2023年6月8日に発表された、明和産業株式会社2023年3月期 決算及び中期経営計画説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:明和産業株式会社 代表取締役社長 吉田毅 氏
明和産業株式会社 取締役常務執行役員 水上貴之 氏

目次

吉田毅氏(以下、吉田):みなさま、こんにちは。明和産業株式会社の吉田でございます。本日はお忙しい中、当社の2023年3月期決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日の説明会では、まず、2023年3月期決算概要については取締役常務執行役員の水上から、中期経営計画2025については私より説明をさせていただきます。はじめに、水上取締役より、決算概要についてご説明します。

2023年3月期 決算ハイライト

水上貴之氏:それでは、2023年3月期の決算概要を説明させていただきます。当連結累計期間においては、第一・第二・第三事業が好調に推移し、売上高は前年同期比9.5パーセントの増収となりました。

一方で半導体不足等による自動車業界の減産により、自動車部品を扱う関連会社の業績が低調に推移いたしました。その結果、持分法投資損失が増加し、親会社に帰属する連結純利益は前年同期比28.5パーセントの減益となりました。また、株式会社アケアの株式を取得し、同社を連結子会社化いたしました。

連結損益計算書 2022年4月〜2023年3月

連結損益計算書の概要について、ご説明させていただきます。売上高につきましては、1,566億6,200万円となり、前年同期の9.5パーセントにあたる136億3,700万円の増収となりました。

営業利益は、前年同期と比べて販売費及び一般管理費の増加があったものの、売上総利益が増加した結果、36億5,500万円となり、前年同期の7.5パーセントにあたる2億5,300万円の増益となりました。

経常利益は、営業利益の増加や投資先からの受取配当金の増加等があったものの、持分法による投資損失が大幅に増加したため、31億6,900万円となり、前年同期の8.2パーセントにあたる2億8,300万円の減益となりました。また、前年度に実施した税効果処理の反動などにより、法人税等が増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は、17億2,000万円と前年同期の28.5パーセントにあたる6億8,600万円の減益となりました。

前年同期比分析 -経常利益-

経常利益の前年同期比分析について、ご説明いたします。当連結累計期間は、明和単体の営業利益が増加したことや投資先からの受取配当金の増加が主な増益要因です。その一方、持分法による投資損失の増加や海外子会社の営業利益の減少、支払利息の増加等の減益要因がありました。この結果、前年同期より2億8,300万円の減益となりました。

地域(国内・海外)別売上高

当社グループにおける地域別売上高の概要をご説明いたします。売上高比率は国内が64.4パーセント、海外が35.6パーセントとなり、国内事業、海外事業共に増収となりました。海外事業については、中国の売上高が前年同期並に推移し、その他アジアにつきましても海外現地法人を中心に堅調に推移しております。

報告セグメント

報告セグメントごとの概況につきまして、ご説明いたします。なお、2022年度は第一事業および第三事業の組織再編を行いました。第一事業の樹脂・難燃剤事業を分割し、樹脂事業を第三事業に移管しました。そして機能建材事業を第三事業から第一事業に編入いたしました。

その結果、第一事業の主な事業領域は、資源・環境ビジネス事業、難燃剤事業、機能建材事業となり、また、第三事業は、高機能素材事業、機能化学品事業、合成樹脂事業、無機薬品事業が主な事業領域となりました。

第一事業

当期の第一事業の業績は、資源・環境・金属関連、難燃剤、防水・断熱材が好調に推移いたしました。この結果、売上高は413億5,700万円と前年同期比52億8,200万円の増収、経常利益については、15億8,300万円と前年同期比6億3,700万円の増益となりました。

第二事業

第二事業の業績ですが、ベースオイル・添加剤取引では、国内向けが前年同期並みに、海外向けは需要が伸長し、好調に推移いたしました。この結果、売上高は497億3,100万円と前年同期比12億6,200万円の増収、経常利益については、投資先からの受取配当金の増加がありましたが、海外子会社の営業利益の減少等により、16億3,700万円と前年同期比1億9,900万円の減益となりました。

第三事業

第三事業の業績は、印刷原材料、製紙薬剤、粘接着剤、合成樹脂関連が前年同期並みに、フィルム製品は低調に推移いたしました。無機薬品事業では、子会社である十全が好調に推移いたしました。

また、第1四半期に十全がアケア社株式を取得したことに伴い、同社をわが社の連結子会社といたしました。この結果、売上高は577億6,100万円と前年同期比63億4,100万円の増収、経常利益については、10億7,200万円と前年同期比2,600万円の増益となりました。

自動車・電池材料事業

最後に自動車・電池材料事業の業績ですが、電池材料事業ではEV市場が引き続き伸長し、自動車用の電池材料販売が堅調に推移したことから、売上高は60億2,400万円と前年同期比5億9,900万円の増収となりました。

その一方、自動車事業の持分法投資損失が大幅に増加いたしました。これは、半導体不足による自動車業界の減産に加え、特に北米において人件費・原材料費・物流費等の操業コストの高騰により、事業環境の厳しさが増加したため、大幅な減益となりました。この結果、経常損失は、14億8,900万円となり、前年同期比10億5,000万円の減益となりました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表について、ご説明いたします。当期末の総資産は、807億2,500万円と前年度末比43億900万円の増加となりました。取扱高の増加に伴い現預金・売上債権・在庫が増加したことにより、流動資産が前年度末比42億4,100万円増加したことが主な要因です。

負債につきましては、448億300万円と前年度末比43億5,400万円の増加となりました。仕入債務と短期借入金の増加により、流動負債が前年度末比47億2,900万円増加したことが主な要因です。

また、純資産については、前年度の期末配当を実施したことにより、利益剰余金が前年度末比12億8,500万円減少した結果、359億2,200万円と前年度末比4,500万円の減少となりました。この結果、自己資本比率は43.9パーセントとなりました。

連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書につきまして、ご説明いたします。当期における営業活動のキャッシュ・フローは、明和単体や十全・東京グラスロン等の子会社でのトレーディングが好調であった結果、40億6,500万円の資金増となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、インドネシア電動二輪事業などへの投資を行った一方、アケア社の新規子会社連結による現預金の増加があり、8億400万円の資金増となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に運転資金見合いの借入による資金増に対し、配当金の支払いによる資金減が生じた結果、17億2,300万円の資金減となりました。

この結果、当期末の現金及び現金同等物残高は、前年度末から30億9,700万円増加し、83億5,200万円となりました。

連結業績予想及び配当予想

最後に連結業績予想及び配当予想につきまして、ご説明いたします。2023年度の業績予想につきましては4月28日に公表いたしましたとおり、売上高は1,800億円、営業利益は33億円、経常利益は35億円、親会社株主に帰属する当期純利益は22億円を予想しております。

また、通期の配当予想につきましては、この後ご説明させていただきます中期経営計画にも記載のとおり、引き続き連結配当性向50パーセントを維持し、1株当たり27円の期末配当を予定しております。

以上が、2023年3月期 連結決算概要の説明でございます。次に、吉田社長より、中期経営計画について、ご説明します。

中期経営計画2025

吉田:ここからは、私より、今年度から始まります「中期経営計画2025」をご説明いたします。

中期経営計画2022の振り返り

まずはじめに、前中期経営計画を振り返ります。連結純利益は2020年度、2021年度は目標を大きく上回りましたが、2022年度は目標23億円に対して17億円と、残念ながら達成することはできず、また、ROE7パーセントも未達成となりました。株主還元につきましては、連結配当性向50パーセント以上を実現することができました。

定性面では、モビリティ、環境、生活の3つの注力領域で、持続的成長と新たな価値を創出することを目指しました。中国での車載電池のリユース・リサイクル事業の立ち上げや本邦での再生プラスチック事業、光学材料等の新たな素材需要の創出、そして、子会社十全によるアケア社の買収など一定の進捗があったものの、新たなビジネスの創出は、限定的となりました。

また、連結経営基盤については、ガバナンス、人材における打ち手を着実に実行しました。

中期経営計画2022の振り返り

以上の振り返りより、中期経営計画2022を総括すると、事業リスク管理の強化、そして市況の追い風もあり、連結営業利益はコロナ禍前を超える36億円と過去最高益を計上することができ、当社の稼ぐ力は着実に強化されてきています。

一方、事業投資先の業績悪化が当社グループの連結収益に大きな影響を及ぼしており、収益の改善は喫緊の課題です。また、新たな投資、ビジネスの開発については、コロナ禍をはじめとする外部要因もあったものの、限定的でした。各事業セグメントによる取り組み方だけでは新たな投資、ビジネスの開発は困難であり、異なるアプローチも求められると総括しました。

わが社を取り巻く環境とその影響

続きまして、新たな中期経営計画の前提となる当社グループを取り巻く環境とその影響について、ご説明させていただきます。

当社グループを取り巻く環境は、世界規模で加速度的に変化しており、特にカーボンニュートラルへの取り組みやデジタル技術の進展は、当社グループの既存ビジネスに非常に大きな影響を与えています。

例えば、カーボンニュートラルの実現への取り組みが進めば、既存取り扱い商材の市場価値が低下し、また、デジタル技術の高度な発展は当社の仲介機能、インテリジェンス機能を劣化させる可能性があります。

しかしながら、逆にこの変化を機会と捉え、大胆に我々が変化し、挑戦していくことができれば、当社グループが持っている専門性や業界でのプレゼンスを活かし、商材からサービス、またわが社が担う機能そのものを新たな価値に変えていくことができると考えています。

企業理念、ビジョン

当社の企業理念、ビジョンについて、ご説明いたします。当社の企業理念である「明光和親」は、創業以来75年間不変ですが、今回「これまで を これから へ、新たな未来を切り拓く」という10年後を見据えたビジョンを策定しました。

当社にとって「これまで」当たり前であったことが本当に社会価値を生み出しているのか、また今、生み出しているとしても、将来その役割を当社が担い続け、また、新たに価値を生み出すことができるか、「これまで」をいったん棚卸しします。そして、当社らしい役割や機能を発揮し、新たな価値を持続的に創出するために、あらゆる変化と挑戦を「これから」に向かって実行し、「新たな」明和産業そして社会の「未来を切り開」いてまいります。

当社グループマテリアリティ

こちらのスライドでは、当社グループのマテリアリティ(重要課題)をまとめました。企業理念である「明光和親」に基づき、事業を通じて広く社会に貢献し、持続的な成長を果たしていくために、気候変動や人権、多様性、人材開発等の多くの社会課題がある中、当社グループの事業リスクと機会の両面から、特に重要性が高いものをマテリアリティとして特定しました。

中期経営計画2025 経営指標・定量目標

ここからは、中期経営計画2025の目標、戦略についてご説明します。こちらのスライドでは経営指標と定量目標についてお示ししました。

連結純利益については、2023年度22億円、2024年度24億円、2025年度26億円を目標とします。ROEは、7パーセント以上を目標とし、中長期で二桁の実現を目指してまいります。

株主還元については、前中期経営計画と同様に、連結配当性向50パーセントを基本として、状況に応じて、機動的な株主還元を行うこととします。また、「基盤・成長投資金額」を35億円から45億円と設定し、新たな価値創造を図ってまいります。

中期経営計画2025 キャッシュアロケーション

こちらのスライドではキャッシュアロケーションをお示ししました。営業キャッシュフローの創出と保有資産の最適化などの財務キャッシュフローを合わせて、3年間で70億円から85億円のキャッシュインに対し、35億円から45億円を新規投資や既存事業の基盤強化のための投資とし、連結配当性向50パーセント以上の方針に則り、35億円以上を株主還元として予定しております。

中期経営計画2025の基本方針

次に、本中期経営計画期間における3つの基本方針について、ご説明いたします。スライドにお示ししたとおり、「あらゆることに変化を求め、挑戦し続ける」「新たな事業創出を通じ、人と会社を成長させる」「機能や強みに磨きをかけ、稼ぐ力を高める」を基本方針としております。

企業に求められる社会価値がこれまでにないスピードで変化する中で、当社グループはさらなる能動的なトランスフォーメーションが必要であると考えています。グループ社員一人一人があらゆることに変化を求め、挑戦し続けることで、環境に適応し、持続的な成長を実現してまいります。

また、前中期経営計画の振り返りのとおり、新規ビジネスの創出が限定的であった反省も踏まえ、今まで以上に新たな事業創出に挑むことで、人と会社を成長させていきたいと考えております。その一方、既存事業の稼ぐ力は着実に強化されてきており、当社グループならではの機能や強みに一層の磨きをかけ、稼ぐ力をさらに高めてまいります。

基本方針に則る5つの施策

これら基本方針に則り、「①新たな領域での事業開発」「②既存事業の収益性・効率性の向上」「③人材への投資強化」「④デジタル化の推進」「⑤連結経営の深化」を5つの施策として進めてまいります。

中期経営計画2025 施策の全体像

こちらのスライドでは、先ほどの「基本方針に則る5つの施策」の全体像を表しています。 「人材への投資強化」「デジタル化の推進」「連結経営の深化」の3つを経営を支える基盤とし、既存事業の収益性と効率性の向上、そして新たな領域での事業開発の両輪を回します。

両輪の左側にある既存事業においては、「注力領域における事業強化」「資本の効率化」「事業ポートフォリオの最適化」をさらに進め、収益性と効率性を向上させていきます。

また、両輪の右側の新たな領域では、「投資パイプラインの強化」や「企業内起業家の育成・支援」、そして「M&Aやスタートアップとの共創」を推進し、この両輪を同時に回していくことで企業価値のさらなる向上、新たな価値創造を目指します。

既存事業の収益性と効率性の向上 〜注力領域での主な取り組み〜

このスライドでは、既存事業の収益性と効率性の向上への主な取り組みを説明させていただきます。

モビリティ領域では、既存の事業投資先の収益の改善を図ります。また、従来から取り組んでおりますLiB材料事業の推進に加えて、昨年度参画したインドネシアでの電動二輪車向けの交換式充電バッテリーサービス事業の収益化を進めてまいります。

環境領域では、日本および中国企業とともに車載電池のリユース・リサイクルビジネスに参画する予定です。また、当社グループが長年にわたりかかわっている合成樹脂事業では、バイオマス樹脂、再生プラスチックへの移行の流れをしっかりと掴み取り、資源循環ビジネスを確立していきます。

また、当社グループの大きな収益の柱となっているエアコンコンプレッサー用潤滑油については、中国に次ぐ巨大市場となると予想しているインドでの販売・物流体制を確立していきます。

最後に生活領域ですが、光学材料の開発、ベトナムでの製紙用薬品事業の推進、コンビニ内装材の新たな供給体制、次世代通信機器向けフィルムの開発など、現在取り組んでいる案件を順次収益化してまいります。

新たな領域での事業開発

本中期経営計画では、事業推進部を既存の事業部門と切り離し、新たな事業開発の母体と位置付け、将来の収益の柱を創出していきます。まずは事業領域の探索を行い、現在の事業領域に囚われない分野での事業開発に挑戦します。

両輪を支える基盤

また、既存事業と事業開発の両輪を支える基盤として、人材への投資強化、デジタル化の推進、連結経営の深化を進めます。

人材への投資は、最も重要な投資であると位置づけています。そこで、本中期経営計画期間では、「多様な個の集団の形成」のために、「事業を生み出す人材の開発」「専門性を持つ人材の育成・獲得」「グローバルに活躍できる人材の育成強化」を図ります。

そして、組織風土、働き方、人事制度面での対応策を行い、社員がより働きやすい環境を整えることで、社員エンゲージメントと働き甲斐の向上を目指し、「能力を十分に発揮する環境整備」を進めます。

また、全社員をデジタル人材と位置づけ、デジタル化の推進に必要となる研修を定期的・反復的に行い、能力の底上げを図っていきます。

デジタル化の推進については、「業務の効率化」と「新たなビジネスを創出する体制」の整備を行っていきます。デジタル技術の活用を通じて、顧客への利便性向上といった価値提供を行うことで、当社グループの収益にも繋がるものと考えております。また、全社員が顧客視点をもって取り組むことで、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指してまいります。

両輪を支える基盤

連結経営の深化への取り組みについてですが、事業環境の変化をいち早く感知し、わが社グループへ与える影響を分析する機能を備えるとともに、新中期経営計画におけるビジネスモデルの変化に対応するコーポレート機能を高めてまいります。資本の効率性を追求していく中で、持続的な成長の実現に向けた人的資本や事業への投資、事業ポートフォリオの見直しに取り組み、適切な経営資源の配分に繋げていきます。

また、事業投資先へのガバナンス強化については、事業投資先における経営基盤をさらに充実させ、連結経営基盤をより強固なものにしてまいります。

以上で、中期経営計画2025の説明を終了とさせていただきます。

IR情報に関するお問い合わせ

株主ならびに投資家のみなさまのご期待に沿えるよう、当社グループ一丸となって事業活動を推進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:冷凍機油事業の低調の理由と今後の見通しについて

司会者:「近年、第二事業の冷凍機油が好調でしたが、2022年度の期末は低調となっています。その理由は何ですか? また、2023年度以降の見込みを教えてください」というご質問です。

水上貴之氏(以下、水上):冷凍機油事業は、中国現地法人である明和産業(上海)で展開しており、連結ベースでの収益の柱の1つとなっています。

冷凍機油は季節的要因を持つ商品ですが、2021年度は年間を通じて好調でした。さらに2022年度に入り、需要期である8月までは好調を維持していましたが、年度末に向けて中国のローカル企業に一部シェアを奪われた結果、期末に向けて低調に推移しました。

2023年度はシェアの回復を計画しており、さらなる伸長を目指したいと考えています。今後は、中国での冷凍機油事業の維持・拡大を図りながら、中期経営計画でご説明したインド市場への展開を行います。環境領域における重要な取り組みの1つとして、冷凍機油事業を推進したいと考えています。

質疑応答:クミ化成グループの業績による影響と収益改善の見通しについて

司会者:「2022年度決算において、クミ化成グループの業績が貴社グループ全体に大きく影響を与えています。2023年度以降、連結収益に対する影響はどの程度を想定していますか? また、具体的にどのような対策を講じて、クミ化成グループの収益を改善していく予定ですか?」というご質問です。

水上:決算概要でご説明しましたが、関係会社のクミ化成グループは、特に北米事業で厳しい状況が続いています。2022年度は決算処理において北米事業の固定資産の一部を減損しました。このような減損処理の反動といったP/Lへのインパクトと2023年度以降の収益改善努力を加味して、現中期経営計画期間では一定レベルの回復を見込んでいます。

また、半導体不足によるサプライチェーンの混乱も徐々に回復するという期待がありますが、中期経営計画の前提としては、引き続き厳しい状況が続くことを想定しています。

当社グループとしてもクミ化成グループの収益改善は喫緊の課題と認識しています。2023年度は自動車メーカーの生産計画に機動的に対応できるように、生産体制やコスト管理体制を整備することで、収益力の改善に努めたいと考えています。

質疑応答:前回と今回の中期経営計画における投資について

司会者:「前中期経営計画期間に、貴社はどの程度の投資を行いましたか? また、本中期経営計画においてはどの程度の規模で、どこに出資するのでしょうか?」というご質問です。

吉田:前中期経営計画中の投資は、すでに社外に発表したように、電池材料製造会社への増資、インドネシアにおける電動二輪車事業への資本参画、当社連結が始まったアケア社の株式取得が主な内容となります。投資金額は合計で約10億円となりました。

2023年度から始まる中期経営計画2025において、投資金額は3年間で35億円から45億円を予定しています。主な内訳は、既存事業の収益性と効率性の向上といったファンダメンタルな投資に約半分、新たな領域における新規事業の創出に残り半分の投資を考えています。

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