8月25日は「即席ラーメン記念日」

8月25日は「即席ラーメン記念日」です。ご存じでしたか?

これは、日清食品(注)の創業者である安藤百福氏が、1958年 (昭和33年) 8月25日に世界初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」を発売したことに由来し、日清食品が「ラーメン記念日」として制定しました。現在では「即席ラーメン記念日」として広く知られているようです。

注:現在は持ち株会社である日清食品ホールディングス(2897)の中核企業となっています。

普段、当たり前のように食べている即席ラーメン(=インスタントラーメン)ですが、「即席ラーメンの日」にちなんで現在の状況を見てみましょう。なお、一般社団法人日本即席食品工業協会および日清食品の分類に従って、ここでは、「即席ラーメン=袋めん+カップめん+生めん」としています。

外食産業のラーメンの市場規模は約6,000億円

まず、皆さんは外食産業のラーメン業界をどう見ていますか? 今や日本全国で数多くのラーメン店が営業しており、その地域の特色や各店の独自色を打ち出したラーメン店が目立っています。

どこまでをラーメンに含めるかにもよりますが、「長崎ちゃんぽん」や「つけ麺」等を含めた市場規模は約6,000億円と推察されています。これは、全外食産業(平成28年は約25兆4,000億円)に占める割合としては約2.3%程度に過ぎません。

しかし、客単価が1,000円未満と推測されることを勘案すれば、概ね妥当、もしくは、かなり健闘しているとも言えます。

外食のラーメン産業は競争激化などで過渡期

その一方で、大手チェーン店の躍進などにより、ラーメン業界は競争激化による過渡期にあるとも言われています。たとえば、全国のラーメン店舗数は2万店舗以上と言われていますが、毎年3,000店舗の新規出店があるにもかかわらず(推定値)、全体の店舗数はさほど増えていません。

つまり、閉店や廃業に追い込まれている店舗数も非常に多いということです。皆さんも“あのラーメン店、いつの間にか閉店していた”という経験があるのではないでしょうか。

即席ラーメンはほぼ「国内生産量=国内消費量」

では、家などで食べる即席ラーメンの消費量はどうでしょうか? 前掲の日本即席食品工業協会が公表する生産データを見てみましょう。

なお、国内で生産する即席ラーメンは、輸出向けは非常に少なく(2%未満)、また、それとほぼ同等量が輸入されていますので、実質的には「国内生産量=国内消費量」と見ていいと思われます。

即席ラーメンの国内生産量は緩やかな増加傾向

その国内消費される即席ラーメンは、数量ベースでは年間55億食前後で推移していますが、近年は緩やかな増加傾向にあります(平成28年実績は56億7千万食、過去最高)。やや意外な感じもしますが、即席ラーメン市場は成熟化したとは言えず、かろうじて成長産業と言っていいのではないでしょうか。

これは、即席ラーメンに占める割合が約68%(平成28年実績、以下同)のカップめんにおいて、新商品が次々に登場してくることが最大要因と見られます。ちなみに、袋めん(約30%)は漸減傾向にあり、生めん(約2%)は頭打ち傾向にあります。やはり、お湯を注ぐだけで食べられるカップめんの利便性が受け入れられているのでしょう。

ちなみに、日本人1人あたりの1年間の消費量は44.6食(人口1億2,693億人として)だそうです。皆さんはこれより多いですか、それとも少ないですか?

出所:日本即席食品工業協会

即席ラーメンの国内生産金額は過去最高を記録

一方、生産金額ベースで見ると、生産数量ベースよりも伸びが顕著です。平成28年実績は5,823億円(対前年比+1%増)で、こちらも過去最高を記録しました。これは、生産数量の増加に加え、高級タイプの増加やカップめんの大サイズ化が要因と見られます。

確かに、コンビニやスーパーでは、びっくりするような大きいサイズのカップラーメンが陳列されていますね。

そして、注目すべきは、即席ラーメンの生産金額が、過渡期にあると言われている外食産業のラーメンの市場規模(推定値)に近づいているということです。このまま行くと、数年内には即席ラーメンの市場規模が、外食ラーメンを上回る可能性が濃厚になってきたと言えます。

即席ラーメンが外食ラーメンを超える日も近い?

よくよく考えてみると、外食でラーメンを食べた場合、高価なトッピングをしなければ、1杯700円くらいでしょうか(当然、食べるラーメンの種類にもよります)。しかし、家で即席ラーメンを食べれば、200円くらいで済むでしょう。

もちろん、各店の手が込んだ味の外食ラーメンと即席ラーメンを比較するのは無理がありますが、“即席ラーメンで十分だ”という人が増えているとも考えられます。外食ラーメンを食していた人が、即席ラーメンにシフトしてくれば、即席ラーメンはまだ成長し続ける可能性は十分あるでしょう。

実際、即席ラーメンの味も進化しているようです。“侮れない即席ラーメン、畏るべし”と感じずにはいられないかもしれません。

LIMO編集部