「貯蓄はみんな、どのくらいしているものなの?」と疑問に持つ人も多いのではないでしょうか。そうはいっても、お金の話は仲の良い友人でも聞きにくいものです。今回は厚生労働省の公開データをもとに、みんなの貯蓄額を、自分でも手触り感があるように年齢別に見てみましょう。ご自身の年齢を重ね合わせながら読み進めていただければ幸いです。

では、早速データをみていきましょう。

年齢別にみる平均貯蓄額はいくらくらいか

みんなの貯蓄額のデータなどあるのかとお考えの方もいるかもしれません。

厚生労働省はそうした家計のデータについて開示をしてくれています。同省による「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況」では、全体及び年齢層別の平均貯蓄額を開示しています。

全体の貯蓄額と借入額

平成28年の平均貯蓄額は1世帯当たり1031万円、平均借入金額は430万円になっています。

貯蓄額から借入額を差し引いた「ネット貯蓄額」はプラスとなっています。

ネット貯蓄額は以下のように計算をします。

ネット貯蓄額=貯蓄額-借入額

ネット貯蓄額がプラスの場合には貯蓄が借入を上回り、マイナスの場合には借入が貯蓄を上回る状態を表します。

29歳以下の貯蓄額と借入額

29歳以下の平均貯蓄額は1世帯当たり154万円、平均借入金額は263万円になっています。

ネット貯蓄額はそれほど大きな数字ではないですが、マイナスとなっており、借入金額の方が貯蓄額よりも多くなっています。

30~39歳の貯蓄額と借入額

30~39歳の平均貯蓄額は1世帯当たり403万円、平均借入金額は865万円になっています。

ちなみに、ここでみた30代の平均借入金額が年齢別に見た際にもっとも多い金額となっています。こうした背景には住宅ローン等を抱える層が30代に多いことが原因であると考えられます。

また、30代ではネット貯蓄額のマイナス状態が20代の状況よりも拡大しています。これも貯蓄が増える一方で、それ以上に借入が増えていることによるものです。

40~49歳の貯蓄額と借入額

40~49歳の平均貯蓄額は1世帯当たり652万円、平均借入金額は862万円になっています。

ネット貯蓄額も40代でもマイナスの状態です。

平均借入金額は住宅ローン返済中の可能性もあり、高止まりしていますが、働き盛りの年代も関係しているのでしょうか、収入が増加する等から貯蓄額が増加していると考えられます。

50~59歳の貯蓄額と借入額

50~59歳の平均貯蓄額は1世帯当たり1049万円、平均借入金額は581万円になっています。

50代に入るとネット貯蓄額はプラスに転じています。40代のネット貯蓄額がマイナスの状態と比べると大きな変化といえます。

また、平均貯蓄額が1000万円の大台に達しています。

60~69歳の貯蓄額と借入額

60~69歳の平均貯蓄額は1世帯当たり1337万円、平均借入金額は251万円になっています。

60代もネット貯蓄額は大きくプラスとなっています。

60代には通常であれば、定年退職の年齢でもあるでしょう。60歳定年に合わせて住宅ローンを完済している層も多いかと思います。

また今回のデータの中では、60代の平均貯蓄額は全年代別でトップとなっています。

70歳以上の貯蓄額と借入額

70歳以上の平均貯蓄額は1世帯当たり1260万円、平均借入金額は134万円になっています。

70代と60代からしばらく時間が経過していますが、ネット貯蓄額は当然ながらプラスを維持しています。

しかし、定年後、貯蓄を取り崩し始めていることが分かります。

老後資産はいくら必要なのか

今回のデータでは、60代と70代はネット貯蓄額で1000万円を超えることがわかりました。1000万円ときくと大きな金額ですが、のび続ける可能性のある老後はこの金額で十分なのでしょうか。

求める生活水準は人それぞれ異なるでしょうし、家族構成や持家かどうかなども、日常的な支出が老後において異なる要素となってくるでしょう。

必要な老後資金で「1億円説」のような、ビックリする金額も飛び出す老後資金領域ですが、老後での選択肢をより多く持つために、勤労世代に資産形成はしっかりしておきたいものです。

参考にした資料

厚生労働省「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況」

LIMO編集部