2018年5月10日に開催された、株式会社ベネッセホールディングス2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:株式会社ベネッセホールディングス 代表取締役社長 安達保 氏
株式会社ベネッセホールディングス 代表取締役副社長 小林仁 氏

2018年3月期決算説明会

安達保氏(以下、安達):それでは、私からご説明いたします。今日は本当にお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。昨年1年間、事業の再生に向けて、全社員で力を合わせてやってまいりました。

その結果、昨年度の業績でございますけれども、増収増益です。売上につきましては、4年ぶりの増収。営業利益・経常利益につきましては、5年ぶりの増益で、大変に良い結果を残すことができました。その最大の理由は、国内教育が非常に良かったことでございます。

そしてまた、今年(2018年)の4月の「進研ゼミ」の在籍(会員数)は257万人で、昨年(2017年)の4月在籍が245万人でございました。

(要するに)12万人増えたということで、本当に久しぶりに、「進研ゼミ」の会員数が伸びました。しかも12万人というのは……過去10年間の絶対数で、12万人も増えたことは、ないんです。

そういう意味では、大変に画期的な4月の結果であったと言えると思います。中期経営計画を昨年発表いたしましたけれども、(今年は)この1年目です。大変に、良いスタートが切れたと思っております。

中期経営計画発表(2017年11月)以降の総括

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それでは、2ページになります。昨年(2017年)上期の決算発表をしたときに、新しい中期経営計画を発表いたしました。

そのあと約半年でございますけれども、どういうことをやってきたか、簡単にご説明いたします。

まずは、今申し上げましたが、国内教育事業は、非常に好調に推移しています。「進研ゼミ」の会員の増加や、あるいは学校事業も、全体として非常に順調に推移しております。塾事業も、順調でございます。

もう1つは、今年(2018年)の4月1日から正式に、「グローバルこどもちゃれんじカンパニー」を作りました。今まで「K&Fカンパニー」と呼んでいた中に、日本の「こどもちゃれんじ」があって、海外事業の中に、中国とそれ以外の国の「こどもちゃれんじ」がありました。この「こどもちゃれんじ」を全部まとめまして、1つの事業のユニットにいたしました。

そうすることによって、(日本も世界各国も)お互い、子どもの幼少期には、世界共通の部分があるんです。ですから、これを共通的に拡大させていく。あるいは、ノウハウを共有することで、伸ばしていくことを始めたわけです。こういうこともスタートして、国内事業が非常に好調にスタートしています。

また、中国事業も(詳細は)あとでご説明いたしますが、ちょっと停滞していた、あるいは成長が鈍化した部分がありました。それのテコ入れも、このカンパニーの中でやっています。

ベルリッツの構造改革も、本格化しております。これは、あとで詳しく申し上げます。

それから、社内基盤の強化ということで、やはり人財は非常に重要だと(考えて)、あらためてグループ人財本部を独自に作りました。(社内基盤の強化の)もう1つは、グループデジタル本部です。やはりデジタルの強化は、どこの会社も本気で取り組んでおりますけども、我々も同じでございます。ここで集中的に、デジタルスキルを上げていこうと取り組んでいこうと思います。

【実績】2017年度 ハイライト

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数字についてのハイライトを、次のページでお話しいたします。先ほど申し上げましたように、2017年度のハイライトは増収増益でございます。

ここの数値は(資料を)ご覧になればわかりますのでご説明は省きますが、売上高は4,344億円で、前年比1パーセント増。営業利益は126億円で、前年比64パーセント増。経常利益は92億円で、前年比約67パーセント増。

純利益は123億円です。これは、TMJ(株式会社テレマーケティングジャパン)を昨年(2017年)の10月1日に売却した利益が、税前で126億円あり、これが大きく貢献し、実績としては123億円で、前年比約250パーセント増になっています。

【実績】2017年度 セグメント別売上高

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セグメント別に、売上高を見てみます。

国内教育は今年(2017年度)は2,051億円ということで、前年比5.5パーセント増です。この内容は、やはり「進研ゼミ」が下げ止まり、少し伸びたということで、延べ在籍数が増加しました。それから、学校事業の大学向け留学支援事業と塾事業が伸びたということです。

海外事業につきましては、290億円です。これは前年比3.7パーセント増で、想定よりは伸びてないわけでございますけれども……それでも、中国の延べ在籍は伸びてきております。一方で、為替のマイナス要因がございます。

介護・保育については、安定的にホーム延べ入居者数が増加して、1,118億円で、8.6パーセント増です。

語学につきましては、ベルリッツが減少しております。571億円で、5.2パーセント減です。

その他は減っておりますけれども、これはTMJの売却による売上の剥落が、原因でございます。

【実績】2017年度 セグメント別営業利益

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5ページは、セグメント別の営業利益でございます。

大きく営業利益の増に貢献したのが、国内教育でございます。国内教育は99億円になりまして、前年比で約6倍になっているわけでございます。理由は、先ほど申し上げたように「進研ゼミ」の在籍数が良くなったということと、「進研ゼミ」で大幅なコスト削減を実現することをお約束しておりましたけれども、順調に進み、99億円のコスト削減を実現しております。

海外事業につきましては、実は今回、営業利益が減っております。昨年から約10億円減りまして、21億円となりました。先ほど「在籍数が若干停滞した」とお話ししましたが、これのテコ入れのためにマーケティング強化をしており、そのあたりのコストがかかっているということがございます。

介護・保育については、これも安定的に利益を上げ、88億円までになっております。前年比で8.1パーセント増でございます。

語学につきましては、ベルリッツが大幅に赤字を増やしております。これは、トップラインが伸びてないことも理由でございますし、また構造改革費用をかけていることも(理由の1つで)ございます。37億円の赤字になっております。

その他・調整額がございますが、ベルリッツあるいは海外事業の減益はございますけれども、とくに国内教育が大きく伸びて、全体としては増益になりました。

「進研ゼミ」4月会員数(国内)

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6ページをご覧いただきたいと思います。先ほどお話をしたように、今年(2018年)の4月には(会員数が)257万人になっております。各講座すべてで増加しております。このあたりの話は、小林(仁氏)から詳しくお話しいたします。

海外事業 4月会員数

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7ページは、海外事業の4月会員数でございます。中国の増減率は6.5パーセントで、在籍数は伸びておりますが、一時期の伸びに比べると鈍化しているのが、見てとれると思います。

【見通し】2018年度 ハイライト

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8ページは、2018年度のハイライトでございます。今年も引き続き、増収増益を予定しております。

売上高は4,420億円で、1.7パーセント増。営業利益は160億円で、26.7パーセント増。経常利益は120億円で、29.7パーセント増。

純利益は、2017年度にTMJの売却益がありましたが、これが剥落したということで、55億円になりますけれども……55億円は、決して悪い数字ではございません。

【見通し】2018年度 セグメント別売上高

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セグメント別売上高は、ベルリッツを除いて、すべてで増収を予定しております。

国内教育が、5.9パーセント増。

グローバルこどもちゃれんじが、9.4パーセント増。日本と中国の両方で、成長を見込める予定でございます。

介護・保育は、4パーセント増。

ベルリッツにつきましては、依然として、まだレッスン数のトップラインが回復してこないということで、5パーセントの売上減でございます。

その他は、TMJの売却による減収がございまして、その分の売上がマイナスになっております。

【見通し】2018年度 セグメント別営業利益

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10ページは、営業利益でございます。(2018年度の見通しで)いちばん伸びるのが、国内教育でございます。国内教育全体で124億円、37パーセント増。

グローバルこどもちゃれんじは29億円、約25パーセント増。

介護・保育は91億円。

一方、ベルリッツにつきましては、今年は赤字が続くということで、43億円の赤字。

その他・調整額は、(前年と)だいたい同じようなものでございますけれど、成長投資をするということで、少しマイナス分が増えています。

数字のハイライトは、以上でございます。次ページ以降で、今後の戦略についてお話ししたいと思います。

中期経営計画 業績目標

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12ページでございますが、これは中期経営計画の再掲でございます。

2020年度には売上高5,000億円・営業利益350億円を目指し、これを実現するために経営陣一丸となって取り組んでいるわけでございます。

今年は、今年度の予算をつくるのと同時に、この2020年度の数字をどうやって達成するかということを、相当社内で詰めてきております。そのあたりの道筋を、お話ししたいと思います。

営業利益350億円に向けた改善イメージ(FY18→FY20)①

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13ページでございます。まず、2017年度から2018年度への推移がどうなるのかということです。

先ほど申し上げましたように、最大の利益の貢献は、国内教育でございます。33億円プラスになるということです。

グローバルこどもちゃれんじと、介護・保育もプラスになります。ベルリッツについては、まだ構造改革が続いているということで、マイナス。その他も、先ほど申し上げたように、若干のマイナスということでございます。

営業利益350億円に向けた改善イメージ(FY18→FY20)②

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ですが、2018年度から2020年度にかけて14ページを見ていただきますと、様相がだいぶ変わってきます。

国内教育は依然として、さらに利益の貢献度は上がってまいります。これはあとでご説明しますが、「進研ゼミ」の在籍数がさらに伸びていくと想定しておりますし、それが確実に出てくるだろうと、我々は見ているからでございます。

グローバルこどもちゃれんじも、大きく利益貢献をしてきます。さらに、利益貢献という意味では、ベルリッツが赤字を解消していくというプロセスに、やっと入ることができると見ております。これらトータルで、営業利益の350億円というものは、達成できると見ております。

2019年から2020年の(推移の)中で、赤くなっている「その他」の19億円というものがありますが……実はこれは、正直に申し上げると、バッファーです。国内それぞれの予算を足し合わせると、350億円を超えております。ただ、いろいろなこともございますので、我々としては保守的に見て、バッファーが入っているということでございます。

2018-2020年の重点実行項目

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15ページをご覧ください。これを実現するための重点実行項目ということで、5つ挙げております。

1つ目は、国内教育でございます。やはり、教育・入試改革というものが、本当にもう間近に迫ってきているわけでございますが、それに対するさまざまな対応力を、我々は持っていると思っております。ベネッセが持っている総合力を活かしてこれに取り組み、利益を伸ばしていこうと思っております。

2つ目は、先ほど申し上げた「こどもちゃれんじ」のグローバル展開でございます。これを1つのくくりにした効果が、これから出てくると思っております。

3つ目は、ベルリッツの構造改革です。これは、のちほど詳しく見ていきます。

4つ目は、介護事業の安定成長です。

5つ目は、これも前からお話をしている(M&Aを活用した)第3の柱になるような新しい事業をつくっていくと。一方、財務戦略についても、のちほど触れさせていただきたいと思います。

それでは、国内教育について、小林からご説明を申し上げたいと思います。

国内教育 国内教育事業戦略の全体像

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小林仁氏:私から、国内教育とグローバルこどもちゃれんじについて、発表させていただきます。

国内教育は、去年(2017年)の秋に発表した中計で掲げていたことです。ご承知おきの方は多いと思いますが、日本の教育課程は、今非常に大きな岐路に入ろうとしています。教育・入試改革という、大きな動きがございます。

そのような中で、進研ゼミ事業、学校事業、エリア・教室事業のすべてを持っているベネッセが、この教育・入試改革において、どういう風にお子さまのニーズや学校の困りごとに、対応していくのかと。そこをしっかりシナジーを持ちながらやっていくことが、総合力として国内教育事業を伸ばしていくことだろうと考えて、今やろうとしています。

こちらの図は、縦軸の上が学校向けの事業でその下が校外学習の事業、横軸は学齢でございます。

今ベネッセは、この学校事業の高校生のところに、圧倒的な強みを持っております。進研模試あるいはGTEC、(顧客)信頼も含めて、ここが教育改革の中では、必ず最初に変化が起こるところです。そこを「進研ゼミ」や教室事業とリンクしながら、いかに意味のある総合力を発揮してかたちをつくれるのかという戦略を組んで、今進んでいるわけです。

国内教育<進研ゼミ> 「進研ゼミ」4月会員数

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これは先ほどの再掲になりますが、「進研ゼミ」の4月会員数が、高校講座・中学講座・小学講座・こどもちゃれんじというすべての講座で増加したということであります。

国内教育<進研ゼミ> 「進研ゼミ」トピックス

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次に、その4月在籍数のトピックスを、5つぐらいのポイントで書かせていただきました。

先ほど安達からご説明いたしました、我々の目標の中の「進研ゼミ」というのは、実は「2020年で300万会員達成」となっています。

それに向けて、この4月をどう見ているかということです。1つは、去年下げ止めという大きなトライアルをして、実現しました。そして、その下げ止めから回復するのかというのが、今年でした。それを着実に、12万人回復させたということです。

リニューアルした4月号の継続率。「継続率から、事業をしっかり立て直そう」と、社内で言ってまいりました。この4月号の継続は、小学校1年生から高校3年生まですべて、対前年を上回る継続率を残すことができました。

教育・入試改革に対応した商品・サービスを、当然変革・改訂をしていますし、あるいは活用にとことんこだわったということで、実現できたと思っています。

年間新規入会者数も、ほぼ計画どおりの数字で推移しました。去年の1年間で100万人という新規(入会者数)を計画していましたが、実績もほぼ100万人ということでございます。ここに非常に大きく影響するPCL(Potential Customer List)の保有率も、計画通り高まっていっております。

そして、先ほど「こどもちゃれんじ」から「高ゼミ」(高校講座)までの在籍をお話ししましたが、とくに「こどもちゃれんじ」と「小ゼミ」(小学講座)の伸びが、しっかりできたと。「進研ゼミ」は、下の学年の母体を大きくしていって、それを引き上げていく構造ですので、この4月は長い目で見た時にも、非常にいい結果になったと思っています。

こういう中で、コスト構造改革(を着実に実行しました)。去年、「94億円のコスト削減を、『進研ゼミ』でします」というお話をさせていただきましたが、実態は99億円(の削減)でしたので、中身を筋肉化しながらこの在籍をつくれたというのが、非常に大きいポイントだったと思います。

国内教育<進研ゼミ>300万会員の達成ロジック

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300万会員をいかに(達成)していくのかと。今まで、来年度の4月在籍(の計画値)は、実はご報告したことがございません。今回は(初めてご報告)しております。

(2018年4月の)257万会員というのは、どうやってつくったかというと、(前年からの)継続生数で157万人、(年間の)新規入会者数で100万人というかたちで、つくったわけです。

それを、次年度(2019年4月)は継続で65パーセントまで1パーセント上げて166万人、新規で108万人です。翌年(2020年4月)は66パーセントとさらに継続を上げ新規で120万人というかたちで、来年の4月は274万人という目標を掲げ、実際にやっていこうと思っています。

この継続を、(2016年から2017年の)62パーセントから(2017年から2018年に)64パーセント、64パーセントから(2018年から2019年に)65パーセント、(2019年から2020年に)66パーセントと、着実に上げることが非常に大きなポイントだと思ってます。去年1年間やってきて、この4月号の継続の結果を見て、しっかりと継続を中心に事業を立て直すことが、ゼミの300万会員(達成)の近道だと認識しております。

国内教育<進研ゼミ>300万会員達成に向けて①

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300万会員に向けた、戦略のポイントです。

先ほどお話ししたように、顧客満足度を高め、高い継続率を維持する。その結果として、PCL保有率を上げることももちろんですけれども、顧客満足度の高い商品を出すことで、新規も高めていこうと考えております。

おのずと、「進研ゼミ」においても、教育・入試改革に向けた商品・サービスのリニューアルは、今年(2018年)の4月に用意してますし、これから2、3年間で、しっかりやっていきたいと思います。

営業は、ダイレクトマーケティングの進化ということで、PCLの保有率をさらに上げていくと。入口学年(ぷち・小1・中1・高1)を重点的に、在籍をつくっていく。そして、DMのみならず、「DM×デジタル×TVCM」のメディアミックスのバランスが、やはり非常に新規に影響しますので、ここを進化していくということを考えております。

そして、さらなるコスト構造改革と(成長投資)。

こういう3点を実行しながら、300万会員をしっかりつくっていきたいと思っています。

国内教育<進研ゼミ>300万会員達成に向けて②

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これは、PCLの保有率のご説明です。去年、情報漏えいの前を100パーセントとした時に、「50パーセントまで戻りました」とお話ししました。

2018年度は、真ん中の薄いブルーですが、計画通り60パーセントまで戻りました。これを2020年度は、赤いところの70パーセントぐらいまで戻します。

横軸が、学齢です。PCLを収集して保有率を上げるのは、どうしても下の学年を中心になってきます。そこでしっかりと新規を取ります。上の学年は、実は元会員です。社内では「復活生」と呼んでいますけれど。元会員にアプローチをすることで、新規を取っていく。それをしっかりと、この3年間もやっていこうと思っています。

国内教育<進研ゼミ>300万会員達成に向けて③

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(300万会員達成に向けて)商品を2つほどご用意していますが、高ゼミ(高校講座)のオンラインです。右側に、オンラインスピーキングのレッスン満足度と、先生満足度を書いています。これは、実際の会員から確認できた数字です。ゼミの教材で、商品(レッスン)満足度が94パーセントとか、先生満足度が99パーセントというのは、今までほとんどなかったんです。

それぐらいこの教材は、4技能(読む・書く・話す・聞く)を問われていく今の高1生にとって、フィットすることができたという認識を持っていますし、このオンラインスピーキングだけではなく、この(2018年)8月には、「スピーキングの自主トレアプリ」も、続けて出していこうと思っています。

しっかりと、英語の4技能でも、高1生にとってゼミを使っていただけるかたちを、これから推進していこうということは、1つの教育改革に向けた新しい動きです。

国内教育<進研ゼミ>300万会員達成に向けて④

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これは、小ゼミ(小学講座)の話をしています。知識を活用する「思考/表現/判断力」でやっております。まずは「進研ゼミ タッチ講座」を、とことん使ってもらうことにこだわらないとだめです。

したがって今年は、問題が解けなかったら(解き直しができる)「解き直しボタン」を付けました。テレビCMでもやりましたけど。そういうことをやることで、学習完了率を上げていこうと。実際、今1ヶ月やって(学習完了率は、対前年で)105パーセントです。昨年より、上がっています。

さらに(資料の)下で、小学生の段階から思考力を育む発展問題もご用意しています。実は、タッチの問題自体は、1年前と比べると1.5倍増えています。「学習量が少ない」という退会理由も非常に多かったわけですけど、それをしっかりと用意させていただくことで、お子さまのニーズや、あるいは新しい教育観に求められる教育に応えていこうと、そういうことをやっております。

国内教育<学校事業>教育の環境変化

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以上が「進研ゼミ」でして、今度は学校のお話を差し上げます。学校については、まず教育の環境変化を、あらためて前に出しています。学校の戦略は、「教育・入試改革への迅速な対応」、そして「高校・英語領域の優位性を強化」という、2つのポイントがあります。

ご承知のとおり、2020年度は新入試になります。つまり、今の高1生は新しい入試を受けるわけです。そのときには、英語の外部検定が始まります。そして、一発でテストの点数で(合否を)決めるのではなくて、高校生活の中での状態を合否に反映させていこうという、多面的・総合的評価が始まっています。こういうことが、実際にこれから起こっていくわけです。

大学領域も、大きな変化がこれから起こっていきます。そして小・中は、指導要領が変わっていきます。これも随時変わっていきますけども、すでに先行的に変化が起こっています。

国内教育<学校事業>学校事業のさらなる成長①

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そのような中で、今日は3つほど、今の学校の取り組みをお話しします。

1つは「GTEC」、スコア型英語検定です。まず、先日(2018年)3月に発表がありましたが、2020年度に大学入試共通テストの英語で、4技能を測る民間の検定が発表されました。「GTEC」は、見事そこに選ばれました。これが、まず戦略の基本だったわけです。

そして、「じゃあ実際、『GTEC』は今どのくらい使われているのか?」ということですが。(資料の左に記載しているのは)去年の実績です。高等学校・中高一貫校で1,850校です。いろいろな高校を全部入れると、5,000校ぐらいあるんですけど。進学校で言うと、ほぼ100パーセントに近いシェアをしています。そして(年間の延べ受検者は)102万人。これぐらいの実績を持っているわけです。

新入試あるいは教育改革において、学校教育の英語4技能を支援できる状態でもありますし、さらにこれをしっかりと伸ばしていこうと思っています。

国内教育<学校事業>学校事業のさらなる成長②

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これは「Classi」です。「Classi」は、クラウド型学習支援サービスで、学校の指導サービスや子どもの学習サービスをやっています。これも、導入校が非常に増えていっています。

そして、2020年度は多面的・総合的評価が始まると、先ほどお話ししました。この「Classi」には、「eポートフォリオ」と言って、高校生活のいろんな情報が貯まっていくわけです。それを実際に、学校の先生と生徒の間でコミュニケーションをとり、生徒一人ひとりの財産になり、それが入試に使われていく。そのようなインフラが、しっかり「Classi」でできていることになります。

国内教育<学校事業>学校事業のさらなる成長③

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これは、学校の最後のトピックスです。大学改革も、これから大きく始まっていきます。そのような中で、ベネッセが今何に着手していくかというと、THE(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション)。イギリスの会社です。これは、(大学の)世界ランキングを出している会社です。

そこと連携して、日本版を作っています。この日本版を、先日(2018年)3月に発表させていただきました。多くの大学の学長・副学長クラスの方がたくさん集まっていただいて、発表を聞いていただいています。これも大学改革のスタートの大学の意識、あるいはどう行動すればいいかの指標になるんです。そういった働きかけも、スタートをしているということでございます。

グローバルこどもちゃれんじ 「こどもちゃれんじ」のグローバル展開

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次に、「グローバルこどもちゃれんじ」です。「グローバルこどもちゃれんじ」の目標は、2020年度に250万会員を実現しようということでございます。

その中には、3つ戦略があります。日本の「こどもちゃれんじ」をさらに成長させよう。中国の「こどもちゃれんじ」を拡大しよう。そして、さらなるグローバル展開を考えております。実はインドネシアで、この(2018年)7月に「こどもちゃれんじ」の講座が始まります。

グローバルこどもちゃれんじ<日本>日本の「こどもちゃれんじ」の再成長

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実は先ほどの(2018年4月の「進研ゼミ」会員数の)257万人の中に、日本の「こどもちゃれんじ」も入っております。(2017年4月の)74万人から(2018年4月に)79万人ということで、今年は大きく伸ばしました。

今年はちょうど、日本の「こどもちゃれんじ」が30周年目を迎えます。そこの中で、このV字回復を実現できたわけですけど。それはどうしてかというと、顧客接点を圧倒的に拡大していきました。これは、意志を持って(拡大してきました。例えば)1月から3月にコンサートをたくさんやったり、映画を流したり、あるいはデジタル映像を強化したり。こういう顧客接点を増やすことを、まずやりました。

そして、商品リニューアルを強化しました。この中で、4歳-6歳講座は思考力の新たなチャレンジ(「思考力特化コース」)をしました。これも、教育改革に紐付いていることです。これも、今まで「こどもちゃれんじ」になかなか接点を持っていただけなかった層も、この思考力特化コースを用意することで接点が持てたことが、実際に起こっています。

グローバルこどもちゃれんじ<中国>中国「こどもちゃれんじ」事業の現状と今後の施策

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中国(のこどもちゃれんじ)です。中国は、2020年度に(会員数で)140万人から150万人を目指そうとしています。先ほど安達から(説明が)ありましたが、去年1年間、少し成長が鈍化しました。これは、それまでは営業できるエリアをどんどん増やしていって、営業強化で会員を増やしてきたフェーズだと思います。それが一定程度、もう実現できています。

そこで、さらに増やすのはどういうことかということで、今チャレンジをしているのが、商品を抜本的に見直そうということです。実際にこの(2018年)3月に、13ヶ月目から24ヶ月目のお子さま向けの講座を、大きくリニューアルしました。そこのラインの対前年は、142パーセント。今まで以上に、大きな伸びが見えています。

こういうことを、この秋あるいは来年(2019年)、ラインを上げながら商品を変えていくことで、また新たな展開を作っていこうと思っております。

私からは、以上です。

ベルリッツ 中計発表以降の進捗

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安達:それでは、ベルリッツについてお話をしたいと思います。

34ページです。中計の発表以降、(ベルリッツでは)どういうことをやってきたかということでございます。

中計のときに、「新しいCEOを外部から招聘した」という話をしましたが、彼のもとで、本当に事業再生ができるチームを組成したということでございます。そのチームが、2020年には黒字転換、2022年には十分な収益貢献ができる事業計画を立てております。それに基づいて、今年(2018年)から徹底したコスト削減を実施しておりますし、商品・業務プロセスの変革を開始しております。

ベルリッツ 新経営体制

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こちらのページに、具体的な経営体制ということで、ご紹介をしております。CEOはカーティス・ユーラインという人です。実は、ベルリッツの競合にもなるんですけれども、元ウォールストリートイングリッシュという会社の、CEOをやっておりました。この会社は、実は私の前職のカーライル(カーライル・ジャパン・エルエルシー)の投資先であったんですけれども。この会社を5年の間に、見事にターンアラウンドさせた実績を持っております。

彼が、そのときあるいはその後一緒に経営をしたチームメンバーを集めました。商品・IT担当SVP(Senior Vice President,SVP)、マーケティング・APAC担当SVP、フランチャイズ担当SVP、そして北米担当SVPということで、本当にターンアラウンドができる、そして語学教育を本当によくわかっている経営陣の布陣が、できたと思っております。

ベルリッツ ベルリッツの構造改革

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2つのことを、同時にやっています。

1つは、コスト削減でございます。北米・米国本社を中心に、約520人の人員削減を行っています。また、アメリカに留学事業のELSセンターがございますけれども、これを縮小しています。こういうコスト構造改革・リストラによって、2018年度は、対2017年度比で6.7百万米ドルのコストが下げられると。また、2019年以降は、13百万米ドルのコストが下げられると見ています。

当然、一時的にリストラ費用がかかってまいります。ですから、これをワンタイムでかけた上で、今後の収益をちゃんと作っていくと。固定費は、これで大幅に削減できるということでございます。

一方、トップラインでございますけれども、「ベルリッツ2.0プロジェクト」をスタートしています。

今までベルリッツは、ご案内のとおり、どちらかと言うと、対面の教室を中心にやっていました。この対面と、テクノロジー……とくに、オンラインであるとか、デジタル教材。こういうものを組み合わせた商品を、今開発しています。

もう1つは、新しいITシステム。実際に今、Salesforceを使いますけれども。これの導入による、業務プロセスの改善をやっています。

デジタルマーケティングについても、Googleのマーケティングをやっていた人を新しく連れてきて、トップに採用しました。この人を中心に、各国のマーケティングを、今改善しています。フランチャイズも、今まではどちらかと言うと、ベルリッツはあまりフランチャイズには力を入れてこなかったんですけれども。これからは、フランチャイズ政策を抜本的にやり直す予定にしています。

あと、留学事業のELSにも新しい商品(パスウェイプログラム)を投入して、商品魅力度を大幅にアップしていく。同時に、テクノロジーの商品……いわゆる(対面の)教室だけでなくて、テクノロジーと組み合わせることで、コストが大幅に下がります。

したがって、限界利益率も大幅に上がってくることになってくるわけでございます。

ベルリッツ ベルリッツの売上・利益計画

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こちらのページは、こういうことをベースにして、どういう事業計画を描いているかということを書いたものでございます。実際の数字は、ここには入れていないんですけれども。

これは米国会計基準で、利益はEBITAを棒グラフで表しています。折れ線グラフは、売上高でございます。今年(2018年)・来年(2019年)はリストラをして、まずコストを下げることを中心に、2020年の黒字転換を実現すると。これは、間違いなくできると思っています。

一方、トップラインは先ほど申し上げた、新商品・新業務プロセスのローンチが、2019年にあります。これをローンチすることによって、その後の売上拡大を実現することで、事業再生を実現させる。こういう計画になっています。

介護・保育 介護事業の安定成長

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続いて、介護・保育事業でございます。介護につきましては、ご案内のとおり、業界でも本当にトップの品質を誇る事業を展開してきているわけでございますけれども。これを引き続き継続して、さらに高めていくことで、安定的な成長を実現していこうと思っています。鍵になるのは、この図の下に書いてあります、2つのポイントでございます。

1つは、「サービス品質を向上」させていくということで、以前も「ベネッセメソッド」とご紹介しましたけれども。認知症の対応のノウハウであるとか、入居者の方に、本当に気持ちよく入っていただけるような施設を作る、ノウハウがございます。こういうものを、さらに研ぎ澄ませていくことが必要だと考えています。

もう1つは、人員(体制の安定化)でございます。やっぱり(介護は)人がやる事業でございます。人をしっかり確保することが、非常に重要でございます。処遇改善を昨年(2017年)実施いたしましたし、こういう介護の職員の方々への育成あるいは定着をしっかりしていくための研修。

こういうことをしっかりやって、安定的なホーム数の拡大を目指してまいります。新規開設数については、今年度は年間で10ホーム程度と考えています。とくに、ハイエンドホームも強化していきます。

入居率は高くなってきていまして、2018年3月末でございますけれども、ついに95パーセントという数字を実現しています。これは、もう業界の中では、飛び抜けた入居率だろうと思っています。

新規領域/財務戦略 さらなる成長にむけて

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最後に、新規領域と財務戦略について、お話をいたします。

今までお話をしましたように、業績が非常に順調に回復してきています。「進研ゼミ」も、これから300万人に向けて、着実に伸ばしてくるだろうと見ていますので、全体の業績が(順調に回復して)V字回復が見えてきたと、非常に自信を持つ状況になってきています。

こういう中で、この成長・回復を確実にして、さらに成長していくために、成長投資をする。あるいは、M&Aです。これは2022年に向けて、M&Aで「第3の柱」を作っていきたいと考えているわけでございます。

こういう投資に備えて、内部留保を厚くして、財務体質の強化を図っていこうと思っています。ここには書いてございませんけれども、現在、自己資本比率は35パーセントを切る状態になっています。これについては、やはりもっと上げていきたいと思っています。

内部留保を増やすことで、今後の成長のための資金を準備したいというのが、非常に重要なポイントでございます。

新規領域/財務戦略 「第3の柱」の創出

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第3の柱について、検討を進めています。少しずつ我々の考えがまとまってきていますので、今お話しできる範囲で、ご説明したいと思っています。やはり、「第3の柱」というのには、ある程度のプレゼンス……ある程度の規模の事業にしなければいけないと思っています。

2022年度で、売上・利益で全体の10パーセントを出すような、そういう事業にしていきたい。あるいはそういう事業を目指して、M&Aをやっていきたいと思っています。

これを実現することによって……冒頭で2020年の数字を申し上げましたけれども、2022年には6,000億円の売上高、そして、600億円の営業利益を実現させていこうと思っています。

(検討状況の)候補領域ですけれども、健康・生活領域は、今ベネッセにとって、一番親和性が高いと我々は考えています。我々は教育、そして介護が、大きな2本の柱としてございます。ここに、健康あるいは生活領域が加わってくると。健康・生活領域のメインのターゲットと言いますと、当然ながら社会人であり、健康な高齢者となってくるわけですけれども。

ちょうど、教育と介護という、お客さまのセグメントの間を埋めるかたちになるわけです。しかも、「よく生きる」(bene+esse)という、我々の企業理念にも合致をした事業だろうと考えていまして。この領域を中心に、新規事業の創出を考えていこうと。

ただ、やみくもにM&Aをやればいいということではありませんので、このあたりの投資に対する考えはしっかりと持っていこうということで、「のれん償却前の営業利益率で10パーセント以上」を目安に、今はターゲット企業の探索をしている最中でございます。

ある程度のプレゼンスを持つということで、想定の投資額は500億円から1,000億円になるだろうと見ています。財源はいろいろ試行錯誤して、確保していくつもりでございます。やはり、「事業の選択と集中」が重要だろうと思っていますので、昨年(2017年)TMJの売却をいたしましたけれども、今後も引き続き、それについては検討していこうと思っています。

ただ、そうは言いましても、先ほどから申し上げましたように、内部留保を厚くしていくことは、非常に重要であるということ。それから、やはりこの5年間は、ベネッセにとって非常に重要な5年間だと、私は思っています。

もちろん、教育・入試改革で国内教育が伸びる、あるいは介護が安定的に成長するというのはございます。でも、今後20年あるいは30年、この会社が成長し続けるために、どうしてもこの5年の間に、第3の柱になる新規事業を作り上げていきたい。このための資金を、やはりここで、しっかり確保しておきたいと思っています。

新規領域/財務戦略 配当方針

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そういう意味で、今回、ベネッセの上場以来の歴史の中では初めてでございますけれども、配当政策を見直しました。今までは一株当たり95円でございましたものを、今年度は50円にさせていただきたいと思っています。

ただ、これはある意味で、これからの事業の見通しが明るくなってきたと。ある程度、成長投資のシナリオを書けてきた今だからこそ、配当の見直しをして、そのお金を使って成長資金に当てていこうと。そういう、ある意味での前向きの減配だということで、ご理解をいただければと思っています。

2018年度は(一株当たり)50円ということで、2019年度以降は、基本的には配当性向35パーセント以上を目安にしながら、継続的に安定的な利益還元に努めていきたいと考えている次第でございます。

以上をもちまして、私からのご説明は終了させていただきます。

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