2018年5月10日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社ラック2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料①IR資料②

スピーカー:株式会社ラック 代表取締役社長 西本逸郎 氏

2018年3月期決算説明会

西本逸郎氏:おはようございます、西本でございます。よろしくお願いします。本日、私からは2点ご説明させていただこうと思っております。

1点目は、2018年(平成27年度)3月期の成績に関すること。続きまして、中期経営計画をご説明していこうと思っております。よろしくお願いいたします。

連結決算ハイライト(前期比)

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まずは、昨日(2018年5月9日)発表させていただきましたが、今期の数値としましては、増収をしたものの減益という結果に終わりました。

減収の理由としましては、前期のときもご説明差し上げましたが、下期にかなり中途の採用をかけて、そこで収益を確保する計画を立てておりました。しかし、残念ながら中途(採用競争)が非常に激化しておりまして、予定の半数ほど(の採用数)で着地しました。

その結果、下期に思い描いてた増収部分がなかなか行けなかった。その割に、現場は効率性を高めて、なんとか第4四半期は追い込んで、今回の数字に着地した内容になっております。

もう1点は、経常利益が営業利益に比べて、約1億1,000万円ぐらい増加しているわけです。こちらは、持分適用している会社に、思った以上に利益を上げていただきました。その結果、経常利益が思ったよりもプラスになっております。

さらに、全体の利益としましては、3年前にM&Aをしました、子会社のネットエージェント社。こちらで、(のれんの)残りの金額1億5,800万円を減損にかけましたので、当期利益としては営業利益・経常利益のマイナス以上に、マイナス(幅が増)となっている状況でございます。

セグメント別業績(前期比)

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当社はSIS事業とSSS事業(があり)、SIはシステムインテグレーション、SSはセキュリティソリューションです。「SI」と「セキュリティ」と(呼称して)お話をさせていただきます。

SIは、堅調に推移しました。昨年もご説明しましたが、NEXI(日本貿易保険)さまという、政府系の金融関係の大型案件を、50億円弱で受注しました。今のところ、非常に順調に推移しておりますので、堅調に売上に計上することができましたし、収益も確保することができました。

セキュリティは、とくに昨年、かなり原価を上げました。当社は、非常に優秀な技術者を多く抱えておりまして、これを守っていかなきゃいけないということと、中途(採用)対策も含めまして、昨年はかなり原価を上げたわけです。

本来は余計に中途を入れて、その部分でこのマイナス分を確保する予定だったのが、そこ(人材確保)ができなかったのが(この業績の)背景にあります。

連結決算ハイライト(予想比)

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続きまして、連結の決算ハイライト(予想比)です。先ほどお話ししましたように、キャリア採用の計画未達、のれんの減損損失で(業績)予想を下回りました。このような状況になっておりますので、詳細は割愛いたします。

セグメント別業績ポイント セキュリティソリューションサービス(SSS)事業

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セグメント別の業績ポイントも、今ざっとお話をしましたが、新しい部分というか、非常に希望がある部分としましては、中部地域の大手製造業者向けの、業界向けセキュリティ監視です。かなり大型の案件を受注できて、前期の12月・1月あたりから稼働を始めており、大きなトラブルもなく、しっかり順調に動いております。

こういったものをベースにして、通常のオフィスだけではなくて、例えば工場であるとか、例えばその上に乗っかるサービスであるとか。同じ業界ですが、そういう新たなチャレンジをしていきたいというのが、このトピックスになります。

2つ目は、先ほど言った処遇改善の件です。そういったところで、人の手当もかなり付いてきておりますので、今後はさらにキャリア採用でもラックに来てくれることを見込んで、継続雇用をしていきたいので、チャレンジしてまいります。

セグメント別業績ポイント システムインテグレーションサービス(SIS)事業

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システムインテグレーション(SIS)事業です。先ほどお話ししましたとおり、開発(の売上高)は全体として(前年同期より)3.8パーセント上がってきております。これは、大型案件が寄与しております。

ただ、課題として持っていることがございます。銀行系の大型開発は、みなさまご存じのように、だいたい今年度・来年度あたりで収束していく部分の次の手当は、当社も当然思っております。こういう政府系の非常に大きな案件を取ってきた実績を、さらに他の案件にもつなげていきたいということで、このSI系の今後の施策を受ける礎ができたと思っております。

あと、前期に関しましては、プロダクト関係はあまり期待をしなかったのですが、思ったより大きな案件を受注することができました。それにより、プラスに転じております。

連結貸借対照表ハイライト(前期末比)

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続きまして、連結貸借対照表です。これは順調に積み上がってきておりまして、純資産がようやく100億円を突破してきました。投資等をかけておりますが、堅調だと理解しております。

連結キャッシュ・フロー計算書ハイライト

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続きまして、キャッシュ・フローも特段問題はございません。順調に推移していると思っております。

以降は補足資料でございますので、ご参考にしていただければと思います。お手元(の決算説明資料)に2019年3月期の業績予想がありますので、こちらもご覧ください。

中期経営計画

続きまして、中期経営計画(「TRY 2021 ステージ 2」)のご説明をさせていただこうと思います。中期経営計画は、当社はステージ1(「TRY 2021 ステージ 1」)というもの(がございました)。これは2018年3月末で終わりまして、今回はステージ2をお披露目するかたちになります。

それで、ポイントとしましてはまず(ステージ1を)振り返って、続いてステージ2をどう考えているのか、株主還元をどう考えているのか。この3点で、ご説明を差し上げたいと思っております。

『TRY 2021 ステージ 1』振り返り:主な取り組み

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まず(ステージ1の)振り返りでございます。2015年度からスタートしまして、新規事業への挑戦ということで、ネットエージェントという子会社(がございます)。(ほかにも)Dynatraceの事業開始や、ジャパン・カレントの設立というかたちで(新事業が)動き出しました。

3つとも完璧に(いったかと)いうと、上手くいってるわけではまったくございません。こういったことをチャレンジしたことにより、新しい基盤ができていることは事実でございますので、それも含めてご説明していきたいと思います。

2016年度に経営基盤の強化を図りまして、昨年(2017年)私が社長に就任しました。とくにセキュリティを軸にして、新しい環境にどうやって適応していくかという観点で、練り直していきました。

そういう観点で、M&Aを2つほど(行いました)。純然たるM&Aは、1つですね。ただし、前期には間に合わずに、実際(業績に)効果が出るのは今年度からというかたちになります。アジアンリンクの子会社化。あとKDDIさまの下(にある)、KDDIデジタルセキュリティ(KDS)を共同で作りました。

これも営業(開始)は今年度(2018年)の4月1日以降ですが、こういう手を打ちましたということです。あと、セキュリティ基盤の強化です。サービスの強化・拡充、人材の確保。このようなことも行いました。

それで、(スライド右下の)セキュリティ人材の確保(の下)の字が小さくて恐縮なのですが、ここにちょっと注目していただきたいです。2017年3月末は、セキュリティ人材は507名でした。それが前年度末……つまり、今年の3月末の段階で558名まできました。

つまり、この(差異の)部分が、新卒と中途でプラスをしていったということです。ただ、(人員の)引き抜き等も多少はかかっておりますので、それによるマイナスがありますが、2、3年前に比べると(人員を)大幅に損なうことは、止めることができております。

それで、実はこの3月末から2日ほど(経過した)4月2日現時点では829名というかたちで、セキュリティ人材を大幅に増加しております。(大幅な増加の要因として)大きいのが、このアジアンリンク社の子会社化です。ここを、セキュリティ事業のもとに全部付けたということです。

さらに、順調に新人も採用されまして、このままでいくと、1,000名が見えてきたといえます。これが、まず(ステージ1の)振り返りの全体感です。

『TRY 2021 ステージ 1』振り返り:経営⽬標と結果

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数字面でいきますと、経営目標としては基本的に3つを挙げておりました。「ROEは15パーセント以上」「売上高としては500億円」、そして「東証一部にいくんだ」と。この3つを挙げましたが、昨年(2017年)の出発時点で、下2つ(売上高500億円・上場市場東証一部)は諦めましたという、宣言をいたしました。

昨年の(出発の)ところで、「売上高としては400億円の計画」ということを、公表しました。東証一部については(事業)構造変革を優先するということで、一時見合わせますということをお話をしました。

なんとか「ROE(を15パーセント以上)は死守」ということで踏ん張ってまいりましたが、先ほどのお話のとおり、12.7パーセントという着地になりました。これも、全体の利益から見て(結果として)そうなったということになります。

以上が(ステージ1の)振り返りになります。

マーケット認識

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続きまして、ステージ2です。ステージ1が上手くいかずに、とくに最後に残ったROEも(目標の15パーセントに届かず12.7パーセントということで、計画に対して)マイナスで着地をしましたが、ある面でいうと、膿みの部分はかなり出そうというところも恣意的に動いたところもございます。

そのような観点で、まずステージ2においていえば、みなさまもご存じのように、非常に社会変革が激しいですね。NHKでも毎日のように、「中国の状況はどうなるか」「アメリカの状況はどうなるか」(と報道されています)。そのような(情勢の中で)日本でも数々のベンチャーが上がってきている。そのような状況かと思います。

そういう中で、日本は非常にITは遅れているという部分もあるんですが、意外と実は先行しているのが金融です。フィンテックですね。これはとくに、仮想通貨……あれが良いか悪いかは別として、日本というのは世界で珍しく、国内行で仮想通貨を認めて、事業も認めているという後押しを(されているということ)ですね。

だいたいにおいて、日本は政策について遅れているわけですが、珍しく先行していると。こういうこともありまして、金融というものが柱になると、私は思っております。なので、やはり金融業界をいかにしっかりサポートしていけるかどうかは、1つの目線だと考えております。

それで、当然そのような中で、「RPA」とか「IoT」「AI」「Cloud」。こういったものの要素を軸として、社会にどんどん変わる部分を、端的に当社の強みを活かして、ここを攻めていこうということです。

よく社内で言ってる言葉として、「セキュリティはスコップだ」という言い方をしております。「よく掘れるスコップだな、うちのスコップは」。それで何を掘るのかといえば、新しく仕事(SI)を掘ってくる。そういうことなわけですね。

当然、スコップそのものの販売はあるわけです。同時に、スコップで掘ったもので、いかに我々が全体として事業をしていくか。この中期計画が成立する(ために)どこまでクリアできていくかというのは、1つの試みと思っております。

ビジネスモデルの変⾰

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(それに関わる事業は)当然のことながら、2本柱ですね。サイバーセキュリティとSIというのをどうやってつなげていくのかということがテーマになります。そういう観点でいくと、ビジネスモデルはやっぱり変革性がなければ(ならない)。そう思っております。

今の世の中で、当社も当然そうなんですが、一番変革性を考えられているのは、お客さまです。当社はBtoCではなくてBtoBでございますので、当社のお客さまが、変革を迫られている。その変革でもって、いかに成長しようかと考えられている。

ここに関して、我々はどういうアプローチができるか? 端的にいうと、成長するお客さまとどうやって付き合うかという部分も、非常に重要なテーマかと思っております。

そのような観点で、今回事業部制に変更しました。

1つ目は、金融(事業部)ですね。いわゆる、従来の金融と新しい金融。ここに関して、我々がどういうアプローチをするか。これは、金融というものに相対して、しっかり取り組んでいかないと、当然見えなきゃいけないものが見えてこないわけですから。それをまずはしっかりやろうというのが、金融事業部の目的です。

2つ目としましては、(スライドの)右から2番目にありますが、中部事業部です。中部地方の大手製造さまを根本的にサポートして、しっかり立て付けていくんだという意図を持ちまして、中部事業部を作っております。

(ほかにも)その他の業界を攻めていくエンタープライズ事業部と、KDDI社との事業展開を図っていく通信インフラソリューション事業部、あとエリアビジネス開発部。そして、全体を支えるサイバーセキュリティ事業部。こういうフォーメーションで、しばらく臨んでいこうと、今回捉えております。

4つの基本⽅針

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続きまして、この4つの基本方針を出しました。当たり前のことしか書いてなくて恐縮なのですが、1つ目としましては当然のことながら、お客さまのビジネスを、我々がプロとして支える真のパートナーになっていく。

当社は、SIとセキュリティを日本でやってるんですが、専門性という観点では、定評のある部分があるということです。当社は自信をもってやっているんですが、やはり「部品」なわけですね。お客さまからすれば、部品です。この部品から、インテグレーションといいますか、お客さまのパートナーシップにいかに関わっていくかという部分が、1つのキーだと捉えております。

2つ目が、競争力のある独自サービスを(市場に)幅広く展開する。とくに、これは監視サービスを重視します。

3つ目としまして、せっかくの環境変化なので、これを楽しんで成長しようと。こういう文化の会社をもともと持ってるわけなんですが、グループ会社で2,000人を超えても、変化を楽しむ会社に、どんどんしていこうじゃないかと。

4つ目として、そういうことを含めて、投資家さまを含めて、人が集まる場所(魅力的なグループ)にしていくんだという意志でございます。

4つの基本⽅針: 1. お客さまのビジネスをプロとして⽀える真のパートナーへ

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1つ目に、従来のアプローチとしましては、ITセキュリティ施策をしたい人に対して、ラックグループは部品として動いていましたということですね。なので、大手ITベンダーさまや情報システム部門というのがお客さまで、ここに対して部品を供給する、あるいは人を出す。こういうアプローチでした。

これはこれで、非常にご評価をいただいているものと自負していますが、(今は)ステージ2です。お客さま(の間)で、「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が、かなり定着していると思うんですが。こちらを意識されている(お客さまの)経営戦略に、いかに乗っていくかというアプローチが、まずステージ2(の基本方針の1つ目です)。

将来的にいきますと、我々自身が、例えば農業をやるとか。そういうこともあっていいのかなと思っていますが、(現時点では)まだ、まったくそこまでは考えが至っていません。

ここに、業界特性を重視した「事業部制の導入」と、「パートナーシップを強化」とあります。ここでやりたいのが、先ほど出ましたが、(当社は)意外と経常利益が取れる会社だと。これは、持分適用の部分なわけなんですが。持分適用ができる会社を、やはり増やしていきたい。これを中期(経営計画)のステージ2でいくことを、1つの我々のチャレンジとして思っています。

つまりは、通常の営業行為の中で営業をして、仕事を受注してやるのではない。お客さまと一体となって仕事を進めることで、そのお客さまの利益の一部を頂戴するというアプローチは、セキュリティがあるから可能になる事業だと思っています。

この目線を、各事業単位でも持って動いていきたいということが、ステージ2において、とくに営業面の(方針であり)、ただ単に「営業は営業を取るだけ」ではなくて、「パートナーシップも模索をしろ」ということで、動いてまいります。

4つの基本⽅針: 2. 競争⼒のある独⾃サービスを市場に広く展開

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続いて、競争力のある独自サービスという部分です。まだまだ成果は出ていませんが、ジャパン・カレントという、3年前に作った会社がございます。当初はいろいろ「Online to Offline(O2O)の部分を目指すんだ」とか「いろいろデジタルマーケティングをやろう」とか、いろいろ動いていたんです。(当社の)強みは何かと言うと、AIの使いこなし方にあると、気がついていました。

Instagramの画像分析等が、けっこう評判になっていまして、そこで、Instagramの画像分析をすることで、売れ筋の商品がわかる。どういうシーンでその商品が使われているかがわかる。自分たちの購買層が、どういう行動をしているのか(わかる)という部分から、新たな販売戦略をご提案できる。

こういったことを、ジャパン・カレントはやっているわけですが。そうなると、ジャパン・カレントは、いわゆる「AIインテグレーター」というポジションを模索してみたらどうだ、と言っています。

もう1つは、社内関係で、今当社自身も生産性効率だとか、業務変革をかけているわけなんですが、今話題のRPAは外せないわけです。「RPA」とは、基本的にAIなどがありますけれど、基本的にロボットです。端的に言うと、ロボティクスインテグレーターです。

我々がロボットそのものを作るのではなく、どういうふうにロボットをインテグレーションしていくのかという部分で、子会社の1つのアイ・ネット・リリー・コーポレーション株式会社が、そういう目線で見ているということです。

それで、ネットエージェントのホワイトハッカーを徹底的に売っていく。こういうことを組み合わせて、ラックグループとしてお客さまに相対する場所が、先ほどご説明した各事業部です。お客さまを見ている事業部が、ラックグループ全体を見て、最適なものを提案していく。そういう位置付けにしていこうとしています。

部品メーカーから、総合ソリューションにしていくキーワードとしましては、専門性&インテグレーションです。

病院にかかったりするとおわかりになると思うんですが、専門医とは、全体感がないんです。今は総合医がなかなかいなくて、耳が痛くて(病院に)行ったのに、耳だけを治されても、実は別なところ(に原因があるかもしれないのに、その可能性)をまったく見てくれないという病院と同じように、我々も経営目線でお客さまが「ここが痛いんだ」と言っても、実は(原因は)違うんじゃないかということを含めたご提案ができる会社に、していこうとしています。

4つの基本⽅針: 3. 環境変化を好機と捉え、成⻑に挑戦

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3番目としまして、環境変化を好機と捉えてやっていこうという部分になります。我々が誇れるものというのは、非常に自分の腕を磨いて、人に役に立ちたいという社員がたくさんいることです。これはとくに、セキュリティが入ったおかげで、従来のSIの技術者にも、非常に大きな影響を与えています。

そういう発想で、従来のSIで、「お客さまから言われたことをやっていればいいんだ」という部分だけではないんだということが、社員一人ひとりにかなり根付きつつありますので、そういった点が、我々の1つの大きな特徴になります。そういう観点で、RPAとかAIによる自動化を我々自身が使いこなして、それをお客さまに売っていく。

働き方改革もご存じのように(世間として)当たり前なことなんですが、当社の働き方改革は当然進めていくわけですが、それを売りたいからやっている部分が、かなりあります。そういった部分も、少しずつですが、動いてまいります。

2つ目としましては、新たな市場開拓です。これは以前から出ていますが、いよいよ中堅・中小企業向けのセキュリティも、少しずつ出していこうということで、昨年(2017年)から開発には着手しています。

1つは、アカマイと組んだ部分がポイントであります。独自に動いている部分で、当社の監視システムをクラウド対応させるプロジェクトが動いています。そちらを、今年(2018年)の下期あたりから、なんとかリリースをしていきたいと思っています。

あとは、先ほど言いましたホワイトハッカーの会社です。こういった部分は、もともと中小に強いところもありますので、このあたりも中小企業で、どこまでアプローチができるか。

海外関係については、今のところシンガポールに、インターポール周りの部分で細々とやっていますが、ここを少しは種として動けるかどうか。このあたりが、ステージ2での課題として捉えています。

新事業の部分に関しましては、ラック本体だけではなくて、パートナーさまおよびグループ会社を含めて、オープンイノベーションをいかに出していくかということ。これも、実は働き方改革とクロスして(いて)、端的に言うと社内副業です。こういったものを推進して、オープンイノベーションを図っていく。そういうことを考えています。

4つの基本⽅針: 4. ⼈の集まる魅⼒的なグループへ

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4つ目としましては、人が集まる部分(魅力的なグループにしていくこと)です。人材に関しては、やはり自己実現ができる会社なんだということ。お客さまに関しては、成長を助けてくれる会社なんだということ。投資家のみなさまに関しては、安定成長する会社というふうに、いかにもっていくかが使命だと捉えています。

経営⽬標

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経営目標でございます。

「ステージ1で言っていた(売上高)500億円に、ぜんぜんいかないじゃないか」と、お叱りの声はあろうかと思います。

堅実に、まずは2021年3月期、つまりオリンピックの年です。2020年度末で(売上高が)460億円、経常利益が30億円、ROEが15パーセント以上を経営指針・目標値として、追いかけていこうとしています。

ここでご覧いただいて、かなりコンサバティブだなと思われる点は、「売上高の伸長は、これぐらいでいいのか?」というのは、あろうかと思います。あと、経常利益です。先ほど私が、「営業利益以上に経常利益も重要視していくんだ」というお話をしておりますが、それが1億円の差でも変化がないんじゃないかという点が、今後のチャレンジになります。

あと、今期に関して言いますと、10年前に買収したアイティークルーについて。これが、年間で4億7,000万円ほどののれんを負担しておりましたが、今期はそのうち3億円ほどとなります。(2018年)7月末までで、1億7,000万円弱ぐらいの負担が残っておりますが、それが基本的に終わるということです。

また、減損処理をしました、ネットエージェントの1億5,800万円のうち、ざっくり7,000万円ぐらいは、今期は減るというような部分もありますので、もうちょっと投資ができるような体力も持ちつつ、ベースの計画を立てました。

売上⾼推移と今後の予測

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今後の予測等に関しては、一番下のセキュリティ(SSS)の部分は、当然どんどん伸ばしていこうと考えております。SISについては、微増です。まずは、既存の商圏であるとか新しい大型案件への転用です。こういったものを図って、微増を確保しようという計画です。ハード関係ですね。順で言ったら、ハードという部分は縮小していると。

もちろん、クラウドを売るといった部分はありますが、全体からすると縮小で、全体で460億円ということを、まず計画しております。

「さらにどこまでのせられるのか」もしくは「のせるつもりがあるのか」という部分になりますが。一応500億円というのは、大きな目標値としては、当然もっております。

なぜなら、500億円を突破しないと、新聞等の一般紙でなかなか取り上げてくれないんです。大体500億円以上規模がある会社の統計とか、そういったことになりますので、規模的に言うと、なんとか500億円にいきたい。あと、東証一部にいきたい。こういうことは当然思っております。

さらなる成⻑へ向けて

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これをやるために3点のアプローチを考えております。

1つ目としましては、M&A、規模/体制の拡大です。(子会社の)アジアンリンクがどこまで定着してくるかというのがありますが、当社の強みはとくにセキュリティにおいては、人材育成力です。27年間、信条としてセキュリティをやっていまして、社内及び(外部に)売るほど、セキュリティの教育システムは充実しております。

今後も企業内のセキュリティ運用は、大手さまを含めかなりの需要が見込まれておりますので、社内で今立ち上がっている人間を、そういった方向にどんどんシフトしていかないきゃいけないんです。

そうすると、社内がどんどん手薄になりますので、こういったものをどんどん補充していかなきゃいけない。規模/体制拡大という部分を必ずやって、全体の効率化(の観点)で考えたのが1つ目。

2つ目としましては、事業の成長です。これも先ほどお話ししましたが、対象市場の拡大、中小、中堅。このあたりがどこまで伸びるのか。パートナーシップの展開で、経常(利益)をどれだけ上積みできるのか。こういった部分というのが、2つ目のチャレンジ。

3つ目としましては、新規事業(へのチャレンジ)です。年間で3つぐらいは新規事業を上げて、3年後にはそのうち3件から5件ぐらい残っていると。最低でも数億円ぐらいにはなっているというようなことが、望ましいと思っております。

新規事業の部分は、正直読めません。当てるようにもちろん、がんばってまいりますが、我々とすれば読みやすいのが、規模/体制拡大の部分です。ここは非常に読みやすいんですが、M&Aはご縁があるかどうかというのが、1つのポイントです。

株主還元

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最後に、株主さまへの還元になります。長期的かつ安定的にを目的に、基本的にはDOE5パーセント。当社としてはDOE(の5パーセント)を基本指標としておりますので、今後も基本的には純資産を積み上げていって、しっかり配当額として、増額していきたいと考えております。

この5パーセントというのは、現状考えている数字で、最低5パーセントキープしようということです。「将来は上げる」との約束もできませんが、いずれにしても配当というのは、非常に重視していきたいと思ってます。

あと、記念配当は10周年というかたちで特別なものでございますので、(グラフの)下の濃い部分で、今後の部分の積み上がりに関しても、ご評価いただけると思います。

以上、駆け足ではございますが、私からのご説明は以上となります。

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