2023年5月30日に発表された、株式会社立花エレテック2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社立花エレテック 代表取締役社長 布山尚伸 氏
2023年3月期決算説明
布山尚伸氏(以下、布山):社長の布山尚伸でございます。昨年6月に前任の渡邊から社長を引き継ぎましたので、簡単に自己紹介をしたいと思います。
私は1984年、前身の株式会社立花商会に入社し、将来的に「産業の米」になると目されていた、現在の半導体デバイス事業に配属されました。
その後、1985年のプラザ合意を受け、「今後、販路を広げるためにはグローバル展開が必要だ」ということで、円高の影響により日系ナショナルカンパニーの進出が顕著だった東南アジアのシンガポールに着任し、こちらで1986年から6年間従事しました。
一度日本に戻った後、生産基地・生産拠点からマーケットとして伸びるだろうと考えられていた中国での展開を見据え、香港で22年間従事しました。その後、当社の本社は大阪ですが、東京支社へと戻り、6年間従事しました。
そして、昨年6月に大阪本社に戻ってきました。経歴を俯瞰して見ますと、これまで半導体デバイス事業において、海外におけるFAシステム事業と経営に携わっています。
この度、社長として初めての通期決算を無事終了することができました。これは、社長就任にあたり、お客さまをはじめ、多くのステークホルダーのみなさまにご支援いただいたおかげだと深く感謝しています。どうもありがとうございます。
2023年3月期の事業年度については、コロナ禍における社会活動の制約・制限が緩和され、経済活動がようやく正常化に向かう一方、原材料の価格の高騰、物価上昇により景気を押し下げる要因も多々ありました。また、国内外のサプライチェーンの混乱も依然として解消されない中で推移しました。
FAの一部製品、半導体など、物不足が継続する状況下でも、お客さまのご協力と仕入先からの絶大なる支援を受け、売上高が通期で初めて2,000億円を突破するという好調な決算となりました。ありがとうございます。
2021年に創業100年を迎え、今後は「創業100周年、その先へ」をスローガンに掲げ、力強く推進していきます。そして、スピード感を持ってポジティブに、1年1年、事業課題と経営課題に果敢に取り組んでいきます。何卒よろしくお願いします。
会社概要
それでは、会社概要からご説明します。創業は1921年(大正10年)です。この時代は、発電・送電の普及の創成期であり、この分野において事業家を志す者にとっては、大変魅力のある市場環境であったと思われます。
そのような中、勤務先の大阪電灯で機会を得て、米国を視察した創業者が「これからは電気の時代だと確信した」と聞いています。電気関係製品の卸売と電気工事業を目的として、当社は創業しました。
以後、ご縁があり、当社は三菱電機の主要な代理店となりました。国内とアジアに拠点を展開して今日に至り、一昨年の9月に創業100周年を迎えることができました。
現在の資本金は58億7,400万円、従業員数は2023年3月末で、単体としては825名、連結で1,381名です。連結売上高は2023年3月期で2,272億6,600万円となっています。
事業内容としては、産業用電機・電子の製品、システムを販売する技術商社です。また、大口仕入先である三菱電機が大株主となっており、7.69パーセントの株式を保有しています。
国内営業拠点
国内営業拠点をご紹介します。現在の本社は大阪です。支社が東京、名古屋にあり、そのほかの拠点として仙台から福岡まで14の支店と2つの営業所があり、国内では合計19拠点を展開しています。
海外営業拠点
海外子会社は、スライドに記載の9社で、すべてアジアに展開しています。そのほか、支店・営業所も含めると、合計14拠点となります。
先ほどの自己紹介でお伝えしましたが、入社2年目からシンガポールを皮切りに海外勤務経験を積み、現会長の渡邊とタッグを組んで、海外拠点の拡大と市場開拓を推し進めてきました。そのため、海外事業については大変思い入れがあり、今も社長執行役員として海外事業を担当しています。
沿 革
沿革について簡単にご説明します。主な出来事はスライドに記載していますが、先ほどお伝えしたとおり、当社は1921年に電気関係製品の卸売業と電気工事業を目的として創業しました。そして、1944年8月に電気工事部門が母体となり、近畿電気工事(現きんでん)を設立しました。
2001年に前身の株式会社立花商会から立花エレテックへ商号を変更し、その時に創業80周年を迎えています。そして、2005年に東京証券取引所・大阪証券取引所市場で第一部に指定され、上場しました。2021年9月には創業100周年を迎え、2022年4月に東京証券取引所プライム市場に上場しています。
事業ドメイン
事業ドメインについてご説明します。当社の事業は、FAシステム事業、半導体デバイス事業、施設事業、MS事業、海外事業の5つの事業ドメインで進めています。こちらをまとめた動画がありますので、ご覧ください。
(動画が流れる)
ナレーション:現在、立花エレテックは全社員の4分の1にあたる約200名の技術者を抱える技術商社として、常に新しいテクノロジーの可能性を追求し続けています。基幹事業のFAシステム事業では、まさに今日到来したデジタル社会で、お客さまに求められるソリューションの提供と、その鍵を握るアプリケーション技術力の強化に万全を期しています。
営業と技術部隊が一丸となって、各種ロボットやIoT、M2M技術を活用し、お客さまのものづくりの自動化・省力化をサポートするとともに、3Dプリンターを使った新しいものづくりなど、次の100年でお客さまに喜ばれる提案を実践していきます。そして、みなさまから「M2Mの立花」と呼ばれることを目指します。
子会社に目を転じれば、制御機器、ネットワーク機器に強みを持つ大電社、人と機械装置を結ぶインターフェース機器に強い高木商会などがあり、本社と子会社が常に協力し、シナジー効果を存分に発揮しています。それにより、グループ全体でお客さまが抱える問題の解決に向き合い、最適な提案と商品提供を実践していきます。
半導体デバイス事業においても、高機能化するお客さまの製品に対し、最適かつ高品質な半導体とデバイスを提供すべく、技術力を備えると同時に、主力であるマイコン、パワー半導体に外資系半導体を加え、お客さまのあらゆるニーズに応える品揃えを目指しています。
そして、単品販売からシステム販売へと、子会社の立花デバイスコンポーネント、立花電子ソリューションズが持つ、技術と品揃えを最大限に生かし、連携と協働により、グループ最大のシナジー効果の発揮に努めています。
施設事業では、次の100年もお客さまの工場やオフィスビル、店舗に対し、環境・省エネに配慮した照明、空調、エレベーターなどをさらに進化した設備を販売し、東京、名古屋、大阪を中心にマーケットのさらなる拡大へと動き出しています。
マニュファクチャリング・サービスを行うMS事業は、電子機器の設計・製造受託を行うEMS事業、金属加工製造受託を行うMMS事業を両輪として、お客さまが必要とするコンポーネントの提供に努めています。
海外事業では、統括会社の立花オーバーシーズホールディングスを含めた7社と傘下の拠点が、半導体とFA製品を中心に事業を展開しています。販売先も日系企業のみならず、ローカル企業へと拡大し、本社とともに、アジアのリーディングカンパニーを目指します。
電機・機械・電子・情報の技術商社
布山:動画はいかがでしたか? 当社の事業の特徴を一言で表すと、「製品と技術をトータルで提供する“技術商社”」であると言えます。「技術商社」という言葉はいろいろなところで見聞きするかと思いますが、この言葉を使い始めたのは、おそらく当社が最初であると考えており、1970年代から「技術商社」を標榜しています。
先ほどの動画冒頭にもあったとおり、社員の4分の1が技術者です。当社は商社ですので、当然いろいろな製品を扱うのですが、その中でも質の高いアプリケーションエンジニアリング・サービスとして、お客さまのニーズに応える幅広い優れた製品の提案・提供を行っています。
200余名の技術者が、専門知識や最新技術、製品情報を持ち、製品開発のサポートやソリューション提案というかたちで、お客さまにサービスを提供することができる状況です。ここに当社の大きな特徴・強みがあります。常に最新の知識や技術をお客さまに提供できるよう、日々切磋琢磨しています。
連結の決算概要
先日発表した連結決算についてです。冒頭でお伝えしたとおり、初めて売上高2,000億円超えを達成しました。利益項目についても過去最高を更新しています。
売上高は2,272億円で前年比117.5パーセント、営業利益は103億円で前年比153.8パーセントとなりました。経常利益は110億円で前年比148.4パーセント、当期純利益は78億円で前年比152.4パーセントとなり、すべてにおいて大きく伸長しています。
連結のセグメント別売上高 (2023年3月期)
セグメント別の連結売上高についてです。なお、海外事業はすべての事業に連結しています。
FAシステム事業は1,149億円で、前年比113.4パーセントとなりました。半導体デバイス事業は890億円、施設事業は175億円、MS事業その他はスポットですので57億円となっています。中でも、基幹事業であるFAシステム事業、ならびに半導体デバイス事業においては、過去最高の業績をあげることができました。
事業別売上高構成⽐
連結売上高2,272億円のうち、事業別の構成比をご説明します。FAシステム事業がおよそ半分となる50.6パーセント、半導体デバイス事業が39.2パーセント、施設事業が7.7パーセント、MS事業およびその他が2.5パーセントという内訳です。
仕入先別構成⽐
仕入取引高の構成比です。先程ご説明したとおり三菱電機の基幹代理店ですので、三菱電機および三菱電機グループが38.8パーセントとなっています。FAシステム事業と半導体デバイス事業にまたがった部分です。そのほか、三菱電機の半導体部門が分社化したルネサスエレクトロニクスが19.1パーセント、外資系メーカーが8.6パーセント、その他が33.5パーセントです。
財務状態(連結貸借対照表)
連結の財務状態をご説明します。先ほどお伝えしたとおり、半導体をはじめとする世界的な物不足が生じました。当社は持ち前の調達力を発揮し、お客さまのニーズに応えるために社員一同、精一杯取り組みました。
前期に引き続き、在庫が増加したこともあり借入金が増えていますが、在庫増加分の大部分は事業で得た利益で補うことができています。
現預金は2022年比で減少していません。また、借入金は現預金の範囲内であることから実質的に無借金であり、自己資本も846億円超と、財務体力に問題ありません。
なお、ROEも、前年度の6.7パーセントから9.7パーセントと大きく改善しました。基準となる8パーセントを超過したことも特筆すべき事項と考えます。
2024年3月期 連結の業績予想
2024年3月期連結業績予想をご説明します。2023年3月期の売上高2,272億円に対してやや減収となりますが、2,230億円を予想しています。営業利益は95億円、経常利益は100億円、親会社株主に帰属する当期純利益は70億円と考えています。
一見したところは減収減益となっていますが、売上高、利益ともに横ばいとなるよう進めていきたいと考えています。
当期の⾒通し
2023年度の見通しをご説明します。世間がウィズコロナに舵を切り、新型コロナウイルスの影響が和らいできています。経済活動も回復が見込まれています。
しかし、課題としては、みなさまもご存じのようにウクライナ情勢が長期化しています。さらにエネルギーや資源価格の高騰で先行きは不透明であり、サプライチェーンの混乱や人手不足の課題もあります。
海外の物流なども踏まえ、依然として混乱が起きている地域もあります。納期面はかなり改善されてきましたが、部品の調達が間に合わないところも一部継続しています。
想定内、想定外の状況を見た時に、第2四半期以降、非常に先行きが不透明な状況が予測されます。当期の方針としては、お客さまの状況に応じて受注の精度を上げていきたいと考えています。
次の計画やフォーキャストを踏まえ、どのように部品を調達するのか、もしくは投資などで当社が対応していけるかという点にかかっています。供給責任に万全の体制で臨んでいきたいと思います。
また、現在進めている新中長期経営計画「NEW C.C.J2200」の中で、戦術取組と戦略取組に分けています。人員やエンジニア投資を踏まえ、戦略取組を再度ブラッシュアップして加速させます。
そして、今回初めて売上高が2,000億円を超えましたが、常に2,000億円以上の売上を維持できる顧客基盤を作り、プラットフォームを作り出すことを「NEW C.C.J2200」の方針にしています。
連結業績の推移
連結業績の売上は先ほどお話ししたとおりです。2019年3月期から見ていくと、新型コロナウイルスの流行が始まり、売上高が一時1,614億円まで落ち込みました。2022年は一部で新型コロナウイルスの影響が継続していましたが、グローバルで見た時に、動き出した市場もありました。
そのような中で1,934億円の売上高を打ち立て、今期は2,272億円にまで持ち上げました。リバウンドなど先行きの不透明感を踏まえた上で、2024年3月期は2,230億円の業績を見込んでいます。
売上高の推移(連結)
売上高の推移をご説明します。75期に売上高が1,802億円になったことがあります。携帯電話のアセンブリビジネスにより一時ピークを迎えました。
日本のメーカーを抑え、グローバルで強い海外の携帯電話ブランドが出てきたところからリーマンショックまで売上高が減少しました。そのような中で、当社は各海外の販売会社や国内のグループ会社を広げてきました。
82期に大電社を子会社化し、85期には立花デバイスコンポーネント(TCD)を設立、87期に高木商会をグループ会社として迎えました。
なお、TSC(立花機電貿易(上海)有限公司)、TSB(立花セールスバンコク)は海外子会社の略称です。
配当⾦、配当性向の推移
株式と配当についてご説明します。5月30日現在2,192円で推移しています。株価は年初来高値を更新し、5月29日に2,229円になりました。アップダウンはありますが、配当金・配当性向を、当社の1つの主軸である安定した配当というかたちで考えています。
当初は年間80円としていましたが、2023年3月期は10円増額して90円とします。年間配当としては過去最高です。そして、2024年3月期は減収減益と予想していますが、安定した売上を維持したいということで、年間100円を見込んでいます。
株主数の推移
現状の株主数についてご説明します。2017年5月に株主優待制度の導入を発表して以来、個人株主を中心に株主数が増加しています。
しかし、株主の方はご存じだと思いますが、2022年12月に株主優待制度の見直しを発表しました。その影響もあり、2023年3月末の株主数は、個人株主を中心に減少し、2万17人となりました。
株式の概況
所有者の株式分布状況をご説明します。個人の株主が34.2パーセント、その他法人は29.3パーセントで、合わせて約63パーセントを占めています。
法人には大手のところもあり、いろいろとお世話になっています。銀行や生命保険会社など金融機関が全体で23.9パーセントです。外国法人が10パーセント以内、証券会社が2.6パーセントです。発行済株式総数は2,500万株強です。
株主優待
ご存じの方も多いと思いますが、株主優待制度についてご説明します。2017年5月に優待制度を発表しました。2018年3月末の株主を対象にスタートした株主優待制度です。
制度の内容は、株数と保有期間に応じて「QUOカード」を年1回贈呈します。3月・6月・9月・12月末の年4回の基準に、株主名簿の同一番号で必要株数を継続して保持している株主を対象としています。
なお、長期にわたってご支援いただいた株主に対して、100株以上を3年以上保有された株主を優遇した内容になっています。100株から1,000株未満の場合、1年以上3年未満で2,000円分の「QUOカード」、3年以上継続していると3,000円分の贈呈となります。
1,000株以上をお持ちの株主は、1年以上3年未満で3,000円分、3年以上で5,000円分の「QUOカード」を贈呈します。この制度は、現状も継続して行っています。
環境認識
先ほど少しお話ししましたが、新中長期経営計画「NEW C.C.J2200」についてご説明します。以前の「C.C.J2200」は、最終年度が2年前だったためコロナ禍に当たりしっかりとした着地ができませんでした。「C.C.J2200」を継続した中長期経営計画ということで、「NEW C.C.J2200」をスタートしています。
2023年度は3年目に入り、5ヶ年計画の中間点となります。この状況での環境認識について、簡単にご説明します。
みなさまもご存じのように、日本の人口減少はすでに進行しています。このまま進むと、10年後、20年後、25年後がどうなるのかを示すいろいろなデータが出ています。そのような中で、当社が取り扱う製品、日本の中で取り扱う製品の需要が完全に減少してくると想定されます。
これまでのコンポーネントを販売するにしても、完全に需要が落ちていくため、現状のビジネスをどのようにキープしたらよいのか、非常に危機感を持っています。
お客さまのニーズは「モノ」から「コト」に変化し、先ほどもお話ししたソリューションなど、AプラスBでさらに相乗効果を出さないといけないと考えています。単品ビジネスは継続しますが、どのように付加価値を生み出していくか考えていきます。
また、デジタル化の流れも避けて通れない状況です。デジタル化を進めながら、人口が減少する中で、自動化や省人化を進めざるを得ません。これは工場についても同様です。
環境認識をもとに、いろいろなかたちで新しい時代に適合した営業戦略を「NEW C.C.J2200」で打ち出しています。
OA化やデジタル化、DX化などいろいろありますが、まずは社内実務のOA化を進めないといけません。2023年から2024年にかけて、積極的な社内OA化を進めていきます。
そして、人口減少については、今までも進めていましたが、新しい時代を見据えた人事制度を改革します。年功序列の体制からスペシャリストの育成への切り替えを考えています。ゼネラリストでは限界があると考え、技術、営業、企画、経営と多岐にわたってスペシャリストを育成します。
平等や公正、公平に進めるという観点で、人事制度の改革を進めます。現状の目処としては、2024年4月の立ち上げを予定しています。これは一気呵成に進めると、みなさまが驚いてついてこられないということも考えられるため、暫定として3年かけて作り上げたいと考えています。
ゼネラリストからスペシャリストへ変革することは、人より長けている専門性をどのように作り上げるかということです。
デジタル化についても、日本はかなり遅れていると考え、今回の進め方としています。当社としても変革が絶対に必要だと考えています。
新しい時代に適合した営業戦略
営業戦略についてご説明します。戦略事業として、各事業で何をしているのかお話しします。各事業の目指す姿が戦略の方針となります。
FAシステム事業についてです。「FAといえば立花」「M2Mといえば立花」という状況を目指します。これは国内だけではなく、海外も踏まえて「FAといえば立花」となる事業を作り上げたいと考えています。
半導体デバイス事業では、ソフトウェアやハード設計の技術を培ってきました。ソフトウェアエンジニア・フィールドアプリケーションエンジニア・営業・システムエンジニア・セールスエンジニアという構成で、営業力とシナジー効果を出しながら、半導体専門商社としての方向性をしっかりと定めて進めていきます。
施設事業についてです。当社の本社は大阪ですので、東日本・中部圏の名古屋地区といった、まだ弱いエリアでの実力の均一化等を図りながら、主要事業の第3の柱として伸ばしていきたいと考えています。
MS事業は、半導体デバイス事業やFAシステム事業とも少しリンクします。MS事業のMSはマニュファクチャリング・サービスで、ものを作るということです。ものを作る上で2つの柱があります。1つはMMS(メタル・マニュファクチャリング)で、金属加工です。例えば今後、車載関係もEV化が進んでいく中で、立体駐車場で充電できるようにするためには金属加工が必要です。
2つ目はEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング)で、電子基板です。こちらは、スマートフォンやコンピュータなどいろいろなPCBの基盤に電子部品を載せてお客さまに提供することで、先ほどお話しした「コンポーネント+ソリューション」として付加価値を与えるものです。このように、ものづくりをミックスした営業戦略で各事業を進めていきます。
海外事業については、上記の取り組みを海外でも進めていきます。ここでは地産地消を意識し、中国であれば中国の方、アジアであればアジアの方に働いてもらうかたちで、拠点をさらにローカル化したい考えです。新しい時代に適応したかたちで、エンジニア・営業・経営を含めていかにローカルの人に活躍してもらうかを重視して進めていきます。
スライドの右側に、各事業の重点取り組みを列挙していますので、ご確認ください。
体質改善のための基盤強化
体質改善についてです。先ほど、効率化の推進としてペーパーレスについてお伝えしたように、社内実務のOA化を進めています。今までの事務的な単純作業のOA化を進め、いろいろなかたちで効率化を図りながら、将来の立花エレテックの発展に向けて進めていきたいと考えています。
加えて、がんばった人にきちんと報いることを基本とした新人事制度を作ります。当社は商社ですので、やはり人の育成とブラッシュアップ等をしっかり進めながら、ガバナンスやコンプライアンスに重点を置いて経営体質を強化していきたいと思います。
『サステナビリティ委員会』を2023年4月1日付で設置しました。
トピックスを簡単にご紹介します。昨今、サステナビリティやSDGsが話題ですが、当社も2023年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。持続可能な環境や社会に貢献したいと考えています。そのために当社に何ができるのか、どのようなかたちで社会貢献できるのかを考え、CO2削減といった環境への取り組みも含めて当社ができることをしっかりと進めていきます。
『なごみ会』が2023年4月1日付で発足しました。
2023年4月1日になごみ会が発足しました。当社の経営の基本方針である「人基軸経営」に則り、従業員と会社が成長して従業員が幸せになることが会社の重要課題だという認識で、それを実現していくことを目的としています。
親睦活動の一環でもあり、どうすれば社員が喜ぶのかを考え、チーム・個人・グループとしていろいろなかたちでのストレス発散やコミュニケーションを積極的に推進していきたい考えです。
『FOOMA JAPAN 2023』に出展します。
2023年度にいくつかの展示会に出展します。1つは「FOOMA JAPAN 2023」で、食材関係の展示会です。ここでは、先ほどお伝えした見える化や省人化、リモートメンテナンスで食品業界の課題を一つひとつクリアしたいという主旨の展示を行います。
展示会プロジェクトで、今回初めて若手社員がすべて発案・提案、企画したかたちでの出展です。リスクはあるものの、今の若い人の考え方をどのように取り入れていくかが重視されていると思いますので、非常に期待しています。
『EdgeTech+WEST2023』に8年連続で出展します。
もう1つは「EdgeTech+ West 2023」です。こちらは8年連続の出展となります。展示は半導体デバイス事業が主です。リアル展示に加え、オンライン配信も行います。センサーを使って、無線技術で何ができるのかをみなさまにご紹介したいと思っています。
展示会に参加することでお客さまの情報も得ながら、次のステップに進める1つの足掛かりとして活かしていきたいと考えています。ウェビナーも展開していますのでぜひ見ていただき、「EdgeTech+ West 2023」などの展示会会場にも出向いていただければと思います。
里山保全活動 枚方市『なごみの里』が完成しました!!
環境への取り組みの1つである里山保全活動についてです。大阪府枚方市の清掃工場に隣接し荒れていた竹やぶを整備し、125本の桜の木を植えました。枚方市民の方がご家族等で行って楽しく、癒される場所を作りたいと考え、「なごみの里」の造成を進めています。CO2削減も踏まえ、地球環境に優しいことを行っていくということです。桜の木が育ち、公園化して多くの方に来ていただけるようにしたいと思っています。
これからも、なごみの会やサステナビリティ委員会を踏まえてESG活動に注力し、社会とともに成長する企業になるように進めていきます。以上で、決算説明会を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:半導体事業の好調の要因と今後の見通しについて
司会者:「前期に半導体デバイス事業が好調だった要因は何でしょうか? また、今後の見通しについて教えてください」というご質問です。
布山:半導体デバイス事業に関して、コロナ禍に入った頃、半導体不足により需要と供給のバランスが狂いました。そのような中で、当社としてはお客さまのためにきちんと製品を供給することが最大の任務、責任であると考えました。
当社は商社ですので仕入先があり、そのような状況でも数を先に押さえて進めるかたちでしっかりと対応できました。確かに資源や材料の高騰もあり、いろいろなかたちで値上げもしましたが、先手を打つことでリカバーできたことが好調の最大の要因だと考えています。
加えて、在庫の金額が少し上がっているものの、Aという商品が手に入らない場合にBという商品で供給できないかと即座に相談させていただき、お客さまの要望に合わせた在庫をしっかりと揃えました。
今後の業界動向についてはみなさまご存じのように、車載関係の半導体供給に対応できるか、スマートフォンへの対応も問題ないかなど、気になる部分があるかと思います。半導体の各メーカーも先端技術の商品に対して積極的に投資を進めていますので、対応していきます。
海外はやはり中国がキーになってくると思いますが、中国はコロナ禍が明けて景気が少し悪くなっている状況です。ただし、第2四半期の状況を踏まえると、しっかりとニーズを引き出して調整してくるだろうと考えており、あまり心配はしていません。
質疑応答:年間配当決定の背景について
司会者:「業績はやや下振れ見込みですが、年間配当を100円とした理由は何でしょうか?」というご質問です。
布山:当社の利益還元の方針としては、安定配当をベースに業績に見合ったかたちで還元していくことを基本としています。前期の売上高は2,272億円で、今期は2,230億円と予想しており、利益はほぼ横ばいです。
この状況を踏まえて、前期の配当が90円だったことから今期は中間配当50円・期末配当50円の年間100円に決定しました。今期も前期並みの利益はきちんと確保していきます。
質疑応答:中長期経営計画のチャレンジ目標について
司会者:「前期の売上高は2,200億円を超えましたが、中長期経営計画のチャレンジ目標は変更しないのでしょうか?」というご質問です。
布山:新中長期経営計画「NEW C.C.J2200」において「2,000億円企業になる」としています。当社としてはこの目標のためのプラットフォームがあり、戦略事業をしっかりと成し遂げていくことを考えています。
数字だけ見ると今期の売上高予想は2,230億円で目標を達成しており、見直しもあるのかもしれませんが、2025年以降の計画につなげるためにしっかりと対応していく所存です。計画に変更がある場合はお知らせしたいと思います。