2018年11月2日に行われた、アサヒグループホールディングス株式会社2018年12月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:アサヒグループホールディングス株式会社 IR担当 石坂修 氏

2018年 第3四半期決算ハイライト

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石坂修氏:みなさん、こんにちは。アサヒグループホールディングスIR部門の石坂と申します。本日は2018年度第3四半期決算の電話会議にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。最初に私から、決算の概略についてご説明させていただきます。

決算ハイライトからご覧ください。第3四半期のポイントといたしましては、売上収益ではビール類の販売数量が減少した酒類事業と、エルビー社譲渡の影響により、飲料事業が減収となりました。しかし、プレミアム化が進展する欧州を中心とした国際事業の大幅な増収により、トータルでは前年比3.7パーセント増収の1兆5,786億円となりました。

事業利益につきましては、主に酒類事業が数量減の影響により減益となりましたが、欧州がけん引する国際事業の大幅な増益などにより、トータルでは前年比13.6パーセント増益の1,680億円となりました。(スライド)右側には、8月2日に発表いたしました年間予想を記載しております。

事業利益の進捗としては、酒類事業が計画を下回っておりますが、飲料事業や食品事業に加えて、国際事業が計画を上回ったことにより、トータルでも計画を上回る進捗となっております。年間予想に対しましては、酒類事業の計画達成は厳しくなってきておりますが、国際事業の好調を中心としまして、グループ全体でカバーすることにより、トータルでは計画達成を目指していく方針でございます。

酒類事業(ビール類販売数量)

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事業ごとの詳細につきまして、(まずは)酒類事業におけるビール類の販売数量からご説明いたします。(スライド)右側に市場動向を記載しております。1-9月のビール類市場全体は、新ジャンルでは他社PB商品の上乗せ効果もあり、前年比で3~4パーセント増加しました。しかし、RTD(Ready To Drink/割る手間のかからないアルコール飲料)など、他のカテゴリーへの流出や業務用市場の低迷などにより、ビール類トータルでは2~3パーセント程度の減少となりました。

そうした中、当社の販売数量は、ビールでは「瞬冷辛口」など新商品の発売により、需要の喚起に取り組みましたが、前年の販促施策の反動や業務用市場の縮小などにより、前年比6パーセントの減少となりました。

また、新ジャンルでは主に「クリアアサヒ プライムリッチ」が他社新商品の影響を受けたことにより、前年比で7パーセント減少。ビール類トータルで7パーセントの減少となりました。

下期に入りましても、厳しい市場環境が継続しており、年間計画の達成は厳しくなっております。東京オリンピック連動施策などにより「スーパードライ」の缶容器は回復傾向にあり、また9月にリニューアルした「クリアアサヒ プライムリッチ」の上乗せなどにより、シェアは改善傾向にあります。

今後も、主力ブランドの活性化施策に注力するとともに、来年以降も見据えたマーケティング戦略の再構築により、中期的な視野で販売モメンタムの回復を図っていく方針です。

酒類事業(売上収益)

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カテゴリー別の売上収益を一覧にしております。資料の中ほどに記載しておりますビール類以外の酒類につきましては、計画を上回る進捗となっております。主に「贅沢搾り」を発売したRTDや「ブラックニッカ」が好調な洋酒の拡大などにより、トータルでは前年比で4.9パーセント増収の1,227億円となりました。

アルコールテイスト清涼飲料につきましても、競争が激化する中、引き続き「ドライゼロ」が堅調に推移しております。ビール類以外の売上収益全体では、年間計画の超過達成を目指していきたいと思います。

酒類事業(事業利益)

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酒類事業の事業利益について記載しております。主な増減要因としては、ビール類以外の増収効果に加えて、その他経費など固定費全般のコストダウンを推進しました。しかし、ビール類の販売数量のマイナス影響により、トータルでは前年比で1.6パーセント減益の841億円となりました。

年間予想に対しては、ビール類の数量減により達成が厳しくなっております。ビール類以外の増収効果やコスト全般のさらなる効率化により、できる限り目標に近づけていきたいと考えております。

広告・販促費につきましては、年間予算の範囲内で引き続きブランド投資を強化いたします。販売モメンタムの回復につなげていくことにより、来期以降の増益基調への転換を目指していきたいと思います。

飲料事業(販売数量)

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飲料事業につきまして、販売数量からご説明いたします。1-9月の飲料市場全体は、西日本の集中豪雨などの影響や、それに伴う物流の混乱などが発生しましたが、各社の主力ブランドの販売強化などにより、トータルでは前年比で2パーセント程度拡大したものと思われます。

そうした中、アサヒ飲料社の販売数量は、他社ペットコーヒーの拡大などにより、コーヒーは減少いたしました。しかし、引き続き「ウィルキンソン」「カルピス」が堅調に推移したことに加え、「三ツ矢」ブランドの復調などにより、トータルでは前年比で3.2パーセント増加の2億305万箱となりました。

年間予想に対しましては、カテゴリーごとにばらつきがありますが、トータルでは計画を上回る進捗となっております。今後も「ワンダ」を中心とした秋冬向け商品の拡大展開など、主力ブランドを中心としたマーケティングの強化により、年間予想の超過達成を目指していきたいと思います。

飲料事業(事業利益)

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飲料事業の事業利益について記載しております。アサヒ飲料社の主な増減要因としては、原材料のコストアップや広告販促費などが増加したものの、販売数量の増加効果や操業度向上を中心としたコストダウンの推進により、トータルでは前年比2.7パーセント増益の317億円となりました。

なお、飲料事業全体の事業利益は、アサヒ飲料社では増益となっておりますが、昨年のエルビー社譲渡の影響によりまして、トータルでは前年比0.1パーセントの減益となっております。

年間予想に対しましては、事業利益でも計画を上回る進捗となっておりますので、引き続き来期を見据えたブランド投資、さらなるコストダウンの推進により、計画の超過達成を目指していく方針です。

食品事業(売上収益・事業利益)

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食品事業についてご説明いたします。食品事業につきましても「ミンティア」や「ディアナチュラ」など、主力ブランドの好調が継続していることにより、トータルの売上収益は前年比1.8パーセント増収の839億円となりました。

事業利益では、増収効果に加えまして、原材料調達や処方の見直しといった製造原価の低減などにより、前年比で4.4パーセント増益の93億円となっております。

年間予想に対しましては、売上・利益ともに計画を上回る進捗です。今後も主力ブランドのラインナップ拡充や高付加価値商品の販売強化などにより、計画の超過達成を目指していきたいと思います。

国際事業(売上収益)

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国際事業についてご説明をいたします。決算ベースの売上収益に加えて、下段には為替影響を除いたベースの収益を記載しております。決算ベースでは欧州事業を中心に、各事業が好調に推移したことにより、トータルでは前年比877億円の増収となりました。

事業トータルの為替影響は、トータル124億円のプラスとなっておりまして、その為替影響を除いたベースでは752億円の増収となっております。内訳としましては、欧州事業については事業利益と併せて後ほどご説明いたします。それ以外の地域について、為替影響を除いたベースでご説明いたします。

オセアニア事業では、飲料は前年を下回りましたが、「Peroni」の上乗せなどによりまして、酒類が好調に推移し、トータルでは前年比7.1パーセントの増収となりました。東南アジア諸国事業では、主にマレーシアにおいて「ワンダ」や「カルピス」などのアサヒブランドが好調に推移したものの、インドネシア事業の売却などにより前年比15.3パーセントの減収となっております。

また中国事業では、煙台ビールの持分法適用会社への移行などにより、前年比39.2パーセントの減収となっておりますが、既存事業ベースでは「スーパードライ」が好調に推移しておりまして、前年比15パーセントの増収となっております。

年間予想に対しましては、主に欧州と中国事業が計画を超過達成していることにより、トータルでも計画を上回る進捗となっております。

国際事業(事業利益)

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事業利益について、ご説明いたします。決算ベースでは中国事業が減益となりましたが、欧州やオセアニア、東南アジア事業の増益により、トータルでは前年比257億円の増益となりました。

事業トータルの為替影響は25億円で、為替一定ベースでは232億円の増益となっております。為替一定ベースの内訳といたしましては、オセアニア事業は数量増に伴い、物流・在庫費用などが増加いたしましたが、販促費の効率化などにより、26パーセントの増益となりました。また、東南アジア事業はインドネシア事業の売却や製造手法の見直しによる製造原価の低減などにより、前年比125パーセントの増益となっております。

中国事業は、煙台ビールの非連結化により、前年比30.9パーセントの減益となりました。既存事業ベースでは、ミックス改善効果や製造原価の低減などにより、前年比49パーセントの増益となっております。

年間予想に対しましては、売上収益同様にオセアニア、東南アジア事業が計画ラインで進捗する中、欧州、中国事業が計画を上回る進捗となっており、今後も国際事業トータルで計画の超過達成を目指していく方針です。

欧州事業(売上収益・事業利益)

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欧州事業の内訳について、ご説明をいたします。売上収益につきましては、西欧、中東欧の双方における主力ブランドの数量増とミックス改善。さらに、中東欧の1-3月の上乗せや、円安効果もございまして、トータルでは前年比34.5パーセント増収の3,640億円となりました。

内訳としては、西欧では第三国を含めた全事業の増収に加え、円安による為替影響の54億円がプラスとなり、トータルでは前年比11.9パーセン増収の1,128億円と、計画を上回る進捗になりました。

中東欧では、チェコをはじめとした各国の好調に加え、西洋同様に為替影響の87億円がプラスとなり、トータルでは前年比47.9パーセント増収の2,512億円で、こちらも計画を上回る進捗となりました。

なお、昨年1-3月のSABミラー時代の参考値を含めた1-9月累計で比較しますと、前年比8パーセントの増収となっております。

下段の事業利益につきましては、両事業の増収やプレミアム化に伴うミックス改善に加えて、中東欧の上乗せなどにより、トータルでは前年比55.4パーセント増益の667億円となりました。内訳といたしましては、西欧では全事業の増収効果や英国、イタリア、第三国におけるミックス改善により、前年比26.7パーセント増益の177億円となっております。

中東欧でも母国市場における増収効果やミックス改善などにより、前年比69.3パーセント増益の490億円となりました。なお、売上収益同様、参考値を含めた1-9月で比較した場合には、前年比18パーセントの増益となっております。

年間予想に対しては、中東欧、西欧ともに計画を上回って進捗しております。引き続き、プレミアム化の進展を軸として、両事業の計画の超過達成を目指していく方針です。

営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益

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最後に、連結決算の営業利益以下をご説明いたします。営業利益につきましては、事業利益の増益に加え、煙台ビールの持分法適用会社への移行に伴う時価評価益の発生、また統合関連費用の減少などにより、前年比17.6パーセント増益の1,657億円となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、青島(チンタオ)ビールと康師傅飲品の株式売却に伴い、昨年計上していた両社の持分法投資損失がなくなったことなどにより、前年比24.2パーセント増益の1,165億円となりました。

当期利益につきましても、計画を上回る進捗となっておりまして、いずれの利益でも年間計画の超過達成を目指していきたいと思います。

以上、簡単ですが当社からの説明を終わらせていただきます。

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