2017年11月7日に行われた、旭化成株式会社2018年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:旭化成株式会社 取締役兼常務執行役員 坂本修一 氏

2018年3月期第2四半期決算説明会

坂本修一氏:本日はお忙しい中、旭化成の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日(2017年11月7日)発表いたしました2017年度上期実績につきましては、マテリアル領域を中心に5月公表の当初予想に対して、増収増益となりました。

中期経営計画で、収益性の高い付加価値型事業の集合体を目指す中で、優先的に投資を行っております高機能ポリマー・高機能マテリアルズ・エレクトロニクスなどの事業が製品の差別性を活かして、順調に業績を伸ばしました。加えて、アクリロニトリルを始め、石油化学事業で交易条件が改善いたしました。

この結果、営業利益・経常利益・四半期純利益の各項目で、上期として過去最高を更新いたしました。また、2017年度通期業績予想につきましても、引き続き高付加価値系事業の拡大などの要因により、営業利益・当期純利益ともに、中期経営計画最終年度の計画を1年前倒しで達成するかたちで、年間の過去最高を更新する計画といたしました。

これらにともないまして、今年度の配当は、配当に関する基本方針を踏まえて中間配当を1株当たり14円とし、通期では4円増配の28円を計画しております。

それでは資料にそって、2017年度上期の業績をご説明いたします。

主要決算数値(1)

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4ページをご覧ください。まず売上高は9,647億円で、前年同期比で740億円の増収。営業利益は927億円で、(前年同期比で)219億円、30.9パーセントの増益となりました。ANや合成ゴムの交易条件が改善したこと、エンジニアリング樹脂・セパレータを中心に、マテリアルセグメントの各事業の販売が好調であったことなどが、増益の主な要因となっております。

経常利益は982億円で、持分法投資損益・為替差損益が改善したことなどから、(前年同期比で)283億円、40.5パーセントの増益となりました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は、政策保有株式の売却を行ったことなどから、709億円で(前年同期比で)33.9パーセントの増益となりました。第2四半期累計では、営業利益・経常利益・四半期純利益のすべてで、過去最高の利益となりました。

連結貸借対照表の概況は(資料の下段を)ご覧のとおりで、総資産・自己資本は増加し、有利子負債残高は減少しております。D/Eレシオは自己資本が増加したことに加え、有利子負債残高が減少したことで0.04ポイント下がり、0.31となりました。

主要決算数値(2)

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次に、5ページをご覧ください。2017年度上期の配当につきましては、前年同期比で4円増配の14円といたしました。次に2017年度上期のナフサ価格は、上期平均でキロリットル当たり3万7,600円で、前年同期比で6,150円のナフサ高となりました。また、期中平均為替レートは1ドル当たり111円で、前年同期比で6円の円安となりました。

連結損益計算書

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続きまして、6ページで連結損益計算書をご説明いたします。

売上高は、前年同期比で8.3パーセントの増収となりました。売上総利益は3,132億円で、売上高比率は32.5パーセントと1.0ポイント上昇しております。これは、ケミカル事業を中心に原料スプレッドが改善し、売上原価率が下がったことによるものです。

販管費は2,206億円で、前年同期比で115億円増加しております。マーケティング強化のため人員を増やしていることや、研究開発費の増加などが主な要因です。

結果として営業利益は927億円となり、売上高営業利益率は1.7ポイント改善し、9.6パーセントとなりました。営業外損益は、64億円改善しております。タイのPTT旭ケミカル株式会社で、AN(アクリロニトリル)やMMA(メチルメタクリレート)が順調に推移したことなどにより持分法投資損益が改善し、また為替差損益も改善いたしました。

特別損益は、引き続き政策保有株式の売却を進めたため35億円の益となっております。その結果、税前利益は1,017億円となりました。昨年(2016年)度第2四半期は、持株会社と旭化成せんい株式会社・旭化成ケミカルズ株式会社・旭化成イーマテリアル株式会社の統合がございました。

これにより、税効果会計基準に従って繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等が減少しましたが、今期(2017年度)は通常の税率となるため、法人税等が増加しております。

法人税等を控除した親会社株主に帰属する四半期純利益は709億円となり、前年同期比で33.9パーセントの増益となりました。

特別損益

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続きまして、7ページで特別損益についてご説明いたします。特別利益は63億円で、前年同期比で24億円の益となりました。先ほどご説明申し上げましたとおり、政策保有株式の売却を進めたことにより、投資有価証券売却益を計上しております。特別損失は27億円で、前年同期比で3億円改善となりました。結果として、特別損益は27億円の改善となりました。

連結貸借対照表

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8ページの、連結貸借対照表をご覧ください。2017年3月末と9月末を比較しますと、総資産が804億円増加しております。売上が好調であったことや、期末休日の影響で現預金・売掛債権などが増加しております。また、保有株式の時価が上昇したことなどにより、投資有価証券残高も増加しております。負債につきましては、8億円減少いたしました。

買掛債務が期末休日の影響で増加しましたが、有利子負債は減少いたしました。純資産は812億円増加いたしました。四半期純利益を709億円計上したことなどが、主な要因です。

金融収支・有利子負債残高

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続きまして、9ページにある有利子負債残高(資料の下段)をご覧ください。2017年3月末と9月末を比較しますと、社債の償還や長期借入金の返済を行ったことにより、有利子負債残高は246億円減少いたしました。

連結キャッシュ・フロー計算書、 設備投資額、減価償却費、研究開発費

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10ページの連結キャッシュフロー計算書をご覧ください。2017年度上期は営業活動・投資活動・財務活動ともに、連年並みの動きとなっております。

フリー・キャッシュ・フローは621億円の収入となり、その他の調整も含め、結果として現金及び現金同等物の四半期末残高は1,616億円となりました。

次に、設備投資額・減価償却費・研究開発費は(資料の下段を)ご覧のとおりです。それぞれ、2016年度上期と同水準で推移しております。

セグメント別売上高・営業利益

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11ページで、セグメント別の売上高・営業利益についてご説明いたします。

売上高につきましては、3つのセグメントでともに増収となりました。営業利益は、マテリアルセグメントで大きく増益となり、住宅セグメント・ヘルスケアセグメントは前年並みとなりました。詳細につきましては、後ほど各事業ごとにご説明いたします。

事業別海外売上高

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12ページの、事業別海外売上高をご覧ください。グループ全体の海外売上高比率は、2016年度上期が34.7パーセントであったのに対して、2017年度上期は37.5パーセントと、2.8ポイント高くなっております。

円安の影響やケミカル事業において、ANの市況が改善したこと、合成ゴムやエンジニアリング樹脂の海外販売が好調に推移したこと、またクリティカルケア事業が引き続き好調に推移したことなどにより、海外売上高が増加しております。

事業別売上高・営業利益*1増減要因(1)

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それでは、事業別の業績をご説明いたしますので、(資料を)ご覧ください。

まず、繊維事業は増収増益となりました。キュプラ繊維「ベンベルグ」や、カーインテリア向けなどに使用されるマイクロファイバースエード「ラムース」などの業績が好調に推移いたしました。

ケミカル事業は、増収増益となりました。このうち、石油化学事業はANやMMAなどで交易条件が改善し、増収増益となりました。なお、上期のANの市況・スプレッドの実績は、AN市況はトンあたり1,543ドル。プロピレン市況は881ドルで、原料スプレッドは662ドルでした。

高機能ポリマー事業は、合成ゴムにおいて交易条件が改善したことや、エンジニアリング樹脂の販売が順調に推移したことなどから、増収増益となりました。

高機能マテリアルズ事業・消費財事業は、イオン交換膜や電子材料製品などの販売数量が増加したことなどから、増収増益となりました。

エレクトロニクス事業は、増収増益となりました。このうち、セパレータ事業は増収増益となりました。リチウムイオン二次電池用セパレータを中心に、各製品の販売数量が大幅に増加いたしました。

電子部品事業も、増収増益となりました。カメラモジュール用電子部品や、磁気センサーなどの販売が順調に推移いたしました。

住宅事業は、売上高は増収・営業利益は前年並みとなりました。このうち、建築請負部門は戸建住宅ヘーベルハウスの引き渡し棟数が増加しましたが、集合住宅ヘーベルメゾンの引き渡し棟数が減少し、労務費等の販管費が増加したことなどから、若干の減収減益となりました。

不動産部門およびリフォーム部門は、不動産部門の賃貸管理事業やリフォーム部門の外壁塗装工事の受注等が堅調に推移したことなどから、増収増益となりました。

建材事業は、フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」などの販売数量が堅調に推移しましたが、原燃料価格高騰の影響を受け、売上高は増収・営業利益は前年並みとなりました。

事業別売上高・営業利益*1増減要因(2)

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14ページをご覧ください。医薬・医療事業は、減収減益となりました。このうち、医薬事業が減収減益となっております。骨粗しょう症治療剤「テリボン」の販売数量が増加しましたが、排尿障害改善剤「フリバス」などの長期収載品が、後発医薬品の影響を受けました。

医療事業は、売上高・営業利益ともにほぼ前年並みとなりました。ウイルス除去フィルター「プラノバ」の販売数量が減少しましたが、血液浄化事業が堅調に推移し、円安の影響も受けました。

クリティカルケア事業は、医療機関向け除細動器の販売数量が増加し、着用型自動除細動器「LifeVest」が堅調に推移したことなどから、増収増益となりました。

当期の業績予想

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続きまして、16ページで2017年度の業績予想をご説明いたします。

今回の業績予想の見直しは、2017年度上期を実績に置き換え、下期および通期の見直しを行っております。

今回見直した通期予想と(2017年)5月に発表した当初予想を比較しますと、売上高は100億円・営業利益は180億円・経常利益は220億円・当期純利益は250億円と、それぞれ上方修正しております。

マテリアル領域を中心に良好な経済環境を背景に、引き続き順調な業績を見込み、各項目で過去最高水準を目指す計画となっております。

今回の予想の前提としては、下期のナフサ価格をキロリットルあたり4万4,000円、年間4万800円(としております)。下期の為替レートは、1ドルあたり110円、年間111円としております。

また、2017年度の1株あたりの年間配当金は28円を予定しております。

事業別営業利益*1予想

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事業別の下期および通期予想につきましては、18ページで営業利益予想を中心にご説明いたします。

まず繊維事業は、各製品ともに好調な需要に支えられて販売数量を伸ばしますが、原料価格の上昇や下期に休転を計画している製品があることなどから、通期では当初予想どおりといたしました。

ケミカル事業は、160億円の上方修正といたしました。このうち石油化学事業は、下期の市況を慎重に見ている製品もありますが、高機能ポリマー事業・高機能マテリアルズ事業・消費財事業では、各事業ともに引き続き堅調に推移することを見込んでおります。

なお、下期のANの市況スプレッドにつきましては、AN市況はトンあたり1,610ドル・プロピレン市況は972ドル・原料スプレッドは638ドルを想定しております。

エレクトロニクス事業は、25億円の上方修正といたしました。このうちセパレータ事業では、各製品とも販売数量が順調に伸びることから、上方修正いたしました。

電子部品事業も、カメラモジュール用電子部品や、家電向け磁気センサーなどの販売が堅調に推移したことなどから、上方修正いたしました。

住宅事業は、建築請負部門では年間の引き渡し棟数が当初予想を下回りますが、不動産部門で賃貸管理事業が順調に推移することや、リフォーム部門が計画どおりに進捗していること、コストダウン等収益改善策が進んでいることなどから、当初予想どおりといたしました。

建材事業は、主力のALC事業や断熱材事業が堅調に推移しており、当初予想どおりといたしました。

医薬・医療事業は、当初予想を据え置きました。このうち医薬事業は、骨粗しょう症治療剤「リクラスト」の販売が当初予想に届きませんが、テリボンの販売数量拡大や固定費の見直しにより、全体ではほぼ当初予想どおりと見込んでおります。

医療事業も、血液浄化事業・プラノバともに堅調に推移することを見込み、当初予想を据え置きました。

クリティカルケア事業は、10億円の上方修正といたしました。医療機関向け除細動器で、引き続き販売数量の拡大を見込んでおります。LifeVestの業績は堅調に推移し、当初予想並みを見込んでおります。

以上で、私のご説明を終了させていただきます。ありがとうございました。

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