2022年8月15日に行われた、株式会社サイバーセキュリティクラウド2022年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役社長 兼 CEO 小池敏弘 氏

業績の概況

小池敏弘氏:本日はお忙しい中、2022年12月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長兼CEOの小池でございます。

決算概要について、まずは業績の概況をご報告します。一昨年に買収したソフテックの吸収合併に伴う単体決算への移行により、これまでの計上から若干変更があります。スライドの表の左から2番目にある単体の列が、今回の正式な決算概要となっています。

売上高は10億2,100万円、営業利益は1億4,100万円、四半期純利益は1億3,100万円となりました。後ほどご説明しますが、進行期はもともと連結で始まっており、そのまま連結していた場合は、売上高10億8,700万円、営業利益1億6,900万円となっていました。

売上高は前年同期比27.5パーセント増と、非常に順調に推移しています。ただし、第2四半期については、オフィス本社移転に伴う一時費用が発生したため、営業利益は前年比で減少しているように見えています。

単体決算移行に伴う決算数値への影響

今回、連結決算から単体決算に移行しました。ポイントとして、第2四半期以降の決算ではソフテックの第1四半期の業績が除外されるため、売上高・営業利益・経常利益は第1四半期分が減少して見えています。一方、これまでソフテックが稼いできた含み益を第1四半期に特別利益として計上していますので、最終的な当期純利益は増加しています。

そのため、会計処理で指標は増減するものの、実態としては売上・利益に変化はなく、非常に順調に推移しています。また、2025年に向けた成長戦略を発表していますが、売上高・営業利益それぞれの目標に変更はありません。

来期以降はソフテックの事業を100パーセント取り込んだかたちで決算を出していくため、今期のみ若干修正が入っています。

抱合せ株式消滅差益(特別利益)の計上

今回、抱合せ株式消滅差益という特別利益を計上しています。スライド下段に記載したポイントについてご説明します。

2020年12月にソフテックがグループ入りし、サイバーセキュリティクラウドとのシナジーを出しながら、力強く成長を続けています。結果として、サイバーセキュリティクラウドに計上していたのれん償却費などを上回って、最終的には純利益を積み上げています。

非常によいM&Aとなりましたので、今後は新生サイバーセキュリティクラウドとして、ソフテックが持つ製品に関しても力強く拡販していきたいと考えています。

単体決算移行に伴う業績予想

単体決算移行に伴い、新たな業績予想を開示しています。当初、連結で開示していたものがスライドの表にあるB列で、今回正式に開示しているものが表の一番左の単体の列です。売上高は22億3,300万円、営業利益は3億6,200万円、経常利益も変わらず3億6,200万円、当期純利益は2億7,100万円となりました。

連結決算は終了していますが、仮にそのまま連結を続けていた場合の数字をA列に記載しています。ご覧のとおり、売上高・営業利益・経常利益は変わっていません。オフィス移転に伴う一時費用が発生しましたが、当期純利益は2億7,000万円と非常によいかたちで進んでいます。

ARRの推移

主要指標について振り返ります。まず、当社が一番大事にしているARR(年間計上収益)はすべてのプロダクトにおいて非常に力強く成長しており、前年同期比31.5パーセント増となっています。

特に、スライドの棒グラフで上から2つ目の濃いグレーで示した「Managed Rules」の増加幅が以前に比べて高くなっています。これは円安などを含めた為替影響と、米国子会社と日本の親会社の両者間における移転価格税制の考慮、そして、ユーザーにしっかり支持されたという3つの要素が相まって、大幅に増加しました。

ユーザー数の推移

ユーザー数も前年同期比37.1パーセント増と、非常に高い数字を記録しています。スライドの棒グラフで下から2つ目の薄い水色で示した「WafCharm」は、四半期ベースで過去最高の伸びとなっています。

攻撃遮断くんとWafCharmの低い解約率

解約率は、非常に低いレートで推移しています。解約理由はサイトの閉鎖や、代理店とエンドユーザーの間の契約終了に伴うもので、決して商品に対する不満を起点とした解約ではない状況が続いています。今後もしっかりと低位安定させていきたいと考えています。

売上高の推移

第2四半期の売上高は、前年同期比30.1パーセント増の5億6,300万円で着地しました。2020年の第4四半期から2021年の第1四半期に関しては、ソフテック買収に伴って数字が上がっていますが、このタイミングを除けば、収益の積み上げ幅は過去最高で、足元でも非常に好調に推移しています。

営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移

営業費用についてです。第2四半期はオフィス移転に伴い、一時費用を2,000万円ほど計上していますが、それ以外は計画どおり費用を投じています。下半期は、新規採用による人件費および地代家賃が定常的に増えていくことが見込まれます。

サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員

従業員数の推移です。第2四半期終了時点で、派遣社員・外部パートナー含めて89名体制となりました。第3四半期以降も採用活動はもちろんのこと、フリーランスの方や兼業の方も含めて、幅広くパートナーを探していきたいと考えています。

成長戦略達成に向けた代表的な施策

第2四半期のトピックスです。昨年12月に、2025年に向けた成長戦略を発表しました。2025年の目標を確実に達成するために、4ヶ年でステップを踏みながら事業を拡大しています。

そのために重視していることが3つあります。1つ目は、とにかく生産性を上げていくということです。期初から「筋肉質な組織にしていくこと」を大きなテーマに掲げ、その結果、2021年の第4四半期に比べて、営業員1人あたりの受注金額が1.4倍にまで増えています。営業員一人ひとりの顔を見ても、自信を持ってお客さまに向き合えている状況だと感じています。

2つ目は、昨年から継続しているさまざまなセミナーや広告への投資です。後ほどご説明しますが、セキュリティ連盟の発起人となり、外部団体としてセキュリティの重要性を啓発しています。このようなイベントの開催などにより、最終的には当社に対するリード数も増加しています。

3つ目は、今後の重要戦略の1つでもありますが、販売パートナーを通じたサービス提供の拡大です。これを支援する専門部署を新設し、パートナー企業に向けて我々のノウハウや知識を移行します。そして、彼らと当社が持つサービスをうまく融合させて、販売しやすくするといった仕掛けを行った結果、非常に好調に推移しています。

官公庁と連携し、サイバーセキュリティ啓発活動を強化

セキュリティ連盟という団体のイベントについてです。こちらは今年2月に「日本のDXをもっと安全に」というスローガンの元に発足しました。

業界だけで意見交換するのではなく、実際に事業を営んでいる情報システム関連の方など、我々のお客さまとなる方も一緒になって、しっかりしたセキュリティ対策を行えるのか考えていくきっかけにしたいと考えています。

5月には金融庁、他事業会社のみなさまにも登壇していただき、第1回目のセミナーを開催し、非常に好評でした。

また、8月25日には2回目のセミナーを実施しますが、こちらはすでに100名以上の申し込みがあり、参加者はまだまだ増える見込みです。この半年で、知名度も非常に上がってきており、団体としての意義を果たすことができ始めていると考えています。

成長戦略①:更なる飛躍が期待されるパートナー戦略

パートナー戦略について、具体的にご説明します。スライドには「パッケージ販売モデルの強化」と記載していますが、当社の販売パートナーは、セキュリティコンサルティング事業を行っていたり、セキュリティツール、あるいは我々がセキュリティを守るサーバーの販売を行うなど、さまざまなタイプのサービスを提供しています。

このようなサービスと当社プロダクトについて、販売パートナー各社がどのようにすれば売りやすいか、ともに検討しています。実際に、すでにいくつかのパートナー企業のサービスと当社プロダクトをセットにして提供しています。

また、こちらは追々実績としてご報告できると思いますが、我々のサービスのみ売ってもらうのではなく、「エンドユーザーにできる限り価値あるものを届けるためにはどうすればよいか」ということを、日々議論を重ねながら進めています。

そして、パートナー戦略を強化する施策に取り組んだ結果、パートナー1社あたりの販売件数は1年間でプラス20パーセントと、高い効果を上げています。今後も歩みを止めることなく、しっかりと協業を進め、エンドユーザーにさらなる価値を提供していきたいと考えています。

成長戦略②:高成長の可能性を秘めたグローバル戦略

グローバル戦略についてです。今期は、クラウドプラットフォーマーであるAmazonの「AWS」を使って、Webサイト・Webアプリを開発するコミュニティ向けに、当社の製品をどのようにして知ってもらうかを考えながら、戦略を進めています。

結果として、スライド左側に示したように、「AWS」から公式に当社製品「WafCharm」を紹介するレポートが発刊されました。また、スライド右側は「AWS WAF」において、パートナーの成功事例が、グローバルに紹介されています。

アメリカの足元の業績については粛々と進めており、来るタイミングで拡販していきたいと考えていますが、現段階では、計画どおり順調に準備が進んでいます。

成長戦略③:着実に進展するサービスラインナップ増強

「着実に進展するサービスラインナップ増強」についてです。ソフテックが持っている「SIDfm」の受注件数は、右肩上がりに増えています。

サイバーセキュリティクラウドの既存のお客さまに対し、新しく「SIDfm」をご紹介することにより、「このような商品を待っていたんだ」という声をいただきました。

また、新規の問い合わせでも、「攻撃遮断くん」「SIDfm」両方の商品説明を一気に聞きたいといった要望が非常に増えており、受注も非常に好調です。

さらに、「Webセキュリティでサイトを守っていく」という使命のため、私たちが行うべきことはまだ残っています。当社が持続的に成長していくため、そして、ユーザーへさらなる価値を提供するためにも、今期は新サービスの開発を進めており、今期中にリリース予定です。

私からの決算概要およびトピックスのご説明は以上となります。

質疑応答:第2四半期の業績について

「直近3ヶ月の実績である第2四半期の経常利益は、前年同期比で46.5パーセント減の5,400万円に落ち込んでおり、営業利益率は前年同期比で23.6パーセントから8.8パーセントに急低下しています。売上高、営業利益率、経常利益が低下したことについてご説明をお願いします」というご質問です。

前年の四半期ベースで比較すると、いくつか要因があります。まず、2021年の第2四半期はコストを抑え、第3四半期以降コストをかける戦略でしたので、前提として営業利益率は比較的高い状態でした。

その上で、今期は引き続き順当に費用を使っています。例えば広告費は昨年の約2,500万円から5,200万円に増加しており、これだけでも約2倍強となっています。また、2022年の第2四半期は、移転に関する一次費用が約2,000万円計上されています。

当然、採用を増やしたことによる人件費の増加などもありますが、主に今ご説明したようなことが要因になっています。

通期の営業利益率に影響はありませんので、当初の業績予想、また今回開示をした業績予想に向けて、順調に進めている状況です。

質疑応答:決算が市場でどのように評価されたかについて

「現在の御社の株価を見て、決算を市場はどう評価したと感じているかご意見をいただきたいです」というご質問です。

投資家のみなさまをはじめとして、当社を応援していただいている方の期待に応えるべく、しっかりと株価を上げていく必要があることは十分認識していますが、現在の評価は依然として厳しいと感じています。

ですので、このような四半期ごとのタイミングで、当社の事業の安定性や成長性、マーケットのポテンシャルなどを私から世の中に直接発信するとともに、みなさまに期待していただけるように精進していきます。結果として、株価も反応してくれればと考えています。

引き続き、IR活動を一生懸命進めていますので、ご支援いただければ幸いです。

質疑応答:当社の強みおよび競合企業について

「御社の強みを具体的に教えてください。また、競合はどちらでしょうか?」というご質問です。

まず、日本のセキュリティ製品のほとんどが外国製品です。多くの場合、外国製品を日本の代理店や消費者、卸売業者などが扱い提供しています。一方、当社は100パーセント自社で開発、運用し、日本語でサポートしています。この点は非常に強みであると考えており、お客さまからも評価いただいているポイントです。

前提として、もちろんセキュリティの高さには自信がありますが、競合もほとんど変わらない高い水準を保っていると思います。このようなジャンルの製品は、通常は何も起きないのが一番よく、何か起きた時にどのようにサポートできるかが非常に重要です。今後も自信を持って、自社でしっかりサポートし、サービスを提供していきたいと考えています。

競合に関しては、未上場の会社ですがセキュアスカイ・テクノロジーの「Scutum」という製品が競合にあたります。また外資系の大きな会社でImpervaもバッティングすることがあります。

質疑応答:市場環境の変化および引き合い状況について

「いわゆる戦争特需は、第2四半期よりも第3四半期に大きく計上される見込みですか?」というご質問と、「直近の市場環境の変化や、それに伴う御社への引き合い状況の変化はありますか?」というご質問にもあわせて回答します。

昨年12月の前半に「Apache Log4j」という、業界が驚くような大きな脆弱性が公表されました。その後2月から3月にかけてロシア、ウクライナ問題に関連したサイバー攻撃がありました。

また、昨年12月から今年の3月頃にかけて、国内大手企業がサイバー攻撃を受けて事業が停止したという非常に大きなニュースがありました。それに伴って当社への問い合わせ数は増加し、2021年の第4四半期には新規受注金額が過去最高となりました。

その後の2022年の第1四半期でも、過去最高の新規受注を記録しました。さらにこの第2四半期は前四半期を上回る新規受注額を積み上げており、当社にとって非常にポジティブな影響が出ていると考えています。

正確には、新規受注額および売上高のタイミングが完全に一致するわけではないため、このような影響が出てくるのは、現在進行している第3四半期以降だと考えています。

質疑応答:決算発表後の株価の低迷について

「決算発表後の今日も株価が低迷していますが、どう考えているのでしょうか?」というご質問です。

決算発表をしたものの株価が低迷しているというご指摘は、非常に厳しく受け止めています。繰り返しになりますが、当社の事業の安定性や成長性、あるいはまだ伝えきれていない影響があるのかもしれません。

私を筆頭にしっかりと改善しながら、最も重要である事業自体もさらに力強く伸ばしていきたいと考えていますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。

質疑応答:クラスメソッドとの提携による効果について

「クラスメソッドとの提携はどのような効果が期待できるのでしょうか?」というご質問です。

クラスメソッドは、主に「AWS」のコンサルティングや環境構築、システム構築を行う日本でも最大手クラスのコンサルティングパートナーです。先日、彼らが提供している「クラスメソッドメンバーズ」というサービスに、当社の「WafCharm」のエントリープランを無償提供するというリリースを発表しました。これによりどのような効果が期待できるのかというご質問かと思います。

もともとクラスメソッドは多くの「AWS」ユーザーとの接点があり、これまでにも非常に多くの「WafCharm」をご提供いただいていました。そこに加えて、パッケージ販売モデルの1つとして「クラスメソッドメンバーズ」のプレミアムサービスに、当社の「WafCharm」を組み込んだパッケージ販売を開始しています。

最終的にはユーザーが選択できるかたちになりますが、一緒に案内していくことで、エンドユーザーにはセキュリティが強固になるという価値を提供できます。当社視点では「WafCharm」の利用数拡大に寄与していくのではないかと考えています。

質疑応答:セキュリティ連盟の取り組みによる影響について

「セキュリティ連盟の取り組みは御社にどのような影響をもたらしますか?」というご質問です。

セキュリティ連盟は当社が営利目的で運営している団体ではなく、あくまでも世の中にサイバーセキュリティの重要性や具体的な対策方法を啓発していく任意団体です。実はセキュリティ関連の団体はいくつかあり、当社も含めたセキュリティ業界の者が入っている団体が多数です。

セキュリティ連盟の発足および5月のイベントで、実際にサイバー攻撃の被害に遭った民間企業や事業会社の方にご登壇いただき、実際にどのような動きをして、どのようなことに困り、どのように復旧したのかをご説明いただきました。

アカデミックに「こうあるべきだ」というセキュリティの話だけではなく、生々しいリアルなお話を提供することで、自分ごととして考えられたというような声もいただき、非常に好評でした。

さらに、8月のセミナーにはすでに100名以上の参加表明をいただいており、今後はもっと増えていくだろうと思っています。そして、これらが日本全体のサイバーセキュリティの意識を高めるきっかけになればよいと考えています。

その上で、最終的に当社の取り扱っているWebサイトのセキュリティが必要となれば、ゆくゆくご利用いただきたいという考えです。いずれにしても、当社が取り組む意義は非常に大きいと考えています。

小池氏よりご挨拶

あらためまして、本日はお忙しい中ご参加いただきありがとうございました。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。

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