2023年3月22日、政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」より、住民税非課税世帯への経済支援を実施すると発表されました。

今回の追加支援により、住民税非課税世帯には1世帯あたり3万円が給付されます。

では、住民税非課税世帯となる年収はいくらなのでしょうか。

本記事では、住民税非課税世帯に該当する年収の目安について、年金受給者と現役世代でに分けて解説します。

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1. 住民税非課税世帯になる基準とは?

住民税が非課税になる基準は、前年の所得や扶養親族、ひとり親などの条件によって変わります。

住民税が非課税になる人の基準は、次の3つです。

  • 生活保護を受けている人
  • 障害者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)で、前年の合計所得が135万円以下の人
  • 前年の合計所得が次に掲げる基準より下回る人
    扶養親族がいない場合:45万円
    扶養親族がいる場合:35万円×(本人と被扶養者の人数)+31万円

障害者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)の場合、給与収入は204万3999円以下であれば非課税の対象です。

いずれかの条件を、世帯全員が満たしている場合に「住民税非課税世帯」となります。

では、住民税非課税世帯となる年収の目安はいくらなのか確認していきましょう。

2. 住民税非課税世帯になる目安の年収とは?

住民税非課税世帯になる目安の年収は、住んでいる地域によって変わる可能性があります。

一般的に、単身世帯で住民税非課税世帯となる想定年収の目安は、次の3つです。

  1. アルバイトやパートの場合:給与収入が100万円以下
  2. 65歳以上で年金受給のみの場合:年金収入が155万円以下
  3. 65歳未満で年金受給のみの場合:年金収入が105万円以下

扶養親族がいる場合の目安収入と所得は、下表の通りです。

出所:内閣府「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金について」


住民税非課税世帯に該当する基準として、給与収入がある人は年収が100万円以下だと住民税非課税となります。

一方で、年金を受給している人の場合、住民税非課税世帯になる目安の年収は年齢で変わります。

次に、年金受給者と現役世代に住民税非課税世帯がどれくらいの割合でいるのか、それぞれ確認していきましょう。

3. 住民税非課税世帯の割合とは?

厚生労働省は2021年9月9日に「国民生活基礎調査」を公表しました。

こちらによると、世帯の総数5142万世帯に対して、住民税非課税世帯は1218万世帯となります。

つまり、世帯総数の約4世帯に1世帯が住民税非課税世帯でした。

年代別で見ると、以下の通りです。

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査」を参考に筆者作成

割合でみると、60歳未満の現役世代は、219万世帯でした。

一方で、60歳以上の非課税世帯が999世帯と、約4.6倍の結果となっています。

次に、年金受給者と現役世代に分けて割合を見ていきましょう。65歳以上の住民税非課税世帯は、934世帯でした。

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査」を参考に筆者作成

住民税非課税世帯のうち、約4世帯に3世帯は65歳以上となります。

一方、65歳未満の現役世代の住民税非課税世帯は23.3%となりました。

現役世代の非課税世帯は約4世帯に1世帯で、割合だけを見ると年金受給者に手厚い支援となっています。

4. 住民税非課税世帯への支援は年金受給者への支援?

住民税非課税世帯のうち、およそ76.7%が年金受給者になります。

これまで住民税非課税世帯に向けて、さまざまな給付支援を実施してきました。

物価高による国民の生活を守る目的で、政府は給付金の追加支援を決定しています。

しかし、住民税非課税世帯への支援は、結果として年金受給者に支援が偏っているのではないかと批判も一部で出ている状況です。

今後、幅広い世帯への支援策が政府から実行されるのか、今後の動向にこれからも注目していきましょう。

参考資料

川辺 拓也