4. 厚生年金と国民年金は増額も物価上昇には追いつけず

2023年度より、国民年金と厚生年金は3年ぶりの増額となりました。

新規裁定者の年金額の例

年金額の例

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定について」

夫婦2人分の年金目安額も、前年度の21万9593円より4889円も増えます。

ただし注意したいのは、増額率は2.2%(68歳以上は1.9%)であっても、実際の物価上昇率は2.5%である点です。

年金の増額率が物価上昇率に追いついていないため、実質には目減りとされているのです。

年金は現役世代がその時代の高齢者を支える仕組みのため、このようにマクロ経済スライドの調整により年金制度が維持されます。

少子高齢化が進むと、年金事情は年々厳しくなることが予想されます。

5. 年金を踏まえた老後計画を

60歳~89歳の公的年金の支給額について、1歳刻みで見ていきました。

特に厚生年金の場合、年齢が若いほど少ない傾向にあります。平均月額(国民年金:5万6368円、厚生年金:14万3965円)だけでは見えない傾向があるとわかりました。

こうした年金事情を知った上で、適切な老後の備えが必要になるでしょう。

「老後の備え」といっても、やみくもに”預貯金”だけで準備するのは難しいかもしれません。

数年にわたってモチベーションを維持しにくいですし、過不足なく資金を貯めるという観点からも難しいものです。

まずはねんきんネットやねんきんネットなどで目安額を確認し、老後に不足する金額をシミュレーションしてみましょう。

長期的な目標を立てた後、短期的な目標(月々いくら積み立てるなど)を考えていきます。

このとき、資産運用に分散するのもひとつでしょう。

老後も運用を続けることで、資産が減るスピードを緩やかにすることもできます。

あらゆる選択肢を視野に入れ、自分だけの老後資金の作り方を計画していきたいですね。

参考資料

太田 彩子