富裕層というのは、どのくらいの資産を持っているのでしょうか。また、日本にはどのくらいの富裕層がいるのでしょうか。今回は富裕層の定義や割合、そして貯蓄の多い層や高年収の企業についても見ていきます。

日本の富裕層は何%?

2016年11月、野村総合研究所(NRI)が2015年の純金融資産保有額別世帯数と資産規模についての推計を発表しています。金融資産とは預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険などで、不動産は含まれていません。また、純金融資産とは保有する総金融資産から負債を差し引いたものです。

NRIによる富裕層の定義を見ると、以下のようになっています。

  1. 超富裕層:世帯の純金融資産保有額が5億円以上
  2. 富裕層:世帯の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満
  3. 準富裕層:世帯の純金融資産保有額が5000万円以上1億円未満
  4. アッパーマス層:世帯の純金融資産保有額が3000万円以上5000万円未満
  5. マス層:世帯の純金融資産保有額が3000万円未満

このうち、超富裕層は7.3万世帯、富裕層は114.4万世帯あり、これら「純金融資産保有額が1億円以上の世帯」の合計は約122万世帯になります。

割合にすると、超富裕層が全体の0.1%、富裕層は全体の2.2%で、合わせても2.3%です。一方、保有する純金融資産はそれぞれ75兆円、197兆円で、合計は272兆円に上ります。

ここで注意が必要なのは、先述のように金融資産には不動産は含まれていないことです。日本の場合、不動産を保有しているお金持ちも多いので、上記はあくまでも金融資産についてのみの富裕層の定義だということでご理解ください。

貯蓄が多い層は?

総務省発表の2017年「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、2人以上の世帯における2017年平均の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は1,812万円。中央値は1,074万円で、貯蓄「0」世帯を含めた中央値は1,016万円となっています。

平均値だけを見ると、そんなに多いのか!と思われるかもしれませんが、最頻値は「貯蓄100万円未満」の階級で、全体の10.0%を占めています。つまり、貯蓄の現在高に関する世帯分布は、貯蓄が低い世帯のほうにかなり偏っているのです。貯蓄現在高階級別の世帯分布を見ると、平均値(1,812万円)を下回る世帯が67.0%と約3分の2を占めています。

では、平均値を引き上げている3分の1の世帯はどのような層なのかというと、それは60歳以上の高齢者世帯で、貯蓄現在高の平均値は2384万円、中央値は1639万円となっています。また、貯蓄現在高が2500万円以上は高齢者世帯の34%、4000万円を超える世帯も約18%あります。一方、高齢者世帯で貯蓄現在高が100万円未満の世帯は7%でした。

なお、ここで言う「貯蓄」には、預貯金(普通預金・定期預金など)、有価証券(株式、債券、投資信託など)、積立型の生命保険や個人年金などが含まれます(公的年金や企業年金は含まれない)。また、社内預金、勤め先の共済組合などへの預貯金も含まれます(たんす預金は含まれない)。

年収の高い企業は?

最後に、上場企業の有価証券報告書による平均年間給与をざっくり見てみます。

まず平均年間給与が2000万円以上なのが、FA(ファクトリーオートメーション)用センサーの大手企業であるキーエンスです。同社の2018年3月20日現在の平均年間給与は2088万円で、従業員の平均年齢は35.9歳です。この平均年齢の若さと年収額には驚かされます。

平均年間給与が1300万以上〜1600万円未満のレンジに多いのは、三菱商事(平均年間給与1540万円、従業員の平均年齢42.7歳)、伊藤忠商事(同1460万円、同41.6歳)、三井物産(同1419万円、同42.1歳)、丸紅(同1322万円、同41.6歳)、住友商事(同1304万円、同42.7歳)などの商社です(全て2018年3月31日時点)。

また、1000万円以上〜1300万円未満のレンジには、三菱地所や三井不動産などの不動産企業、鹿島や大林組などの大手ゼネコン、第一三共や武田薬品工業などの製薬企業、その他ソニー、東京エレクトロン、LIXILグループなどがあります。なお、その他の企業などについて詳しくはこちらをご参照ください:【最新版】年収別でみる給料が高い上場企業一覧)。

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LIMO編集部