うどん好きの方は一度は「丸亀製麺」に足を運んだことがあるのではないでしょうか。今回はその「丸亀製麺」を運営するトリドールの状況を最新の決算資料を見ながら見ていきたいと思います。

トリドールとは

うどんの「丸亀製麺」をはじめとして、焼き鳥の「とりどーる」、豚カツ・トンテキの「豚屋とん一」、ラーメンの「ずんどう屋」、立ち飲みの「晩杯屋」など様々な飲食業態の店舗を展開しています。

2018年3月期決算資料によれば、2018年3月末には様々な業態の店舗数を合計すると1012店舗と、1000店舗をを超えています。

その中でも、「丸亀製麺」の店舗数が最も多く、2018年3月末時点で792店舗と約1000店のうち約800店舗近くが「丸亀製麺」ということになっています。

トリドールの決算はどうか

2018年3月期通期決算は、同社決算短信によれば、売上高は1165億円と対前年度比+15%増、営業利益は同▲11%減、親会社の所有者に帰属する当期利益(いわゆる当期純利益)は同▲17%減と、一見すると売上高は好調ですが、利益の伸びがマイナス成長と芳しく見えません。

営業利益に関するウォーターフォールチャートを見ていくと減益となった背景には以下の様な要因があります。

  • 間接部門の人員増及びそれに伴う法定福利費の増などによる人件費増
  • 国内子会社の赤字拡大
  • 国内既存業態の売上減等に伴う利益減
  • 国内実験業態店舗の増加

こうした要因が売上増による利益増分よりも大きくなってしまったという背景があります。同社に限らず、人件費増は外食や小売業にとって固定費増の要因となっています。

2018年3月期通期は営業利益などはマイナス成長となってしまいましたが、2018年8月13日に発表された2019年3月期Q1決算は営業利益成長はプラスに転じています。

同Q1の売上高は353億円と対前年同期比+30%増、営業利益は同+6%増、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は同▲3%減と、いわゆる「ボトムライン」はまだ若干のマイナス成長でありますが、今後の業績動向が注目点ともいえる状況でしょう。

丸亀製麺の既存店動向はどうか

さて、トリドールのコアブランドとも呼べる「丸亀製麺」ですが、足元の状況はどうなっているのでしょうか。

丸亀製麺の既存店売上高は4月は103.3%であったものの、5-7月まで100%を割っています。5月が94.4%、6月が97.9%、7月が96.3%となっています。4-7月まで客数は100%を割っていますし、客単価については4-6月まで100%を超えていましたが、7月には100%を割れています。

外食産業を見るべきポイントとしては、既存店売上高と新規出店がカギとなることはいつの時代も変わりがありません。今年は天候が不順なことも多く、外食産業からすると読みにくい経営環境だったと言えます。短期的には、既存店売上高、そして夏以降の天候や下期にかけて巻き返しの策がどのように展開されるのかに注目です。

青山 諭志