「土用の丑の日」に夏バテ予防で食べたくなるウナギ

暑さが日々厳しくなる中で、今年も「土用の丑の日」が近づいてきました。今年は7月20日と8月1日の2日ですが、「土用の丑の日」で思い浮かべるのは、何と言っても鰻(ウナギ)ではないでしょうか。栄養豊富なウナギを食べて夏本番を乗り切ろうという、江戸時代に始まった日本伝統の風習でもあります。

しかしながら、近年はウナギの流通量が激減しています。特に、最重要期でもある「土用の丑の日」には価格も高騰しており、一部の輸入品を除くと庶民の食べ物としては高嶺の花になりつつあるのが実情です。

今年は養殖ウナギの生産量増加により多少の流通量増加が見込めるものの、劇的な改善には程遠い状況と言えましょう。

ウナギ不足で多くの代替食品が登場

一方では、こうした事情を背景に、ウナギの代替食品(代替魚)も登場しており、ナマズやパンガシウス(注:東南アジア産の白身魚、ナマズの仲間)などがスーパーの売り場にも並んでいます。食した人の感想によれば、ウナギの味とよく似ており、言われなければ分からないとの評判も少なくないようです。

ところで、ウナギと似た食品として真っ先に思い浮かべるのは穴子(アナゴ)という人も多いのではないでしょうか。味は明らかにウナギと違いますが、見た目はよく似ています。それに、ウナギに負けず劣らずおいしいですし(注:筆者の感想です)、栄養分も高いような印象があります。

にもかかわらず、ウナギの代わりにアナゴを食するという話をあまり聞きません。なぜでしょうか。そこで、「穴子の日」でもある7月5日を迎えるにあたって、その背景を考えてみます。

アナゴとはどういう魚なのか?

そもそもアナゴとはどういう魚なのでしょうか?

アナゴは、「ウナギ目アナゴ科」に属する魚類の総称です。ウナギによく似た細長い体型の海水魚で、食用や観賞用で利用される種類を多く含んでいます。その種類は意外に多く、150種類以上あることが知られています。

ただ、私たちが“あー、おいしい”と食べるアナゴは、浅い海の砂泥底に生息している「マアナゴ」と見ていいでしょう。なお、ここから先は、特記のない限り「アナゴ」=「マアナゴ」とします。

見た目が似ているアナゴとウナギを比べてみると…

さて、アナゴの特徴を理解するには、見た目がよく似ているウナギと比較するのが分かりやすいかもしれません。両方とも同じ「ウナギ目」に属しますが、ウナギは「ウナギ科」、アナゴは「アナゴ科」です。

まず、生態の違いを見てみると、ウナギは降河性の回遊魚(海で産卵し、ふ化した後に淡水域に遡上して河川や湖沼で成長する魚)であるのに対して、アナゴは海水魚(その一生を海で過ごす)です。

したがって、基本的には、川や湖でアナゴが獲れることはあり得ません(一部地域の河口周辺を除く)。また、養殖もほとんどありませんが、最近は研究が進んでいるようです。

栄養分で見ればアナゴはウナギに完敗