近年、SDGsについての話題を耳にする機会はますます増加しています。一方、なぜSDGsがこれほどまでもビジネスに影響を及ぼしているのか、疑問を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

SDGsには17の目標と169のターゲットがあります。17番目の目標は「パートナーシップで目標を達成しよう」ですが、169番目のターゲット(17.19)は以下の通りです。

  • 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

SDGsのターゲットは、なぜ「尺度」や「統計」について言及しているのでしょうか。SDGsとビジネスの関わりについて、「パートナーシップ」や「統計」の観点から紐解いていきます。

SDGsの歩み

過去、人々の生活を豊かにするために急速な開発がおこなわれた結果、深刻な環境問題が発生しました。国際的にも環境保全が重視されますが、温室効果ガスの削減目標を定めた「京都議定書」は有名です。

過度な開発や経済活動は環境破壊に繋がるという認識が持たれていました。しかしながら、持続可能な世界の実現には多くの人の協力やビジネスの参入が不可欠だという声があがるようになり、そしてSDGsが誕生します。

SDGsの象徴となっているカラフルなロゴやアイコンもSDGsの認知度向上に貢献していますが、「パートナーシップ」という言葉には公的な機関だけでなく、民間や市民とも連携して目標を達成するという意味も含まれています。

SDGsは2016年1月にスタートしましたが、当初から様々な取り組みが開始したわけではありません。2017年1月のダボス会議が1つの転機ですが、SDGs達成により12兆円の経済価値が生まれるという試算が共有されました。

2017年11月には日本経済団体連合会の「企業行動憲章」が改定され、SDGsの達成に向けて行動するよう会員企業に求める内容が追記されています。

SDGsのスタートから5年かけて、日本では2020年頃からSDGsの認知度が高くなりますが、2020年からゴールの2030年はSDGsの「行動の10年」と位置付けられています。

SDGsの達成度を測る「232の指標」

京都議定書では、温室効果ガスの削減目標を達成できなかった場合の罰則が定められていました。一方、SDGsでは複数の視点から評価するために「232の指標」で達成度を測ることも大きな特徴です。

例えば雇用や経済に関わる指標として「労働者の平均時給」「銀行の支店数、ATM数」、環境についての指標では「年間温室効果ガス総排出量」「再生可能エネルギー比率」などが設定されています。

インターネットやスマートフォンの普及によって膨大な量のデータを蓄積できるようになったこともSDGsの指標の測定を後押ししています。

ただし、先にご紹介したターゲットに「開発途上国における統計に関する能力構築を支援する」とあるように、開発途上国ではインフラが未熟で統計が十分になされているとは言えず、支援が必要です。

SDGsに取り組まない企業はチャンスを逃す

ビジネス界で積極的にSDGsが取り入れられている背景には「ESG投資」が大きく関わっています。

ESG投資はリーマンショックの反省もあって広まったもので、短期的な利益ではなく長期的に「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」なども考慮する投資手法です。

現在、機関投資家はESG投資を重視するよう求められており、SDGsへの取り組みも投資の判断材料となります。SDGsに取り組まない企業は資金を得るチャンスを逃すとも言われています。

さいごに

232の指標には途上国支援のための投資額に関するものが複数ありますが、実は途上国への送金額は、ODA(政府開発援助)よりも民間投資の方が大きく上回っています。

政府にしかできない支援もあるはずですが、やはりSDGsの達成にはビジネスの力が必要です。

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