この記事の読みどころ

  • 5月の日本株式相場は、4月終盤からの上昇トレンドを維持しましたが、20,000円の大台突破は成りませんでした。
  • 5月終盤は模様眺めムードが一気に強まり、厳しい閑散相場が続きました。
  • 6月は日米の金融政策に注目が集まりそうです。相場の方向感が見えにくい中ですが、高値警戒ゾーンに入った内需関連銘柄には注意が必要と言えましょう。

先月(2017年5月)の株式相場の振り返り

上昇トレンドを維持するものの、20,000円の厚い壁に跳ね返される

5月の日本株式市場は、年初来高値を付ける上昇局面が見られたものの、後半は上値が重い展開が続きました。また、月中の値幅(高値と安値の差)は853円に止まり、やや動きが鈍かったことが伺えます。

4月の最終週に急反発し始めた日経平均株価は、大型連休(GW)中に行われたフランス大統領選挙の結果などを受け、GW明けから再び上昇し始めました。16日の取引時間中には、20,000円の大台まであと1円50銭に迫る高値(19,998円)を付けましたが、大台超えは成りませんでした。

また、中旬以降は北朝鮮問題の深刻化や米国トランプ政権のロシア疑惑報道などにより、20,000円が徐々に遠ざかったまま今日に至っています。

5月終盤は厳しい閑散相場に

特に、目新しい材料が乏しかった終盤以降は閑散相場が続いており、29日の出来高は13億株を割り込む今年最低を記録しました。また、売買代金も2兆円を下回る日が続出する状況にあります。

こうした薄商いは、粗い値動きを誘発しやすくなると同時に、今後の価格形成にも影響が残るパターンが多くなります。6月の株式相場も引き続き乱高下に注意が必要となるでしょう。

なお、日経平均株価を振り返ると、2017年4月末の株価(終値、19,196円)との比較では、5月末終値(19,650円)は+2.4%上昇となりました。また、5月高値は同+4.2%上昇、5月安値は同▲0.3%下落でした。さらに、2016年12月末との比較では、5月終値は+2.8%上昇となっています。

日経平均株価の過去1年間の推移

2017年6月の注目イベント、注目セクター

米国の利上げ実施は既定路線だが、再び日米の金融政策に注目

6月の注目点は、日米の金融政策になると思われます。米国の金融政策では、6月13~14日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されますが、利上げの実施が確実視されています。そのため、利上げ実施の有無が焦点ではなく、その後に行われるイエレン議長の記者会見での発言内容に注目が集まるでしょう。

イベントが想定通りのサプライズなしであっても、それが終わった途端に株価が急変するのはよくあることです。また、そのFOMC前に発表される雇用統計の内容にも注意が必要です。

一方、日本の金融政策は、6月15~16日に日銀金融政策決定会合が開催されます。こちらは、現在の金融緩和政策の継続がコンセンサスとなっています。しかし、日銀が昨年発表したETF6兆円購入などの緩和策はそろそろ一巡を迎えるため、その前に何らかの施策を講じる可能性は皆無とは言い切れません。無風と言われているからこそ、一応、注意が必要になるでしょう。

早くも始まる2月決算期企業の第1四半期決算は意外な材料に

金融政策以外に注目すべき点は、各社の株主総会(3月決算期)と、第1四半期(Q1)決算発表(2月決算期)の2つでしょう。特に、小売銘柄が多い2月決算期企業は、6月下旬から徐々にQ1決算(3-5月期)が始まります。

普通、Q1決算から大幅な計画見直しを実施するケースは少なく、とりわけ、為替影響の小さい小売セクターはそれに該当します。しかし、株式相場を動かすような目新しい材料が不足している時は、些細な増益や減益でも十分な材料になり得ます。その意味でも、2月決算期企業のQ1決算にも注目が集まると考えられます。

また、先行きがどうなるか誰にも予想できませんが、北朝鮮問題やトランプ政権がらみの報道にも注意しましょう。ただ、一部の株式市場関係者がテレビやレポートなどで、まことしやかに語る見通しを鵜呑みにしてはいけません。これらの問題の真相が日本の株式市場関係者に分かるはずがないことは明らかでしょう。国際情勢のリスクは、個人投資家個々が判断せざるを得ません。

高値警戒ゾーンに入った内需関連銘柄、輸出セクターにも注視。投資スタンスは?