2018年8月21日に行われた、片倉工業株式会社2018年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:片倉工業株式会社 代表取締役社長 佐野公哉 氏

連結損益計算書

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佐野公哉氏:2018年第2四半期の決算概要について、ご説明いたします。

2018年第2四半期は、前期比では機械関連の大型受注の減を主因に、減収減益となりました。最終利益は、前期に医薬品事業の割増退職金があったために、ほぼ前期並みとなりました。本年(2018年)の2月にリリースいたしました予想からは、売上が下振れいたしましたが、各利益段階は当初の予想を上回りました。

売上高は243億400万円、営業利益は12億6,900万円、経常利益は17億9,000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億5,000万円であります。セグメント別売上高・営業利益につきましては、次のページでご説明いたします。

連結損益計算書/セグメント別実績

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セグメント別の実績でございますが、増減の大きいセグメントについて、3つずつご説明いたします。

まず、前期増減でございますが、①の機械関連事業で5億200万円の減収、2億5,200万円の減益となりました。これは前期に、高粗利の電力会社向けの大容量送水ポンプ車の受注があったためであります。

②の医薬品事業で、2億2,500万円の減収、2億1,300万円の減益となりました。これは本年(2018年)6月に、新規後発品2成分・3品目の発売がありましたが、薬価改定の影響が上回ったためであります。

③の繊維事業で、3億7,700万円の減収ですが、1億3,300万円の増益となりました。これは、構造改革に伴う低採算商品の絞り込みにより減収となりました一方、物流費などの削減により、利益は改善いたしました。

次に、予想との差異でございます。①の機械関連事業で、売上高が5億4,200万円、営業利益が2億4,400万円下振れました。これは、受注した特装車両の出荷が下期にずれ込んだためでございます。

②の医薬品事業で、プロモーション関連の宣伝費・研究開発費の期ズレもあり、営業利益が2億5,000万円上振れしています。

③の繊維事業で、売上高が1億8,200万円下振れしましたが、営業利益は1億2,600万円上振れしました。これは、構造改革に伴う低採算商品の絞り込みにより売上が下振れしたものの、機能性繊維で高粗利の耐熱性繊維が伸長したためであります。

連結貸借対照表

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連結貸借対照表について、ご説明いたします。

総資産は1,415億1,500万円でありまして、前期末より30億5,800万円減少しました。これは、投資有価証券が時価上昇で増加しましたが、主に消防自動車などの期末在庫の出荷による棚卸資産の減と、これに対応する仕入債務の減、固定資産の減価償却、借入金の返済があったためであります。

連結キャッシュフロー計算書

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連結キャッシュフローの実績について、ご説明いたします。

現金及び現金同等物の期末残高は、48億400万円であります。ほぼ、前期末と同水準となりました。

営業キャッシュ・フローは、税前利益の16億円に加え、減価償却が16億円であり、36億3,300万円の収入となりました。

投資キャッシュ・フローは、有形固定資産の取得を主として、9億2,200万円の支出となりました。

財務キャッシュ・フローは、26億9,100万円の支出であり、短期借入金・長期借入金の合計で18億円の返済、配当金の支払いの4億円などによって支出となり、期末残高は48億400万円となりました。

連結損益計算書/通期予想

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2番目に、2018年度の通期業績の予想につきまして、ご説明いたします。

本年は、2017年を初年度とする中期経営計画「カタクラ2021」で掲げる構造改革の2年目に当たります。(2018年)2月のIR説明会でご説明のとおり、前年対で減収減益を見込んでいました。今般、当初業績予想の見直しの結果、セグメントごとに増減がありますが、全体では3億円の増収。利益段階は、当初計画どおりの水準を見込んでいます。

数値は、売上高で460億円、営業利益で16億円、経常利益で24億円、親会社株主に帰属する当期純利益で10億円を予想しています。セグメント別には、次のページでご説明いたします。

連結損益計算書/セグメント別予想

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セグメント別の予想でございますが、今回予想を見直したセグメントについて、ご説明をいたします。

①の機械関連事業で、4億円の増収を見込みますが、1億円の減益を見込んでいます。これは、一般消防自動車の受注増による増収を見込んでいる一方で、外注費などの増加により、減益を見込んでいます。機械関連事業につきましては、前期までの大型受注が一巡し、当面は一般消防自動車の利益率改善が喫緊の課題であります。今期、外部人材を登用し、プロジェクトを立ち上げていますので、今後重点的に取り組んでまいります。

②の医薬品事業で、2億円の増収、1億円の利益増を見込んでいます。これは、戦略商品である「ビソノテープ」や、新発売の後発品の伸長などにより、増収を見込みますことに加え、研究開発費の減少もあり、増益を見込むものであります。

③の繊維事業で、3億円の減収でありますが、利益面は当初予想どおりを見込んでいます。これは、低採算商品の絞り込みにより、当初想定より減収を見込みますが、機能性繊維で高粗利の耐熱性繊維が伸長し、当初利益予想どおりを見込んでいます。

設備投資額・減価償却費・研究開発費予想

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設備投資額・減価償却費・研究開発費の予想について、ご説明いたします。

設備投資額は、経常的なものが主でありまして、合計が21億4,000万円。減価償却費は合計が33億3,000万円、研究開発費は合計が21億4,000万円の見込みであります。いずれも期初に発表した予想からは、大きな増減はございません。

(1)業績・設備投資額等の推移

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3番目に、昨年(2017年)発表いたしました、「カタクラ2021」の進捗状況についてご説明いたします。

まず、数値計画でございますが、最終年度の2021年の計画は、売上高で566億円、営業利益で52億円、営業利益率で9.2パーセントを目標としています。また、中計5ヶ年の設備投資などにつきましては、スライドの右側にお示しのとおりでございます。

(2)取り組みの方向性と進捗①

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続きまして、中計の取り組みの方向性と進捗についてご説明いたします。

まず、取り組みの方向性については、スライドにお示しのとおりの3点を念頭に置いております。

1点目は、不採算事業については2018年度中を目途に、ビジネスの縮小・撤退も視野に入れながら構造改革を完了させること。

2点目は、継続的に成長している事業につきましては、事業領域を拡大させ、さらなる成長を目指すこと。

3点目は、重点戦略分野では各事業セグメントの経営資源を持ち寄り、他社との業務提携やM&Aを積極的に活用しながら、グループの新たなる柱となる事業の創出を目指すことであります。

これらを踏まえまして、とくに本年(2018年)は構造改革の2年目として、事業・体制の見直しへ注力するとともに、不採算事業については一部撤退も実施いたしました。また、事業拡大・成長戦略についても、構造改革と2本の軸で推進を図っております。

具体的な取り組みと進捗については、次のスライドでご説明いたします。

(2)取り組みの方向性と進捗②

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まず、事業・体制の見直しでございます。

昨年(2017年)11月に指名・報酬諮問委員会を設置し、ガバナンスの強化を図っております。

本年(2018年)3月の株主総会では、業績連動型株式報酬制度の導入について、ご承認をいただきました。これは、当社の業績と株式価値との連動性をより明確にし、取締役は株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクも株主のみなさまと共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献することの意識を高めることを目的としたものです。

次に、バランスシートの効率化のため、社有未利用地の売却を進めました。不動産事業で検討を進めている新規物件取得の一方で、地方の低採算の物件については適宜売却を進め、不動産ポートフォリオの整理を進めております。

繊維事業につきましては、実用衣料分野で低採算商品の絞り込みや販売ルートの見直しに取り組んでおります。とくに、当社の衣料品事業部では、商品について約4割の品番を削減するとともに、運送会社の切り替えなどにより、一定程度の削減効果が出てきております。

医薬品事業につきましては、昨年2月に希望退職を実施しており、約2億円の特別損失を計上しましたが、最適な体制となるよう見直しを実施しております。

(2)取り組みの方向性と進捗③

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次に、事業の一部撤退でございますが、(2018年)2月にリリースをいたしましたとおり、繊維事業で補整下着事業からの撤退をいたしました。同事業は、成長事業への転換が困難であると判断し、4月末で撤退しております。

前中計期間中に5つの事業を立ち上げた新規事業でございますが、今般立ち上げから3年を経過し、各事業の検証を実施しております。結果、化粧品事業と都内で2施設を展開しているデイサービス(DS)の直営事業の2事業について、事業環境や今後の成長性を鑑み、撤退を決定いたしました。

また、事業拡大・成長戦略についてですが、医薬品事業については主力の循環器領域と親和性の高い腎・透析領域への参入を端緒として、昨年(2017年)10月にアステラス製薬が製造販売する「キックリン」の共同販促契約を締結しております。

後発につきましても、強みである専門性のあるMRが医療現場から吸い上げたニーズをもとに、付加価値のある後発品の2成分・3品目を、6月に発売いたしました。

高血圧治療剤の「ビソノテープ」については、適応追加・製剤改良申請中でありまして、2019年の上市予定でございます。

(2)取り組みの方向性と進捗④

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次に、不動産事業でございます。

まず、新規取得・事業領域の拡大でございますが、当社の強みのあるさいたま新都心駅前の「コクーンシティ」周辺を中心とした、首都圏における商業系・業務系物件を中心に検討しております。

また、不動産事業の周辺領域への展開ということで、既存の清掃事業の子会社とのシナジーも踏まえ、ビルメンテナンス(BM)事業などの周辺事業への進出を検討しております。

いずれの取り組みにおきましても、今年(2018年)2月にご就任いただきました、特別顧問の実践的な助言を受け、その拡大に取り組んでおります。

次に、中核事業であるさいたま新都心まちづくりでございますが、「コクーンアスレチックス」「コクーン保育園」を開業し、多様なまちづくりを進めております。また、第3期開発については、エリア全体を対象に計画を検討中でございます。

次に、既存施設・社有地開発でございますが、東京都三鷹市の社有地開発では、住宅型の有料老人ホームとして、昨年(2017年)7月に開業いたしました。

いわき市・松本市・福島市の社有地については、それぞれ現況と今後のマーケットを勘案し、開発計画を検討中であります。

(参考)さいたま新都心まちづくり

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こちらは、従前からご覧いただいております、さいたま新都心駅前の社有地周辺の航空写真でございます。黄色い枠の社有地の147,000平米・約44,500坪を、「コクーンシティ」として運営しております。

当社の社有地から見て南側……スライドでは左側の土地ですけれども、開発内容が確定いたしました。

赤い塗りつぶしで①としておりますのは、埼玉県最大級の総計画戸数が1,400戸の大型マンションの「シントシティ」が、2020年に竣工予定でございます。その右側で②としておりますのは、民間企業2社が用地を取得しまして、複合用途施設として整備予定でございます。

ほかにも、緑で塗りつぶしておりますところの都市公園、青のところの交通広場などが整備され、今後一層エリアの魅力が高まっていくことを期待しております。

(3)ESGへの取り組み

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ESGへの取り組みを、2つご紹介いたします。

1つ目は、「コクーンシティ」が、国土交通省が制定いたしました市民緑地として、民間企業としては初めて、さいたま市から認定を受けました。若干ではありますが、固定資産税の減免効果があるとともに、都市公園と同等の機能として、より地域のみなさまにご利用いただけるよう努めてまいります。

2つ目は、「コクーンシティ」において、日本ショッピングセンター協会の後援を受けまして、東日本大震災復興支援のイベントを行いました。福島・宮城・岩手の物産展をはじめ、復興パネル展や各県を代表するゆるキャラによるイベントも開催いたしました。

これらの取り組みを継続することで、地域との共生を深めるとともに、事業成長のベースとなるよう推進してまいります。

株主還元

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最後に、株主還元につきましてご説明いたします。

当社は、株主のみなさまへの利益還元を、経営上の重要な政策の1つに位置付けております。利益の配分につきましては、安定配当の実施を基本とし、業績や今後の事業展開、内部留保の水準等を総合的に勘案の上、配当を行うこととしております。

2017年度の配当につきましては、1株につき2円増配の12円の期末配当を実施いたしました。2018年度につきましても、安定配当の実施を基本として、1株につき12円の配当を予定しております。

今後も安定配当を基軸に、そして、より私どもの経営実態が株価に反映されて、株主のみなさまにもご満足いただけるような片倉グループになっていきたいと考えております。

以上をもちまして、ご説明を終了いたします。ご清聴、どうもありがとうございました。

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