2023年4月17日に公表された株式会社リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査 (2022年)」によると、検討している住宅の種別では「注文住宅」が最も多く56%にのぼりました。
注文住宅は間取りの自由度が高く、理想の住宅を建てられると言われます。
しかし、完成するまでは図面やモデルハウスなどでイメージするしかなく、実際に見て確認できないのが難点です。
設計時はベストだと思った間取りでも、いざ住んでみたら「こうしておけば良かった」と後悔するケースはよくあります。
このような事態を回避するには、実際に注文住宅を建てた人がどのような点で後悔したのかを知っておくと良いでしょう。
この記事では、東京都で4800万円の注文住宅を建てた30代夫婦の体験談を紹介します。
狭くて後悔したスペースなどを中心にお話いただいたので、家づくりの参考にしてみてください。
1. リビング
「リビングが思っていたよりも狭かったです。家具を置くとさらに圧迫感が出てしまいます。廊下をなくしてリビングを広く設計しておけば良かったです」とご夫婦は言います。
リビングは家族が長い時間を過ごす大切な空間であるため、設計で頭を悩ませる人も多いでしょう。
部屋の広さを考える際は、図面や寸法上の広さを確認するだけではなく、家具や家電を配置した後のスペースの広さまで考慮しておくことが大切です。
また、「図面の寸法=実際の寸法」ではないことに注意しましょう。
図面の寸法には、柱や壁の厚みも含まれています。
そのため、図面に書かれている寸法で家具を決めてしまうと、家具が入らないという事態になるおそれがあります。
柱の太さや壁の厚みによって実際の寸法は変わりますが、目安としては、図面寸法から15cmほど差し引いた広さで考えておくと良いでしょう。
詳しい寸法は設計士に確認しておきましょう。
2. キッチンの収納
「アイランドキッチンにしましたが、そもそもこまめに掃除するタイプではないので、おしゃれよりも汚さが目立ってしまいました。
食材の置き場所も狭くて、キッチンに物があふれて片づけるのがさらに大変です。パントリーを作れば良かったです」とご夫婦は言います。
アイランドキッチンとは、シンクやコンロなどの調理スペースが壁から独立している対面キッチンです。
海に浮かぶ島のような見た目から「アイランドキッチン」と呼ばれています。
アイランドキッチンにすれば、壁や仕切りがないことで家族とコミュニケーションをとりながら調理しやすく、開放的でおしゃれな空間になりやすいでしょう。
しかし、開放的であるがゆえに作業台が丸見えなので、こまめに掃除をしないと散らかっている印象を与えやすくなります。
また、収納スペースが少なくなるのもアイランドキッチンのデメリットです。
キッチンの形を決めるうえで、「何を重視するか」を明確にしておくと良いでしょう。
3. 脱衣所
「脱衣所に洗濯機がありますが、スペースが想定よりも狭くてタオルや下着、パジャマの収納場所を作れませんでした」とご夫婦は言います。
間取りを決めるうえで難しいポイントは、どこかのスペースを広げるとどこかのスペースが狭くなることです。
国土交通省が2022年3月に発表した「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅に住み替えた世帯の住宅の延べ床面積は、全国平均で120.7㎡でした。
スペースは限られているため、デッドスペースをなるべく減らして、最大限にスペースを活用できる間取りを考えることが重要です。
また、収納の位置や広さを決める際は、生活動線から考えると良いでしょう。
使う頻度が高いものは、使う場所の近くに収納すればすぐに使えるため合理的です。
洗濯機の上の空間を収納にするなど、スペースを活用して収納を確保しましょう。
4. 子ども部屋
「子どもが3人いますが、子ども部屋を1つしか作れませんでした。3人が1つの部屋を使うには狭いため、今後子どもが大きくなった際にどのように使えば良いか悩んでいます」とご夫婦は言います。
お子さんが小さい時は1つの部屋でも問題ありませんが、大きくなると勉強や読書などで1人の時間を過ごすことも多くなるでしょう。
子ども部屋が少ない場合は、次のような対策を検討しましょう。
- 子ども部屋や寝室などに間仕切りを設置する
- リビングや廊下にキッズスペースを作る
- そもそも子ども部屋を作らない
注文住宅で後悔しない間取りを
東京都で4800万円の注文住宅を建てた30代夫婦の、狭くて後悔したスペース4選を紹介しました。
注文住宅において、多くの人が間取りで悩む理由は、間取りに正解がないためです。
住む人が重視するポイントや、周辺環境によっても最適な間取りは変わるため、設計士と時間をかけて決めていく必要があります。
注文住宅を建てた人の体験談も参考にして、家族が快適に暮らせる注文住宅を建てましょう。