あっという間に5月となりました。

「お金のニュース」に敏感な方は、この4月に「年金制度改正」のニュースを至るところで聞いたのではないでしょうか。

4月に改正された年金制度の一つに、「繰下げ受給」があります。繰下げ受給を利用すれば、これまで「年金を4割アップできる」とされていました。

実は今後「84%も増額できる」ようになったのです。なぜこのようなオトクな方法があるのでしょうか。制度の概要や思わぬ“落とし穴”について見ていきましょう。

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1. 年金の受給額をアップさせる方法「繰下げ受給」とは

年金の受給額をアップさせる方法はいくつかあります。中でも効果が高いのが、「繰下げ受給」を活用すること。

本来、年金の受給開始時期は65歳ですが、もっと遅くに繰り下げることで「年金の額面」を増額させることができるのです。

1.1 繰下げ受給をした場合の増額率はどれくらい?

繰下げ受給をした場合、1ヵ月受給を遅らせるごとに0.7%ずつ増額されます。

  • 66歳0ヵ月:8.4%
  • 67歳0ヵ月:16.8%
  • 68歳0ヵ月:25.2%
  • 69歳0ヵ月:33.6%
  • 70歳0ヵ月:42%

これまでは最大70歳まで繰り下げることができたので、42%が最大の増額率でした。これが、「年金を4割アップさせる方法がある」と言われた根拠です。

1.2 2022年4月からは「75歳まで」繰下げ受給が可能に

2022年4月からは、繰下げ受給の可能年齢が75歳まで拡大されました。

増額率は次の通りです。

  • 71歳0ヵ月:50.4%
  • 72歳0ヵ月:58.8%
  • 73歳0ヵ月:67.2%
  • 74歳0ヵ月:75.6%
  • 75歳0ヵ月:84%

これにより、最大で年金受給額を84%も増額できることになりました。4割どころか8割以上の増額です。

手っ取り早く受給額をあげたい方にとっては、かなりオトクな制度に思えますよね。