2018年8月17日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、リファインバース株式会社2018年6月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:リファインバース株式会社 代表取締役社長 越智晶 氏

2018年6月期決算トピックス

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越智晶氏:みなさん、こんにちは。リファインバースの越智でございます。本日はお暑い中、弊社決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、さっそくではございますけれども、2018年6月期の決算についてご説明させていただきたいと思います。

まず、この2018年6月期の決算でございますけれども、既存事業の成長と新規事業が加わって、増収ということでございましたが、新しい工場を立ち上げた時のトラブルが多発したことが起因して、大幅な減益となっております。

しかしながら、この新しい工場・事業の先行投資というものは、今後の持続的な成長を可能とする事業基盤のために必須のものであり、これらが着実に構築できたということは、当社の将来にとって大きなプラスになった1年であったと考えております。

業績でございます。まず、再生樹脂事業に関しましては、新工場の立ち上げ時のトラブルということで、生産量・販売量が大幅に減少したというところが影響して、大幅な減益となっております。ただし、第4四半期以降はトラブルもすべて解消しておりまして、現在は正常稼働しております。その後、とくに大きなトラブルも発生しておりませんので、新しい工場は非常に順調に稼働しているという状況でございます。

それから、産廃処理事業でございますけれども。こちらにつきましては、売上は堅調に推移しております。この売上は、事業環境も非常に良い状況でございますので、現在もずっと増収基調のトレンドは変わらずできておりますけれども、第4四半期以降、コストがかなり大幅に上がってきている。

これは(なぜかと言うと)1つは、工事案件のところです。協業会社さんとの協業をやってきておりますけれども、外注費のコストアップであるとか、あるいは、また後ほどご説明させていただきますけれども、廃棄物の処理コストというものが非常に上がってきている。

これらのコストが、第4四半期以降に一気に上がってきたというところが影響して、第4四半期での収益が大幅に減少しているというところでございます。ただし、増収基調は継続しているため、収益管理体制を今後は強化していくことで、十分に利益水準は回復してくると見込んでおります。

それから、新規事業でございますけれども。前期に立ち上げました、廃棄物を原料とした製鋼副資材の製造事業。こちらについては、お客さまである新日鐵住金さま向けの供給ということで、現在富津の工場の製鋼副資材の製造ラインは、フル操業で供給を継続しているというところでございます。

我々の新しく作ったこの製鋼副資材の品質というものが、非常に高く評価されておりまして、旺盛な需要がありますので、今後はこれらの旺盛な需要に対して、生産能力を増強していくということで、大きな成長を目指していきたいと思っております。

それから、もう1つの新規事業として立ち上げを計画している、ナイロンのリサイクル事業でございますけれども。こちらは、当初のスケジュールから若干遅れていますけれども、プロセスの改良によって、当初想定していた最初の設備投資額の10分の1程度の投資で、量産化のプラントの立ち上げに目途が立ってきたというところでございまして、今期中の量産プラントの立ち上げを進めていきたいと考えております。

当面の課題でございます。まず、既存のカーペットリサイクル工場が千葉県の八千代市にございますけれども、こちらの設備が約12年ほど経過しております。これらの設備の大規模なメンテナンスが必要な時期にきておりますので、これを予定しております。

それから、廃棄物の処理事業に関しましては、売上については、今後もかなり堅調に推移していくだろうと見込んでおりますので、オペレーションの見直しであるとか、あるいは収益管理体制の強化していくということで、しっかりと利益を確保する。そのために、基幹システムの刷新を予定しております。

連結損益計算書

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連結損益計算書でございます。

2018年6月期ですが、売上高につきましては24億1,000万円で、前期比105.1パーセントとなっております。

売上総利益が6億3,100万円で、前期比85.6パーセント。これは、繰り返しになりますけれども、一番大きく影響しているのは、新しく立ち上げた工場のトラブルです。粗利の減少に関しては、これが大きく影響していると。

それから、販管費につきましては6億1,900万円で、前期比で135.5パーセント。これは、研究開発あるいは新規事業の立ち上げといったところへの、先行投資的な費用が増加していっているというところでございます。

営業利益が1,100万円で、前期比で4.3パーセント。経常利益がマイナス1,600万円、当期利益が5,700万円という、このような状況になっております。

セグメント情報

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それから、セグメント(情報)でございます。

まず、再生樹脂事業でございます。2018年6月期につきましては、売上高が7億6,000万円で、前期比で88.8パーセント。セグメント損失が5,100万円となっております。

これも繰り返しになりますが、工場のトラブルでということでございます。

それから、産廃処理事業に関しましては、売上高が16億7,000万円で、前期比で112.9パーセント。セグメント利益が2億7,000万円で、前期比97.1パーセント。

第3四半期までは非常に好調に推移してきましたけれども、第4四半期での外注費であるとか、廃棄物の処分費のコスト増の顕在化が影響いたしまして、通期ベースでは、セグメント利益が若干の減少でございます。

全社費用は2億600万円で、前期比144.1パーセントです。これは主に人件費、それから研究開発費の増加でございます。

連結貸借対照表

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連結貸借対照表です。

2018年6月期に関しましては、主な増減要因としては、千葉県富津市に立ち上げた新工場関連の固定資産であるとか、あるいはそれに伴う支払い。あるいは借入が、主な増減要因となっております。

キャッシュ・フロー計算書

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それから、キャッシュ・フローでございます。

キャッシュ・フローも(貸借対照表のご説明と)同様に、前期につきましては、この新工場の立ち上げに伴う増減が、主な増減要因でございます。

リファインバース イノベーションセンターの稼働状況

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千葉県富津市に立ち上げた新工場……「リファインバース イノベーションセンター」と命名しておりますけれども、こちらが、前期の大きなトピックスでございます。

昨年(2017年)の10月から本格稼働をして、立ち上げのところでかなりいろんなトラブルが出て、「操業度が下がる」「生産力が落ちる」ということで苦労しましたけれども、(2018年)2月中旬に設備の大幅な改良工事を実施しまして、3月以降は非常に安定稼働をしているので、その後は大きなトラブルは発生しておりません。

今後については、いわゆるモノづくり・生産性向上の改善は、継続的に行っていくというところで、こちらの工場での収益性をさらに高めていくところを継続しています。

それから、製鋼副資材でございます。こちらについては、非常に旺盛な需要がございますので、それに対応するためにフル稼働で、生産を継続しております。

この製鋼副資材の製造ラインにつきましては、既に今年の3月あたりから、24時間稼働のフル操業がずっと継続しているところでございます。現在、お客さまからの需要に対しては、まったく供給が追い付いていないところでございますので、今後はさらに能力増強をしていくというところで、生産量を増やせば、かなり大きな事業に育っていくという手応えを感じております。

今回、この製鋼副資材は、まったく我々にとっては新しい事業でスタートいたしました。製鋼副資材を作るための製造ラインというのも、まったく新しいものを導入しているというところからスタートしております。

したがいまして、設備的には、まだまだ改良することで生産性を高めるとか、そういった工夫の余地がたくさんある領域でございますので、今は生産性改善のための設備の改良設計を行っているところでございます。

これらの設備の改良は、まさに我々の会社にとって、技術ノウハウの蓄積になっていきますので、これらの改良もどんどん積極的に、今のものを良しとせず、さらなる良いものを作っていく、あるいは生産性を高める、コストを下げるための努力を継続して、我々の独自技術として、さらに強化していきたいと考えております。

2019年6月期の主要テーマ

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この2019年6月期につきましては、既存工場の八千代工場大規模修繕の実施などによって、短期的な利益については悪化いたしますけれども、長期的に我々が大きな成長をしていく上で必要となる打ち手を、着実に実行していきたいと思っております。

それから、新規事業につきましては、立ち上げにフォーカスしていく。これは主に、ナイロンリサイクルの量産プラントの立ち上げがメインになってきます。これと、先ほど申しました、前期順調に立ち上がった製鋼副資材の増産ということで、将来に向けて大きな成長を実現するための基盤作りを進めていきたい。それを、今期の大きなテーマにしていきたいと考えております。

まず、業績でございます。再生樹脂事業に関しましては、八千代市の工場の大規模修繕工事に伴って、カーペットの受け入れの原料を制限しようと思っております。この修繕工事に伴う原料の受け入れ制限に伴って、処理収入が若干減少する。それから、生産・販売量も落ち込みますけれども、改修後は安定的な収益化の予定を見込んでおります。

産廃処理事業につきましては、旺盛なリフォーム・リノベーション需要を捕えて、売上は伸びていく見込みです。足元の収益は若干悪化してきておりますけれども、収益管理の徹底と、あとはこれらコストがアップしてきている要因は、一過性のものではなくて、ある程度継続すると見ております。現在、お客さまと協議しながら価格転嫁を進めていって、一定の収益確保を進めている状況でございます。

それから、製鋼副資材に関しては、お客さまから非常に高い評価を得ておりますので、早期に増産体制を確立していこうと(考えています)。我々は新日鐵住金さまの、ある製鉄所の中の一工程分だけの需要で、今の富津にある製鋼副資材のキャパをオーバーしている状況でございます。そこへの供給をしつつ、他の工場・製鉄所さんへのサンプルの提供と、スペックインを進めているところでございます。

それから、ナイロンリサイクル事業に関しましては、エアバッグリサイクルのイニシャルコストを大幅に低減した量産プラントの本格稼働を、下期に予定しております。同時に、エアバッグだけではなくて漁網リサイクル工程のプロセスも確立していく、そういった計画になっております。

あと、八千代の大規模改修でございます。こちらについては改修と合わせて、カーペット以外の多様な廃棄物の処理も、この八千代にあるプラントでできないかという研究開発も、この修繕期間にある程度進めていきたいなと思っております。

それから、ナイロンリサイクル事業・その他を含めて、国内外の外部企業との連携が水面下で諸々進んでいるものがありますので、共同技術開発や事業化を今期中に推進していきたいと考えております。

それから、産廃処理事業は、我々にとっては安定的な利益をもたらす事業と位置づけております。足元で収益が悪化しているものについては、収益管理体制を強化するという意味で基幹システムを新しく導入するということです。現在は導入も最終段階で、システムの並行稼動を進めているような状況ですので、早く本格稼働させて、収益化の体制を強化していきたいと思っております。

2019年6月期業績予想

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2019年6月期の業績予想です。

売上高が26億9,600万円で、前期比で111.9パーセント。売上総利益といたしましては6億8,600万円で、前期比108.7パーセント。営業利益が6,900万円、経常利益が3,600万円、当期純利益が2,900万円といった予想になっております。

それぞれの前提条件でございますけれども、こちら(スライド下部)に2019年6月期上期予想を、ご参考情報として挙げさせていただいております。上期につきましては、この大規模なメンテナンス工事に伴って、原料の受け入れ数量が減少します。それに伴って、マイナスが出てくると考えております。

それから再生樹脂事業につきましては、プラスとしては製鋼副資材事業の売上が通期で貢献してくるところは、増収要因と考えております。あとは、ナイロンリサイクル事業の立ち上げでございます。

あと、産廃廃棄物処理場事業につきましては、引き続きマンション等のリフォーム・リノベーション案件の受注増加を見込んでおりますので、成長トレンドは変わらずと見ております。それと、昨今このリフォーム・リノベーション、廃棄物の処理だけではなくて、解体工事からの一括受注も、かなり案件として増えてきておりますので、この解体工事の施工能力を増強していくことも、今期は実現していきたいと思っております。

それと、全般としては、新規事業開発のための研究開発投資は、引き続き積極的にやっていきたいと思っております。これも後ほどご説明しますけれども、この廃棄物とかリサイクルの業界の中では、世界的にかなりトレンドが大きく変わってきているところもございますので、我々にとっては大きな事業機会がきていると捉えております。

それらのビジネスチャンスを逃さないように、研究開発については引き続き……足元の業績は決して強い数字ではありませんけれども、そこについては、将来を見据えた投資を積極的にやっていきたいと思っております。

再生樹脂事業の増収内訳

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再生樹脂事業単体の中の、再生樹脂事業の増収の内訳でございます。

先ほど来申し上げていますとおり、設備の改修工事に伴って原料の回収、カーペットの回収に伴う売上は減少する予定です。ただし、製品の売上は堅調に推移する見込みでございまして、再生塩ビ……これは、我々の主力の再生樹脂製品になりますけれども。こちらについては既存のお客さまからの需要増加と、あと新規顧客・大口顧客への販売増が見込まれております。これらを織り込んだ数字で、再生塩ビの売上高としては、前期比で113パーセント。

それから、製鋼副資材でございますけれども。前期につきましては、実質下期からの立ち上がりでございましたけれども、現在もフルに操業して生産して、それがすべて販売できている状況でございますので、これが通期ベースで貢献してくるということで、前期比で274パーセント。

それから、再生ナイロンにつきましては、足元で細々とやっている事業でございます。こちらについては、今までやってきた再生ナイロンの事業は、緩やかに伸びる。新しく立ち上げていくエアバッグのリサイクルに伴う新規分は、今期の業績予想の中での収益には入れておりません。これは見込みから外しておりますので、量産プラントの早期立ち上がりが実現できれば、今期中に収益貢献もできる可能性があるというところでございます。

いずれにいたしましても、我々としては、この製鋼副資材と再生ナイロン事業は、非常に成長余地の大きい事業と見ております。この新規の立ち上げ、それから能力強化・増産体制については、必ず今期中に実現をして、大きな成長の基盤を作りきりたいと思っております。

製鋼副資材製造事業の状況

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製鋼副資材は、先ほどから「かなり需要が多い」と申しておりますけれども、現在我々が供給しているのは、我々の設備のキャパでは、ある一製鉄所の一工程分の需要のみでございますので、限定的でございます。

今お使いいただいている既存納入先から、製品に対して、従来品と比較してもかなり「性能が高い」という評価を受けておりますので、他の事業所に対しての波及効果を期待しておりますし、すでに複数の事業所からの引き合いが現在も続いております。サンプルの提供評価で、今後我々の増産体制が整ってくれば、どんどん供給先を広げていく(ことができる)と考えております。

それから将来的には、今は千葉県の富津市で作っておりますけれども、この首都圏だけではなくて、製鉄所のある隣接エリアに、この製鋼副資材を作る工場を設けていくことで、さらなる大きな成長を目指していきたいと考えております。

ナイロンリサイクル事業の状況

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それから、ナイロンリサイクル事業でございます。

こちらについては、本当は前期中に立ち上げたいと思って準備を進めてきた事業でございますけれども、新しい富津の工場のトラブル等にリソースを割いたこともありまして、立ち上げについては若干、当初の予定より遅れております。

ただし、この立ち上げ期間が遅れている中で、研究開発についてはいろいろと進化しております。もともと、エアバッグリサイクルをメインに考えていましたけれども、エアバッグ以外の多様なナイロン製品のリサイクルが可能なプロセスに、進化してきているというところでございます。

それと、冒頭でこのナイロンリサイクルの量産化プラントについて、「当初想定していたものの10分の1程度の設備投資で立ち上げるめどが立った」と申し上げました。こちらについては、我々は千葉県富津市に工場を4つ持っておりますけれども、外部企業と連携することで、熱源あるいは排水関係といったユーティリティを共用させていただくことで、設備投資を大幅に抑えたかたちで事業がスタートできると(いうことです)。

まずは今年度中に、年間で3,000トン程度の量産プラントを立ち上げていくと考えております。この3,000トン規模は、ある意味リサイクルあるいは樹脂事業にとって、パイロットプラント的な位置づけもあります。このパイロットプラントを非常に小さな投資額で立ち上げて、事業として軌道に乗った段階で、さらに桁を上げたスケールを狙っていきたいと思っております。

今メインのターゲットとして考えているのは、自動車のエアバッグ、それから漁網。こちらについても、年間3,000トンでのパイロットプラントの立ち上げを考えております。これらの原料となるエアバッグの廃材であるとか、あるいは使用済みの漁網といったものについては、ある程度調達してくる目途は立っているところでございます。後は、このプラントを立ち上げていければ、事業化・収益化してくるところも、早いタイミングで持ってこられるんじゃないかなと見込んでおります。

カーペットリサイクル市場動向

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それから、既存事業の状況でございますけれども、カーペットリサイクルに関しては、当面マーケットの環境としては、良好な環境が続くだろうと見ております。

こちらのグラフは、首都圏ですね。東京都23区内の大規模オフィスビル供給量でございまして、今年2018年が146万平方メートル、来年2019年が99万平方メートル、(再来年)2020年が168万平方メートルということで、かなり供給量が多い水準が継続すると(いうことです)。2021年以降は、逆に下がるトレンドになりますけれども、ここ3年程度で見ると、かなり供給量は多い水準で推移していく。

この新規の供給に伴って、テナントの移転が発生してきますので、ここが、まさに我々にとっては事業機会ということです。テナントの移転に伴う原状回復工事で、カーペットの廃材が出てくる。あるいは張替え需要として、再生塩ビの需要が膨らんでくると(いうことです)。

この移転については、新築のビルが立てば1ヶ所が動くだけではなくて、玉突き的に2次波及や3次波及もあります。我々はここ2年~3年、このカーペットのリサイクル事業については、かなり良好な市場環境が続くだろうと見ております。

産廃処理事業の市場環境

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それから、産廃処理事業のマーケットの環境です。

こちらも、新築に関してはさほど大きな伸びはない、むしろ減少していくところでございますけれども、リフォーム・リノベーションに関しては、今後も継続的にマーケットは良好な環境が続くだろうと見ております。

とくに、住宅ストックはどんどん増えていっている状況でございますので、これらストックで、とくに古い30年超のマンションの戸数もどんどん増えてくるところに対してのリノベーションのニーズは増えてくるでしょうし、リノベーションのマーケットに参加している会社さんの数もかなり増えてきておりますので、中古住宅の買取再販というマーケットは、当面活発な状況が続くだろうと見ております。

元々、我々が産廃事業で強みとしているこういったリフォーム・リノベーション……いわゆる小型の建築工事に伴ってくる廃棄物を、対応良く回っていくというところで、この事業は、安定的に成長させていきたいと思っております。

マーケットの環境問題への取り組み

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ここにきて、社会的には、環境問題に対してのいろいろな取り組みが起こってきております。

国連の提唱しているSDGs(Sustainable Development Goals)もそうですし、EUでも、新たなプラスチックのリサイクルに対する政策の検討も始まっております。

それから、いろいろとメディア等でも出ておりますけれども、StarbucksやMcDonald'sといった外食産業で、プラスチックストローの廃止といった動きであるとか、あるいはプラスチックの海洋汚染の問題が、ここにきてクローズアップされ始めているということです。

このプラスチック廃棄物に対して、なんらかの手を打っていかなければいけないというマインドが、ここにきて一気に、世の中で活発になってきたなと思っております。

廃プラスチック処理の大きな変化

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そういう流れの中で、その流れが起きてきた大きな影響の1つが、中国なんですけれども。

これまで、世界中の廃棄物が中国に集まって、そこで再生利用されていたというところでございます。

昨年(2017年)の夏に、中国がこういったプラスチック類の、いわゆる廃棄物の輸入規制を打ち出しまして、これに伴って、一気に中国への輸出がストップしてきていると(いうことです)。

だいたい半期で40~50万トン、年間100万トン近い廃プラスチックが、中国に輸出されております。世界で見ると、EUとかアメリカを合わせると、だいたい今は年間で、これまで700万トンくらいの廃プラスチックが、中国に輸出されて再生利用されてきていた。この動きが一瞬にしてフリーズしたのが、今の状況です。

この影響で、産廃処理事業……要は、今まで中国に流れていた廃棄物が流れなくなって、フリーズして国内に滞留すると(いうことです)。これに伴って、国内での廃棄物処理が非常にタイトになってきて、その結果、廃棄物の処理コストが大幅に上がってきているという状況でございます。

これは産廃処理事業にとって、短期的にはコストアップで、我々にとってはマイナスになりますけれども……ありとあらゆる廃プラスチックが、動けなくなっている、処理できなくなっている。そして、処理するためには、焼却あるいは埋め立て処分するしかない。そういうところで、量が増えている中で、国内での処理コストはどんどん上がってきている。

これは、再生樹脂事業にとって、従来中国に流れていったような廃棄物は、すべて国内に滞留してくる流れになってきます。我々にとっては、この再生のリサイクル事業を新たに立ち上げていく分には、非常に良い状況だと考えております。

実際に我々の産廃処理事業の中でも、固形燃料(RPF)、廃プラスチック燃料にしているような廃材……このRPF業者に従来払っていたコストが、ある日を境に、「今までの値段の3倍の処理費を払わないと、もう引き取れませんよ」ということが通告されると(いうことです)。それ以外の品目でも、1.5倍や2倍は当たり前のような状況で、起こってきている。

これは、当社の産廃処理事業に関わらず、産廃業界に共通の問題でございますので、これらの行き場を失った廃棄物の処理コストが、上がってきていると(いうことです)。これを再生利用できれば、我々にとっては大きなプラス(になります)。

そもそも、なんらかのかたちで中国で再生利用されていたものが、国内に滞留しているという状況ですので、決して再生できないものではない。

それで、なぜ今まで中国で再生利用されていたかというと、少し前までは安い人件費もありましたし、もう1つは、ある意味、環境汚染に対しての規制の甘さもありました。中国で再生利用するところが一気に進んで、ここにきてすべてフリーズと(いうことです)。

ここを解決していくのが、まさにテクノロジーだと思っています。我々としては、これらの安い人件費、あるいはコンプラというか、環境汚染を無視したやり方ではなくて、正しい技術を開発して、コスト競争力のあるリサイクルの新しい事業を作っていく、格好のタイミングだなと思っております。

社会の変化に対する対応

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こういった動きの中で、ちょうど先日の記事で出ていましたけれども、いわゆる中国の輸入規制の影響で、世界中の廃棄物の越境処理が、すべて止まり始めていると(いうことです)。

例えば、フランスあたりであれば、来年(2019年)からリサイクル不可のプラスチック包装材については、罰金……「罰金」というよりは、「税金を高くする」ということだと思いますけれども、こういった動きが出てきているということです。

プラスチックの中でも、「リサイクルできるのか、できないのか」が、1つの大きな基準として分かれてくる。このリサイクルが「できる」となってくれば、我々にとっては大きなプラスになってきますので、こういったチャンスを的確に捉えていきたいと思っております。

中期成長ストーリー

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それで、今後の中期的な成長ストーリーでございますけれども、これは昨年(2017年)発表させていただいたものと、ほぼ変わっておりません。

変わっているところは、ナイロンリサイクル事業の立ち上げが、ほぼ丸1年遅れたというところでございますけれども、我々の考えている成長ストーリーは、昨年から大きな変化はなしでございます。

この我々が考えている戦略を、愚直に実行していく。とくに新規事業については、本当に大きなチャンスがあると思っておりますので、今期中に立ち上げていくということです。再生樹脂事業での成長エンジンは、カーペットリサイクルから製鋼副資材、それからナイロンということで、3つの成長エンジンを今期中に作りきりたいと思っております。

成長ストーリ実現時の再生樹脂事業の売上見込

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これによって、この再生樹脂事業が……今期中に製鋼副資材の増産体制と、後はナイロンリサイクルの量産体制の確立が実現できれば、来期の2020年6月期以降の再生樹脂事業の売上は、このような数字を見込んでおります。

2018年6月期の再生樹脂事業の売上高は7億3,600万円で、今期2019年6月期については、新規投資の効果は見込んでおりませんので、8億6,200万円。

ここに、今期立ち上げるナイロンリサイクル、それから製鋼副資材の能力増強で、2020年6月期には、この再生樹脂事業単体で14億9,200万円。2021年6月期には20億2,600万円ということです。足元の数字から、今期やろうとしている設備投資を実行して、プラントが稼働できる状況まで持っていければ、3年後に3倍程度の売上という部分は、十分に見込めると考えております。

これによって、産廃事業の安定成長と合わせて、我々としては、連結売上高で50億円の事業基盤をターゲットにしたいと思っておりますので、そのための投資を今期はやりきって、大きな成長を目指していきたいと考えております。

以上、駆け足でございますけれども、当社の決算発表の概要とさせていただきたいと思います。ご清聴、どうもありがとうございました。

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