2018年5月11日に日本証券アナリスト協会が主催した、株式会社ロックオン2018年9月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:株式会社ロックオン 代表取締役社長 岩田進 氏

2018年9月期第2四半期決算のポイント

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岩田進氏(以下、岩田):株式会社ロックオンの岩田と申します。よろしくお願いいたします。

それではさっそくでございますけれども、当社2018年9月期の上半期の決算説明を行います。

こちらが本日のアジェンダでございまして、まず上半期の決算の概要、2020年売上30億円という中期経営計画を発表しておりますのでそちらの進捗、そして今期の業績の見通しという流れで進めさせていただきます。

最初に今期の上期の決算概要でございます。

今回の決算のポイントを3点にまとめてございます。

現在、中期経営計画2020年売上30億円という数字を目指して、当社事業構造の変革を進めているさなかでございます。

大きくは、もともとやっていた受託開発の事業からの撤退ということが1点と、主力事業であるマーケティングプラットフォームに対しての積極投資と、大きく2軸同時に構造改革を進めている状況でございまして、この結果がいよいよ数字になって表れてきたというのがこの上期かなと考えております。

ポイント1点目は開発・販売への投資を継続ということで、この結果として広告効果測定市場の中では、市場シェア42.9パーセントという結果を、第三者機関から発表いただいております。

2つ目が、「顧客を軸としたアクセス履歴解析機能」に関しての特許取得ということも発表させていただいておりまして、今後当社が推進していきますマーケティングロボットの基盤になってくる重要な特許でございますので、これに関しても大きな成果だったのかなと考えております。

そして3つ目が、このデータを次に利活用していくという意味においては、当社単独で進めていくのではなくて、ほかの会社とどんどん連携していくという方針なわけなんですけれども、ここに関して今期中に30社と連携を進めていくという目標に対して、現在20件ということで、順調に進捗しているということを申し上げます。

そしてポイント2点目が、主力のマーケティングプラットフォーム事業に関して言いますと、昨年の上期と比較して121.6パーセントということで、高い成長を上げているということでございます。

一方で、商流プラットフォームは前年受託開発とEC‐CUBEという2つのサービスを提供していたセグメントであるんですけれども、そのうちECの受託がだいたい売上の2億円ぐらいを占めていたわけなんですが、これに関しても撤退、譲渡するということをちょうど1年前に決定しておりまして、それが順調に進捗しております関係で、これに関しては上期比で60.3パーセントと減収となっているという状況でございます。

一部繰り返しですが、売上成長のための積極投資ということで、営業損失を計上したという状況でございます。

DMP関連売上の集計変更について

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詳細を申し上げます前に、一部ご説明が必要な場所があるんですが、当社は受託開発の事業に関してはおおむね撤退という状況ではあるんですけれども、そのうちDMPデータマネジメントプラットフォームといわれる一部のMPFビジネスに関しましては、今後のマーケティングプラットフォーム事業の進捗において非常に重要だということから、こちらは継続ということです。

そうなってまいりますとさっきまでは受託開発全般を商流プラットフォームの中に入れていたわけなんですけれども、性質上マーケティングプラットフォームに非常に近いという状況になってまいりましたので、この部分の売上に関しては今期からマーケティングプラットフォーム事業として計上していくということを行っております。

2018年9月期第2四半期 業績サマリー

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では具体的な数字のお話に進めさせていただきます。

まず業績サマリーでございます。

全社で見ますと、昨年比103.7パーセントということで微増、ほぼ横ばいという状況にはなっています。

内訳をご覧いただければわかるとおり、マーケティングプラットフォームに関しましては121.6パーセントということで大きく伸長、そして商流プラットフォームに関しては事業一部撤退による影響で60.3パーセントということで、これも戦略上順調という状況になっております。

四半期売上高の推移

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四半期ごとの推移が次の7ページになっております。

四半期ごとの売上高推移をご覧いただければわかりやすいかなと思うんですけれども、(スライド表中の)オレンジがマーケティングプラットフォーム事業の売上の推移、ブルーが商流プラットフォームの売上推移となっております。

これでご覧いただければ、2014年、2015年ぐらいで見ますと、マーケティングプラットフォームに関しても売上微増と約4パーセントだったんですけれども、2015年あたりから積極投資ということで進めており、2016年あたりからはそれが少しずつ結果になって表れて、このような右肩上がりを示すにいたっているという状況は、このグラフからもご確認いただけるかなと思っております。

一方で、商流プラットフォームに関しましては、先ほどから申し上げているとおり一部事業の撤退ということで、大きく減という状況でございます。

四半期営業利益の推移

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続いて利益面に関してです。

こちらが2016年9月期あたりぐらいまではオレンジ・ブルーともにしっかり利益を上げているという状況でした。

2017年からは商流プラットフォームの一部事業撤退によって、商流プラットフォームに関しては赤字という状況でございました。

この間もマーケティングプラットフォームの積極投資ということで、徐々に利益は減ってきたんですけれども投資といってもおもに人材投資ということになってきますので、すぐに投資に踏み切っても大きく費用を使えるという状況ではありませんので、段階的に利益が減ってきて、いよいよ今期赤字というレベルまで踏み込んでいるにいたっている状況でございます。

ただ、裏を返せば先ほどの売上の成長に十分繋がっております。この投資がすでに足元十分手応えがあるということと、後ほど詳しくご説明しますけれども、当社のビジネスモデルは研究開発およびセールスマーケティングの費用がその期に計上される一方で、売上はそこから3、4年かけて継続的に上がっていくというモデルでございます。そういう意味では短期的に赤字になっているということは、来期以降売上にしっかり貢献してくるという意味においては、非常にポジティブなのではないかと考えている次第でございます。

連結営業利益の変動要因

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続いて営業利益の要因分析に関して整理しております。

こちらが昨年上期の営業利益、(スライド)一番左端ですけれども1億200万円という利益に対して、マーケットプラットフォームの売上増分が1億2,900万円、商流プラットフォームの事業撤退による減収分がマイナス9,700万円、そして人件費を大幅に増やしておりますので、人件費の増加として1億2,400万円、そのほか広告宣伝費も積極的に増加しておりますのでマイナス5,200万円、その他の諸経費として2,800万円ということで、マイナス7,000万円という結果となっております。

アドエビスの売上構成

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では、いよいよ具体的なマーケティングプラットフォームの足元の数字ということでご説明させていただきますけれども、当社のビジネスモデル非常にシンプルでございます。

いわゆる最近でいうとサブスクリプションモデルというモデルでございますので、基本的には売上はアカウント数×平均単価によって、月額の売上高がシンプルに計上されると。

このアカウント数を増やして、平均単価も上げていくという事業活動を継続的に行っているというような会社でございまして、そういう意味ではアカウント数と平均単価が一番注目いただくポイントになってまいります。

アドエビスのアクティブアカウント数推移

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最初にアクティブアカウント数なんですが、ちょうど1年前の2Q、上期終わったタイミングでいいますと、1,285件でございましたが、現3月末時点においては1,479件ということで、約1,500件というところまで進捗しております。

これが毎月ご請求させていただくアクティブアカウントという状況になっておりますので、引き続き社数を増やしていくということが1つの取り組みとなってまいります。

アドエビスの平均単価推移

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対して平均単価ということが次の12ページでございますけれども、こちらをご覧いただければおわかりのとおり、少しずつ平均単価も上がってきております。

若干、四半期のシーズナリティの影響によって、上がったり下がったりというところはあるんですけれども、おおむね右肩上がりのトレンドを描いているという状況でございまして、引き続き平均単価向上で75,000円程度ですけれども80,000円、90,000円、さらにそれ以上ということで、平均単価も向上させていけるかなと考えております。

大きなポイントとしては、計測で終わるのではなくて、そこに蓄積されたデータを次に利活用していくという付加価値を提供していくことによって、平均単価を上げていこうという戦略でございますので、そういう意味においても他との連携というところを加速するということが極めて重要になってまいります。

そういう意味では、平均単価とアクティブアカウントという2点を常にご覧いただければ、当社の事業の進捗はだいたいご確認いただけるのかなと思っております。

広告効果測定市場において国内シェアNo.1獲得

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続いて、当社にとって極めて大きな成果として、広告効果測定市場シェア42.9パーセントということで、圧倒的なシェアを誇るにいたるということでございまして、今後もシェアはどんどん拡大させていけるのかなと思っております。

効果測定のデータを次に利活用していくということが当社の戦略でございますので、まずは効果測定において圧倒的なナンバーワンになっていくということを、創業来ずっとやってきているわけです。

ようやくこのような数字を確保するにいたっておりますので、いよいよ効果測定の次、2層目、3層目と当社は呼んでいるんですけれども、その次に持ってくるサービスの開発に積極的に取り組んでいけるというフェーズに入りました。

「ヒト」を軸としたアクセス履歴解析機能において特許を取得

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そういう意味では2層目、3層目といわれるデータの活用フェーズに入るに当たって、まず、重要なのがデータベースを作っていくというところではあるんですけども、人を軸としたアクセス解析機能における特許取得ということでございまして、これをベースに次につなげていくための重要な特許になっております。

2018年「働きがいのある会社」ベストカンパニーに選出

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その他は、組織的なところにおいても非常に順調に推移しておりまして、2018年「働きがいのある会社」ベストカンパニー、6年連続、7度目の取得ということで、非常に一体感のある良い組織作りというのが、現状できているのかなと思っております。

中期経営方針

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続いて、中期経営計画の進捗の報告をお話させていただきます。まず、2020年9月期、ここから2年半くらい先なんですけども、売上高30億円ということを必達させるべく、当社まい進しております。

そこまでのフェーズと、そこからのフェーズと大きく分けているんですけども、まず、2020年9月期までは、まずは国内に集中して、成長の基盤を固めていこうというフェーズでございます。その中には、開発と販売の体制強化、そして我々が掲げるマーケティングロボットの具現化というところに注力してまいります。

そこから以降に関しては、当社は「Impact on the world」という理念掲げておりますので、いよいよグローバルに展開していくフェーズかなと考えております。そのためにも、アジアを中心とした拠点拡大と、この際にはM&Aも積極的な展開による成長促進という大きな方向性で取り組んでおります。

2020年売上30億に向けた戦略マップ

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そのための戦略マップとしては、大きくまとめると、開発と営業と、そういった会社でございますので、しっかり開発してしっかり売るというところに尽きるわけなんですけども、データがより蓄積されました。まさにビッグデータですけども、機械学習によって、そこから意味を見出していき、そのデータを活用していきます。

そういったものを総称してマーケティングロボットと言ってるわけなんですが、マーケティングロボットの具現化。そして、積極的に販売していくためのマーケティングセールスの強化と大きく2軸で進めております。

マーケティング ロボット 重点開発項目

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では、そのマーケティングロボットってどういうものなのかということで、以前からお話してるんですけども、大きくこの3層モデル(スライド記載)になっております。

1層目、一番下のところなんですけども、データが無ければ次に何も進まない。

最近、データイズビジネスモデルという、データが無ければ何も進まないということをよく言われてるわけなんですけども。当社はセンサーによってデータを蓄積するという領域においては、国内ナンバーワンです。

マーケティングのデータに関しては、他社を圧倒するデータを保有するに至っておりますので、そういう意味では、まず、このプラットフォームをしっかり整備していくことと、その上の2層目、知能制御と言ってますけども、そのデータから意味を見出していくAIと、それに対しての投資。

そして、3つ目ですね。そこで見出された人ではわからないようなサジェッションから、次どういったことを行っていくのかということで、駆動系と呼んでるんですけども、他のサービスと積極的に連携していくと。大きくこの3層モデルでございます。

そして、それぞれのパーツの中では、UnKnownユーザーのプラットフォーム、そして、サードパーティデータ連携、そして、BI、AI、API開発と連携先の強化といった、大きく5つの投資分野がございまして、それを順に進めているという状況でございます。

マーケティング ロボット 連携全体像

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そして、30社この9月の末までに進めていくという話なんですけども、そこに関しては、現在20社まで連携が進んでいるという状況でございます。俯瞰的にこういったイメージなんですけども、大きく3層ともに、しっかり充実した1つのエコシステムのようなものを構築するに至っています。

これはどんどん進化していって、今20社程度なんですけども、これが数十社、100社、200ということで、だいぶデータを他でも使っていくようなマーケティングのプラットフォームといったものを当社志向しておりますので、今現在20社から、この期末30社。そして、来期はもっと多くの会社様と連携していくことによって、マーケティングのテクノロジーサービスというものを進化させていくという狙いでございます。

そういう意味では、極めて足元、手応えとしては感じているわけなんですけども、その一方で利益面に関して言うと、赤字まで踏み込むような投資をしているという状況でございます。

マーケティングプラットフォーム事業のLTV獲得モデル

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その説明のためには、やはりまずはビジネスモデルをしっかりご理解いただく必要性があると思いまして、今回からこのスライドを用意しました。(スライド記載の)このブルーのところが1年目。そして、右に2年目、3年目、さらにそれ以降ということで、それを獲得すると、数年継続していただくというビジネスモデルなんですけども。

この単価、だいたい7万5000円、8万円くらいというところが、初年度においては数か月分が売上に計上されると。例えば、9月に売上が、アクティブアカウントを獲得した場合においては、当然売上は1ヶ月分しか上がらないわけなんですけども、その研究開発費と営業セールス、あるいはマーケティングに関しては、それ以上の費用がこの期に計上されるということから、1年目くらいに関しては赤字になります。

単体のアカウントで見ても赤字になってくるというところなんですけども、2年目、3年目というのは当然ながらコストというのはかからないので、その分が当社の利益になってくるという構造でございます。

これは、1アカウント単位で見てもそうですし、それを当然1,000アカウント単位で見ても同様の構造になっておりますので、このように投資フェーズにおいては、赤字になるんですけども、以降、来年、再来年、ストックで積み上がってくる部分がありますので、数字になってお示しできるのかなと考えておりますので、自信を持って積極投資をしていくという状況でございます。

そういった取り組み自体は、2016年くらいから投資活動を進めております。改めて手応えを感じましたので、積極的に投資をしていこうといったフェーズでは、よく2016年くらいからですが、2016年単体で見ますと、まだそこまで投資が消化できませんでした。

先ほど申し上げたとおり、この投資というのは人ですから、そういう意味ではすぐに人材を採用できません。いきなり採用すると、組織が当然上手く回らないということもありますので、すぐにはその投資はできなかったというところではあるんですけども、2017年9月期くらいから、だいぶその投資に回すことができました。

マーケティングプラットフォーム事業投資の内訳

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それがこちらのグラフでございまして、売上に対して各投資分野、セールスマーケティング、開発、サポート、その他間接費。それぞれにおいて、どの程度、対売上占める割合かということを示しております。

2016年9月期のタイミングで見ますと、セールスマーケティングに関しては、売上に占める割合24パーセントだったんですけども、これを積極的に増やしていこうということを掲げ、みなさまに申し上げてきまして、その結果、2017年9月期においては、29パーセント。そして、2018年9月期の第2四半期もこのタイミングにおいては、35パーセントということで、かなり対売上に占めるセールスマーケティングの割合というのは増えているという状況でございます。

開発も同様でございまして、2016年9月期においては、21パーセント。昨期末においては、24パーセントでございましたが、現在においては、36パーセントということで、かなり踏み込んだ投資を行っているという状況でございます。

それ以外のサポートと間接費に関しては、極力増やさないということで、しっかりマネジメントしておりますので、ほぼ横ばいという状況でございます。

そういう意味では、このセールスマーケティング、開発による投資によって、営業利益のところが、マイナス11パーセントとなっています。今後、中長期的に見ますと、今後の割合としては、セールスマーケティングが30パーセント。開発に関しては25パーセントから30パーセント。カスタマーサポート10パーセントで、その他間接日が15パーセントから20パーセントということで、10パーセントから20パーセントくらいは、しっかり利益として出せるような世界観というのは作っていきたいなと考えております。

成長の原動力となる人員投資

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主な投資というのは、人材だというお話を繰り返しさせていただきましたけども、人材がどのように減っているのかということに関しては、こちらの24ページに示しております。

上場させていただいた2014年は、約68名ということでございましたが、その倍の149名、この期末に予想しているという状況でございます。現在においては、133名ですね。

この期末にかけても、さらに増やしていこうとしておりますので、149名ということで計画しております。そういう意味では、中期経営計画に対しても進捗としては順調かなという手応えを感じております。

2018年9月期の通期業績見通し

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最後に、今期の業績見通しに関してでございます。

売上が18億円。損失に関しては1億5,000万円ということで、この通期の業績見通しを今回発表させていただいております。

2018年9月期の通期業績見通し(セグメント別売上)

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その内訳、売上に関しての内訳が最後のページでございます。

マーケティングプラットフォームに関しては、22パーセント程度、昨年から比べて伸長させ、約15億3,000万円。そして、商流プラットフォームのEC-CUBEに関しても、昨年比20パーセント以上の成長で、2億5,000万円。

対してソリューションが、昨年、2億5,000万円あったものが、今期ほぼなくなりまして、2,000万円程度ということで、マイナス92パーセントです。ということで、売上に関してはトータル18億円、昨年比で見ると4.7パーセント程度という状況でございます。

そういう意味では、今回、この1年間で自社開発のソリューション事業を完全撤退というところにきておりますので、来期からはこれがなくなった上で、マーケティングプラットフォーム、EC-CUBEともに20パーセント以上の成長をしておりますから、昨対比で見ても20パーセント以上の売上高成長、実現していけるのかなと思っております。

もちろん、20パーセントで満足するわけではなく、25パーセント、30パーセントということで売上高の成長に関しては、実現していきたいなという思いでおります。

今期において、ようやく大きな構造改革というものが完了して、マーケティングプラットフォームに積極投資することによって、売上高を上げてていくことができるというところまでもってくることができたということをご報告申し上げます。

以上で2018年9月期の決算説明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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