令和2年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.64歳、女性の平均寿命は87.74歳。つまり、平均的には女性の方が、男性よりおよそ6年長く生きるということです。老後に遺族厚生年金を受給する女性は多いといえるでしょう。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、寒さが厳しく家にいる時間の増えるこの時期は、じっくり「お金」について考えるのに良いタイミングです。

今回は「遺族厚生年金」の受給要件や受給額について、わかりやすくご説明します。夫亡き後に年金をどのくらいもらえるのかを知っておくことで、一人になった時の年金生活をイメージできるでしょう。

「遺族厚生年金」とは

遺族年金には、国民年金の「遺族基礎年金」と厚生年金の「遺族厚生年金」の2つがあります。それぞれ支給要件が異なり、「遺族基礎年金」は被保険者に生計を維持されていた子のある配偶者、または子に支給されます。

「遺族厚生年金」は、厚生年金保険の被保険者(要件あり)が死亡した時に、生計維持関係にあった遺族に支給される年金です。「遺族基礎年金に上乗せして支給されるケース」と「遺族厚生年金のみが単独で支給されるケース」があります。

ここでは、老後に夫に先立たれた妻を想定して、主に単独で支給される遺族厚生年金についてお話します。

遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金は、次の1から5のいずれかの要件を満たしている場合に支給されます。

  1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき
  5. 老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

※1および2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した人が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
※4および5の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある人に限ります。

老齢厚生年金受給者であっても、25年以上厚生年金保険に加入していた場合でないと、遺族厚生年金は支給されないということです。

次に、遺族厚生年金を受け取る遺族の要件も見てみましょう。

遺族厚生年金の受給対象者

生計維持関係にあった遺族のうち、最も優先順位の高い人が受け取ることができます。

  1. 妻(30歳未満の子のない妻は、5年間のみ受給)
  2. 子(18歳到達年度の末日までの者、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある者)
  3.  夫(死亡当時に55歳以上の者。なお、受給開始は60歳からとなるが、遺族基礎年金を受給できる場合に限り、60歳より前から遺族厚生年金を受給できる)
  4. 父母(死亡当時に55歳以上である者。なお、受給開始は60歳からとなる)
  5. 孫(18歳到達年度の末日までの者、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある者)
  6. 祖父母(死亡当時に55歳以上である者。なお、受給開始は60歳からとなる)

優先順位は次のようになります。

  1. 配偶者および子
  2. 父母
  3. 祖父母

※子のある妻、または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されません。