することで、時間的余裕と空間的余裕の2つを探し出すことから始めました。

Solution

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その結果、時間指定を減らす余地が小さくないことを探り出すことができたのです。「バラちらし」が機能すれば、配送に使う車両を2割近く減らせる可能性があります。

Action

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我々が配送する荷物は、日本製紙さまの商品です。この紙製品の商流は、日本製紙さまとそのお客さまとの商談で決まるわけですが、商品の配送条件もこの商談に含まれるのです。ですから、日本製紙さまが納品先に、商流条件の変更を申し出ることはたいへんなことです。

そこで、我々物流業者から現場の目線で、時間指定を減らしながらも、納品先にかけるご迷惑を小さくできる提案をさせてもらうことになりました。この「バラちらし」提案は、私どもが提案したすべての納品先で受け入れていただけました。まさにサプライチェーン全体で物流クライシスに立ち向かった事例として、ロジスティクス大賞で経営革新賞をいただく栄誉を授かりました。

また、多大なるご支援をいただいた日本製紙さま、そのお客さまである納品先のみなさま方からお褒めの言葉をいただいたことは、私どもには大きな喜びであります。今後も全体最適を目指す改善活動で、さらなる精進を重ねてまいります。

②SOx規制対応

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SOx規制対応です。今から1年少しあとの2020年1月1日より、船舶からの排気ガスの中の硫黄分濃度を、現状の3.5パーセント以下から0.5パーセント以下とする、国際的な規制強化が始まります。この規制の対応には、大きく2つに分かれます。

1つは、硫黄分を取り除く脱硫装置スクラバーを船舶に取り付ける。もう1つは、そもそもの燃料油を、硫黄分が少ない適合油とする。この2つでございます。問題は、脱硫装置スクラバーも適合油も、どちらもが高いことです。脱硫装置は、既存船に取り付けるには概ね1隻あたり300万ドルですから、3億円以上のコストがかかります。適合油は、現在ですとトンあたりで250億ドル程度の価格差がございます。

これがどの程度船の航行に影響を与えるかといいますと、当社の例では、上段の表の右側でございます。保有船21隻で1日で5万ドル、年間では1,800万ドルのコストアップになります。先にご説明した5ページのグラフで言うところの、3色の折れ線のスポット傭船料や、当社のチャーターベースに換算しますと、1日あたりで2,000から2,500ドルの影響がありそうだということです。

このたいへんに大きな影響を1年後に控え、私どもは資源の安定した輸送という、当社の社会使命を全うすることを前提に、脱硫装置スクラバーの設置が良かろうという判断をいたしました。大きな設置コストがかかりますが、当社には船を大切に長く使うというご長寿お達者の考えがございます。燃料油の価格差の将来動向は予測し難いものの、投資に見合う回収は行えるであろうと考えております。

しかしながらこの脱硫装置は、物理的にも大きな装置でして、小さなばら積み船には搭載ができません。比較的早期に脱硫装置設置の検討を始めたこともあり、先例を加味して装置搭載の是非判断を1隻ごとに行い、8隻の既存船に装置搭載を行うという結論を出しております。

加えて、現在発注しております3隻の新造船にも脱硫装置設置を決めており、2020年の規制開始前には新造スクラバー船が竣工します。既存船に装置を搭載するレトロフィットは規制前には完了しませんが、8隻のレトロフィット、3隻の新造船に加えて、さらなる整備も計画中です。これらのスクラバー船を、効率配船を可能とする当社の「Vessel Information Board」を駆使して、当社使命の全うと差別化戦略を同時に進めてまいります。

③中期経営計画の進捗

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最後に中期経営計画の進捗です。上段は、売上高推移とその比較です。2018年度予想値は、計画最終年の2019年計画値を上回っており、概ね順調に想定の範囲を推移しております。中段は、営業利益推移とその比較です。2018年度の予想値は計画値を上回っておりますが、売上高とは違って2019年度計画値には届いておりません。

下段の当期純利益およびROEにつきましても、営業利益と同じく計画値を上回るものの、年度計画には届かずとなっております。現在のところ、概ね想定の範囲で順調な進捗と理解しております。

ただし、先に述べましたように、来年度から始まる環境規制、また偏在する資源の輸送といえども国際間輸送であることから、貿易戦争の影響を少なからず受けるものと思われます。予断を許さないながらも、目線を少し先に置いた差別化戦略と、倉庫・物流、不動産の安定力で、計画の達成に注力してまいります。

私からの説明は以上でございます。

記事提供:ログミーファイナンス

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