10月15日の臨時閣議で、予定通り2019年の10月からの消費税率の10%への引き上げと、それに伴って軽減税率制度を実施することが確認されました。こうした動きを受けて、いま特に「軽減税率」について議論が起こっています。この記事では、いま、軽減税率を巡ってどういった意見があり、どんな問題があるのか、あらためて簡単に整理しました。

そもそも軽減税率って?

今回、導入が表明された軽減税率制度は、税率の引き上げの際に、一定期間、特定の品目の税率をいまの税率のまま据え置く、というものです。今回、対象となっているのは、

・酒類・外食を除く飲食料品
・定期購読に基づく、週2回以上発行される新聞

の2つです。

これらの対象は「生活に最低限必要なもの」という名目で決められたものですが、この線引きについて疑問視する声や、「レジや事務処理の対応・準備に手間がかかりすぎる」などといった批判が多く上がっています。

イートイン10%、持ち帰りなら8%

多くのメディアで取り上げられているのは、飲食料品における「外食か否か」の線引きについてです。消費者が、購入したものをコンビニやファストフード店のイートインスペースで食べる場合は「外食扱い」で課税率が10%となるのに対し、持ち帰って食べれば軽減税率対象なので8%となるなど、品目だけでなく、「食べる場所」も問題となってくるのです。

この問題に対して、財務省は「イートインスペースがある店舗では、持ち帰りの意思の有無を確認しなくてはならない」という方針を出しています。しかし、そういった方針について、

「店員と客の摩擦を生む」
「これ以上、負担が増えると仕事の効率が落ちる」
「テイクアウトが増えて余計にゴミが増えてしまうのでは」

など、店側からも客側からも非難や疑問を呈する声が多く上がっています。また、意思確認をしても客側が嘘をつく可能性や、悪気はなくとも購入後に気が変わってしまうといった可能性も否めず、非常に曖昧な基準だと言わざるを得ません。

新聞は「生活必需品」なのか?

また、軽減税率の対象に「紙の新聞」が含まれていることに関しても、批判が後を絶ちません。

「生活に必須の水道やガスは軽減税率対象外なのに、なんで新聞が対象になるの?」
「マスコミに消費増税の批判をさせないためでは?」
「新聞はいまや『社会の公器』とはいえない」
「なんで紙はよくて電子版の新聞はダメなの?」

といった意見が多く見られます。

さまざまな憤りの声をどう受け止めるか

加えて、新聞の販売店が定期購読者から受け取る新聞代は消費税が8%なのに対し、本社が販売店に卸す新聞代の消費税は10%のため、差額は販売店が負担することとなります。そうしたことに関して、

「『押し紙』の問題と同じで、弱い立場の販売店へのコスト押し付けだ」
「いままでさんざん利益を運んできた相手を盾に使うのか」
「新聞社の体質が出ている。結局、自分たちさえよければいいってこと」

と怒りの声を上げる人もいるほか、「新聞の購読をやめようと思う」という人も少なくないようです。

二度の延期を経た消費税増税の実施に向けて採られた緩和策には、すでにさまざまな困惑や憤りの声が上がっています。予定通り2019年10月に税率引き上げが実施された際には、少なからず混乱があるだろうことは容易に想像できるでしょう。

こうした反応を受けて、今後、政府がどのような対応をとっていくのか、注目したいところです。

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