2018年11月5日に行われた、ソフトバンクグループ株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長 兼 社長 孫正義 氏

Sprint コスト削減(サービス原価+販管費)

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孫正義氏:スプリントも買収してしばらく、大変苦しみました。しかし、我々は弛まぬ努力で毎年毎年着実に人員を削減し、経費を削減し、しっかりと耐え抜いてまいりました。

Sprint 調整後EBITDA

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結果、EBITDAはソフトバンクの支配下になってから、毎年着実に伸びていったわけです。

Sprint 営業利益

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営業利益も、毎年着実に伸びていったわけです。私は言い訳が大っ嫌いなんです。ですから、「苦しいから」と言って、いろんな言い訳で減益するのは嫌なんです。

いくらスプリントが苦しくても、ちゃんと経費をコストダウンしながら、営業利益を毎年しっかりと積み上げてまいりましたし。

平均ダウンロード速度

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ネットワークも今一番著しく改善して、ネットワークの通信速度ももっとも速くなってきたのが、スプリントであります。

Sprint 2018年度 見通し

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ということで、これまた言い訳抜きで利益を増やしながら、設備投資も、行いながらネットワークを改善して(いこうと考えています)。

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でも、スプリントにとって一番大切な大きな流れは、スプリントを買収した第1日目から考えておりましたメイン戦略であります、Tモバイルとの合併であります。

第1日目からの悲願でありました。この度、この悲願は達成されるのではないかなと信じております。なぜそのように信じているのかと言うと、スプリントとTモバイルが力を合わせて、世界でもっとも進んだ5Gのネットワークを作る。力を合わせるからできるんだ。

力を合わせて、世界でもっとも進んだ5Gのネットワークを、スプリントの持っているスペクトラムとTモバイルが持っているネットワークを足すことによって、世界でもっとも最先端の5Gネットワークを作れる。そうすることによって、地方での通信のつながりも良くなる。

また、これを行うことによって多くの雇用が創出される。多くの雇用が創出されるということは、現在の米国の政権にとってもっとも重要なポリシーの1つであります。それに真正面から、我々は答えていく。その大きな強いネットワークを作ると、設備投資を行うわけですから、このネットワークを埋めねばならない。

ネットワークを埋めるためには、しっかりと価格競争を仕掛けて継続して……今アメリカで価格競争を仕掛けているのは、スプリントとTモバイルであります。この流れを止めることなく、さらに加速させながら展開していく。

これは、米国の国民の利益に適っているということで、我々は合併の承認がおりるのではないかと最近自信を深め、強くそのように思っています。

ヤフージャパン 広告収入

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次に、ヤフージャパンです。

ヤフージャパンの事業メインは広告です。この広告が、しっかりと毎年伸びています。また、最近のもう1つの事業の柱はEコマースです。

ヤフージャパン Yahoo!プレミアム 会員ID数

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こちらも着実にプレミアム会員ID数を増やしながら、ショッピングの取り扱いも毎年着実に伸びております。

ヤフージャパン ショッピング事業 取扱高

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ということで、今ヤフージャパンの収益はPayPayをはじめとして、新規事業の顧客開拓のために健全で積極的な投資として、費用を使っております。その分、減益をしております。しかしそれは、健全な減益だと私どもは捉えております。ぜひ、ヤフージャパンも伸ばしていきたい。

arm armベースチップ出荷数

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さらに、armであります。armのチップの数が、急激に伸び続けています。

arm マーケットシェア(通信インフラ向けプロセッサー)

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マーケットシェアも、モバイルはもうすでに、ほとんどarmの状況になっておりますが。

arm 高性能プロセッサー群を発表

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それ以外のところも、armが急激にシェアを伸ばし。

arm IoT1兆個時代のインフラへ

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端末側のarmに加えてネットワーク側、クラウド側のarmということで、両方をarmで抑える。

arm 2018年度 見通し

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IoTがこれから一気に伸び、それがAI化されていくことにもarmはしっかりと取り組んで、研究開発・人員を増やしながら、これまた攻めの投資を行っています。

SoftBank Vision Fund

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最後に、Vision Fundのご報告をしたいと思います。

Vision Fundは闇雲に投資するのではなくて、1つのテーマに向かって投資を行っています。

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AIです。Vision Fundは、AIで群戦略を展開したい。こういうものであります。

20年前に、インターネットが始まりました。今まさに、AIが本格的に、これから単なる研究開発のものではなくて、事業・サービスのものとして広がろうとしております。ここに、我々は群戦略を展開すると。

SoftBank Vision Fund 67社

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1年半前スタートした時は、ここにはまだまったくと言っていいほどなかったわけですが、すでにパイプラインの会社も含めて、ユニコーンが67社になりました。

この2年弱で、67社ものAIを中心としたユニコーングループを構築したと。(これを成し遂げたのは)世界で我々のみだと思っております。

これらの会社が、先ほど言いましたように、日本にも続々とジョイントベンチャーというかたちで上陸していくわけです。それは、Yahoo!のアメリカに我々が出資をし、日本にYahoo! JAPANというかたちでジョイントベンチャーで上陸したのと同じようなやり方で、これから続々と広げていくわけであります。

WeWork メンバー数

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まず、WeWorkですけれども。

(SoftBank Vision Fundのご説明を)1社ずつやると48時間ぐらいになりますけれども、代表的なもの、今まであまり説明したことのないものも含めて、いくつか申し上げたいと思います。

WeWork エンタープライズメンバー比率

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WeWorkは、伸び続けております。

WeWork 展開国/展開都市/オフィス数

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伸展してます。都市の展開、オフィスの数も急激に増えています。

WeWork AI活用

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AIを使って、そのサービスがどんどんと広がってきております。

Coupang 売上高

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Coupangは、韓国でのAmazonに相当する会社であります。

韓国でのEコマースで圧倒的No.1で、しかも急成長しております。こちらで、我々はすでに筆頭株主ですけれども、さらに彼らを強く深くバックアップしていきたいと思っています。

Coupang AI活用

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彼らもAIのパワーを、今どんどん使い始めているんです。

Tokopedia

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Tokopediaは、インドネシアの圧倒的No.1のEコマースであります。

Tokopedia 総取扱高(GMV)

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こちらも急激に伸びています。

Tokopedia AI活用

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彼らも、AIのパワーを使っております。

Paytm 総取扱高

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Paytmは、インドでのペイメントサービスで圧倒的No.1になります。もうすでに、この上期で約4兆円の取扱高になっております。急激な勢いで伸びています。

Guardant

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それから2、3週間前に上場したばかりの我々のグループの会社があります。Guardantです。

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こちらは、AIの力を使って人間の血液検査を行うことによって、DNAの解析を行います。DNAの解析を行って、その人のがんの細胞をいち早く、より詳しく検知するというものであります。

従来、DNAのシーケンスというものはあるわけですけれども、暗号のようなものであります。この暗号のようなものを見て、人間の目でその暗号のようなDNAの解析のなかで、どんながんが、その人の体にどのぐらいの進行状況で現れているのかということを、人間の目で識別するのは、ほぼ不可能でありました。

だからこそ、これはコンピューターが、人工知能が、マシンラーニングで解析するわけです。そういうことを行うことによって、従来は人間のがん細胞を精研して、針を刺して細胞を採って、それを顕微鏡で見てがん細胞を発見するわけですけれども。そうではなくて血液で、血液のなかに流れてくるがんのかけらを見つけて、がんを診断すると。

Guardant 導入率(米国)

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これがすでに、全米の27ヶ所のがんセンター……100パーセントに入りました。Guardantが、その標準の血液検査によるがんの検知、早期発見という手法のスタンダードになりました。

Guardant 投資実績

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我々が投資した時、Vision Fundとして最初にソフトバンクグループで少し投資して、そのあとVision Fundで入れて、その金額が1年ちょっとで3.5倍と。約1,000億円……我々の保有株式だけでも、1,000億円規模になったということであります。

Opendoor

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Opendoor。

みなさんが自分の自宅を販売したいというと、半年~1年かかると思います。「自宅を販売したい」「誰かに買ってもらいたい」と。そうすると、半年~1年かかりますね、すでに使っているものであれば。

Opendoorは、これを24時間で買取契約を済ませてしまうと。そういうサービスであります。

Opendoor リセール取扱高

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こちらも急成長しておりまして。

Opendoor AI活用

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これはAIを使って不動産価値・家の価値を評価し、オファーをする。24時間で買い取る。こういうサービスであります。急激に伸びています。

COMPASS 取扱高

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また別の観点で、不動産です。

COMPASS AI活用

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不動産の営業代理店を組織化して、AIのパワーを使って急成長している会社が、このCOMPASSであります。

view

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さらに、みなさんが想像できなかったかもしれませんが、オフィスとか空港とか病院とかホテルにガラスがあります。そのガラスがIoTでセンシングしながら、サングラス状態になるんです。太陽が移動していくと、ガラスがサングラス状態になる。

これは、AIを使ってリアルタイムでセンシングしながら、リアルタイムでオフィスの部屋の中を日陰状態にする。何がいいのかと言うと、社員は眩しくない、目がやられないことに加えて、温度が平均で5度ぐらい下がるんです。つまり、エアコンに対する電気代が大幅に削減できるということであります。

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このviewという会社は、こちらもAIを使って、またIoTを使って、オフィスの電気代・エアコン代を削減する。ナノテクノロジーを使ってガラスにコーティングをする、そういうサービスであります。こちらも、我々が筆頭株主になりました。

社員の健康のために、そして電気代・エアコン代の節約のために、ブラインドが要らない、カーテンが要らないというものであります。

KATERRA 売上高

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KATERRA。

こちらも、新しいAIだとかIoTを使って、従来の建設よりも工期が4割とか半分になる。建設コストも4割とか半分になる。急激な勢いで伸びている会社になります。こちらも、我々が筆頭株主になりました。

ライドシェア 総取扱高(GMV)

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また、「Uber」「DiDi」「Grab」「OLA」。世界のライドシェアの約9割近い乗降客のシェアが、この4社で行われているわけですけれども、その4社ともに我々が筆頭株主になりました。

その取扱金額が、すでに10兆円を超える規模になってきたということであります。どんどん伸び続けています。

食品サービス市場

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このライドシェアをさらに進展させて、最近は食べ物のレストランからの出前が、急激に世界中で伸び始めています。従来の日本で言うお寿司屋さんとかお蕎麦屋さんの出前と、似て非なるものでありまして。

従来の日本のお寿司屋さん・お蕎麦屋さんの出前は、配達する人々はそのレストランに帰属していました。ですから、ピークタイムのときには人手が足りない、余っているときには常に余っているという、非常にちぐはぐな状態にあったわけです。

しかし、レストランの料理をするものとデリバリーをするものを切り離して、「Uber」が人を運ぶのに延長させて「Uber Eats」ということで、人の代わりに食べ物を運ぶ。この流れが世界中で今、急激な勢いで広がっています。

これも、スマホとGPSが普及したことによって生まれた、新しいビジネスモデルであります。

オンデマンドフードデリバリープラットフォーム

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しかも、それはAIを使ってヒートマップを作って、ダイナミックプライシングをやっているから成せる技でもあります。

ele.me

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とくに中国では一気に広がっていまして、アリババが買収し統合した「ele.me」ですけれども。

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すでにユーザー数は1億7,000万人。この出前をする配達人の数が、なんと67万人です。考えられますか、みなさん。考えられないでしょう?

こうやって、二輪車で運んでいるわけです。この中にピザだとか中華料理だとか、ラーメンだとかお寿司とか、いろんなものが入っているわけです。これを、67万人ものドライバーで「ele.me」のサービスを提供している。

しかも、登録しているレストランの数が350万店舗。恐ろしい数です。

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これを、アリババグループの「淘宝」の5億8,000万人のユーザー、そして「Alipay」の8億人のユーザー、「口碑」の1億7,000万人のユーザー。合計して10億人ぐらいのお客さまに、このサービスをこれからどんどんと広げていく。そちらにも、Vision Fundは出資することになったわけであります。

オンデマンドフードデリバリー市場

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この食べ物のオンデマンドデリバリーは、ほんの今から2年後には、14兆円規模になるのではないかと。

先ほど、ライドシェアが世界で10兆円と言いました。ライドシェアが10兆円で、食べ物のデリバリーが中国だけで14兆円。(ライドシェアの)世界で10兆円に対して、中国だけで、出前だけで14兆円と。いかに、食べ物の出前の市場が大きいかと。急激に、これが世界中で伸びているということであります。

とくに、このラストワンマイルのデリバリーは、食べ物だとか人間だとか、あるいは、これからEコマースのラストワンマイルのデリバリーもこういうかたちで、30分以内にモノが届くというふうになっていくのだろうだと思いますが。

GDPに占める物流費

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GDPに占める比率として、中国では15パーセント。全世界で見ても12パーセントが、実はこの物流費、ロジスティクスということであります。

これを、AIのパワーでヒートマップを作りながらやっていくのが、産業の根底から再定義することの事例になっていくのではないかと思います。

結論

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結論であります。

先ほど冒頭に申しました、従来の事業のこのグレーの部分に加えまして、「SoftBank 2.0」ということで、SVFの部分がブルーで加わりました。

その結果、営業利益が62パーセント増、純利益は700パーセント増が達成できたわけであります。来年・再来年は、これをさらに大きく上回ると私は思っています。

まとめ

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まとめます。

SVFは、非常に好調であります。

SBKKのIPO、ソフトバンクモバイルを中心とした国内事業の株式公開。こちらをしっかりと果たして、これからも、そのためにもしっかりと増益を、我々としてはコミットしていきたいと思いますし、そこで得た資金を、さらにSVFの成長のために使っていきたいと思っているわけです。

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株主価値の最大化を行いながら、ソフトバンクの理念であります、「情報革命を通じて人々の幸せに貢献していきたい」。単なる投資事業ではありません。新しい時代を、我々は作りたいと思っているわけであります。ありがとうございました。

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