半導体メーカー大手のインテルは、2019年も高水準の設備投資を継続する構えだ。メモリーを中心に主要半導体メーカーが軒並み19年の設備投資金額を前年比減少させるなか、大手企業のなかでは唯一気を吐く。CPUの供給不足解消に向けた先端ロジック投資を継続するほか、独自の不揮発性メモリーである「3D-Xpoint(3DXP)メモリー」の新拠点設立も進める。

18年売上見通しも上方修正

 インテルは大手半導体メーカーのなかでも、足元では設備投資拡大を推し進める数少ない企業の1社だ。年初計画140億ドルからガイダンスを2度引き上げ、現在は155億ドルを計画している。18年通年売上高も、最新の予想では年初計画の650億ドルを大幅に上回る712億ドル(前年比13%増)を見込んでおり、業績見通しは明るい。

 18年9月28日には、同社の暫定CEOであるBob Swan氏が書簡を発表。CPU供給不足を説明し、これを解消するために10億ドルの追加投資を行うと表明した。現在、主力工場のアリゾナ、オレゴン、アイルランド、イスラエルにおいて14nmの能力拡張に向けた投資を行っている。

 12月17日には改めて、製造戦略に関する進捗状況を報告。オレゴン(D1D/D1X)、イスラエル(Fab28)、アイルランド(Fab24)でファブスペースの拡張計画を行うことも明らかにし、19年から複数年にわたって投資が行われる見通しだ。

 同社によれば、クリーンルームが追加されることで、供給能力増加に向けたリードタイムを約60%短縮することができるという。また、今回の投資は自社製品向けの生産能力だけでなく、注力するファンドリー事業にも充てていく考えだ。

 アリゾナ州の「Fab42」に関しても投資計画を実行に移していく。Fab42はもともと14nmの量産工場として13年末に工場建屋が完成していたが、需要の低迷や微細化スケジュールの遅れなどにより、稼働を延期していた。

 17年2月にはFab42の投資を再開すると発表。7nmの主力工場として70億ドル以上を投じ、3~4年後の生産開始を目指すとしていた。7nmプロセスではEUVリソグラフィーが適用される見通しで、19年から設備導入が本格化することになりそうだ。

ニューメキシコを次世代メモリー工場に

 加えて、今回新たにニューメキシコ(Fab11X)でも、3DXPをはじめとする次世代ストレージならびにメモリーの開発・量産を行うことを決めた。同工場はもともと45/32nm世代のMPU生産などを手がけていたが、今後はメモリー量産拠点として生まれ変わることになる。

 インテルはもともと、3DXPにおいて米マイクロンテクノロジーと協業し、ユタ州リーハイにあるIMフラッシュテクノロジーズ(Fab2)で合弁事業として量産を行っていたが、18年10月に合弁解消を発表。同工場は今後マイクロンの100%子会社として運営され、インテルは生産委託のかたちを取り供給を受ける。契約では最大1年間、マイクロンはインテルに対し、3DXPのウエハーを販売することが決められているが、新たにインテル自らが自社拠点を設ける可能性が指摘されており、今回ニューメキシコでの立ち上げが決まった。

 インテルの19年設備投資金額は明らかにされていないが、現在の投資計画を考慮すれば、前年比で横ばい~増加は十分に期待できる状況といえそうだ。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳