ここ数年で一気に普及した感のある電子マネー。東京都心のオフィスビルにあるコンビニなどでは現金を使うサラリーマンのほうが少なく感じるときもあるほどです。

総務省が公表している「家計消費状況調査」によると、2016年の電子マネー※を保有している世帯員がいる世帯(単身世帯を含む総世帯。以下、保有世帯)の割合は48.7%。世帯で見た場合には、約半数近くで電子マネーを保有している状況です。

※ Suica、PASMO、nanaco、クオカードなど。デビットカード・クレジットカードなど後払い方式の決済サービス、図書カードなど特定の商品・サービスしか購入できないプリペイドカード等の利用は含まない。

世帯収入が多いほうが電子マネーの保有率も利用金額も高い!?

一方、これを年間の収入別に見てみると、年収400万円未満では電子マネーの保有世帯が5割を切る一方で、年収900万円以上の世帯では7割を超えるなど、高年収の世帯では保有率が高いことがわかります。また、電子マネーの1カ月の平均利用金額は、年収400万円~500万円の世帯では14,718円であるのに対し、年収1,000万円~1,250万円の世帯では19,126円と5,000円近く差があります。

ちなみに電子マネー保有世帯の割合が最も多いのは年収1,250万円~1,500万円の層で76.6%(平均利用金額20,627円)でした。

今回は実際に電子マネーを使っている人、使わなくなったという人それぞれからお話を伺いました。彼らが電子マネーを使う理由、使わない理由とはどのようなものなのでしょうか。

出所:家計消費状況調査年報 平成28年

「ポイントも貯まるし使ったほうが得」――年収1,000万円超のAさん

Aさんは30代にして自ら立ち上げたベンチャー企業の社長を務める男性。年収1千万円を超える彼は普段、Apple Payの利用が主で「財布を持たずに行動している日も結構ある」と言います。

「電子マネーならポイントも貯まりますし、そのポイントでも買い物ができるから結局お得なんです。逆に現金しか使えないところだとすごく困りますね。ランチの時間帯は電子マネー、クレジットカードお断りというお店に入ってしまって冷や汗をかいたこともあります(笑)」(Aさん)。

最近では電子マネーにほとんど集約しているため「ATMでお金をおろすという行為をしなくなった」というAさん。どれだけ使っているのか気にならないのかと尋ねると「月末に確認すれば十分ですね。あまり気にせず使っています」とのことでした。

「使うのをやめたら節約に」――年収550万円のBさん

一方、年収550万円ほどだというメーカー勤務のBさん(30代男性)は東京都内で一人暮らし。この春から電子マネーを極力使わないようにしていると言います。