仮想通貨市場は年初から荒れ模様となり、ビットコインは昨年の高値から一時50%の下落に見舞われています。何が起きているのか、今回は最新の情報をアップデートしつつ、中長期的な展望をご紹介します。

仮想通貨、規制強化の動きで軒並み急落

“仮想通貨元年”と呼ばれた2017年、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価値が軒並み急上昇しました。しかし、2018年に入ってからは規制強化の動きが逆風となり苦戦が続いています。

最も大きなインパクトは与えたのは韓国で、17日にはすべての仮想通貨取引所の閉鎖の検討が伝えられました。

新規仮想通貨公開(ICO)の禁止や実名での取引の義務付けなど、これまでも規制が強化されてきましたが、相場の過熱が収まらないことから締め付けが一段と厳しくなっています。韓国はビットコインの取引量で日本、米国に次ぐ3位といわれていますので、相応の影響があった模様です。

また、中国も規制強化に動いています。中国では昨年、既に仮想通貨取引所が閉鎖されていますが、規制を回避したネット取引が横行していることから対象を拡大し、取引所と類似のサービスを提供する集中型の取引(マーケットメイク)や決済サービスへのアクセスも禁止されることになりました。

規制の動きは世界な広がりを見せており、国単位ではなく世界的な規制が始まるのではないかと懸念されています。

ドイツの金融当局者は15日、仮想通貨の取り締まりは各国ではなく国際的な協力の元で作成すべきと発言。フランスでは仮想通貨に対する特別委員会が設置され、規制の準備が進められる中、同国の提言により4月に予定されているG20で仮想通貨の規制が協議される見通しとなっています。

ETFの申請を相次いで取り下げ、SECが懸念

また、仮想通貨ビットコインの上場投資信託(ETF)の米証券取引委員会(SEC)への上場申請が1月上旬に相次いで取り下げられたことも影響したようです。

ビットコインはシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が先物を上場させた12月18日に過去最高の1万9511ドルをつけており、先物市場への上場が投資魅力を高めたと考えられています。さらに、ETFの上場で投資家の裾野が拡大するとの期待も高まっていました。

CMEは世界最大の取引所であり、規制の対象となることから、信用度が増すことでETF上場のハードルが下がると考えられたからです。しかし、SECがビットコイン先物の裏付けとなる資産の流動性やバリュエーションに懸念を表明したことから、上場の申請は取り下げられることになりました。

SECは仮想通貨に投資する市場参加者の多くが証券取引法に「従っていない」と指摘。SECが懐疑的な見方を維持していることが明らかとなり、ETF上場で投資家の裾野が広がるとの思惑が後退したようです。

投資環境の整備は着々と進む