ご当地グルメはピザに合うのか!? ドミノピザの新作が攻めている

写真はすべて筆者提供

先日、会社のポストにピザ屋のチラシが投函されていた。あいにく、わが社に宅配ピザを頼む習慣はない。いつもなら一瞥してそのままゴミ箱行きなのだが、今回のチラシはなんだか様子が違う。

「牛タン焼きピザ」である。うむ、ずいぶん思いきったなドミノピザ。

さらに、チラシを開くと「フカヒレ焼売ピザ」「台湾まぜそばピザ」などの“攻めたメニュー”が飛び込んできた。

これらはドミノピザ「ご当地食べくらべ」企画の期間限定メニューらしい。全国のご当地グルメをピザにしてしまおうという、大胆な試み。なるほど、それで(仙台名物の)牛タン焼き、(横浜名物の)焼売、(名古屋名物の)台湾まぜそばというわけか。

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いずれも個々の料理としては魅力的だが、ピザの具材としてはどうなんだ、という気もする。正直、首をかしげざるを得ないラインナップである。

……しかし、猛烈に気になる。果たしてうまいのか、まずいのか、もしくは「そこそこ」なのか。

好奇心に駆られた私は、ひさしぶりに宅配ピザをオーダーした。

ちなみに、ドミノピザのホームページからピザをネット注文すると、そのまま注文画面で配達状況をお知らせしてくれる。配達の人が近づくごとにピースが埋まっていく。全8ピースが埋まりピザが完成すると、玄関のドアが開くシステムである。

今回オーダーしたのは4つのご当地の味を一度に楽しめる「クワトロ・ご当地食べくらべ」である。

左上から時計回りに、「桜えびのグラタン(駿河)」「海老と焼売(横浜)」「牛タン焼き(仙台)」「台湾まぜそば(名古屋)」。さっそくいただいてみよう。

筆者だけだと評価が偏るので、職場の同僚たちにも食べてもらうことにした。見慣れぬ「ご当地ピザ」を前にした2人のリアクションは、若干の戸惑い……、そして笑顔。

宅配ピザというのはそもそもテンションが上がる食べ物だが、そこに「ご当地」という要素が加わることでより一層の“お祭り感”が生まれるのかもしれない。「なんだこれ」「正気か?ドミノピザ」などと言いつつも、ニヤニヤが止まらない同僚たち。まんまと楽しそうである。

で、肝心の味はどうなのか。結論からいうと、「全部、ちゃんとおいしい」。

桜えびのグラタン。桜エビはたっぷりのっているわけではないが一つひとつの存在感がすごく、チーズにぜんぜん負けていない。チーズを突き破って、ぴっちぴちの磯の風味が口いっぱいに広がっていく。ほうれん草もさわやかでおいしい。

台湾まぜそば。にんにくと肉味噌のインパクトがドーンとやってくる濃い味。一口目からうまいだろ!と屈服させられるような、力強さがある。ちなみに、まぜそばといいつつ、そばは入っていなかった。でもおいしい。

海老と焼売。チラシでは「フカヒレ焼売」となっていたが、ホームページでは「海老と焼売」になっていた。まあ、うまいのでどっちでもいい。トマトソースの上に焼売の餡をのせ、ズッキーニと海老を散らしてある。焼売というより、サービスエリアに売られている餃子ドッグみたいなジャンク感がある。焼売の餡はマイルド。パンチには欠けるが、そのぶん老若男女だれでも食べられる味。おいしい。

牛タン焼き。牛タンは思ったよりちゃんと牛タン。もっと、ジャーキーとかサラミみたいな、“なんちゃって感”が強いかと想像していたが、牛タンらしい食感がしっかりあった。ピザではあまり遭遇したことのない食感だ。チーズと牛タンの相性は抜群にいいとは言い難いが、おいしいことはおいしい。

なお、どのピザを食しても、感想を言う前に笑ってしまう。おいしいのだが、やはりピザとしてはイロモノであるがゆえ、おいしさよりも「おもしろさ」が勝ってしまう。

正直にいえば、マルゲリータやエビマヨネーズ、カニグラタン、炭火チキテリといった定番ピザのほうがおいしいと思う。しかし、パーティーをより盛り上げてくれるのはご当地ピザのほうだろう。

ピザにとって、より重要なのはおいしさか、はたまた楽しさか。ピザの在り方について、今一度考えさせられるような、そんな体験だった。

 

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ちなみに、ドミノピザのホームページでは、惜しくも商品化には至らなかった「幻のご当地ピザ」も公開されている。「宇都宮名物 餃子ピザ」や「山形 芋煮ピザ」など、牛タンピザに負けず劣らずトリッキーだ。「富士宮焼きそばピザ」などは、トリッキーすぎるがゆえ実現しなかったのだろう。

なので、自分で作ってみることにした。

商品開発に限らず会議の場では、本命の案の他に「話を盛り上げるための捨て案」をしのばせることがある。餃子ピザや焼きそばピザも、おそらくその類ではないかと推測される。

そんな捨てネタを具現化するのは無粋かもしれないが、そこは空気を読まずにやってしまおう。

というわけで、左上から時計回りに「餃子(宇都宮)」「焼きそば(富士宮)」「芋煮(山形)」「タレかつ(新潟)」「ゴーヤチャンプル(沖縄)」を作った。余ったら我が家のおかずになるため、向こう一週間、我が家の食卓はご当地グルメ一色である。

ピザも生地から作った。

のっけた。

焼いた。

見た目は悪くない。

食べた。

焼きそばやカツは「焼きそばパン」や「カツサンド」などで“パンとコンビを組んできた実績”があるので、まずまず食べられる。

意外に悪くなかったのがゴーヤチャンプル。ゴーヤの苦味とトマトの酸味がベストマッチ……とまではいかないが、ケンカはしていない。親友ではないが、同窓会で顔と名前が一致するくらいの親しさは感じさせる。

しかし、「餃子」と「芋煮」は絶対にピザにしないほうがいい。本稿で最も声を大にして伝えたいポイントである。ピザのトッピングとしては「個」が強すぎる。ハリルジャパンには呼ばれないタイプだ。

……なるほど。絶望的にまずくはないが、いずれもピザにする必要はぜんぜんないな、という味。これを商品化しなかったドミノピザは、やはり賢明である。

榎並 紀行(やじろべえ)

参考記事

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1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。
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