2018年4月26日に行われた、株式会社オービックビジネスコンサルタント2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社オービックビジネスコンサルタント 代表取締役社長 和田成史 氏

2018年3月期 決算の概況

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和田成史氏:それでは、OBC2018年3月期の決算についてご説明したいと思います。

2018年3月期の決算内容について、売上高は予算1パーセント増です。上期が若干マイナスでしたが、それをクリアして上乗せしてプラスに出てきました。

下期からは、徐々に新しい方向性、クラウドへ向けた製品が徐々に出始めて、製品構成も変わりつつある状況です。

売上総利益、営業利益はほぼ前年同月と変わらずです。経常利益は前年同期比1.8パーセント増です。経常利益においては、営業外収益が十数億円出まして、当期純利益が前年同期比6.6パーセント増となりました。下期から大きな変化が現れつつある状況です。

2018年3月期 決算の概要

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2017年3月期との比較表です。売上高、販売管理費、営業利益の内容がほぼ横ばいという中で、営業外損益が14億円、経常利益が111億円、当期純利益が81億円という状況です。

部門別売上高①

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部門別の売上高の変化です。ソリューションについては、70億円が65億円ということで、前期比6パーセントマイナスになっています。関連製品は横ばい。サービスは前期比5.5パーセントプラスです。

実はOBCのビジネスモデルとして、パッケージあるいはパッケージの製品サービスについて、今後はソリューションとサービスのメンテナンスが融合し始めていき、昨年1年間、徐々に「奉行Edge」というビジネスプロセス系の製品を出してまいりました。

その分のサービスも増えてきましたので、今後はソリューションとサービスの合計金額が、OBCの技術・開発・製品・サービスに対する対価であると考えていただいて、最終的にはソリューションとサービスが合計されて、売上構成に変わるイメージを考えていただければよろしいかと思います。そのような意味で、数字的にはご覧のようになっております。

サービスでは保守料等で、「奉行Edge」の利用料のサービス部分も加算されて徐々に入ってきました。その金額が今後増えてくるということで、そちらは後ほどBSを見ていただくと状況がわかると思います。

ソリューション別出荷数量(本数ベース、バージョンアップ含む)

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ソリューション別出荷数量においては、「奉行V ERP」が前期比23パーセント増です。実はOBCの中で、売上が伸びた大きいポイントの1つが、「奉行V ERP」のバージョンです。「新ERP」は徐々に少なくなって、額的にはこの合算金額が「ERP」のバージョンになります。「新ERP」と書いてるのは、昔の前のバージョンをずっと継続しております。これが最終的には一本化します。

「NETWORK Edition」は普及型のネットワーク版でして、金額も数も多いのですが、今後はクラウドによって、この製品がプロダクト型から利用型に変わっていきます。

「Standalone」は、1万9,000本から1万1,000本で前期比42パーセントマイナスです。実はこちらがクラウドに変わることによって、新しく「Standalone」版がクラウドとして提供されてまいりますので、今後はこちらの数字が伸びてくるところです。

今までのところは、「Standalone」という製品が減ってきてクラウドに流れていって、その部分が今度、「Standalone」がクラウド提供されていくかたちに変わりますので、ここの部分の変化がこれから表れてきます。

「Jシステム」も一緒でして、「Standalone」と「Jシステム」を一体のものとして見ていただければよろしいかと思います。ですから、OBCのソリューションの中には、「ERP」系の世界と「Standalone」プラス「Jシステム」の世界、それと真ん中の「NETWORK Edition」の部分という3層ができあがっています。

この3層はマーケットが違っておりまして、上の「奉行V ERP」のマーケットについては、いわゆるITのソリューションのパートナーさんが売っていただいています。

例えば、富士通、東芝、日立など、昔のいわゆるオフコンの販売ディーラーさんがたくさんございましたが、その販売ディーラーさんのソリューションの中に「奉行」シリーズを入れていただき、パートナーセールスのルートとして自分たちのソリューションと一体化させて販売していくところが、「奉行V ERP」の1つの大きなマーケットです。ここの部分が伸びていっています。

「NETWORK Edition」は、リコー、キヤノン、ゼロックスさんなどの複写機とグループと一緒に、全体がネットワークとして、その中に会計とか給与とかというサービス商品、あるいはプロダクトが一緒に販売されているマーケットです。

そして「Standalone」・「Jシステム」は、会計事務所や社会保険事務所、あるいは金融機関さんという、新しいマーケットです。ここにOBCは今回、新しくクラウドという製品を出し始めました。「奉行クラウド」という新しいブランドでスタートとなっております。

OBCとしては、3つのマーケットに分けて、3製品を展開していくことが、次世代戦略の1つの基本課題となっております。前年との比較の中で、そのような数字が見受けられるのではないかと思います。

EBソリューション

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次に、都銀さん向けのEBソリューションについてです。各金融機関、三菱UFJさま、三井住友さま、みずほ銀行さまについてはOEMで提供しておりまして、このOEMの金融の製品がそのまま会計の中に融合していくかたちで、いずれクラウド提供できる仕組みを各金融機関さんと連携して検討に入っております。

販売費及び一般管理費の内訳

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販売費および一般管理費の内訳について、金額的に伸びたのは販売費の人件費と、それから研究開発費です。研究開発費は、人員の増加ならびに次世代開発のクラウドに向けて、人員・開発研究に力を入れております。

OBCとしての大きな流れは、PCは分散になりまして、クライアントサーバモデルを従来までずっとやってまいりました。今度は集中と分散が融合して、今はまさにクラウドという世界に行くことによって、会計の概念などが今後いろいろと変わってくると思います。

そのような意味では、研究開発ならびに販管人件費について、営業やインストラクターの女性などはほぼ全部人件費ですので、今後は人材投資へ力を入れていくということです。今年は採用人員も70名近くで、来年も同様の数字を採用予定して、開発ならびに支援営業・マーケティングに力を入れていきたいと思っております。

貸借対照表-資産の部

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貸借対照表になりますが、現金預金はご覧のとおり増えております。流動資産を見ると、増えているのが現預金と売掛金で、これは3月の売上が急速に伸びている数字の表れで、10パーセント近く増えている状況です。投資有価証券は貸借対照表(どおり)の内容です。

貸借対照表-負債・資本の部

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負債でポイントとなるところは前受収益です。昨年99億円だったのが108億円ということで、9億円近く前受収益が伸びています。この前受収益は、そのまま全額、翌期の売上に変わりますので、翌月4月以降の売上に寄与するメンテナンス費やサービス収入はすべて前受収益として翌期の売上に計上いたします資本合計につきましては、ご覧のとおりです。

以上が、2018年3月期の決算の内容です。

計画の前提

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次に、事業計画です。上期下期の概算のソリューションとサービスの内容です。

本来であれば、冒頭に申し上げた「ERP」と「NETWORK Edition」と「Standalone」の3つに分けたほうが望ましいのですが、従来ソリューション・関連製品・サービスという形態的な分類を、パッケージの売上と、関連している周辺の仕入製品の売上、メンテナンスの収入と形態によって分けてまいりました。今後は、サービスへのクラウド化に変わることによって3つのセグメントに分けているほうが望ましいと考えております。

営業利益は前年同期比10パーセントの106億円。経常利益は116億円。当期純利益は85.3億円です。こちらが来期予算です。

2019年3月期 通期事業計画

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2019年3月期の通期事業計画はご覧のとおりです。売上高250億円、営業利益106億円、経常利益116億円、当期純利益が85億円、実効税率30.6パーセントです。

部門別売上高②

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部門別の売上高の内容はご覧のとおりです。ソリューションが65億8,000万円に対して73億円で前期比10パーセント増。関連製品はほぼ横ばい。サービス製品が137億円から145億円で7.7億円増。昨年は9億円でしたので、できればこの9億円を超える数字をサービス収入として上げていきたいと考えております。

マイナンバーについては順調に推移しておりますし、解約もほぼ出ずに、1万7,000社ほど利用しておりますが、しっかりと社会貢献のできるマイナンバーを築き上げたいと考えております。

業績の推移(半期ベース)

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業績推移を棒グラフで見るとご覧のとおりです。2017年9月、2018年3月期が今期で、翌期が2018年9月と2019年3月期になります。上期・下期とも、だいたい同じ比率で伸びている現状です。

品目別売上高(半期ベース)

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品目別売上高(半期ベース)です。一番上の棒グラフがサービス収入で、2015年3月期あたりからずっと伸びてきているということで、売上として計上するよりかは、サービスとして計上するほうを重視して、2015年あたりからは将来のクラウド化に向けて体質改善という位置づけを考えておりました。

70億円台になり、74億円へという伸びを今後示していくということで、ソリューションについては徐々に右肩上がりで考えております。ここ2年ぐらい前から、ソリューションの中の一部がサービスの中にも入り始めてきております。

これからソリューションの売上の一部が、サービスへどんどん変わっていきますので、冒頭に申し上げたように、本来のOBCの付加価値のある売上・サービスは、サービスとソリューションの合計金額である。この2つは同質のものであるということです。

回収を期間利益で回収していくのか、プロダクトとして製品でいただくのかというだけの違いで、貢献される付加価値としては、サービスとソリューションの合計金額の棒グラフになってきます。関連製品はずっと横ばいという状況です。そのような意味で、クラウド時代へ向けての体質改善を進めていきます。

ソリューションの出荷数量(半期ベース)

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ソリューションの出荷状況ですが、2017年9月から急に「Standalone」が減ってきております。これは、次期開発の「奉行クラウド」を出しており、「奉行クラウド」はネットワークが中心になってきておりますので、今後は「Standalone」版対応の後継ソフトの出荷を開始しています。

その開始された部分が、「Standalone」の中にサービスとして入ってまいりますので、そのような意味では、今後は急速にサービスとして計上されていきます。

OBCの「Standalone」ユーザーの転換を大きく進めるのが、この「奉行クラウド」であるということです。「ERP」は、今のバージョンがそのまま売れ筋のマーケット商品に継続して、今年・来年・再来年ぐらいまで伸びてまいります。

これをしっかり今年・来年と伸ばしていくことと、中小企業向けの製品はしっかりとクラウドへの転換をどんどん図っていきます。そこでしっかり基盤を作っていって、アップサイジングをして、「ERP」全体が変わっていくという戦略基本をそこに置いております。

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