2018年7月20日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社ニイタカ2018年5月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ニイタカ 代表取締役社長 奥山吉昭 氏

2018年5月期決算説明会

奥山吉昭氏(以下、奥山):酷暑の中、またお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまより、株式会社ニイタカの2018年5月期決算説明会を始めさせていただきます。

まず、当社の概要につきまして、映像でご紹介させていただいたあと、私から(業績について)説明をさせていただきます。

映像:こちらは、当社の概要でございます。当社は1963年に、界面活性剤関連製品の製造販売会社として、大阪市淀川区に設立されました。

業務用に特化し、業務用洗剤・洗浄剤・除菌剤・固形燃料を製造し、外食産業界をはじめ、フードビジネス業界を中心に営業させていただいております。

連結子会社には、中国福建省にございます福建新拓高日用化学品有限公司と、株式会社ユーホーニイタカがございます。

当社が製造する、主な製品でございます。食器用洗剤、除菌漂白剤・除菌洗剤、食品添加物、医薬部外品、厨房・店舗用洗浄剤、食器洗浄器用洗浄剤、食品工場用洗浄剤、固形燃料などがございます。

当社の主な事業領域は、外食産業、事業所給食、食品スーパー、食品工場などでございます。子会社のユーホーニイタカは、ビルメンテナス業界で製品を提供しております。

生産体制については、ご覧のとおりです。びわ湖工場を西の生産拠点、つくば工場を東の生産拠点と位置付けて、生産を行っております。食器洗浄器用洗浄剤の一部は福建新拓高日用化学品有限公司で、ビルメンテナンス用製品はユーホーニイタカ本社工場で、生産を行っております。

当社製品のユーザーであります、外食産業・ホテル・旅館などは、都市部から離島観光地まで、あらゆる場所で営業されております。全国のユーザーにきめ細かい対応を行うため、当社は全国に営業拠点を7拠点配置し、営業活動を行っております。

当社の理念について、ご説明いたします。このように、社訓である「自助自立」を土台とし、二本柱の経営方針「三方良し」というコンセプトを、そして頂点に、経営理念であります「四者共栄」を掲げております。

当社理念を実現するためにベースとなる、社訓の「自助自立」について、ご説明いたします。「自助自立」は、創業の精神と過去の苦い経験から導き出されたものであり、「自らの運命は自らの力で切り拓き、自分たちの運命は自分たちで決める」という意味を表しております。

土台となる社訓の上に、経営方針として、「品質第一(主義の経営)」と「真の全員参加(の経営)」を掲げております。「品質第一主義の経営」とは、高い品質の製品のサービスを提供するだけでなく、業務や企業のあり方においても、品質を第一とすること。

「真の全員参加の経営」とは、社員一人ひとりが主体的に考え、実行することです。

この方針を具現化し、強固な経営システムを構築するために、国際規格を積極的に取り入れております。とくに、品質管理につきましては、経営方針のとおり創業当初より注力し、当社製品は安定した品質と高品質・高使用価値を誇っております。

食品安全マネジメントシステムのISO22000の認証は、洗剤業界で最初に取得しました。食に関する製品サービスは、すべて認証範囲に入っております。

経営方針の「品質第一主義(の経営)」「真の全員参加(の経営)」のアウトプットとして、企画・開発・販売のコンセプトに「三方良し」を掲げております。「三方良し」とは、「買い手(販売店・ユーザー)良し」「世間(社会・環境)良し」「売り手(当社)良し」を意味しており、買い手と世間が求めるものを満たして初めて、売り手の利益が生まれるとの考え方を表しています。

企画・開発の考え方につきましては、ご覧の企画・開発方針に示しております。この方針にしたがって、「三方良し」の製品を企画開発しております。

企画・開発基本方針を具限化した例として、主要製品の1つであります、固形燃料の「カエン」について、ご説明させていただきます。この小さな塊の中に、これだけ多くのアイデアと技術が詰まっており、このアイデアと技術で、ユーザーさまのご要望にお応えしております。

以上の社訓、経営方針、企画・開発・販売のコンセプトをもとに、経営理念である「四者共栄」を実現してまいります。

こちらは、「四者共栄」を表した図でございます。高品質・高使用価値で環境にも優しい製品・サービスをフードビジネス業界に提供することを通じ、「取引先とユーザー」のお役に立ち、「株主と会社」に利益をもたらし、「社員とその家族」を幸せにすると同時に、「地域社会」に貢献し、社会に信頼され、発展する企業を目指しております。

これを「四者共栄」と一言で表しております。これらの当社の理念を実現するために、今後もフードビジネス業界の頼れるパートナーとしての信頼の維持・向上を目指し、企業理念である「四者共栄」を念頭に、「三方良し」の製品の企画・開発・販売へ経営陣を先頭に、社員一人ひとり前進・努力してまいります。

以上が、当社の概要となります。

2018年5月期業績 (連結)

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奥山:それでは続きまして、2018年5月期の業績でございます。ご覧のとおりの業績となりました。

まず、当期の売上高でございますが、167億2,800万円。前期比で7.1パーセントの伸びとなりました。7期連続で、増収を続けております。

パウチ包装 高濃度洗剤①

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次に、品目別で見まして、主なものを説明させていただきます。先ほど(の映像で)もありましたけれども、当社の開発・販売のコンセプトであります「三方良し」を具現化した製品の1つが、パウチ包装 高濃度洗剤になります。

コンパクトで軽くて、使い終わったあとのゴミも少ない。さらには、ご覧の(スライドの)ようなメリットもございます。削減した配送コスト・材料費部分ですけれども、(これを)お客さまに還元することによりまして、価格競争力を持たせることができております。

他社には、このタイプの洗剤がございませんので、販売店さま・ユーザーさまに非常に好評で、当社の強みとなっております。従来の業務用の洗剤は、いわゆる一斗缶が多かったのですけれども、それを廃番にしていきまして、このパウチ包装タイプの洗剤に切り替えていくことにより、利益率の向上を図っていきたいと考えております。

パウチ包装 高濃度洗剤②

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こちらのグラフは、この製品(パウチ包装 高濃度洗剤)の売上高推移となります。発売以来、順調に拡大しております。

除菌用アルコール製剤①

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次に、除菌用アルコール製剤です。これは、食中毒やインフルエンザなどの感染症予防の用途に使用されるものです。近頃は感染症予防に対する意識が向上しておりますので、市場全体が拡大しております。

昨年(2017年)9月に、(先ほどの)映像に出ておりましたが、新しく発売した「ノロスター」という製品が大ヒット(しました)。今までにないヒット製品でございました。

この製品は、当社が独自開発した技術で、従来のアルコールが効きにくいとされていたものに対しても、効果が認められたものでございます。また、100パーセント食品成分でできているので、いろいろな用途にご使用いただけるものです。

除菌用アルコール製剤②

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除菌用アルコール製剤の売上につきましても、需要拡大を背景に、品揃えの強化も寄与いたしまして、順調に増加しております。

今年(2018年)の6月に、食品衛生法が改正になりまして、HACCP(危害分析・重要管理点)の制度化が行われております。そのようなこともございまして、衛生意識がさらに高まっているということで、今後も期待できるものと考えております。

食器洗浄機用洗浄剤①

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次に、食器洗浄機用の洗浄剤になります。この洗剤は、一般的には液体のもの、固形のもの、粉末のものの3種類がございます。

(スライドの)左側のタイプのものが、当社の固形タイプの洗浄剤になります。これは、中国の子会社で製造しておりまして、かなりのコストダウンを実現できております。そのため、洗浄力と低コストを両立できる点が評価されまして、最近は大手ファミリーレストランチェーンさんでも、ご採用いただいております。

(スライドの)右側は、粉末タイプの洗剤の「メタルガード」というものです。特徴としましては、食器洗浄機の部品に使われることが多い銅合金というものがあり、通常の洗剤を使いますと、これが劣化してしまうということがありましたけれども、(「メタルガード」は)洗浄力と銅合金の保護機能を両立させた製品になっています。この技術が認められまして、大阪工研協会の工業技術賞を受賞しております。

食器洗浄機用洗浄剤②

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食器洗浄機用の洗剤につきましても(売上高は)順調に伸びておりますし、増加のペースが上がってきております。

衛生サービス①

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最後に、衛生サービスについて申し上げます。近年、異物混入問題や食中毒の問題などがございましたけれども、やはり飲食業界では「食の安全・安心」に関して、ニーズが拡大しております。

これを背景としまして、有償の衛生巡回サービスである「衛生パトロール」の採用が多くなっております。どのようなことをするかといいますと、具体的には飲食業者さんを統監して、食品・設備・器具などの取り扱いの指導や、営業店の衛生習慣を巡回してチェックするとか、あとは正しい衛生管理方法まわりのサービスとなります。

もう1つ、本サービスの(他社との)差別化といたしまして、(スライドの左下にあって)見にくいと思いますが、業界初の従業員向けの衛生管理のeラーニングシステムを提供させていただいています。これは、当社のユーザー限定で無償で提供しているものです。内容的には、無償でいつでも受講可能で、専任の方を置かなくても従業員教育ができるということで、ご好評をいただいております。

さらに、昨今ですと、厨房やフロアについて、人手不足で清掃までなかなか手が回らないという飲食店さんが多く出てきております。そのニーズに対応いたしまして、当社で実施していくわけではありませんが、プロの清掃員の清掃受託サービスをさせていただいております。

衛生サービス②

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衛生サービスの売上高につきましても、ご覧の(グラフの)とおりで、順調に推移してきております。衛生に関する要求は高まってまいりますので、今後もこれに関して、伸びが期待できるものと考えております。

利益の推移

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続きまして、利益の推移です。営業利益が10億8,400万円、経常利益が11億500万円、当期純利益が7億8,500万円という結果になりました。

かろうじて増益を確保できたということになりますが、人件費の増加というのが(要因の)1つでございます。また後ほど(ご説明)申し上げますが、内容的には、営業開発部隊の増員あるいは、定年退職者の補充のための新卒採用等で、人件費が増加していると(いうことです)。

それから、やはり原材料費が高騰してきているということで、非常に厳しい状況ではありましたけれども、中国の事業が好調でしたので、それが功を奏して、結果的には増益を確保できたというところになります。

配当金の推移

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配当金(の推移)につきましては、ご覧のように年間25円となって、4期連続の増配となっていると(いうことです)。

2019年5月期売上高

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次に、2019年5月期の業績予想でございます。2019年5月期の業績見通しとしてはご覧のとおり、売上高は180億円。前期比で12億7,200万円、7.6パーセント増と見込んでおります。

2019年5月期利益

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また、利益につきましては、営業利益が11億3,000万円。前期比で4,600万円、4.2パーセント増を見込んでおります。基本としては、増収とコストダウンで増加する予定でございますが、先ほど申し上げたように、中国の事業が非常に好調ですので、そちらも寄与してくれるものと考えております。配当金につきましては、1円増配の26円を予定しております。

長期目標:業務用洗剤業界でNO.1企業へ

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続きまして、長期目標と、その達成のための選択につきまして、簡単にご説明申し上げます。

内容的には、今期の業績目標を達成するための戦略があります。当社としまして、長期目標につきましては、推定で約700億円と言われている業務用洗剤市場に対しまして、現在は約16パーセントほどのシェアであると考えております。それをほぼ倍の30パーセントにすることを目標に、今は会社を挙げて取り組んでおります。業務用洗剤業界で、量・質ともにNo.1を目指すことを目標に掲げております。

① シェアの拡大

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(長期目標の達成のための)「選択」のところですけれども、第一に、シェア拡大のために、先ほど申し上げたように営業開発部門の体制を強化して、大手ユーザーの開拓に注力しております。

チェーン店さんは、やはり東京に多くございますので、東京に事業を集中しているということです。(スライドの)右下に(分類別当社シェアの表が)ございますけれども、現在はこのような状況になっております。

② シェア拡大の条件整備

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第二に、シェア拡大の条件を整備していくということで、とくに力を入れておりますのは、サービス戦略とチャネル戦略でございます。

サービス戦略としましては、食器洗浄機メンテナンスサービスの向上を目的として、洗浄剤の供給装置をIoTに対応させることの早期実現を進めております。インターネットで情報を取得することによりまして、故障の早期発見、あるいは未然防止に役立てたいと考えております。これによって、他社との差別化を行っていくということです。

次に、衛生管理という観点では、先ほども申し上げましたけれども、今年(2018年)6月に食品衛生法の改正がございました。国内のすべての食品関係の事業者につきましては、HACCPに沿った衛生管理の導入が求められることになりました。その対応を中心に、今後はサービスを充実させることによって、業績を上げていきたいと(いうことです)。

チャネル戦略につきましては、今まではあまりルート的に販売がなかった介護施設やホームセンターなどに、先ほどのヒット製品(除菌用アルコール製剤の「ノロスター」)などを足掛かりに、開拓していきたいと考えております。

③ 生産能力・生産性アップ

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第三に、生産設備の拡充・生産の効率化という表題です。従来より、生産量も出荷量もどんどん増大してきていますが、在庫スペースが不足しておりますと、生産ラインが止まるということが多発しておりました。したがって、それが生産性向上の妨げになっていたというわけです。

そのために、まず(在庫を)置いておける施設を拡充して、生産効率を高めたいと考えております。当期につきましては、すでに関東のつくば工場の自動倉庫が完成しております。

今期につきましては、滋賀県のびわ湖工場で、倉庫(の拡大)だけではなく、センターの建設のチャレンジを予定しております。

直接的な生産という部分につきましては、「バッチ生産方式」と申しまして、1回液体の部分を調合タンクでつくって、それをボトルの中に詰めるのが一般的な生産方式なのですが、(当社では)それを連続して調合し、さらに充填するという方式を、今開発中でございます。

これによりまして、いわゆる品種を替える時に……「型を替える」と言うのですけれども、そのような準備の必要がなくなりますので、飛躍的に生産性が向上すると目論んでおります。この生産方式につきましては、今期の導入を目指しております。

さらに、当期に当社のグループとなったスイショウ油化工業株式会社を加えまして、グループ全体で、生産体制の効率化を推進していきたいと考えております。

④ 人材育成・活性化

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第四に、人材育成・活性化です。業界No.1になったあと、その先を見た新規事業の創出を考えておりますが、その際にも当然のことながら、人材が必要になると(いうことで)、その育成に取り組んでいきたいと考えております。

また、一般的にも世間的にもそうですけれども、当社でもかつては出産・育児などで、キャリアを断念する女性が多かったわけですけれども、そうならないように、女性幹部の育成も含めて、女性活躍の(環境の)整備を進めていきたいと考えております。

最後に、繰り返しでございますが、新規事業の創出に取り組んでおります。M&A・業務提携等を、積極的に進めていきたいと考えております。

国内子会社について

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次に、国内子会社について、簡単にご説明させていただきます。ご覧のように、東日本にユーホーニイタカ、西日本にスイショウ油化工業という体制になっております。

スイショウ油化工業はユーホーニイタカと同様に、床(用のワックスや)洗剤を製造販売している会社でございますので、既存の子会社であるユーホーニイタカとのシナジー効果が期待できると考えております。

販売について、当面はユーホーニイタカが東日本、スイショウ油化工業が西日本ということで地区割を行って、それぞれの担当地域にそれぞれの会社が集中することで、営業の効率化を図っております。

今後は製品の共同開発を行いまして、来年(2019年)には、ニイタカブランドを業界に投入する予定です。これによりまして、業界において、当社グループの一定の地位を確立していきたいと考えております。

中国子会社について

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最後に、中国子会社でございます。(スライドの左上の)グラフのように、中国の固形燃料事業は、順調に推移しております。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、現地では液体やゼリー状の燃料が主流となっておりますが、当社のものは固形であるため、安全性が高いところが評価されております。

当社のシェアは、正確にはわかりませんが、中国市場全体のまだ1パーセント程度と考えております。したがいまして、販売(の余地)は十二分にございますので、将来的には、少なくとも日本を上回る規模に育て上げたいと考えております。

ただ、現在の生産体制では需要をまかないきれなくなる可能性が高くなっていますので、第二工場(の設立)を計画して、今は場所の選定等を行っているところでございます。

さらに、洗剤という点では、日系の外食チェーン店で洗剤・除菌剤の出荷を開始しております。近年は中国国内でも、食品衛生に対する意識の向上が見られますので、今後も需要の拡大が期待できると考えております。

すでに開示をしておりますが、第二工場を竣工して(中国の)工場が2つになりますので、中国企業全体を統括するための会社を、来月(2018年8月)上海に設立する予定です。

私からのご説明は、以上でございます。どうもありがとうございました。

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