低層マンションとは

低層マンションとは、一般的に3階以下のマンションのことを指しますが、6階建てくらいまでの中層マンションのことも含め、高層マンションと比較して「低層マンション」と呼ばれることもあります。

低層マンションが建設されるエリアは、第一種・第二種低層住居専用地域と呼ばれます。この用途地域では外壁の後退距離、絶対高さ制限など厳しい制限があるので、高い建物を建てることができません。

また低層住居専用地域には建築物の種類にも制限があり、工場や大規模な商業施設といったものも建設することができません。このため、こういった地域は、建物の周りにゆとりがあるので、緑豊かで閑静な住環境であることが多いのです。

つまり、「周辺の環境は一戸建て、住空間はマンション」という住宅を手に入れることができるというわけです。

低層マンションのメリットとは

低層マンションの魅力は、以下のメリットを享受できるという点です。

  1. 災害時にも安心
  2. 閑静な住宅街
  3. 良質なコミュニティが形成される
  4. 間取りが使いやすい
  5. 生活導線が快適
  6. 一定の需要が常にある

1. 災害時に安心

いくら低層とはいえ、昨今エレベーターのないマンションは非常に少なくなりました。停電や機械の故障でエレベーターが止まるということがあったとき、低層マンションなら階段を使ったところでそれほど苦にはならないでしょう。

しかし、タワーマンションのエレベーターが止まったとなると、高層階の住民は大変なことになりますね。大地震や火災の際に高層階から避難するのは、さぞかし大変でしょう。

低層マンションなら大地震が起きたときに比較的避難が容易ですし、火災が起きても建物の周りにゆとりがあるので延焼のリスクは低いでしょう。それに住宅地ですから、避難場所の公園や緑地も近くにあります。その意味では、地震などの災害に強い場所といえますね。

2. 閑静な住環境

低層住居専用地域では、建てられる建物に制限があります。基本的に商業施設はNGですから、パチンコ店や風俗店が入るような雑居ビル、工場といった建物ができることはありません。なので、不特定多数の人が入り込むということが少なく、閑静な住環境が保証されます。それによって、セキュリティ面も比較的安心ということがいえるのです。

空き地に隣接していたとしても、高い建物や賑やかな商業施設ができて環境が一変するという心配はありません。周辺環境が大きく変化することなく快適な住環境が保たれるということで、同時にマンションの資産価値も保たれるわけです。

また、低層マンションは意外と日当たりが良いという特徴があります。というのも、マンション周辺は、住宅街ということで低層の戸建て住宅ばかりが並んでいますから、3階のお部屋になってくると、日差しがよくあたり、視界もひらけてきます。

特に、中層マンションの5階、6階ともなると、戸建て住宅は視界にかかりにくくなりますから、低層でも日当たりが良く眺望がひらけているというメリットが生まれるのです。

3. 良好なコミュニティを形成しやすい

タワーマンションや商業地域にある大規模マンションの場合、同じ建物内でも、間取りが様々で、お部屋の価格帯の幅も広いことから、住人の属性や価値観が違うというケースが多くみられます。このため、住人同士のコミュニケーションが取りづらいという側面があります。

しかし低層マンションの場合は比較的小規模な建物であるケースが多く、住人の数が少ないうえに似たような価値観の人が集まる傾向があるといえます。

住人同士が顔見知りになることで、良好なコミュニティが形成される環境が自然に生まれ、その結果、住人同士のトラブル発生のリスクが少なくなり、快適に暮らすことができるようになります。それが不審者の侵入を妨げることにもつながり、セキュリティの強化にも一役買っているというわけですね。

4. 間取りが使いやすい

多くの場合、低層マンションは壁で建物の強度を確保する、壁式構造が採用されています。この構造には、梁や柱が出っ張らないので、室内がすっきりするため、家具などのレイアウトがしやすいという特徴があります。

ただ、一方で、壁式構造には、壁が建物を支えているという構造上、リノベーションにおける間取り変更に制約があるという特徴もあります。そのため、低層マンションは永住型のプランで設計されることが多く、低層マンションを選択する人は、長く住み続けることを想定して購入する傾向が強いといえます。

5. 生活導線が快適

低層マンションの大きな特徴として、生活導線が快適という点があげられます。

高層マンションでは、朝の通勤通学の時間帯はエレベーターが混み合い、1階に移動するまでに時間がかかってしまうということが考えられます。

また、各フロアにゴミステーションがないマンションになると、ゴミを持ってエレベーターにのる人も多く、臭いがこもってトラブルに発展するといったことも考えられます。

基本的にエレベーターでの移動が必須となる高層マンションとは異なり、エレベーターだけでなく、階段での移動も苦にならない低層マンションは生活がしやすいといえます。ゴミステーションもエレベーターを使わずに行けますから、エレベーター内にゴミの臭いが残って苦情が・・・といったこともありません。

6. 一定の需要が常にある

人気のマンションブランドを展開するデベロッパーは、人気のエリアで大規模なマンションを建てたいと考えています。そのため、様々な制限によって販売戸数が絞られてしまう低層マンションよりも高層マンションの建築を選択することが多く、自然と低層マンションは高層マンションよりも希少性があるマンションとなります。

特に住宅街として人気の高い世田谷区などでは、その希少性から、築年数がかなり古い低層マンションでも購入希望者が多くいるなど、売却がしやすいといった特徴もあります。

このように、資産価値という観点から見ても低層マンションを購入するメリットは大きく、将来的にマンション売却の可能性がある方にも、おすすめの物件といえます。

低層マンションのデメリットとは

低層マンションのデメリットとしては、閑静な住宅街であるがために

  •  「駅まで距離がある」
  •  「近隣に商業施設がない」

という点が代表的なものとして挙げられます。

また、戸数が少ないということで、必然的に戸数あたりの管理費や修繕積立金の負担率も高くなります。この点、大規模なマンションの場合、多くの住民で管理費や修繕積立金を分担することができるので、ひとりひとりの負担は減るといえます。

まとめ

一戸建てに比べれば割安ですが、マンションという観点からみると、住戸数が少ないので管理費が高いなど、低層マンションは割高な物件といえます。それを承知で購入するわけですから、投資物件として考える人は、まずいません。つまり、よほどの事情がない限り、賃貸に出されることはないので、住人の流動性が低くなります。

住人の入れ替わりがほとんどないということは、良好なコミュニティが保たれている環境といえます。静かな環境でゆったりと暮らすことに価値を見出す人にとって、良好なコミュニティは大きな魅力といえるでしょう。

長く住み、建物に対して愛着を持つ人が増えることは、管理組合の合意形成がしやすく、大規模修繕などもスムーズに進めることができるということにつながります。これにより、資産性が保ちやすいというメリットが生まれます。

住まいの何に価値を見出すかは、人それぞれ。低層マンションは、高級住宅地の一戸建てと比べると割安ですが、一般的な大規模マンションと比べると物件価格や管理費は割高になります。このように、何と比べるかで価格的な評価も変わってきます。

価値観によっては、低層マンションのメリットは、そのままデメリットになるかもしれません。しかし、閑静な住宅街での暮らしに価値を見出す人にとって、低層マンションが魅力的な存在であることは間違いないでしょう。

マンションジャーナル