2019年は要注意。世界経済の減速を予感させる

2019年1月4日、大発会を迎えた東京株式市場で、日経平均株価の終値は2018年末より452円81銭安の19,561円96銭となりました。大発会が下落となったのは2016年以来3年ぶりです。取引時間中には一時、700円超も下げる場面もありました。

大きなきっかけとなったのが「アップルショック」です。米国2日夕方(日本時間3日朝方)米アップルが、中国での販売低迷などから、2018年10~12月期の売上高を下方修正しました。そこから投資家のリスク回避の動きが加速し、為替相場では円が安全資産として買われました。薄商いだったこともあり、3日の朝方には一時、一時1ドル=104円台と短時間の間に5円近く円高になる局面もありました。波乱を予感させる幕開けとなりました。

2019年の相場の動きはどのようになるでしょうか。懸念されるのは世界経済の行方です。アップルの例以外にも、中国の実体経済が後退しつつあることが感じられます。中国の国家統計局が昨年末に発表した18年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、景況感の判断となる50を割り込み49.4に下がっています。

また、これまで世界経済を引っ張ってきた米国経済も楽観はできません。米国経済の好調は、トランプ政権による大型減税や歳出拡大などが下支えしていました。しかし、2018年11月の中間選挙で民主党が下院で過半数を奪還したことから「ねじれ議会」となっており、これまでのように刺激策を打ち出すのが難しくなりそうです。さらに、メキシコとの国境の壁の建設費を巡る予算で与野党が対立し、政府機関の一部閉鎖も続いています。

このほか、米中貿易摩擦も長期化が予想されています。英国の欧州連合(EU)離脱の問題もあります。

国内では、10月1日に消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。食品などの税率を軽減する制度も導入され、経済全体へのマイナス影響はさほど大きくないという声もあるものの、現場での混乱は起こりそうです。一方で、5月1日には30年ぶりの改元が控えることから経済効果も期待できます。

国内ではゆるやかな景気拡大が続き、企業の業績も堅調です。それにもかかわらず、外的要因に振り回されて、株価に反映されていないのが実情です。相場のボラティリティが高い中で、個別銘柄を物色する1年になるかもしれません。

長期的には目線は上だが、調整局面になることも